救命救急センターは、都道府県が整備し、重篤な救急患者を原則として24時間体制で受け入れる「三次救急」の医療機関です。 国が補助する救急医療対策事業の基準を定めた厚生労働省の救急医療対策事業実施要綱は、救命救急センターを初期・二次の救急医療施設の後方病院と位置づけ、重篤な救急患者の看護に必要な専任の看護師を置くことを定めています。

診療報酬の施設基準では、救命救急センターの治療室の看護師の配置を、常時「患者2人に1人以上」(救命救急入院料1)または「4人に1人以上」(同2)としています。

この記事は、救急医療対策事業実施要綱と「基本診療料の施設基準等」(厚生労働省告示)をもとに、救急医療の体制、救命救急センターの整備基準と看護配置、ICU・HCUとの違い、働く前に確かめることを整理します。点数や施設数、個別の病院の届出の状況は扱いません。

この記事の結論

  • 救急医療の体制は、初期・二次(入院を要する救急)・三次(救命救急センター)に分かれます(1章)
  • 救命救急センターは、重篤な救急患者を原則24時間体制で受け入れ、専用病床はおおむね20床以上です(2章)
  • 救命救急入院料の看護配置は、常時、入院料1で2対1、入院料2で4対1です(3章)
  • 配置の基準は、入院料1はICUと同じ2対1、入院料2はHCU(管理料1)と同じ4対1です(4章)
  • 働く前に、配属先(治療室か救急外来か)、受け持ちと夜勤、求められる経験、研修を確かめます(5章)

読みたい箇所から確認する

1. 救急医療の体制——初期・二次・三次

先に答えを置きます。厚生労働省の救急医療対策事業実施要綱は、救急医療の体制を、初期救急医療、入院を要する(第二次)救急医療、救命救急センターに分けて定めています。 救命救急センターが、いわゆる三次救急にあたります。

区分

要綱の事業

例・役割

初期

第2 初期救急医療体制

休日夜間急患センター、在宅当番医制など

二次

第4 入院を要する(第二次)救急医療体制

病院群輪番制など

三次

第6 救命救急センター

重篤な救急患者の医療を確保する

表の例は、要綱 第6の目的の書き方によります。要綱は、救命救急センターの医師の要件で「三次救急医療」という言葉を使っています。

この要綱は、国が補助する救急医療対策事業の内容と基準を定めたものです。 要綱は救命救急センターの目的を、都道府県が救命救急センターを整備し、初期・二次の救急医療施設と救急患者の搬送機関との連携のもとに、重篤救急患者の医療を確保することとしています。整備の対象は、都道府県の医療計画などに基づき、都道府県知事の要請を受けた病院の開設者が整備・運営するセンターです。

この章の出典

2. 救命救急センターの整備基準

先に答えを置きます。要綱は、救命救急センターが重篤な救急患者を原則として24時間体制で受け入れ、専用病床をおおむね20床以上持ち、重篤な救急患者の看護に必要な専任の看護師を置くことを定めています。

項目

要綱 第6の書き方の要点

受け入れ

原則として、重症及び複数の診療科領域にわたるすべての重篤な救急患者を24時間体制で受け入れる

位置づけ

初期救急医療施設と第二次救急医療施設の後方病院

病床

センターの責任者が直接管理する専用病床をおおむね20床以上(例外あり)。アクセスに概ね60分以上かかる地域では、10床以上20床未満の地域救命救急センターを整備できる

看護師

重篤な救急患者の看護に必要な専任の看護師を適当数置く

施設

専用の集中治療室(ICU)。必要に応じて心臓病専用病室(CCU)、脳卒中専用病室(SCU)など

教育

医学生、臨床研修医、看護学生、看護師、救急救命士などに救急医療の臨床教育を行う

看護師の人数は、要綱では「適当数」とされています。 数で示されているのは、次の章の診療報酬の施設基準です。認定看護師の仕組みは、「認定看護師・専門看護師・特定行為研修の違い」にまとめています。

この章の出典

3. 救命救急入院料の看護配置

先に答えを置きます。「基本診療料の施設基準等」(告示)の第九の二は、救命救急入院料1の看護師の配置を常時2対1、入院料2を常時4対1としています。 どちらも、救命救急センターを持つ病院の一般病棟の治療室を単位とします。

要件

救命救急入院料1

救命救急入院料2

単位

都道府県が定める救急医療に関する計画に基づいて運営される救命救急センターを有している病院の一般病棟の治療室

同じ

医師

重篤な救急患者に対する医療を行うにつき必要な医師が常時配置

同じ

看護師

常時、入院患者の数が2又はその端数を増すごとに1以上

常時、入院患者の数が4又はその端数を増すごとに1以上

患者の評価

特定集中治療室用の重症度、医療・看護必要度Ⅱの基準を満たす患者を7割以上(ICUの管理料2と同じ要件)

