看護師のフットケアが診療報酬の通知に書かれている場面の一つが、外来の「糖尿病合併症管理料」です。 厚生労働省の通知は、医師の指示を受けた専任の看護師が、爪甲切除(麻酔を要しないもの)、角質除去、足浴などを必要に応じて行い、足のセルフケアなどを指導した場合を、この管理料の内容としています。
施設基準では、糖尿病足病変患者の看護に従事した経験が5年以上で、通算16時間以上の研修を修了した専任の看護師を1名以上置くことが求められます。
この記事は、令和8年度診療報酬改定の通知をもとに、糖尿病合併症管理料の対象の患者、看護師が行うこと、施設基準の看護師の要件、働く前や研修を受ける前に確かめることを整理します。点数や、民間の資格・講座は扱いません。
この記事の結論
- 糖尿病合併症管理料の対象は、足潰瘍・足趾や下肢の切断の既往、閉塞性動脈硬化症、糖尿病神経障害のいずれかがある外来の患者です(1章)
- 医師の指示を受けた専任の看護師が、爪甲切除(麻酔を要しないもの)・角質除去・足浴などを必要に応じて行い、足の観察方法・セルフケア・靴の選び方を指導します(2章)
- 施設基準の看護師の要件は、糖尿病足病変患者の看護の経験5年以上と、通算16時間以上の研修の修了です(3章)
- 研修は、国や医療関係団体などが主催し、決められた内容と演習を含むものとされています(3章)
- 働く前に、勤務先が届け出ているか、担当の範囲、医師の指示の出し方を確かめます(4章)
読みたい箇所から確認する
1. 糖尿病合併症管理料の対象
先に答えを置きます。糖尿病合併症管理料は、糖尿病足病変のハイリスク要因がある外来の患者に、医師が指導の必要があると認めた場合に、月1回に限り算定する管理料です。
令和8年度改定の留意事項通知は、対象の患者を次のように定めています。
項目 | 通知の定め |
|---|---|
対象の患者 | 入院中の患者以外の患者(通院する患者。在宅での療養を行う患者を除く) |
ハイリスク要因(いずれか) | ア 足潰瘍、足趾・下肢切断既往/イ 閉塞性動脈硬化症/ウ 糖尿病神経障害 |
条件 | 医師が糖尿病足病変に関する指導の必要性があると認めた場合 |
回数 | 月1回に限り算定 |
病棟や在宅ではなく、外来の通院患者が対象です。
この章の出典
- 診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(令和8年3月5日保医発0305第6号)別添1 B001「20」 https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001757385.pdf
2. 看護師が行うこと
先に答えを置きます。通知は、専任の常勤医師または医師の指示を受けた専任の看護師が、必要に応じた処置と、足のセルフケアなどの指導を行った場合に、この管理料を算定するとしています。
区分 | 通知に書かれている内容 |
|---|---|
処置(必要に応じて) | 爪甲切除(陥入爪、肥厚爪又は爪白癬等に対して麻酔を要しないで行うもの)、角質除去、足浴等 |
指導 | 足の状態の観察方法、足の清潔・爪切り等の足のセルフケア方法、正しい靴の選択方法 |
評価と計画 | 糖尿病足病変ハイリスク要因に関する評価を行い、その結果に基づいて指導計画を作成 |
記録 | 評価結果、指導計画及び実施した指導内容を診療録又は療養指導記録に記載 |
看護師が行うのは「医師の指示を受けて」です。 通知が挙げる爪甲切除は、麻酔を要しないで行うものに限られています。看護師ができる医療行為の線引き(保助看法5条・37条)は、「看護師ができる医療行為・できない医療行為」の1章にまとめています。この記事は、この管理料の内容として通知が挙げているものを紹介するもので、ほかの場面で同じ行為を行えるかは判断しません。
この章の出典
- 診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(令和8年3月5日保医発0305第6号)別添1 B001「20」(2)〜(4) https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001757385.pdf
3. 施設基準の看護師の要件と研修
先に答えを置きます。施設基準は、糖尿病足病変患者の看護に従事した経験が5年以上の専任の看護師で、糖尿病足病変の指導に係る適切な研修を修了した者を、1名以上置くことを求めています。 研修は通算16時間以上です。
項目 | 通知の定め |
|---|---|
経験 | 糖尿病足病変患者の看護に従事した経験を5年以上有する |
配置 | 専任の看護師を1名以上 |
研修の主催 | 国又は医療関係団体等が主催する研修 |
研修の内容 | 糖尿病患者へのフットケアの意義・基礎知識、糖尿病足病変に対する評価方法、フットケア技術、セルフケア支援及び事例分析・評価等 |
演習 | 糖尿病足病変に関する患者指導について十分な知識及び経験のある看護師等が行う演習を含む |
時間 | 通算して16時間以上 |
あわせて、糖尿病治療と糖尿病足病変の診療の経験が5年以上の専任の常勤医師を1名以上置くことも求められています(非常勤の医師の組み合わせの特例あり)。
受けようとしている研修が要件に合うかは、この記事では判断しません。 研修の主催者の案内と、勤務先が届け出に使う要件で確かめてください。
この章の出典
- 特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて(令和8年3月5日保医発0305第8号)第4 1 https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001757367.pdf
