美容クリニックの看護師(いわゆる美容看護師)は、美容外科・美容皮膚科などの医療機関で、医師の指示の下で施術の補助を行い、カウンセリングや施術の記録などに関わる看護師です。
美容クリニックで看護師が行う施術のうち医行為に当たるものは、医師の指示の下で行う「診療の補助」です。 厚生労働省は令和7年8月15日の通知で、看護師等が医師の指示なく脱毛・アートメイク・HIFUなどの施術を行うことを「違法な例」として挙げています。
「美容クリニック 看護師」で調べると、仕事内容や年収を紹介する記事が並びます。この記事は、厚生労働省の通知と保健師助産師看護師法37条をもとに、看護師ができること・できないことの線引きを整理し、単発で入る前に確かめることにつなげます。年収・インセンティブ、施術の効果は扱いません。個別のクリニックや施術が違法かどうかは、この記事では判断しません。
この記事の結論
- レーザー脱毛・アートメイク・ケミカルピーリングは、平成13年の通知で医行為とされています。令和7年の通知はHIFU施術も同じ並びで挙げています(1章)
- 看護師等は、37条に基づき、医師の指示の下で医行為に当たる診療の補助を行えます(2章)
- 通知は、看護師等が①医師の指示なく施術を行う ②診察を行う ③治療方法を選んで提案・決定することを違法な例として挙げ、医師にもその状況をつくらないよう求めています(3章)
- カウンセリングは、料金の説明という体裁でも、実質で医学的判断を伝えていれば医行為に当たる、と通知は書いています(4章)
- 単発で入る前に、当日の医師の在院、指示の受け方、担当する施術を確認します(6章)
できること・できないことの一覧
厚生労働省の令和7年8月15日の通知と保健師助産師看護師法37条の書き方を、1枚にまとめると次のとおりです。
区分 | 行為 | 根拠 |
|---|---|---|
できること | 医師の指示の下で、医行為に当たる施術(脱毛・HIFUなど)を診療の補助として行う | 37条、通知 第1の2 |
違法な例 | 医師の指示なく、脱毛行為等・アートメイク・HIFU施術等を行う | 通知 第1の2 ア |
違法な例 | 医学的判断を伴う診察を行う | 通知 第1の2 イ |
違法な例 | 患者の個別の状況に応じて治療方法を選んで提案・決定する(料金の説明という体裁でも実質で判断) | 通知 第1の2 ウ・第1の1 |
読みたい箇所から確認する
- 1. 美容クリニックの施術は医行為として扱われる
- 2. 看護師の位置づけ——医師の指示による診療の補助
- 3. 通知が「違法な例」として挙げていること
- 4. カウンセリングの線引き
- 5. 管理者の在院と、安全管理の体制
- 6. 単発で入るときに確かめること
- 7. タメシビで想定していること
- よくある質問
1. 美容クリニックの施術は医行為として扱われる
先に答えを置きます。美容目的の施術でも、レーザー脱毛・アートメイク・ケミカルピーリングは、厚生労働省の通知で医行為とされています。
平成13年の通知
厚生労働省の通知「医師免許を有しない者による脱毛行為等の取扱いについて」(平成13年11月8日 医政医発第105号)は、次の行為を医師法17条の医行為としています。
行為 | 通知の書き方 |
|---|---|
脱毛 | レーザー光線又はその他の強力なエネルギーを有する光線を毛根部分に照射し、毛乳頭、皮脂腺開口部等を破壊する行為 |
アートメイク | 針先に色素を付けながら、皮膚の表面に墨等の色素を入れる行為 |
ケミカルピーリング | 酸等の化学薬品を皮膚に塗布して、しわ、しみ等に対して表皮剥離を行う行為 |
令和7年の通知
厚生労働省の通知「美容医療に関する取扱いについて」(令和7年8月15日 医政発0815第21号)は、「医業」を次のように説明しています。
当該行為を行うに当たり、医師の医学的判断及び技術をもってするのでなければ人体に危害を及ぼし、又は危害を及ぼすおそれのある行為(医行為)を、反復継続する意思をもって行うこと
そのうえで、脱毛行為等、いわゆるアートメイク、HIFU施術等を医行為として並べています。アートメイクについては、眉毛などを描く行為や、アイライン・チーク・リップなど化粧に代わる装飾を描く行為も医行為に当たると書いています。
