看護職員処遇改善評価料は、救急の要件を満たす医療機関が、看護職員の賃金を引き上げるために算定する診療報酬の評価料です。 令和4年10月に始まり、令和8年度の改定のあとも続いています。

対象になるのは、救急医療管理加算を届け出て救急搬送が年間200件以上の医療機関か、救命救急センターなどを設置している医療機関です。賃金改善の対象は、そこに勤務する保健師・助産師・看護師・准看護師で、非常勤職員も含まれます。

この記事は、厚生労働省の通知をもとに、評価料の仕組みと、勤務先で確かめる方法を整理します。評価料の点数、賃上げの金額、勤務先が算定しているかどうかは、この記事では扱いません。

この記事の結論

  • 看護職員処遇改善評価料は、令和4年10月に始まった診療報酬の評価料です。令和4年2月〜9月は補助金で行われていました(1章)
  • 対象は、救急医療管理加算の届出+救急搬送年200件以上、または救命救急センター等の設置のどちらかに当てはまる医療機関です(2章)
  • 賃金改善の対象は看護職員等(非常勤を含む)です。看護補助者・理学療法士なども加えられます。退職手当には使えません(3章)
  • 改善額の3分の2以上は基本給等の引上げで行います。夜勤が恒常的な職場では、夜勤手当を基本給等に含めてよいとされています(4章)
  • ベースアップ評価料は別の評価料で、クリニックや訪問看護ステーションも対象に入ります(5章)
  • 算定する医療機関は、賃金改善の方法を職員に周知し、照会があれば書面などで分かりやすく回答することが求められています(6章)

自分が対象かを見る2つの問い

問い

確かめる先

勤務先が、救急の要件(2章)に当てはまり、評価料を算定しているか

勤務先の担当者、院内の周知

自分が「看護職員等」(保健師・助産師・看護師・准看護師。非常勤を含む)か

3章

2つとも当てはまれば、勤務先の賃金改善の対象に入りえます。賃金改善の配分と形は、勤務先で確かめてください(6章)。

読みたい箇所から確認する

1. 看護職員処遇改善評価料とは

先に答えを置きます。看護職員の賃金を引き上げるために、医療機関が診療報酬として算定する評価料です。令和4年10月に始まりました。

令和4年2月から9月までは、国の補助金(看護職員等処遇改善事業補助金)で賃金改善が行われていました。厚生労働省の補助金のQ&A(第5版、令和4年4月15日)は、令和4年10月以降は診療報酬の仕組みを使って賃金改善を行うとしています。

厚生労働省の「令和4年度診療報酬改定の概要 看護における処遇改善」(令和4年9月5日版)は、この仕組みを「地域でコロナ医療など一定の役割を担う医療機関に勤務する看護職員を対象に」創設するものと説明しています。

令和8年度の改定のあとも、評価料は続いています。いまの要件は、令和8年3月5日の通知(「特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」保医発0305第8号)に定められています。

この章の出典

2. 対象になる医療機関

先に答えを置きます。救急医療の要件を満たす医療機関が対象です。次のどちらかに当てはまる必要があります。

要件

ア

救急医療管理加算の届出を行っていて、救急搬送の実績が年間200件以上

イ

救命救急センター、高度救命救急センター、小児救命救急センターのいずれかを設置している

すべての医療機関が対象ではありません。 上の要件に当てはまらない医療機関は対象外です。

評価料の区分は、医療機関の看護職員の数と延べ入院患者数から算出します。区分ごとの点数は、この記事では扱いません。

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3. 賃金改善の対象になる職員

先に答えを置きます。対象は、その医療機関に勤務する保健師・助産師・看護師・准看護師で、非常勤職員も含まれます。医療機関の判断で、看護補助者や理学療法士なども加えられます。

通知は、賃金改善の対象を次のように定めています。

当該保険医療機関に勤務する看護職員等(保健師、助産師、看護師及び准看護師(非常勤職員を含む。)をいう。以下同じ。)

