看護師免許だけでは、衛生管理者の資格にはなりません。看護師が衛生管理者になるには、第一種衛生管理者免許試験に合格して免許を受けます。 保健師の免許を持っている人は、試験を受けずに第一種衛生管理者免許を受けられます。
試験の受験資格は、学歴と、その後の「労働衛生の実務」の年数で決まります。安全衛生技術試験協会の事業者証明書は、労働衛生の実務の例に「看護師又は准看護師の業務」を挙げています。
この記事は、労働安全衛生規則、衛生管理者規程(告示)、試験協会と労働局の案内をもとに、看護師・保健師・准看護師が衛生管理者になる道を整理します。合格率や資格手当の額は扱いません。
この記事の結論
- 免許を受けることと、衛生管理者になることは別です。免許などの資格を持つ人のうちから、事業者が選任して衛生管理者になります(1章)
- 衛生管理者は、常時50人以上の労働者を使用する事業場で選任されます。病院などの医療業は第一種、その他の業種は第二種でも選任できます(1章)
- 保健師は、試験を受けずに第一種衛生管理者免許を受けられます。看護師免許は、免許を受けられる者に入っていません(2章)
- 看護師・准看護師は、試験に合格して免許を受けます。受験資格は、大学(短期大学を含む)・高専を卒業して1年以上、高校を卒業して3年以上など、学歴と実務の年数で決まります(3章)
- 試験協会の事業者証明書は、労働衛生の実務の例に看護師又は准看護師の業務を挙げています。実務は勤務先が証明します(4章)
- 第一種の試験は、労働衛生・関係法令・労働生理の3科目・3時間です。合格したあとに、免許の申請が要ります(5章)
読みたい箇所から確認する
- 1. 衛生管理者とは——病院は第一種が要る
- 2. 保健師は試験免除、看護師は対象外
- 3. 看護師の受験資格——学歴と実務の年数
- 4. 看護師の業務は「労働衛生の実務」の例に入る
- 5. 第一種の試験の概要
- 6. 受験・申請の前に確かめること
- 7. タメシビで想定していること
- よくある質問
1. 衛生管理者とは——病院は第一種が要る
先に答えを置きます。衛生管理者は、常時50人以上の労働者を使用する事業場で、事業者が選任する衛生の担当者です。医療業の事業場では、第一種衛生管理者免許などを持つ人から選任します。
衛生管理者の選任義務が常時50人以上の事業場から生じること(労働安全衛生法12条、同法施行令4条)は、「産業看護師(企業の健康管理室)の仕事」の1章にまとめています。選任の方法は、労働安全衛生規則7条が定めています。
項目 | 労働安全衛生規則 |
|---|---|
選任の期限 | 選任すべき事由が発生した日から14日以内(7条1項1号) |
専属 | その事業場に専属の者を選任(7条1項2号。例外あり) |
免許の種類 | 医療業、製造業、建設業、運送業などは第一種(または衛生工学)。その他の業種は第二種も可(7条1項3号) |
人数 | 50人以上200人以下は1人、200人超500人以下は2人など、規模に応じて増える(7条1項4号) |
職務 | 少なくとも毎週1回作業場等を巡視し、衛生状態に有害のおそれがあるときは直ちに必要な措置を講じる(11条) |
病院・診療所は医療業なので、第二種衛生管理者免許では選任の要件を満たしません。 看護師として病院で衛生管理者を目指す場合は、第一種を確かめます。
一方、7条1項3号ロは、医療業などに挙げられていない「その他の業種」について、第二種衛生管理者免許を持つ人からも選任できるとしています。企業の健康管理室などで働く場合は、勤務先の業種によって第一種か第二種かが変わります。 業種の区分は、労働局に確かめてください。
なお、免許を受けただけで衛生管理者になるわけではありません。事業者が、免許などの資格を持つ人のうちから選任して、衛生管理者になります。
この章の出典
- 労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号)第7条、第11条 https://laws.e-gov.go.jp/law/347M50002000032
2. 保健師は試験免除、看護師は対象外
先に答えを置きます。保健師の免許を持っている人は、試験を受けずに第一種衛生管理者免許を受けられます。看護師免許は、衛生管理者の資格にも、試験なしで免許を受けられる者にも入っていません。
衛生管理者になれるのは、免許を受けた人のほか、労働安全衛生規則10条が定める人です。
根拠 | 定めている人 |
|---|---|
則10条(衛生管理者の資格) | 医師、歯科医師、労働衛生コンサルタント、厚生労働大臣の定める者(衛生管理者規程1条で、学校に常勤する保健体育・保健の教諭や養護教諭など) |
則別表第四(第一種衛生管理者免許を受けられる者) | 試験の合格者、大学・高専で医学に関する課程を修めて卒業した者、大学で保健衛生に関する学科を専攻して卒業し労働衛生の講座を修めた者、厚生労働大臣が定める者 |
衛生管理者規程2条(上の「厚生労働大臣が定める者」) | 保健師免許を受けた者(告示の除外あり)、医師法・歯科医師法が定める者の一部(2条2号・3号)、薬剤師など |
愛知労働局の案内も、第一種の試験免除の対象に保健師免許を受けた者を挙げています。保健師は、試験を受けずに免許を申請します。 申請先と書類は、労働局の案内で確かめてください。
