刑務所の看護師は、医師の診療を補助し、病気やけがのある被収容者の療養上の世話を行います。 法務省の資料では、刑務所や拘置所には少なくとも1人の常勤の正看護師が配置されています。
刑務所の医療には、看護師のほかに、准看護師の資格を持つ刑務官も関わっています。刑務官や法務教官として採用された人の中から選抜された人が、法務省の養成所で准看護師の資格を取る仕組みです。この記事は、法務省の公表資料をもとに、刑務所などの矯正施設で看護師が担う仕事、配置、准看護師の刑務官との違い、求人の調べ方を整理します。給与や個別の施設の体制は扱いません。
この記事の結論
- 矯正医療は、刑務所や少年院などの矯正施設に収容している人への保健衛生と医療の総称です。刑事施設は2019年4月現在184施設あります(1章)
- 看護師の仕事は、医師の診療の補助と、患者の療養上の世話です。刑務所・拘置所には少なくとも1人の常勤の正看護師が配置されています。施設では入所時・定期の健康診断、投薬、感染症の治療、高齢者への対応などが行われています(2章)
- 准看護師の資格を持つ刑務官は、刑務官として採用された人が養成所で資格を取ったもので、医務課で医師の指示を受けるなどして医療事務に従事しています(3章)
- 矯正施設の医療は、医療専門施設(医療刑務所など)を置いて階層化されています(4章)
- 求人は、法務省や各矯正管区・施設の採用情報で確認します(6章)
読みたい箇所から確認する
- 1. 矯正医療と、矯正施設の種類
- 2. 看護師の仕事と配置
- 3. 准看護師の資格を持つ刑務官
- 4. 医療専門施設と、階層化した医療体制
- 5. 医療従事者の確保についての記述
- 6. 求人の調べ方
- 7. タメシビで想定していること
- よくある質問
1. 矯正医療と、矯正施設の種類
先に答えを置きます。矯正医療は、矯正施設に収容している人への保健衛生と医療の総称です。矯正施設には、刑務所・拘置所などの刑事施設と、少年院、少年鑑別所があります。
法務省矯正局の資料「矯正医療」は、矯正医療を次のように説明しています。
犯罪や非行によって刑務所や少年院などの矯正施設に収容している被収容者に対する保健衛生及び医療の提供を総称するものです。
施設の種類と数(2019年4月現在)
種類 | 内訳 | 合計 |
|---|---|---|
刑事施設 | 刑務所61、少年刑務所6、拘置所8、刑務支所8、拘置支所101 | 184 |
少年院 | 本院43、分院6 | 49 |
少年鑑別所 | 本所46、分所6 | 52 |
(数は法務省矯正局「矯正医療」による2019年4月現在のもの。最新の数は法務省の資料で確認してください)
矯正施設には、刑務所のほかに、拘置所・少年院・少年鑑別所などがあります。
この章の出典
- 法務省矯正局「矯正医療」
2. 看護師の仕事と配置
先に答えを置きます。法務省の資料は、看護師の仕事を「医師の診療を補助し、被収容者である患者の療養上の世話を行う」としています。刑務所・拘置所には、少なくとも1人の常勤の正看護師が配置されています。
看護師の仕事
法務省矯正局の資料「矯正医療」は、看護師について次のように書いています。
医師の診療を補助し、被収容者である患者の療養上の世話を行います。
保健師助産師看護師法5条は、看護師の業を「療養上の世話」と「診療の補助」と定めています。資料の書き方は、この2つにそのまま対応しています。
配置
資料 | 書かれていること |
|---|---|
法務省矯正局「矯正医療」 | 刑務所や拘置所には、少なくとも1人の常勤の正看護師が配置されています |
法務省「矯正医官 よくある質問」 | ほとんどの刑務所には、看護師及び薬剤師が配置されているほか、准看護師の資格を有する刑務官も配置されています。臨床工学技士、理学療法士などが配置されている施設もあります |
看護師は、医師(矯正医官)、薬剤師、准看護師の資格を持つ刑務官などとともに、施設の医療を担っています。施設ごとの看護師の人数や夜間の体制は、資料には書かれていません。応募するときは募集要項と面接で確認してください。
矯正施設で行われている医療
法務省矯正局の資料「矯正医療」は、矯正施設で行われている保健衛生と医療について、次のように説明しています。看護師が関わる場面を考える手がかりになります。
項目 | 資料の説明 |
|---|---|
健康診断 | 矯正施設の長は、入所(院)時健康診断、定期健康診断等の健康診断を行う義務を負っている。刑事施設の定期健康診断は年1回以上。刑事施設では特定健康診査、各種がん検診、肝炎ウイルス検査なども行われている |