看護師の仕事を、通知の区分で見る
美容クリニックで看護師が関わる仕事を、通知と条文の位置づけで並べると次のとおりです。
仕事 | 通知・条文での位置づけ |
|---|---|
施術(レーザー脱毛・ケミカルピーリング・HIFUなど) | 医行為。医師の指示の下で、診療の補助として行う(2章) |
カウンセリングへの関与 | 治療方法を選んで提案・決定するなど、医学的判断を伝える行為は医行為。担当範囲は勤務先で決まる(4章) |
診察 | 医学的判断を伴う行為。看護師等が行うことを通知は違法な例に挙げる(3章) |
施術の記録 | 記録の扱いは6章の確認項目に |
受付や物販など、上の表にない業務をどこまで担当するかは、勤務先ごとに違います。求人の業務内容の欄で確認してください。
この章の出典
- 厚生労働省「医師免許を有しない者による脱毛行為等の取扱いについて」(平成13年11月8日 医政医発第105号)
- 厚生労働省「美容医療に関する取扱いについて」(令和7年8月15日 医政発0815第21号)第1の1
2. 看護師の位置づけ——医師の指示による診療の補助
先に答えを置きます。看護師等は、医師の指示の下で、医行為に当たる診療の補助を行えます。指示がない状況で行うことは、通知が問題にしている形です。
37条の条文
保健師助産師看護師法37条の要点は、主治の医師又は歯科医師の指示がある場合を除き、医師又は歯科医師が行うのでなければ衛生上危害を生ずるおそれのある行為をしてはならないということです。全文は次のとおりです。
保健師、助産師、看護師又は准看護師は、主治の医師又は歯科医師の指示があつた場合を除くほか、診療機械を使用し、医薬品を授与し、医薬品について指示をしその他医師又は歯科医師が行うのでなければ衛生上危害を生ずるおそれのある行為をしてはならない。ただし、臨時応急の手当をし、又は助産師がへその緒を切り、浣腸を施しその他助産師の業務に当然に付随する行為をする場合は、この限りでない。
通知の書き方
令和7年の通知は、看護師等について次のように書いています。
看護師等は、保助看法第37条に基づき、医師の指示の下で、医行為に該当する診療の補助を行うことができる
通知のいう「看護師等」は、保健師・助産師・看護師・准看護師です。37条が看護師と准看護師に共通する規定であることは「准看護師の単発バイト」の2章にまとめています。
通知はこの項目の冒頭で、「医師の指示がない状況下で、看護師等のみによって医行為を実施している事例が報告されている」と書いています。
この章の出典
- 保健師助産師看護師法 37条
- 厚生労働省「美容医療に関する取扱いについて」第1の2
3. 通知が「違法な例」として挙げていること
先に答えを置きます。通知は、看護師等に関わる違法な例を3つ挙げ、医師の側にもその状況をつくらないよう求めています。
看護師等に関わる3つの例
通知が挙げる違法な例 | 線引きのポイント | |
|---|---|---|
ア | 看護師等が、医師の指示なく、脱毛行為等、いわゆるアートメイク、HIFU施術等の医行為を行うこと | 医師の指示があるか |
イ | 看護師等が、医学的判断を伴う行為である診察を行うこと | 医学的判断を伴う診察か |
ウ | 看護師等が、具体的な治療方法を選択して患者に対して提案し、又は決定するなど、患者の個別の状況に応じて医学的な判断を行い、これを伝達すること | 個別の状況に応じた医学的判断を伝えているか |
通知は、こうした行為について次のように書いています。
看護師等が、診察等を行い、これにより得られた患者の様々な情報から、治療方針等について、主体的に判断を行い、これを伝達したり、医師の指示なく診療の補助や治療行為を行った場合には、医師法第17条や保助看法第37条に違反する可能性がある
医師の側に求めていること
通知は続けて、「医師においても、所属医療機関の看護師等が上記の違反行為を行うような状況を作出することはあってはならない」と書いています。看護師だけでなく、医師の側にも求めることがあるという書き方です。
この章の出典
- 厚生労働省「美容医療に関する取扱いについて」第1の2
4. カウンセリングの線引き
先に答えを置きます。通知は、治療方法を選んで提案・決定するなど、患者の個別の状況に応じた医学的判断を伝える行為を医行為としています。料金の説明という体裁を取っていても、実質で判断するとしています。