4. 働く前・研修を受ける前に確かめること
先に答えを置きます。フットケアに関わる仕事に就く前や研修を受ける前に、勤務先が糖尿病合併症管理料を届け出ているか、担当の範囲、医師の指示の出し方、研修が要件に合うかを確かめると、食い違いを避けられます。
確かめること | 理由 |
|---|---|
勤務先が糖尿病合併症管理料を届け出ているか | 届け出ているかは医療機関ごとに違う(1章) |
指導を担当する看護師と、施設基準で配置される看護師の関係 | 通知は指導を行う看護師を「専任の看護師」と書いている。施設基準の看護師(経験5年・研修修了)と同じ人かは、勤務先に確かめる(2章・3章) |
担当する処置と指導の範囲 | 通知が挙げる爪甲切除は麻酔を要しないものに限られる(2章) |
医師の指示の出し方と記録の様式 | 医師の指示を受けて行い、評価・計画・指導内容を記録する(2章) |
研修の主催・内容・時間 | 要件は主催、内容、演習、通算16時間以上(3章) |
外来の働き方は、「クリニック外来の看護師の仕事内容」にまとめています。認定看護師など資格の仕組みは、「認定看護師・専門看護師・特定行為研修の違い」にまとめています。
確認リスト
- □ 勤務先の届出の有無
- □ 指導を担当する看護師と施設基準の看護師の関係
- □ 担当する処置と指導の範囲
- □ 医師の指示の出し方と記録の様式
- □ 研修の主催・内容・時間
5. タメシビで想定していること
タメシビは、看護師・准看護師が、施設と直接雇用契約を結んで1日単位で働けるスポット勤務サービスです。応募が完了した時点で勤務が確定します(施設による承認・面接・書類選考はありません)。求人には、業務内容、必要な経験、持ち物、当日の流れを明示する方針です。
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よくある質問
糖尿病合併症管理料とは何ですか
糖尿病足病変のハイリスク要因(足潰瘍・足趾や下肢の切断の既往、閉塞性動脈硬化症、糖尿病神経障害のいずれか)がある外来の患者に、医師や医師の指示を受けた専任の看護師が足の処置と指導を行った場合に、月1回に限り算定する診療報酬の管理料です(1章・2章)。
フットケアの看護師に資格は要りますか
通知が施設基準で求めているのは、経験5年以上と、通算16時間以上の研修の修了です(3章)。特定の名称の資格を要件にはしていません。研修が要件に合うかは、主催者の案内で確かめてください。
看護師は糖尿病の患者の爪切りをしてよいですか
糖尿病合併症管理料では、医師の指示を受けた専任の看護師が、爪甲切除(麻酔を要しないで行うもの)を必要に応じて行うことが、管理料の内容として挙げられています(2章)。
厚生労働省の通知(平成17年7月26日医政発第0726005号)は、医師法などの規制の対象とする必要がないと考えられる行為の一つに、爪切りを挙げています。その条件は「爪そのものに異常がなく、爪の周囲の皮膚にも化膿や炎症がなく、かつ、糖尿病等の疾患に伴う専門的な管理が必要でない場合」です。糖尿病などで専門的な管理が必要な爪切りは、この条件にあたりません。 勤務先での手順と医師の指示の出し方を確かめてください。
フットケアの研修は何時間必要ですか
施設基準の看護師の要件となる研修は、通算16時間以上です。 国や医療関係団体などが主催し、フットケアの意義・評価方法・技術・セルフケア支援などの内容と、演習を含むものとされています(3章)。
入院中や在宅の患者も対象ですか
通知の対象は、入院中の患者以外の、通院する患者です。在宅での療養を行う患者は除かれています(1章)。
経験5年はどのように数えますか
通知は「糖尿病足病変患者の看護に従事した経験を5年以上」としています(3章)。経験の数え方は、勤務先が届け出に使う要件で確かめてください。
准看護師もフットケアの指導ができますか
通知の施設基準と算定の要件は「看護師」として書かれています(2章・3章)。准看護師が担える役割は、勤務先に確かめてください。
まとめ
看護師のフットケアが診療報酬の通知に書かれている場面の一つが、外来の糖尿病合併症管理料です。医師の指示を受けた専任の看護師が、爪甲切除(麻酔を要しないもの)、角質除去、足浴などを必要に応じて行い、足の観察方法やセルフケア、靴の選び方を指導します。
施設基準は、糖尿病足病変患者の看護の経験5年以上で、通算16時間以上の研修を修了した専任の看護師を1名以上置くことを求めています。働く前に、勤務先の届出、担当の範囲、医師の指示の出し方、研修が要件に合うかを確かめてください。
この記事の主な一次情報
- 診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(令和8年3月5日保医発0305第6号)別添1 B001「20」糖尿病合併症管理料
- 特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて(令和8年3月5日保医発0305第8号)第4 1 糖尿病合併症管理料
- 医師法第17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の解釈について(平成17年7月26日医政発第0726005号)
※2026年10月19日に厚生労働省の掲載資料で確認。通知は改定・訂正されることがあります。この記事は制度の紹介であり、個別の医療機関の届出や、個別の研修が要件に合うかについて判断を示すものではありません。点数は扱っていません。
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