投薬 | 被収容者の6割以上が何らかの投薬を受けており、薬は基本的に職員が投与する。不必要な薬は投与せず、可能な限りジェネリック医薬品を活用している |
感染症 | 治療によって施設内の安全・衛生を守り、社会復帰後の二次感染も防ぐ。資料は「被収容者には、結核やC型肝炎ウイルス(HCV)等の感染症に罹患している者が少なくありません」としている |
高齢の被収容者 | 「介護の必要な受刑者や認知症の疑いのある受刑者が増加しています」。手すり・スロープの設置、食事内容の変更などの対応や、理学療法士によるリハビリが挙げられている。終末期には緩和ケア専門医を非常勤で配置している |
外部の医療機関 | 施設内で対応できない専門的な検査や治療が必要な場合は、「被収容者を矯正施設の外の病院又は診療所に通院させ、やむを得ないときは入院させるなどして対応することもあります」 |
医師は、健康診断、疾病の治療、施設内の保健・衛生管理を担い、総合診療医的な役割を果たすと説明されています。看護師はその診療を補助し、療養上の世話を行う立場です。
この章の出典
- 法務省矯正局「矯正医療」
- 法務省「矯正医官 よくある質問」
3. 准看護師の資格を持つ刑務官
先に答えを置きます。矯正施設には、刑務官や法務教官として採用された人の中から選抜された人が、法務省の養成所で准看護師の資格を取ったうえで医療に関わる仕組みがあります。看護師として採用される人とは、採用の入口が違います。
養成の仕組み
法務省矯正局の資料「矯正医療」は、次のように書いています。
刑務官や法務教官として採用した者の中から選抜し、自前の准看護師養成所において准看護師資格を取得させています。
同じ資料は、准看護師の資格を持つ職員が、保安警備と医療の両面から、医療部門と処遇・教育部門の連携に寄与するとしています。
医務課での業務
法務省の刑務官の採用ページ(医務課の職場紹介)は、次のように紹介しています。
- 准看護師養成所で、刑務官として勤務しながら准看護師の資格を取得した刑務官が、医師の指示を受けるなどして、医療事務に従事している
- 工場を巡回し、受刑者の症状を聞き取って、医師の診察や常備薬につなげる「巡回係」の役割がある
看護師との違い
比べる点 | 看護師 | 准看護師の資格を持つ刑務官 |
|---|---|---|
採用の入口 | 看護師として採用 | 刑務官・法務教官として採用され、選抜を経て養成所へ |
資格 | 看護師(厚生労働大臣の免許) | 准看護師(都道府県知事の免許) |
資料に書かれている役割 | 医師の診療の補助、患者の療養上の世話 | 医療部門と処遇・教育部門の連携、医師の指示を受けるなどした医療事務、巡回 |
看護師と准看護師の法律上の違い(免許を出す者、指示を受ける相手)は「准看護師の単発バイト」にまとめています。
この章の出典
- 法務省矯正局「矯正医療」
- 法務省「刑務官の職場(医務課)」
4. 医療専門施設と、階層化した医療体制
先に答えを置きます。法務省は、矯正施設の医療を階層化し、医療専門施設(医療刑務所など)を置いています。
法務省矯正局の資料「矯正医療」は、階層化した医療システムを構築し、限られた予算・資源を有効活用していると説明しています。資料の図には、医療専門施設として、東日本成人矯正医療センターと、大阪・北九州・岡崎の医療刑務所などが挙げられています。
専門的な科の診療については、同じ資料が、非常勤医師や外部の病院で対応することにも触れています。また、一部の施設では、手術や内視鏡的治療、集学的がん治療も行われていると説明しています。施設内で対応できない場合は、外部の病院・診療所への通院や入院で対応することもあります(2章)。
この章の出典
- 法務省矯正局「矯正医療」
5. 医療従事者の確保についての記述
先に答えを置きます。平成26年の有識者検討会の報告書は、矯正施設について「看護師等医療従事者の数も十分とはいえない」と書いています。
矯正医療の在り方に関する有識者検討会の「矯正施設の医療の在り方に関する報告書」(平成26年1月21日)は、次のように書いています。
矯正施設は,医師不足のほかにも,看護師等医療従事者の数も十分とはいえないという問題も抱えている。
報告書は平成26年のものです。現在の看護師の人数や充足の状況は、この記事では扱っていません。
この章の出典
- 矯正医療の在り方に関する有識者検討会「矯正施設の医療の在り方に関する報告書」(平成26年1月21日)
