看護師は、歯科医師の指示を受けて、歯科でも診療の補助を行えます。 保健師助産師看護師法37条は、看護師が医薬品の授与などを行える場合として「主治の医師又は歯科医師の指示があつた場合」を挙げています。

一方で、歯石などの除去や、歯や口腔への薬物の塗布(予防処置)は、歯科衛生士法13条により、歯科衛生士でなければ業として行えません。 例外として条文が挙げるのは、歯科医師法に基づいて行う場合だけです。

この記事は、保健師助産師看護師法、歯科衛生士法、医療法施行令をもとに、歯科で働く看護師の業務と、歯科衛生士・歯科助手との違いを整理します。給与や、個別の業務が条文に合っているかの判断は扱いません。

この記事の結論

  • 看護師の業務は「療養上の世話」と「診療の補助」です。歯科医師の指示による診療の補助も含まれます(1章)
  • 歯石などの除去と薬物の塗布(予防処置)は、歯科衛生士の業務です。歯科衛生士でなければ業として行えません(2章)
  • 歯科衛生士は、保助看法の規定にかかわらず歯科診療の補助も行えます(2章)
  • 歯科助手という国家資格はありません。保助看法31条・32条は、看護師・准看護師でない者は、診療の補助などを業として行ってはならないとしています(歯科衛生士は歯科衛生士法2条2項で歯科診療の補助が可能)(3章)
  • 働く前に、任される業務に予防処置が含まれていないか、指示の出し方、器械と医薬品の扱いを確かめます(4章)

読みたい箇所から確認する

1. 看護師は歯科で何ができるか

先に答えを置きます。看護師は、歯科医師の指示を受けて、診療の補助を行えます。 指示を出す人として、保健師助産師看護師法は医師と並べて歯科医師を挙げています。

条文

書かれていること

保助看法5条

看護師は、傷病者若しくはじよく婦に対する療養上の世話又は診療の補助を行うことを業とする者

保助看法37条

主治の医師又は歯科医師の指示があった場合を除くほか、診療機械の使用、医薬品の授与などをしてはならない(臨時応急の手当は除く)

保助看法6条

准看護師は、医師、歯科医師又は看護師の指示を受けて、5条に規定することを行う

看護師ができる医療行為とできない医療行為の線引き(5条・37条)は、「看護師ができる医療行為・できない医療行為」の1章にまとめています。エックス線の照射は、歯科でも看護師は行えません(診療放射線技師法24条。同じ記事の3章)。

この章の出典

2. 歯科衛生士との違い——予防処置は歯科衛生士の業務

先に答えを置きます。歯科衛生士法は、歯石などの除去と、歯や口腔への薬物の塗布を「予防処置」として歯科衛生士の業務に定め、歯科衛生士でなければ業として行えないとしています。 看護師はこの例外に挙げられていません。

業務

歯科衛生士法

看護師

予防処置:歯牙露出面と正常な歯茎の遊離縁下の付着物・沈着物を機械的操作で除去

2条1項1号。13条で歯科衛生士でなければ業としてできない(歯科医師法に基づく場合を除く)

13条の例外に挙げられていない

予防処置:歯牙と口腔への薬物の塗布

2条1項2号。13条で歯科衛生士でなければ業としてできない(歯科医師法に基づく場合を除く)

13条の例外に挙げられていない

歯科診療の補助

2条2項。保助看法31条1項・32条の規定にかかわらず業とすることができる

保助看法5条の診療の補助

歯科保健指導

2条3項。歯科衛生士の名称を用いて業とすることができる

—

歯科衛生士が歯科診療の補助を行うときも、主治の歯科医師の指示があった場合を除き、診療機械の使用などをしてはならないとされています(13条の2)。看護師の37条と同じ形の定めです。

歯石の除去やフッ素の塗布の担当を求められたときは、歯科医師に業務の分担を確かめてください。 個別の行為が予防処置にあたるかは、この記事では判断しません。

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3. 歯科助手との違い

先に答えを置きます。歯科助手という国家資格はありません。保助看法31条・32条は、看護師・准看護師でない者は療養上の世話や診療の補助を業として行ってはならないとしています。 歯科衛生士は、歯科衛生士法2条2項により、これらの規定にかかわらず歯科診療の補助を業とすることができます。

職種

免許

診療の補助についての条文

予防処置についての条文

看護師

厚生労働大臣の免許

業として行う(保助看法5条)

歯科衛生士法13条の例外に挙げられていない

准看護師

都道府県知事の免許

医師・歯科医師・看護師の指示を受けて行う(保助看法6条)

歯科衛生士法13条の例外に挙げられていない

歯科衛生士

厚生労働大臣の免許

保助看法31条1項・32条にかかわらず業とすることができる(歯科衛生士法2条2項)

業とする(同法2条1項)

歯科助手

国家資格なし

—

—

保助看法31条1項は「看護師でない者は、第五条に規定する業をしてはならない」とし、例外を医師法・歯科医師法に基づく場合などに限っています。歯科助手が担う業務の範囲は、この記事では判断しません。 看護師として雇われる場合と、歯科助手として雇われる場合では、任される業務の前提が違います。求人の職種名を確かめてください。

