看護専門学校(3年課程)を卒業した看護師が大学院に進むには、学士を取る(学位授与機構の積み上げ、または大学への編入学)か、大学院の個別の入学資格審査を受ける道があります。 4年制の専門学校の一部の課程は、修了するとそのまま大学院の入学資格になります。
働きながら学ぶ仕組みとして、大学院設置基準は、夜間などの授業や、長い期間をかけて履修する制度を置いています。費用については、厚生労働大臣の指定を受けた講座なら、雇用保険の専門実践教育訓練給付の対象になります。
この記事は、学校教育法施行規則、大学院設置基準、学位授与機構と厚生労働省の案内をもとに、学士・修士を取る道と、働きながら学ぶ仕組み、給付の要件を整理します。学費や給付の金額、特定の大学の紹介は扱いません。
この記事の結論
- 専門学校(3年課程)卒の看護師が学士を取るには、学位授与機構の「積み上げ」の制度と大学への編入学があります。積み上げでは、卒業後に1年以上かけて31単位以上を修得し、レポートと小論文試験を受けます(2章)
- 大学院には、学士のほか、個別の入学資格審査(22歳以上)でも入れます(3章)
- 大学院設置基準は、夜間などの授業や長期にわたる履修を置けるとしています(4章)
- 専門実践教育訓練給付は、指定講座なら費用の50%(条件により70%・80%)。雇用保険の加入期間などの要件があります(5章)
- 出願前に、入学資格、給付の指定の有無、勤務との両立の方法を確かめます(6章)
読みたい箇所から確認する
- 1. 学び直しの3つの道
- 2. 専門学校卒から学士を取る——積み上げと編入学
- 3. 大学院に入る資格
- 4. 働きながら学ぶ仕組み
- 5. 専門実践教育訓練給付
- 6. 出願前に確かめること
- 7. タメシビで想定していること
- よくある質問
1. 学び直しの3つの道
先に答えを置きます。看護師の学び直しは、学士を取る、大学院(修士課程)に進む、資格に結びつく研修を受ける、の3つに分けると整理できます。
道 | 目的の例 | この記事で見る箇所 |
|---|---|---|
学士を取る | 大学院の入学資格、学位の取得 | 2章 |
大学院(修士課程)に進む | 研究、専門看護師の受験資格 | 3章・4章 |
資格に結びつく研修 | 認定看護師、特定行為研修 |
専門看護師の受験資格に大学院修士課程の修了が含まれることや、認定看護師・特定行為研修の仕組みは、上の記事の3章・5章にまとめています。
2. 専門学校卒から学士を取る——積み上げと編入学
先に答えを置きます。看護専門学校(3年課程)を卒業した看護師が学士を取る道は、大学改革支援・学位授与機構の「積み上げ」の制度と、大学への編入学です。 積み上げでは、卒業後に大学などで単位を修得し、レポートと小論文試験を受けます。
学位授与機構の『新しい学士への途』(令和8年度版)は、修業年限3年以上かつ総授業時数2,550単位時間以上の専門学校修了者を「第2区分」としています。第2区分の要件は次のとおりです。
要件 | 機構の案内 |
|---|---|
単位の修得 | 「短期大学を卒業した後あるいは専門学校等を修了した後に、1年以上にわたって授業科目を履修し、31単位以上を修得します。」(大学・認定専攻科・大学専攻科の単位) |
専攻に係る単位 | 既に修得した分と合わせて62単位以上。そのうち16単位以上は、卒業(修了)後に専門科目を含めて修得 |
学修成果 | 原則としてレポート |
試験 | 原則として小論文 |
専攻の区分には「看護学」があります。自分の専門学校の課程が第2区分にあたるか、どの単位が使えるかは、機構の案内と出身校の証明で確かめてください。
通信制の大学で単位を修得し、この制度で学士を申請する道もあります。単位が機構の要件に使えるかは、出願前に確かめます。
大学への編入学
学校教育法132条は、「専修学校の特定専門課程を修了した者は、文部科学大臣の定めるところにより、大学に編入学することができる」と定めています。特定専門課程は、修業年限が2年以上であることなどの基準を満たす専門課程です(同法125条の2)。編入学を受け入れているか、何年次に入れるか、看護学の課程かは、大学ごとに違います。 志望する大学の募集要項で確かめてください。
准看護師が看護師を目指す「通信制」とは別の制度
「看護師 通信制」で探すと、准看護師が看護師国家試験の受験資格を得るための2年課程の通信制が出てきます。これは学士を取る制度とは別です。2年課程の通信制は「准看護師は廃止される?」の6章にまとめています。
この章の出典
- 大学改革支援・学位授与機構『新しい学士への途』(令和8年度版) https://www.niad.ac.jp/n_gakui/media-download/10105/90a08983946acc7b/
3. 大学院に入る資格
先に答えを置きます。大学院の入学資格は、学士だけではありません。学校教育法施行規則155条は、学位授与機構で学士を得た人、一定の4年制の専門学校の修了者、個別の入学資格審査で認められた22歳以上の人などを挙げています。
学校教育法施行規則155条1項は、大学院への入学に関し、大学を卒業した者と同等以上の学力があると認められる者として、次の人を挙げています(看護師に関わるものを抜き出し)。
号 | 条文の要点 |
|---|---|
1号 | 学校教育法104条7項により学士の学位を授与された者(学位授与機構の学士) |