ハイケアユニット用の重症度、医療・看護必要度について継続的に測定し、評価

そのほか

十分な専用施設、医療安全対策加算1の届出

同じ

どちらの基準も「常時」と書かれ、数えるのは「看護師」の数です。勤務帯ごとの実際の人数は、病院に確かめてください。どの入院料を届け出ているかは病院ごとに違い、この記事では判断しません。

一般病棟の入院基本料の配置の定め方は、「病院の病棟に単発の求人が少ない理由」の2章にまとめています。

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4. ICU・HCUとの比較

先に答えを置きます。看護師の配置の基準で並べると、救命救急入院料1はICU(特定集中治療室管理料)と同じ常時2対1、入院料2はHCU(ハイケアユニット入院医療管理料1)と同じ常時4対1です。

治療室

告示の看護師の配置

患者の評価

救命救急入院料1

常時2対1

特定集中治療室用の必要度Ⅱ(7割以上)

救命救急入院料2

常時4対1

ハイケアユニット用の必要度を継続的に測定・評価

ICU(特定集中治療室管理料1〜3)

常時2対1

特定集中治療室用の必要度Ⅱ

HCU(ハイケアユニット入院医療管理料1)

常時4対1

ハイケアユニット用の必要度

HCU(ハイケアユニット入院医療管理料2)

常時5対1

ハイケアユニット用の必要度

救命救急入院料の要件には、救命救急センターを持つ病院であることが入っています。 ICUとHCUの要件には、この定めはありません。

この章の出典

5. 救命救急センターで働く前に確かめること

先に答えを置きます。救命救急センターで働く前に、配属先、受け持ちと夜勤の体制、求められる経験、研修の体制を確かめると、配属後の食い違いを避けられます。

確かめること

理由

配属先(センターの治療室か、救急外来か)

入院料の配置の基準は治療室についての定め(3章)

届け出ている入院料と、受け持ちの人数

入院料1と2で配置の基準が違う(3章)

夜勤の人数と体制

センターは原則24時間体制で受け入れる(2章)

求められる経験(急性期・ICUなど)

重篤な救急患者を受け入れる(2章)

研修・教育の体制

要綱はセンターに看護師などへの臨床教育を求めている(2章)

病院の病棟は、配置を勤務表で事前に組み立てるため、1日だけの勤務は見つかりにくいと考えられます。理由は「病院の病棟に単発の求人が少ない理由」の2章・3章にまとめています。

働く前の確認リスト

  • □ 配属先(治療室か、救急外来か)
  • □ 届け出ている入院料と受け持ちの人数
  • □ 日勤・夜勤の体制
  • □ 求められる経験
  • □ 研修・教育の体制

6. タメシビで想定していること

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よくある質問

二次救急と三次救急の違いは何ですか

要綱は、二次を「入院を要する(第二次)救急医療体制」、三次にあたる救命救急センターを「重篤救急患者の医療を確保する」ものとして分けています(1章)。救命救急センターは、初期・二次の救急医療施設の後方病院と位置づけられています(2章)。

救命救急センターの看護配置は何対何ですか

救命救急入院料1は常時2対1、入院料2は常時4対1です(3章)。どちらを届け出ているかは病院ごとに違います。

救命救急センターとICUの違いは何ですか

救命救急入院料の要件には、救命救急センターを持つ病院であることが入っています。 配置の基準は、入院料1がICUと同じ常時2対1です(4章)。

救命救急センターで働くのに資格は要りますか

告示が定めているのは看護師の数で、特定の資格は要件にしていません(3章)。要綱は、重篤な救急患者の看護に必要な専任の看護師を置くことを求めています(2章)。病院が求める経験や研修は、募集の条件で確かめてください。

救急外来の看護配置も2対1ですか

この記事で紹介した配置の基準(救命救急入院料)は、救命救急センターの治療室についての定めです(3章)。救急外来は対象ではありません。救急外来の体制は、病院に確かめてください。

准看護師は救命救急センターで働けますか

告示の配置の基準は「看護師」の数として書かれています(3章)。准看護師が勤務できるか、どの業務を担うかは病院の判断です。

まとめ

救命救急センターは、都道府県が整備し、重篤な救急患者を原則24時間体制で受け入れる三次救急の医療機関です。要綱は、専用病床をおおむね20床以上とし、重篤な救急患者の看護に必要な専任の看護師を置くことを求めています。

診療報酬の施設基準は、救命救急入院料1で常時2対1、入院料2で常時4対1の看護配置を定めています。働く前に、配属先、受け持ちと夜勤、求められる経験、研修の体制を確かめてください。

この記事の主な一次情報

  • 救急医療対策事業実施要綱(昭和52年7月6日医発第692号)第2、第4、第6
  • 基本診療料の施設基準等(平成20年厚生労働省告示第62号)第九の二(救命救急入院料)、第九の三(特定集中治療室管理料)、第九の四(ハイケアユニット入院医療管理料)

※2026年10月16日に厚生労働省法令等データベースで確認。要綱・施設基準は改正されることがあります。この記事は制度の紹介であり、個別の病院の届出や算定の可否について判断を示すものではありません。点数や施設数は扱っていません。

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