あわせて、医療機関の判断で、次の職員も加えることができるとしています。

看護補助者、理学療法士、作業療法士その他別表1に定める職員(非常勤職員を含む。)も加えることができること。

退職手当の改善に用いてはならないとも定められています。

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4. 賃金改善の形——基本給等の引上げと夜勤手当

先に答えを置きます。賃金改善の合計額の3分の2以上は、基本給等の引上げで行うことになっています。夜勤が恒常的な職場では、夜勤手当を基本給等に含めてよいとされています。

通知は、次のように定めています。

当該評価料による賃金改善の合計額の3分の2以上は、基本給等の引上げ(以下「ベア等」という。)により改善を図ること。

夜勤手当については、次のとおりです。

恒常的に夜間を含む交替制勤務をとっている職場の職員に支払われる夜勤手当については、決まって毎月支払われる手当に準じて基本給等に含めて差し支えない。

なお、令和8年度の診療報酬改定の概要(「賃上げに係る評価の使途の見直し」)では、夜勤職員の確保を行う観点から、この評価料とベースアップ評価料による収入を夜勤手当の増額に用いることを可能とする、とされています。

つまり、評価料による賃金改善は、基本給が上がる形のほか、毎月の手当や夜勤手当が上がる形で給与明細に出ることがあります。 どの形をとっているかは、勤務先で確かめてください(6章)。

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5. ベースアップ評価料との違い

先に答えを置きます。ベースアップ評価料は別の評価料です。クリニック・訪問看護ステーションなども対象に入り、看護職員以外の職員も対象です。

看護職員処遇改善評価料

ベースアップ評価料

対象の医療機関

救急の要件を満たす医療機関(2章)

外来・在宅、入院、歯科、訪問看護ステーション、保険薬局など、区分ごとに用意されている

賃金改善の対象

看護職員等(非常勤を含む)。看護補助者などを加えられる

区分ごとに定められた職員

報告

毎年8月に実績報告書・中間報告書

毎年8月に報告書

医療機関によっては、両方を算定していることがあります。 給与明細の手当の名前だけでは、どちらの評価料による改善かは分かりません。勤務先に確かめてください(6章)。

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6. 勤務先が対象か、自分の給与にどう入っているかを確かめる

先に答えを置きます。通知は、算定する医療機関に、賃金改善の方法を職員に周知し、照会があれば書面などで分かりやすく回答することを求めています。分からないときは、勤務先の担当者に聞けます。

通知は、評価料を算定する医療機関に次のことを求めています。

賃金改善を実施する方法等について、2の(1)届出及び区分変更に合わせて周知するとともに、就業規則等の内容についても周知すること。

照会を受けたときは、「書面を用いて説明すること等により分かりやすく回答すること」とされています。

確かめる順番

  1. 給与明細:基本給の変化、新しい手当、夜勤手当の変化を見る
  2. 就業規則・賃金規程:手当の名前と支給の条件を見る
  3. 院内の周知:賃金改善の方法についての案内が出ているかを見る
  4. 担当者への照会:分からないことを聞く

担当者への聞き方の例

  • 「当院は看護職員処遇改善評価料を算定していますか」
  • 「評価料による賃金改善は、基本給・手当・夜勤手当のどれに入っていますか」
  • 「非常勤職員も対象に入っていますか」

自分の給与が上がるべきかどうかは、この記事では判断しません。 通知は、評価料を算定する医療機関に、算定額に相当する賃金改善を行うことを求めています。

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7. 働く場所ごとの仕組み、単発で働く場合

先に答えを置きます。看護職員処遇改善評価料の対象は、救急の要件を満たす医療機関です。訪問看護ステーションはベースアップ評価料の側、介護施設は介護報酬の側の仕組みになります。

