外国人患者の対応は、看護師1人の英語力だけで行うものではありません。 厚生労働省のサイトに掲載されている医療機関向けの資料(研究班が作成)は、通訳(対面・電話・映像)、医療用の翻訳機、多言語の説明資料、「やさしい日本語」を組み合わせて受入れの体制を整えることを示しています。
英語を活かしたい看護師は、その医療機関が外国人患者をどのような体制で受け入れているかを確かめると、職場で求められる役割が見えてきます。都道府県が選んだ「外国人患者を受け入れる医療機関」のリストも公表されています。
この記事は、厚生労働省のガイドブック・マニュアル・多言語説明資料・医療機関リストをもとに、看護の現場で英語が要る場面と、使える仕組み、職場の確かめ方を整理します。英語の勉強法や資格、海外で働く方法は扱いません。
この記事の結論
- 外国語が要るのは、受付・問診、検査や治療の説明、入院の案内、同意の取得などの場面です(1章)
- 通訳には対面・電話・映像・医療用の翻訳機などがあり、厚労省の研究班のガイドブックが長所と短所を比べています。一般用の翻訳機は医療用語の誤訳のリスクが高いとされています(2章)
- 厚労省は、問診票や入院申込書などの多言語説明資料(13か国語)を公開しています(3章)
- 外国人患者を受け入れる医療機関のリストは、都道府県が選出し、厚労省と観光庁が作成しています(4章)
- 英語を活かしたいなら、受入れの担当部署、通訳の手段、自分に求められる役割を確かめます(5章)
読みたい箇所から確認する
- 1. 看護の現場で外国語が要る場面
- 2. 通訳の手段——厚労省ガイドブックの比較
- 3. 厚労省の多言語説明資料
- 4. 外国人患者を受け入れる医療機関のリスト
- 5. 英語を活かせる職場の確かめ方
- 6. タメシビで想定していること
- よくある質問
1. 看護の現場で外国語が要る場面
先に答えを置きます。外国語が要るのは、受付・問診、検査や治療の説明、入院の案内、同意の取得などの場面です。 厚労省の研究班のマニュアルも、受付、検査・診察・治療、入院の場面ごとに対応のポイントを整理しています。
場面 | 厚労省の資料に出てくる例 |
|---|---|
受付 | 来日日・離日予定日、支払い方法、宗教上の配慮事項、母語以外で対応できる言語などの確認(入門ガイドブック Point 1) |
問診 | 診療科ごとの問診票(多言語説明資料) |
入院 | 入院申込書、面会や感染予防の説明(多言語説明資料) |
同意 | 治療中断に関する同意書の例として、多言語の説明書と署名欄を用意し、通訳や家族を交えて同意を得ることが望まれる(入門ガイドブック) |
マニュアル(第4.0版)は、受入れの体制として、通訳体制の整備、院内文書の多言語化、「やさしい日本語」での対応、受入れの担当者・部署の設置、研修などを章立てしています。英語で話すことは、その一部です。マニュアルには、医療機関向けの「やさしい日本語」の研修ガイドも付録として付いています。
なお、入門ガイドブックは訪日外国人(旅行者など)の患者を対象にしています。日本に住む外国人の患者では、保険や支払いの確認など、受付で確かめることが違う場面があります。
クリニックの外来の1日の流れ(受付から呼び入れ、診察の介助まで)は、「クリニック外来の看護師の仕事内容」の4章にまとめています。
この章の出典
- 厚生労働省ウェブサイト掲載「訪日外国人患者の受け入れを円滑に行うための入門ガイドブック(医療機関向け)」(研究班作成) https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/001694667.pdf
- 厚生労働省ウェブサイト掲載「外国人患者の受入れのための医療機関向けマニュアル(第4.0版)」(令和元年度、研究班作成) https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/001691274.pdf
2. 通訳の手段——厚労省ガイドブックの比較
先に答えを置きます。厚生労働省の研究班がまとめた訪日外国人患者向けの入門ガイドブックは、通訳の手段を対面・電話・映像・機械音声翻訳機に分けて、長所と短所を比べています。 一般用の翻訳機は、医療用語の誤訳のリスクが高いとされています。
手段 | ガイドブックの整理の要点 |
|---|---|
対面通訳(院内) | 非言語の情報にも対応できる。人件費が続けてかかる |