6. 求人の調べ方
先に答えを置きます。矯正施設の看護師の募集は、法務省や各矯正管区・施設の採用情報で確認します。採用の区分(常勤・非常勤)や身分は、募集ごとの募集要項で確認してください。
調べる先 | 内容 |
|---|---|
法務省「非常勤職員」のページ | 法務省の非常勤職員の募集・採用情報が、採用時期ごとに一覧になっている |
各矯正管区・各施設の採用情報 | 施設ごとの募集 |
募集要項で確認すること
確認すること | 理由 |
|---|---|
採用の区分(常勤・非常勤・期間を定めた採用など) | 募集要項で示される |
勤務する施設の種類(刑務所・拘置所・少年院・医療専門施設など) | 医療専門施設を置く階層化した体制になっている(4章) |
勤務時間と夜間の体制 | 法務省の資料には書かれていない(2章) |
応募できる資格(看護師のみか、准看護師を含むか) | 募集要項で示される |
2026年10月8日の確認時点で、法務省の「非常勤職員」の一覧には看護師の募集は見当たりませんでした。募集は時期によって変わるので、各施設の採用情報もあわせて確認してください。
7. タメシビで想定していること
タメシビは、看護師・准看護師が、施設と直接雇用契約を結んで1日単位で働けるスポット勤務サービスです。応募後、施設が内容を確認して勤務が確定します(事前の面接・書類選考はありません)。求人には、業務内容、必要な経験、持ち物、当日の流れを明示する方針です。
矯正施設の看護師の募集は、法務省や各施設の採用情報で確認してください(6章)。
タメシビは2026年内のサービス開始に向けて準備中で、どの地域・どの種類の求人が掲載されるかは、これから決まります。
よくある質問
刑務所の看護師は何をしますか
法務省の資料は、医師の診療を補助し、被収容者である患者の療養上の世話を行うとしています(2章)。
刑務所に看護師は何人いますか
法務省の資料は、刑務所や拘置所には少なくとも1人の常勤の正看護師が配置されているとしています。施設ごとの人数は資料に書かれていません(2章)。
准看護師でも刑務所で働けますか
法務省は、刑務官・法務教官として採用した人の中から選抜し、自前の養成所で准看護師の資格を取得させています(3章)。外部から准看護師として応募できるかは、募集ごとの募集要項で確認してください(6章)。
刑務所の看護師は公務員ですか
医師(矯正医官)については、平成26年の有識者検討会の報告書が一般職の国家公務員としています。看護師の採用の区分と身分は、募集ごとの募集要項で確認してください(6章)。
医療刑務所とは何ですか
法務省は矯正施設の医療を階層化し、医療専門施設を置いています。資料の図には、東日本成人矯正医療センターと、大阪・北九州・岡崎の医療刑務所などが挙げられています(4章)。
まとめ
刑務所の看護師は、法務省の資料で医師の診療の補助と、被収容者である患者の療養上の世話を行うとされています。刑務所・拘置所には少なくとも1人の常勤の正看護師が配置され、法務省の説明では、ほとんどの刑務所に看護師と薬剤師が配置されています。
矯正施設には、刑務官などとして採用された人の中から選抜された人が養成所で准看護師の資格を取り、医務課で医療に関わる仕組みもあります。看護師とは採用の入口が違います。募集は、法務省や各施設の採用情報で、採用の区分と体制を確認してください。
この記事の主な一次情報
- 法務省矯正局「矯正医療」
- 法務省「矯正医官 よくある質問」
- 法務省「刑務官の職場(医務課)」
- 矯正医療の在り方に関する有識者検討会「矯正施設の医療の在り方に関する報告書」(平成26年1月21日)
※2026年10月8日に確認。施設の数と体制は変わることがあります。この記事は法務省の公表資料の紹介であり、個別の施設の体制や採用について判断を示すものではありません。賃金の相場は扱っていません。
タメシビの先行登録
タメシビは、看護師が1日単位で施設と直接雇用契約を結んで働けるスポット勤務サービスです。応募後、施設が内容を確認して勤務が確定します(事前の面接・書類選考はありません)。求人には業務内容、必要な経験、持ち物、当日の流れを明示し、働いてから、その職場で続けるかをご自身で選べます。看護師・准看護師の登録料・利用料は無料です。
タメシビは2026年内のサービス開始に向けて準備中で、現在はLINEで先行登録を受け付けています。現時点で求人への応募を受け付けているものではありません。求人が公開されたときにお知らせを受け取りたい方は、先行登録をご利用ください。