この章の出典

4. 歯科で働く前に確かめること

先に答えを置きます。歯科で働く前に、任される業務に予防処置が含まれていないか、歯科医師の指示の出し方、器械と医薬品の扱い、記録の書き方を確かめると、勤務してからの食い違いを避けられます。

看護師が歯科で働く場所には、歯科診療所や、病院の歯科口腔外科などがあります。医療法施行令は、歯科医業の診療科名として「歯科」と、歯科に小児・矯正・口腔外科などを組み合わせた名称(例:小児歯科、矯正歯科、歯科口腔外科)を定めています(3条の2第2号)。どの職場でも、看護師に何を任せるかは、歯科医師の指示と職場の分担で決まります。

確かめること

理由

任される業務(診療の補助・療養上の世話)の範囲

予防処置は歯科衛生士の業務(2章)

歯科衛生士・歯科助手との分担

職種ごとに行える業務が違う(3章)

歯科医師の指示の出し方

診療機械の使用・医薬品の授与は主治の歯科医師の指示による(1章)

求人の職種名(看護師か、歯科助手か)

職種名で任される業務の前提が変わる(3章)

記録の書き方と保存

職場の様式と手順を確かめる

准看護師が指示を受ける相手は、「准看護師の単発バイト」の2章にまとめています。医科のクリニック外来の働き方は、「クリニック外来の看護師の仕事内容」にまとめています。

働く前の確認リスト

  • □ 任される業務の範囲(予防処置が含まれていないか)
  • □ 歯科衛生士・歯科助手との分担
  • □ 歯科医師の指示の出し方
  • □ 求人の職種名
  • □ 記録の様式と手順

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5. タメシビで想定していること

タメシビは、看護師・准看護師が、施設と直接雇用契約を結んで1日単位で働けるスポット勤務サービスです。応募後、施設が内容を確認して勤務が確定します(事前の面接・書類選考はありません)。求人には、業務内容、必要な経験、持ち物、当日の流れを明示する方針です。

タメシビは2026年内のサービス開始に向けて準備中で、どの地域・どの種類の求人が掲載されるかは、これから決まります。

よくある質問

看護師は歯石の除去ができますか

歯科衛生士法は、歯石などの付着物・沈着物の除去を歯科衛生士の予防処置と定め、歯科衛生士でなければ業として行えないとしています(2条1項1号・13条)。看護師は13条の例外に挙げられていません(2章)。

看護師はフッ素の塗布ができますか

歯や口腔への薬物の塗布も、歯科衛生士法2条1項2号の予防処置です(2章)。担当を求められたときは、歯科医師に業務の分担を確かめてください。

歯科で看護師にできることは何ですか

歯科医師の指示を受けて行う診療の補助と、療養上の世話です(保助看法5条・37条、1章)。具体的に何を任せるかは、歯科医師の指示と職場の分担で決まります。

看護師は歯科でレントゲンを撮れますか

撮れません。 診療放射線技師法24条は、エックス線などの照射を医師・歯科医師・診療放射線技師に限っています。詳しくは「看護師ができる医療行為・できない医療行為」の3章にまとめています(1章)。

准看護師も歯科で働けますか

准看護師は、医師、歯科医師又は看護師の指示を受けて、診療の補助などを行います(保助看法6条、3章)。予防処置を行えない点は看護師と同じです。

看護師が歯科衛生士として働くには資格が要りますか

要ります。 歯科衛生士は厚生労働大臣の免許を受けた人で、歯科衛生士でない人は歯科衛生士又はこれに紛らわしい名称を使用できません(歯科衛生士法2条1項・13条の7)。歯科衛生士になるには歯科衛生士国家試験に合格して免許を受け(3条)、試験を受けられるのは、指定された歯科衛生士学校・養成所を卒業した人などです(12条)。

まとめ

看護師は、歯科医師の指示を受けて、歯科でも診療の補助を行えます。一方、歯石などの除去と歯や口腔への薬物の塗布は、歯科衛生士法が歯科衛生士の予防処置と定め、歯科衛生士でなければ業として行えないとしています。歯科助手は国家資格ではありません。保助看法31条・32条は、看護師・准看護師でない者は診療の補助などを業として行ってはならないとしています(歯科衛生士は歯科衛生士法2条2項による)。

歯科で働く前に、任される業務の範囲、歯科衛生士・歯科助手との分担、歯科医師の指示の出し方、求人の職種名を確かめてください。

この記事の主な一次情報

  • 保健師助産師看護師法(昭和23年法律第203号)第5条、第6条、第31条、第32条、第37条
  • 歯科衛生士法(昭和23年法律第204号)第2条、第3条、第12条、第13条、第13条の2、第13条の7
  • 医療法施行令(昭和23年政令第326号)第3条の2

※2026年10月15日にe-Govで確認。法令は改正されることがあります。この記事は条文の紹介であり、個別の業務が法令に合っているかについて判断を示すものではありません。給与は扱っていません。

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