対面通訳(派遣) | 必要なときだけ使える。予約が要り、緊急の対応には向かない |
電話通訳 | 24時間対応のサービスがあり、多言語・緊急の対応に強い。音声だけで伝わりにくいことがある |
映像(ビデオ)通訳 | 音声と映像で非言語の情報も補える。通信機器と環境の整備が要る |
医療用の機械音声翻訳機 | 医療用語にも対応できる。会話のやりとりには弱く、話し方で精度が変わる |
一般用の機械音声翻訳機 | 安価。医療用語・専門語の誤訳のリスクが高い |
ガイドブックは、国や自治体、医療関連団体による無料または低コストの遠隔医療通訳サービスなども提供されているとしています。勤務先がどの手段を使っているかで、看護師が英語で話す範囲は変わります。
この章の出典
- 厚生労働省ウェブサイト掲載「訪日外国人患者の受け入れを円滑に行うための入門ガイドブック(医療機関向け)」(研究班作成)Point 10 https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/001694667.pdf
3. 厚労省の多言語説明資料
先に答えを置きます。厚生労働省は、医療機関が使える問診票や説明書を、英語を含む13か国語で公開しています。 厚労省のページは全文書に日本語を併記したとしているため、現場でよく使う表現を日本語と並べて確かめる材料にもなります。
区分 | 資料の例 |
|---|---|
申込み | 診療申込書、入院申込書(兼誓約書) |
説明 | 院外処方せんの説明、面会について、感染予防について、高額療養費制度(限度額適用認定証) |
問診 | 内科、呼吸器内科、循環器科などの問診票 |
書類 | 診療情報提供書、概算医療費、医療費請求書・領収書 |
対応している言語は、英語、中国語、韓国語、ポルトガル語、スペイン語、ウクライナ語、ヒンディー語、インドネシア語、ネパール語、タガログ語、タイ語、ベトナム語、アラビア語です。資料はWord・PDFなどで公開されています。
勤務先で使うかどうかは、医療機関の判断です。 院内の様式があるときは、そちらに従ってください。
この章の出典
- 厚生労働省「外国人向け多言語説明資料 一覧」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/kokusai/setsumei-ml.html
4. 外国人患者を受け入れる医療機関のリスト
先に答えを置きます。厚生労働省と観光庁は、外国人患者を受け入れる医療機関の情報をまとめたリストを公表しています。掲載する医療機関は、各都道府県が選出しています。
項目 | 厚労省のページ・解説の記載 |
|---|---|
目的 | 外国人患者が安心して受診できる体制を整備すること |
作成 | 厚生労働省と観光庁が連携して作成 |
選出 | 外国人患者の診療に協力する意志がある医療機関のうち、都道府県が適格性があると判断した医療機関 |
カテゴリー1 | 入院を要する救急患者に対応できる医療機関(都道府県で1つ以上) |
カテゴリー2 | 診療所・歯科診療所も含む、外国人患者を受け入れられる医療機関(二次医療圏に1つ以上) |
形式・更新 | Excel(解説はPDF)。2026年6月30日に公開、8月6日・9月30日に一部の都道府県分を変更 |
厚労省のページは、日本政府観光局(JNTO)のサイトでも、所在地や対応できる言語、診療科で医療機関を検索できると案内しています。解説は、このリストが外国から診療目的で来日する患者向けのものではないとしています。
このリストは、本来は患者が受診先を探すためのものです。 英語を活かせる職場を探すときには、地域のどの医療機関が受入れの体制を整えているかを知る手がかりとして使えます。リストに載っていることは、求人があることを意味しません。
この章の出典
- 厚生労働省「『外国人患者を受け入れる医療機関の情報を取りまとめたリスト』について」 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_05774.html
- 厚生労働省「医療機関リストの解説」 https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000957980.pdf
5. 英語を活かせる職場の確かめ方