看護師と准看護師は、上の表のどこにも入っていません。看護師が衛生管理者になる道は、次の章の試験です。
この章の出典
- 労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号)第10条、第62条・別表第四 https://laws.e-gov.go.jp/law/347M50002000032
- 衛生管理者規程(昭和47年労働省告示第94号)第1条・第2条 https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=74008000&dataType=0&pageNo=1
- 愛知労働局「衛生管理者免許(試験免除)」 https://jsite.mhlw.go.jp/aichi-roudoukyoku/hourei_seido_tetsuzuki/anzen_eisei/2017-09-003.html
3. 看護師の受験資格——学歴と実務の年数
先に答えを置きます。第一種衛生管理者免許試験の受験資格は、最終学歴と、卒業後に労働衛生の実務に従事した年数の組み合わせで決まります。 看護師免許そのものは受験資格の要件ではありません。
労働安全衛生規則別表第五と衛生管理者規程5条、試験協会の受験資格の一覧から、主なものを抜き出します。
学歴など | 卒業後の労働衛生の実務 |
|---|---|
大学(短期大学を含む)・高等専門学校の卒業 | 1年以上 |
高等学校・中等教育学校の卒業 | 3年以上 |
学歴を問わない | 10年以上 |
看護専門学校などの専修学校の修了者についても、試験協会の一覧に区分があります。ただし、修業年限・授業時間のほか、大学等で所定の単位を修得していることなどの条件が付きます。自分の学歴がどの区分にあたるかは、試験協会の受験資格の一覧で確かめてください。
この章の出典
- 労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号)第70条・別表第五 https://laws.e-gov.go.jp/law/347M50002000032
- 衛生管理者規程(昭和47年労働省告示第94号)第5条 https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=74008000&dataType=0&pageNo=1
- 安全衛生技術試験協会「第一種・第二種衛生管理者の紹介」 https://www.exam.or.jp/introduction/h_shokai502/
4. 看護師の業務は「労働衛生の実務」の例に入る
先に答えを置きます。試験協会の受験申請用の事業者証明書は、労働衛生の実務の例として「看護師又は准看護師の業務」を挙げています。 実務の内容と期間は、勤務先(事業者)が証明します。
事業者証明書が挙げる労働衛生の実務の例から、看護職に関わりそうなものを抜き出します。
- 健康診断実施に必要な事項又は結果の処理の業務
- 労働衛生保護具、救急用具等の点検及び整備の業務
- 衛生教育の企画、実施等に関する業務
- 看護師又は准看護師の業務
- 保健衛生に関する業務
受験を申し込むときは、卒業証明書などとともに、この事業者証明書を添付します。どの期間の勤務を、どの勤務先に証明してもらうかは、申込みの前に試験協会の案内で確かめてください。
この章の出典
- 安全衛生技術試験協会「事業者証明書(第一種・第二種衛生管理者 受験申請用)」 https://www.exam.or.jp/wp-content/uploads/2025/01/eisei.pdf
5. 第一種の試験の概要
先に答えを置きます。第一種衛生管理者免許試験は、労働衛生・関係法令・労働生理の3科目を、筆記で3時間かけて受けます。 合格には、科目ごとの得点と合計の得点の両方が基準を満たす必要があります。
科目 | 範囲(衛生管理者規程6条と試験協会の案内) |
|---|---|
労働衛生 | 有害業務に係るもの/それ以外(作業環境管理、健康管理、メンタルヘルス対策、救急処置など) |
関係法令 | 有害業務に係るもの/それ以外(労働基準法、労働安全衛生法、作業環境測定法、じん肺法など) |
労働生理 | 人体の組織及び機能、疲労及びその予防など |
試験協会の案内では、合格の基準は科目ごとの得点が40%以上で、かつ合計が60%以上です。試験は安全衛生技術試験協会が行い、日程と会場は協会の案内に出ています。
合格したあとの免許の申請
合格したあとに、免許の申請が要ります。 東京労働局の案内は、免許試験合格通知書の交付を受けた人の申請書を、東京労働局免許証発行センター宛てに簡易書留で郵送するよう案内しています。都道府県労働局に持参することもできます。申請書の書き方は、労働局の案内で確かめてください。
この章の出典
- 衛生管理者規程(昭和47年労働省告示第94号)第6条 https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=74008000&dataType=0&pageNo=1
