入院医療の「認知症ケア加算」には、看護師の配置と研修に関わる要件があります。 加算は1〜3の区分に分かれていて、告示62号はそれぞれ「認知症を有する患者のケアを行うにつき」体制が整備されていることを求めています。

具体的な項目は、厚生局の届出様式に並んでいます。 加算1は認知症ケアチーム(専任の常勤医師・専任の常勤看護師・社会福祉士又は精神保健福祉士)、加算2・3は病棟ごとの研修を受けた看護師の配置が届出の項目です。

この記事は、告示と届出様式をもとに、認知症ケア加算の区分、看護師に関わる要件、病棟の看護師が確かめることを整理します。点数、研修の名前・時間数、個別の病院が算定できるかは扱いません。

この記事の結論

  • 認知症ケア加算は、入院患者のうち、認知症又は認知症の症状を有し、日常生活を送る上で介助が必要な状態の患者を対象にした加算です(告示62号)(1章)
  • 加算1は認知症ケアチームの設置が届出の項目です。チームの看護師は、認知症看護に係る適切な研修を修了した専任の常勤看護師です(様式40の10)(2章)
  • 加算1の届出様式は、研修を受けた看護師を「原則全ての病棟に1名以上配置が望ましい」としています(2章)
  • 加算2・3の届出様式は、研修を受けた看護師を「原則全ての病棟に3名以上配置(うち1名は院内研修で可)」としています。加算2は、これに加えて専任の常勤医師又は専任の常勤看護師が項目です(様式40の11)(3章)
  • どの区分も、身体的拘束の実施基準などを含む手順書と、せん妄のチェックリストの作成が届出の項目です(4章)

読みたい箇所から確認する

1. 認知症ケア加算とは

先に答えを置きます。認知症ケア加算は、入院患者の診療報酬の加算の一つです。告示62号は、加算1〜3の区分ごとに、認知症を有する患者のケアを行う体制を求めています。

区分

告示62号の施設基準

加算1

認知症を有する患者のケアを行うにつき十分な体制が整備されていること

加算2

認知症を有する患者のケアを行うにつき適切な体制が整備されていること

加算3

認知症を有する患者のケアを行うにつき必要な体制が整備されていること

対象患者

認知症又は認知症の症状を有し、日常生活を送る上で介助が必要な状態である患者

告示の文言は「体制」までです。 体制の具体的な項目は、通知(基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて)と、厚生局に出す届出の様式に書かれています。この記事は、関東信越厚生局が公表している令和8年度の届出様式の項目を紹介します。

同じ告示には、別の加算として「せん妄ハイリスク患者ケア加算」の施設基準もあります(入院中の患者に対して、せん妄のリスク確認及びせん妄対策を行う体制)。

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2. 加算1:認知症ケアチームの看護師

先に答えを置きます。加算1の届出様式(様式40の10)は、認知症ケアチームの構成員として、専任の常勤看護師を挙げています。認知症看護に係る適切な研修の修了を確かめる文書の添付が求められます。

認知症ケアチームの構成員

職種

届出様式の項目

医師

専任の常勤医師(専任の非常勤医師を組み合わせた場合を含む)。精神科又は神経内科の医師、又は研修を受けた医師

看護師

専任の常勤看護師。認知症看護に係る適切な研修の修了を確かめる文書を添付。経験年数と、この業務に従事する週あたりの勤務時間を書く

社会福祉士又は精神保健福祉士

常勤の者。経験年数を書く

その他

理学療法士、作業療法士、薬剤師、管理栄養士など、該当する場合に書く

チームについては、ほかに次の項目があります。

  • 認知症ケアのカンファレンスと、チームによる回診の頻度(週あたり)
  • チームが認知症患者に関わる職員を対象に行う研修の回数(年あたり)
  • チームが医療機関の中で組織上明確に位置づけられていることを確かめる文書

病棟の看護師に関わる項目

項目

届出様式の書き方

研修を受けた看護師の配置

認知症患者のアセスメントや看護方法などに関する適切な研修(院外研修又は院内研修)を受けた看護師を病棟ごとに書く。「原則全ての病棟に1名以上配置が望ましい」

病棟の看護師等の受講状況

認知症患者に関わる全病棟の看護師等の数、前々年度以降に受講した人数、今年度中に受講予定の人数、受講率を書く(受講率の目標値は様式に書かれていない)

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3. 加算2・3:病棟の研修を受けた看護師

先に答えを置きます。加算2・3の届出様式(様式40の11)は、研修を受けた看護師を「原則全ての病棟に3名以上配置(うち1名は院内研修で可)」としています。加算2は、これに加えて専任の常勤医師又は専任の常勤看護師の配置が項目です。

項目

届出様式の書き方

専任の医師又は看護師(加算2のみ)

専任の常勤医師(専任の非常勤医師を組み合わせた場合を含む)又は専任の常勤看護師の、どちらかを置く(様式の見出しは「専任の医師又は看護師の配置状況」)。看護師は、認知症看護に係る適切な研修の修了を確かめる文書を添付

研修を受けた看護師の配置

認知症患者のアセスメントや看護方法等に係る研修を受けた看護師を、病棟ごとに、氏名と研修の別(院外研修・院内研修)で書く。「原則全ての病棟に3名以上配置(うち1名は院内研修で可)」