通知が医行為とする行為
通知は、免許を持たない人が「カウンセラー」などと称してカウンセリングを行う事例に触れたうえで、次の行為を医行為の例に挙げています。
患者の主訴や希望する処置を聞き取った上で、具体的な治療方法を選択して患者に対して提案し、又は決定するなど、患者の個別の状況に応じて医学的な判断を行い、これを伝達する行為
さらに、「形式的には各治療行為に係る料金設定の説明という体裁を取っていたとしても、実質的に患者の個別の状況に応じて医学的な判断を行い、これを伝達する行為は、医行為に該当する」と書いています。
看護師がカウンセリングに入るとき
看護師等についても、同じ内容が違法な例のウとして挙がっています(3章)。看護師が患者の個別の状況に応じて治療方法を選んで提案・決定することも、違法な例として書かれています。
通知の書き方 | 勤務前に確認すること |
|---|---|
患者の個別の状況に応じて、治療方法を選んで提案・決定する行為は医行為 | 看護師が担当するのはどこまでか |
料金の説明という体裁でも、実質で判断する | 料金の説明を任されるとき、どこから医師に引き継ぐか |
カウンセリングで看護師が担当する範囲は、勤務先の医師の指示と体制で決まります。当日の担当範囲は、勤務前に施設に確認してください。
この章の出典
- 厚生労働省「美容医療に関する取扱いについて」第1の1・第1の2
5. 管理者の在院と、安全管理の体制
先に答えを置きます。通知は、診療所の管理者は原則として勤務時間中常勤であること、医療安全のための指針・研修・医薬品安全管理責任者が必要であることを整理しています。
管理者の在院
通知は、医療法10条・15条1項と過去の通知を引いて、診療所の管理者は原則として勤務時間中常勤とされていると整理しています(例外の場合は、常時連絡を取れる体制の確保などが必要とされています)。違法な例として、「病院等の管理者が、長期間にわたり不在であって、管理者としての責務を果たすことができない場合」を挙げています。
安全管理の体制
通知は、美容医療に関連する医療安全の措置として、次のものを挙げています。
措置 | 通知の書き方 |
|---|---|
安全管理のための指針 | 従業者に対する研修、事故報告、医療事故等発生時の対応、患者からの相談への対応に関する基本方針等を文書化したもの |
職員研修 | 年2回程度定期的に開催するほか、必要に応じて開催し、実施内容を記録 |
医薬品安全管理責任者 | 配置する |
医薬品の安全使用のための研修 | 副作用等が発生した場合の対応に関する事項を含む |
単発で入る看護師にとっては、事故や副作用が起きたときの対応の手順が、文書で示されているかが確認の手がかりになります(6章)。
この章の出典
- 厚生労働省「美容医療に関する取扱いについて」第1の5・第1の6
6. 単発で入るときに確かめること
先に答えを置きます。単発で美容クリニックに入る前に、当日の医師の在院、指示の受け方、担当する施術とカウンセリングの範囲、事故時の手順を確認します。
確認すること | 根拠になる章 |
|---|---|
勤務時間中、医師が院内にいるか | |
施術の指示を、誰から、どのような形で受けるか | |
担当する施術の種類と、使う機器 | |
その機器・施術の経験が求められるか、当日の説明があるか | 求人の必要な経験の欄 |
カウンセリングに入るか、入る場合の担当範囲 | |
事故・副作用が起きたときの手順と、連絡先 | |
施術の記録をどこに、どのように残すか | 看護記録の扱い |
施術の記録の考え方は「看護記録の法的根拠と保存期間」にまとめています。保険診療のクリニック外来との違いを比べたい場合は「クリニック外来の看護師」もご覧ください。
当日、指示のない施術を頼まれたら
勤務中に、医師の指示が確認できない施術を頼まれた場合は、その場で、医師の指示があるかを施設に確認してください。通知は、看護師等が医師の指示なく施術を行うことを違法な例に挙げ、医師の側にもその状況をつくらないよう求めています(3章)。
7. タメシビで想定していること