働く場所

関係する仕組み

救急の要件を満たす医療機関

看護職員処遇改善評価料、ベースアップ評価料

それ以外の病院・クリニック

ベースアップ評価料(クリニックの外来は クリニック外来の看護師)

訪問看護ステーション

訪問看護ベースアップ評価料(訪問看護に単発の求人が少ない理由)

介護施設

介護報酬の処遇改善の仕組み(この記事では扱いません)

単発で働く場合

通知は、対象の看護職員等に非常勤職員を含むとしています。1日単位の勤務が、その医療機関の賃金改善の対象に入るかは、この記事では判断しません。病院の単発の求人の構造は「病院の病棟に単発の求人が少ない理由」にまとめています。単発で働くときの賃金の明示は「単発バイトに労働条件通知書はある?」にまとめています。

8. タメシビで想定していること

タメシビは、看護師・准看護師が、施設と直接雇用契約を結んで1日単位で働けるスポット勤務サービスです。応募後、施設が内容を確認して勤務が確定します(事前の面接・書類選考はありません)。求人には、業務内容、必要な経験、持ち物、当日の流れを明示する方針です。

賃金は、求人と労働条件の明示で確かめられるようにすることを想定しています。

タメシビは2026年内のサービス開始に向けて準備中で、どの地域・どの種類の求人が掲載されるかは、これから決まります。

よくある質問

看護職員処遇改善評価料は、いまもありますか

あります。 いまの要件は、令和8年3月5日の通知(保医発0305第8号)の第104に定められています(1章)。

うちの病院は対象ですか

救急医療管理加算の届出と救急搬送年200件以上、または救命救急センター等の設置のどちらかに当てはまる医療機関が対象です(2章)。勤務先が算定しているかは、担当者に確かめてください(6章)。

パートや非常勤の看護師も対象ですか

通知は、対象の看護職員等に非常勤職員を含むとしています(3章)。

夜勤手当が上がったのは、この評価料のためですか

通知は、恒常的に夜間を含む交替制勤務をとっている職場の夜勤手当を、基本給等に含めて差し支えないとしています(4章)。夜勤手当はほかの理由で上がることもあるため、勤務先に確かめてください。

ベースアップ評価料とは何が違いますか

対象の医療機関と職員が違います。 ベースアップ評価料は、クリニックや訪問看護ステーションなども対象に入ります(5章)。

准看護師も対象ですか

通知の「看護職員等」には准看護師が含まれています(3章)。

まとめ

看護職員処遇改善評価料は、令和4年10月に始まった、看護職員の賃金を引き上げるための診療報酬の評価料です。対象は、救急医療管理加算の届出と救急搬送年200件以上、または救命救急センター等を設置している医療機関で、賃金改善の対象は看護職員等(非常勤を含む)です。改善額の3分の2以上は基本給等の引上げで行い、夜勤が恒常的な職場では夜勤手当を基本給等に含めてよいとされています。

ベースアップ評価料は別の評価料で、クリニックや訪問看護ステーションも対象です。勤務先で確かめるときは、給与明細、就業規則、院内の周知の順に見て、分からないことは担当者に聞いてください。算定する医療機関には、照会に書面などで分かりやすく回答することが求められています。

この記事の主な一次情報

  • 「特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」(令和8年3月5日保医発0305第8号)第104〜第109
  • 厚生労働省保険局医療課「令和4年度診療報酬改定の概要 看護における処遇改善」(令和4年9月5日版)
  • 厚生労働省「看護職員等処遇改善事業補助金に関するQ&A(第5版)」(令和4年4月15日)
  • 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定におけるベースアップ評価料等について」
  • 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定の概要」(賃上げに係る評価の使途の見直し)

※2026年10月9日に確認。診療報酬の要件は改定で変わります。この記事は制度の紹介であり、個別の医療機関が算定しているか、個人の賃金がどう改善されるかについて判断を示すものではありません。評価料の点数、賃上げの金額・率は扱っていません。

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