先に答えを置きます。英語を活かしたいなら、その職場の受入れの体制と、自分に求められる役割を確かめます。 通訳の手段が整っている職場と、看護師が直接英語で話す職場では、役割が違います。
確かめること | 理由 |
|---|---|
外国人患者の受入れの担当部署・担当者があるか | マニュアルは担当者・部署の設置を章として挙げている(1章) |
通訳の手段(院内通訳・電話・映像・翻訳機) | 看護師が英語で話す範囲が変わる(2章) |
多言語の問診票・説明書があるか | 説明や同意の手順が変わる(3章) |
看護業務と通訳のどちらを求められるか | 通訳を兼ねるかで、業務の量と責任が変わる |
研修の有無 | マニュアルは研修を章として挙げている(1章) |
外国人患者受入医療機関認証制度の認証の有無 | マニュアルが制度を章として紹介している。受入れの体制を知る手がかりの1つ |
確認リスト
- □ 外国人患者の受入れの担当部署・担当者
- □ 使っている通訳の手段
- □ 多言語の問診票・説明書
- □ 看護業務と通訳の役割の分け方
- □ 研修の有無
- □ 外国人患者受入医療機関認証制度の認証の有無
6. タメシビで想定していること
タメシビは、看護師・准看護師が、施設と直接雇用契約を結んで1日単位で働けるスポット勤務サービスです。応募後、施設が内容を確認して勤務が確定します(事前の面接・書類選考はありません)。求人には、業務内容、必要な経験、持ち物、当日の流れを明示する方針です。
タメシビは2026年内のサービス開始に向けて準備中で、どの地域・どの種類の求人が掲載されるかは、これから決まります。
よくある質問
看護師に英語は必要ですか
英語は、看護師として働くための要件ではありません。 外国人患者の対応は、通訳、多言語資料、やさしい日本語などを組み合わせて行うものとして、厚労省の研究班のマニュアルが整理しています(1章)。英語を使う場面の量は、職場の受入れの体制で変わります。
外国人患者に翻訳アプリを使ってよいですか
勤務先のルールに従ってください。 訪日外国人患者向けの入門ガイドブック(厚労省の研究班)は、一般用の機械音声翻訳機について、医療用語・専門語の誤訳のリスクが高いとしています(2章)。
英語の問診票はどこで手に入りますか
厚労省の「外国人向け多言語説明資料」に、診療科ごとの問診票があります(3章)。勤務先に院内の様式があるときは、そちらを使います。
英語を活かせる病院はどう探せますか
厚労省と観光庁の「外国人患者を受け入れる医療機関」のリストで、地域の受入れ医療機関を確かめられます(4章)。応募の前に、受入れの体制と自分に求められる役割を確かめてください(5章)。
まとめ
外国人患者の対応は、看護師の英語力だけで行うものではなく、通訳、医療用の翻訳機、多言語の説明資料、やさしい日本語を組み合わせて体制を整えるものとして、厚生労働省のサイトに掲載された資料が整理しています。
英語を活かしたい看護師は、外国人患者を受け入れる医療機関のリストで地域の医療機関を確かめ、受入れの担当部署、通訳の手段、自分に求められる役割を確かめてください。
この記事の主な一次情報
- 厚生労働省ウェブサイト掲載「訪日外国人患者の受け入れを円滑に行うための入門ガイドブック(医療機関向け)」(研究班作成)
- 厚生労働省ウェブサイト掲載「外国人患者の受入れのための医療機関向けマニュアル(第4.0版)」(令和元年度、研究班作成)
- 厚生労働省「外国人向け多言語説明資料 一覧」
- 厚生労働省「『外国人患者を受け入れる医療機関の情報を取りまとめたリスト』について」「医療機関リストの解説」
※2026年10月15日に確認。資料は改訂されることがあります。この記事は公的な資料の紹介であり、個別の医療機関の受入れ体制について判断を示すものではありません。英語の資格や勉強法、海外で働く方法は扱っていません。
タメシビの先行登録
タメシビは、看護師が1日単位で施設と直接雇用契約を結んで働けるスポット勤務サービスです。応募後、施設が内容を確認して勤務が確定します(事前の面接・書類選考はありません)。求人には業務内容、必要な経験、持ち物、当日の流れを明示し、働いてから、その職場で続けるかをご自身で選べます。看護師・准看護師の登録料・利用料は無料です。
タメシビは2026年内のサービス開始に向けて準備中で、現在はLINEで先行登録を受け付けています。現時点で求人への応募を受け付けているものではありません。求人が公開されたときにお知らせを受け取りたい方は、先行登録をご利用ください。