タメシビは、看護師・准看護師が、施設と直接雇用契約を結んで1日単位で働けるスポット勤務サービスです。応募後、施設が内容を確認して勤務が確定します(事前の面接・書類選考はありません)。求人には、業務内容、必要な経験、持ち物、当日の流れを明示する方針です。
美容クリニックの求人を扱う場合も、担当する施術、指示の受け方、カウンセリングに入るかを、求人ごとに施設の条件として明示する方針です。常勤・パートの採用をあっせんするサービスではありません。働いてから、その職場で続けるかをご自身で選べることを、サービスの前提に置いています。
タメシビは2026年内のサービス開始に向けて準備中で、どの地域・どの種類の求人が掲載されるかは、これから決まります。
よくある質問
看護師が医療脱毛の施術をしてよいですか
厚生労働省の令和7年8月15日の通知は、看護師等が医師の指示の下で、医行為に当たる診療の補助を行えると書いています。一方で、医師の指示なく脱毛行為等を行うことは違法な例に挙げています(2章・3章)。
准看護師も美容クリニックで施術に入れますか
厚生労働省の令和7年8月15日の通知は「看護師等」に准看護師を含めています。また、37条も看護師と准看護師に共通する規定です(2章)。求人の資格欄に准看護師が含まれているかは、求人ごとに確認してください。
看護師がカウンセリングを担当してもよいですか
厚生労働省の令和7年8月15日の通知は、治療方法を選んで提案・決定するなど、患者の個別の状況に応じた医学的判断を伝える行為を医行為とし、看護師等が行う場合も違法な例に挙げています。料金の説明という体裁でも実質で判断するとしています(4章)。担当範囲は勤務前に確認してください。
HIFUは医行為ですか
厚生労働省の令和7年8月15日の通知は、HIFU施術を脱毛行為等・アートメイクと並べて医行為として挙げています(1章)。
医師がいない時間に施術を頼まれたらどうすればよいですか
その場で、医師の指示があるかを施設に確認してください(6章)。厚生労働省の令和7年8月15日の通知は、看護師等が医師の指示なく施術を行うことを違法な例に挙げています(3章)。
これとは別の論点として、同じ通知は、診療所の管理者が原則として勤務時間中常勤であることも整理しています(5章)。管理者が院内にいることと、その施術に医師の指示があることは、別々に確認する事項です。
美容クリニックの単発の求人はありますか
求人があるかは、地域と時期によって違います。求人を見るときは、担当する施術と指示の受け方の記載を確認してください(6章)。
まとめ
美容クリニックの施術のうち、レーザー脱毛・アートメイク・ケミカルピーリングは平成13年の通知で医行為とされ、令和7年の通知はHIFU施術も並べています。看護師等は、37条に基づき、医師の指示の下で診療の補助として施術を行えます。
令和7年の通知は、看護師等が医師の指示なく施術を行う、診察を行う、治療方法を選んで提案・決定することを違法な例に挙げ、医師の側にもその状況をつくらないよう求めています。
単発で入る前に、医師の在院、指示の受け方、担当する施術とカウンセリングの範囲、事故時の手順を確認してください。
この記事の主な一次情報
- 保健師助産師看護師法(昭和23年法律第203号)37条
- 厚生労働省「美容医療に関する取扱いについて」(令和7年8月15日 医政発0815第21号)
- 厚生労働省「医師免許を有しない者による脱毛行為等の取扱いについて」(平成13年11月8日 医政医発第105号)
※2026年10月6日に確認。法令・通知は改正されることがあります。この記事は通知の紹介であり、個別のクリニックや施術が法令に適合するかについて判断を示すものではありません。賃金の相場と施術の効果は扱っていません。
タメシビの先行登録
タメシビは、看護師が1日単位で施設と直接雇用契約を結んで働けるスポット勤務サービスです。応募後、施設が内容を確認して勤務が確定します(事前の面接・書類選考はありません)。求人には業務内容、必要な経験、持ち物、当日の流れを明示し、働いてから、その職場で続けるかをご自身で選べます。看護師・准看護師の登録料・利用料は無料です。
タメシビは2026年内のサービス開始に向けて準備中で、現在はLINEで先行登録を受け付けています。現時点で求人への応募を受け付けているものではありません。求人が公開されたときにお知らせを受け取りたい方は、先行登録をご利用ください。