病棟職員を対象とした研修

直近1年間に実施済み又は実施予定の回数を、医療機関全体で書く

院内研修の場合は、実施状況がわかる書類も添付します。

加算1との違いは、病棟の研修を受けた看護師の書き方です。 加算1は「1名以上配置が望ましい」、加算2・3の様式は「3名以上配置」です。

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4. どの区分にも共通する項目

先に答えを置きます。様式40の10と40の11のどちらにも、認知症ケアの手順書(マニュアル)と、せん妄のチェックリストの作成状況の項目があります。

項目

届出様式の書き方

認知症ケアの手順書

作成と周知の状況。手順書に、身体的拘束の実施基準と、鎮静を目的とした薬物の適正使用を含む

せん妄のチェックリスト

せん妄のリスク因子の確認のためのチェックリストと、せん妄のハイリスク患者に対するせん妄対策のためのチェックリスト

手順書とチェックリストの内容は、病院ごとに違います。 配属された病棟で確かめてください。

この章の出典

  • 様式40の10・様式40の11(上記)

5. 働く前に確かめること

先に答えを置きます。病院が届け出ている区分、研修の受講の支援、認知症ケアチームへの配置の有無を、求人や面接で確かめます。

届出様式は、チームの看護師に「認知症看護に係る適切な研修」の修了を求めています。ある研修や資格がこれにあたるかは、この記事では扱いません。 通知の本文と、勤務先の病院で確かめてください。認定看護師の制度は「認定看護師・専門看護師・特定行為研修の違い」の2章にまとめています。

確かめること

理由

届け出ている区分(加算1・2・3か、届け出ていないか)

区分によって、チームの有無と病棟の研修を受けた看護師の書き方が違う(2章・3章)

研修の受講の支援(院外研修の費用・勤務の扱い、院内研修の有無)

届出様式に研修の受講状況の項目がある(2章・3章)

認知症ケアチームへの配置の有無

チームの看護師は専任の常勤看護師(2章)

手順書とせん妄のチェックリストの使い方

どの区分にも作成の項目がある(4章)

研修の時間を勤務として扱うかは、病院の決まりで確かめてください。研修・学習と労働時間の考え方は「看護師の前残業と着替えの時間」の2章にまとめています。病棟の配置の仕組みは「病院の病棟に単発の求人が少ない理由」にまとめています。

この章の出典

  • 各章の出典を参照

6. タメシビで想定していること

タメシビは、看護師・准看護師が、施設と直接雇用契約を結んで1日単位で働けるスポット勤務サービスです。応募が完了した時点で勤務が確定します(施設による承認・面接・書類選考はありません)。求人には、業務内容、必要な経験、持ち物、当日の流れを明示する方針です。

タメシビは2026年内のサービス開始に向けて準備中で、どの地域・どの種類の求人が掲載されるかは、これから決まります。

よくある質問

認知症ケア加算で、看護師に求められる研修は何ですか

届出様式には、2種類の研修が出てきます。 加算1のチームの看護師と加算2の専任の看護師には「認知症看護に係る適切な研修」の修了、病棟の看護師には「認知症患者のアセスメントや看護方法等に係る研修」(院外研修又は院内研修)の受講です(2章・3章)。研修の名前や時間数は、この記事では扱いません。

認知症ケア加算1と2・3の違いは何ですか

加算1は認知症ケアチームの設置が届出の項目です。 加算2は専任の常勤医師又は専任の常勤看護師の配置が項目です。病棟の研修を受けた看護師は、加算1の様式が「原則全ての病棟に1名以上配置が望ましい」、加算2・3の様式が「原則全ての病棟に3名以上配置(うち1名は院内研修で可)」です(2章・3章)。

認知症看護の認定看護師になるには、どうすればよいですか

認定看護師の制度は、「認定看護師・専門看護師・特定行為研修の違い」の2章にまとめています。 認定看護師であることが認知症ケア加算の「適切な研修」の要件にあたるかは、この記事では扱いません(5章)。

認知症ケア加算の対象になる患者は誰ですか

告示62号は「認知症又は認知症の症状を有し、日常生活を送る上で介助が必要な状態である患者」としています(1章)。

働いている病院が認知症ケア加算を届け出ているか知りたいです

病院がどの区分を届け出ているかは、病院によって違います。 勤務先の病院の担当部署に確かめてください。この記事では判断しません。

まとめ

認知症ケア加算は、認知症又は認知症の症状を有し、日常生活を送る上で介助が必要な状態の入院患者を対象にした加算で、区分は1〜3です。告示62号は体制の整備を求め、具体的な項目は届出様式に並んでいます。

加算1は認知症ケアチーム(専任の常勤看護師を含む)が項目で、病棟の研修を受けた看護師は「1名以上配置が望ましい」です。加算2・3の様式は病棟に「3名以上配置」としています。どの区分も、手順書とせん妄のチェックリストの作成が項目です。働く前に、届出の区分、研修の支援、チームへの配置の有無を確かめてください。

この記事の主な一次情報

  • 基本診療料の施設基準等(平成20年厚生労働省告示第62号)認知症ケア加算の施設基準等
  • 関東信越厚生局「基本診療料の届出一覧(令和8年度診療報酬改定)」様式40の10・様式40の11

※2026年10月20日に厚生労働省 法令等データベースと関東信越厚生局のページで確認。告示・通知・様式は診療報酬の改定で変わります。この記事は制度の紹介であり、個別の病院の届出や算定について判断を示すものではありません。点数は扱っていません。

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