- 安全衛生技術試験協会「第一種・第二種衛生管理者の紹介」 https://www.exam.or.jp/introduction/h_shokai502/
- 東京労働局「労働安全衛生法に基づく免許|よくある質問」 https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/hourei_seido_tetsuzuki/anzen_eisei/ae-menkyo/QandA.html
6. 受験・申請の前に確かめること
先に答えを置きます。自分が保健師免許を持っているか、学歴がどの区分にあたるか、実務の年数を誰に証明してもらうかを確かめると、手続きの食い違いを避けられます。
確かめること | 理由 |
|---|---|
保健師免許の有無 | 保健師は試験を受けずに免許を申請できる(2章) |
学歴の区分 | 必要な実務の年数が変わる。専修学校は条件付き(3章) |
実務の期間と、証明してもらう勤務先 | 事業者証明書で証明する(4章) |
目指す職場の業種 | 医療業などは第一種、その他の業種は第二種も可(1章) |
勤務先が衛生管理者を必要としているか | 選任の人数や、すでに選任されている人は事業場ごとに違う |
受験・申請前の確認リスト
- □ 保健師免許の有無(あれば試験なしで免許を申請)
- □ 自分の学歴がどの区分にあたるか
- □ 卒業後の労働衛生の実務の年数
- □ 事業者証明書を書いてもらう勤務先
- □ 第一種か第二種か(医療業は第一種)
- □ 合格後の免許の申請先
7. タメシビで想定していること
タメシビは、看護師・准看護師が、施設と直接雇用契約を結んで1日単位で働けるスポット勤務サービスです。応募後、施設が内容を確認して勤務が確定します(事前の面接・書類選考はありません)。求人には、業務内容、必要な経験、持ち物、当日の流れを明示する方針です。
タメシビは2026年内のサービス開始に向けて準備中で、どの地域・どの種類の求人が掲載されるかは、これから決まります。
よくある質問
看護師は衛生管理者の試験が免除されますか
免除されません。 看護師免許は、試験なしで第一種衛生管理者免許を受けられる者に入っていません(2章)。看護師は、受験資格を満たして試験に合格し、免許を受けます(3章)。
保健師は衛生管理者になれますか
保健師免許を受けた人は、試験を受けずに第一種衛生管理者免許を受けられます(衛生管理者規程2条1号。告示の除外あり)。申請先は労働局の案内で確かめてください(2章)。
看護師としての勤務は実務経験になりますか
試験協会の事業者証明書は、労働衛生の実務の例に「看護師又は准看護師の業務」を挙げています(4章)。実務の期間は勤務先が証明します。どの勤務を証明してもらうかは、試験協会の案内で確かめてください。
病院の衛生管理者は第二種でもよいですか
医療業は第一種が要ります。 労働安全衛生規則7条1項3号イは、医療業などについて、第一種衛生管理者免許、衛生工学衛生管理者免許を持つ人、または同規則10条各号の人から選任すると定めています(1章)。
企業の健康管理室なら第二種でもよいですか
勤務先の業種によります。 医療業、製造業、建設業、運送業などは第一種が要り、その他の業種は第二種でも選任できます(労働安全衛生規則7条1項3号、1章)。業種の区分は、労働局に確かめてください。
単発やパート、複数の勤務先での勤務も実務になりますか
この記事では判断しません。 実務の内容と期間は、勤務先(事業者)が事業者証明書で証明します(4章)。勤務の形や、勤務先が複数ある場合の証明のしかたは、申込みの前に試験協会に確かめてください。
准看護師も受験できますか
受験資格は学歴と実務の年数で決まり、看護師か准看護師かでは分かれていません(3章)。事業者証明書の実務の例にも「看護師又は准看護師の業務」とあります(4章)。
まとめ
看護師免許だけでは衛生管理者の資格にならず、看護師は第一種衛生管理者免許試験に合格して免許を受けます。保健師の免許を持っている人は、試験を受けずに第一種の免許を申請できます。
受験資格は、学歴と卒業後の労働衛生の実務の年数で決まり、試験協会は実務の例に看護師又は准看護師の業務を挙げています。病院などの医療業では第一種が要ります。受験の前に、学歴の区分と、実務を証明してもらう勤務先を確かめてください。
この記事の主な一次情報
- 労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号)第7条、第10条、第11条、第62条・別表第四、第70条・別表第五
- 衛生管理者規程(昭和47年労働省告示第94号)第1条、第2条、第5条、第6条
- 安全衛生技術試験協会「第一種・第二種衛生管理者の紹介」「事業者証明書(受験申請用)」
- 愛知労働局「衛生管理者免許(試験免除)」
- 東京労働局「労働安全衛生法に基づく免許|よくある質問」
※2026年10月15日に確認。法令・告示・案内は改正・改訂されることがあります。この記事は制度の紹介であり、個別の受験資格や免許の可否について判断を示すものではありません。合格率や資格手当の額は扱っていません。
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