5号 | 専修学校の専門課程(修業年限4年以上その他の基準を満たすもの)で文部科学大臣が指定するものを修了した者 |
8号 | 大学院において、個別の入学資格審査により、大学を卒業した者と同等以上の学力があると認めた者で、22歳に達したもの |
3年課程の専門学校を卒業した看護師が、学士を取らずに大学院を目指す場合は、8号の個別の入学資格審査を行っているかを、志望する大学院の募集要項で確かめてください。審査の方法は大学院ごとに違います。
この章の出典
- 学校教育法施行規則(昭和22年文部省令第11号)第155条 https://laws.e-gov.go.jp/law/322M40000080011
4. 働きながら学ぶ仕組み
先に答えを置きます。大学院設置基準は、夜間などの時間に授業を行う方法や、長期にわたって履修する制度、実務経験者向けに修士課程の修業年限を短くする方法を置いています。
仕組み | 大学院設置基準 |
|---|---|
夜間の課程 | 2条の2:専ら夜間において教育を行う修士課程などを置くことができる |
教育方法の特例 | 14条:夜間その他特定の時間又は時期に授業や研究指導を行うことができる |
長期にわたる履修 | 15条:大学設置基準の「長期にわたる教育課程の履修」の規定を準用 |
修業年限 | 3条:修士課程の標準修業年限は2年。主として実務の経験を有する者に教育を行う場合は、1年以上2年未満とすることができる |
どの仕組みを置いているかは、大学院ごとに違います。 勤務と両立できるかは、授業の時間帯、長期履修の有無、研究指導の受け方を募集要項で確かめてください。
この章の出典
- 大学院設置基準(昭和49年文部省令第28号)第2条の2、第3条、第14条、第15条 https://laws.e-gov.go.jp/law/349M50000080028
5. 専門実践教育訓練給付
先に答えを置きます。雇用保険の専門実践教育訓練給付は、厚生労働大臣の指定を受けた講座を修了した場合などに、支払った費用の一部が支給される制度です。 指定を受けた講座かどうかと、雇用保険の加入期間の要件を確かめます。
厚生労働省の案内は、支給の割合を次のように説明しています(令和6年10月以降に開講する講座)。
場合 | 支給の割合 |
|---|---|
受講中 | 教育訓練経費の50%(6か月ごとに支給) |
資格取得等かつ修了後1年以内に雇用保険の被保険者として雇用された場合 | 70% |
さらに賃金が受講開始前より5%以上上がった場合 | 80% |
各段階には上限があります。この記事では金額は書きません。
対象になる講座
「専門実践教育訓練給付金のご案内」は、対象の講座の類型として、業務独占資格・名称独占資格の養成施設の課程(例に看護師・准看護師)、専門職大学院、大学などの職業実践力育成プログラムなどを挙げています。対象になるかは、指定を受けた講座かどうかで決まります。 大学院の課程にも指定を受けたものがあります。志望する課程が指定を受けているかは、厚生労働省の教育訓練講座検索システムや大学院の案内で確かめてください。
受給の要件
厚生労働省のQ&Aは、在職者について、受講開始日に雇用保険の被保険者で、支給要件期間が3年(初めて受給する場合は2年)以上あることを挙げています。離職者は、離職日の翌日から受講開始日までが1年以内であることなどが要件です。受講開始前に、訓練前キャリアコンサルティングを受けてジョブ・カードを作り、原則として2週間前までにハローワークで手続きをします。
雇用保険に加入する線は、「看護師の単発バイトと社会保険・雇用保険・有給休暇」の3章にまとめています。
この章の出典
- 厚生労働省「教育訓練給付金」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/jinzaikaihatsu/kyouiku.html
- 厚生労働省「専門実践教育訓練給付金のご案内」 https://www.mhlw.go.jp/content/11804000/001533747.pdf
- 厚生労働省「Q&A~専門実践教育訓練給付金~」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000197058.html
6. 出願前に確かめること
先に答えを置きます。入学資格、給付の指定の有無、勤務との両立の方法を確かめると、出願してからの食い違いを避けられます。
確かめること | 理由 |
|---|---|
自分の入学資格(学士・4年制の専門課程・個別審査) | 3年課程の専門学校卒は、学士か個別審査が要る(3章) |
学士の取り方(機構の積み上げ/編入学) | 必要な期間と、受け入れの有無が違う(2章) |
学位授与機構で学士を取るなら、使える単位と期間 | 卒業後に1年以上・31単位以上が要る(2章) |
志望する課程が専門実践教育訓練の指定講座か | 指定がなければ給付の対象にならない(5章) |
雇用保険の加入期間と、手続きの期限 | 受講開始前に手続きが要る(5章) |
授業の時間帯、長期履修の有無、研究指導の受け方 | 勤務と両立できるかが変わる(4章) |
勤務先の支援制度 | 研修・進学の支援があるかは勤務先ごとに違う |
休職の仕組みは「看護師の休職」にまとめています。
出願前の確認リスト
- □ 自分の入学資格(学士・4年制の専門課程・個別審査)
- □ 学士の取り方(機構の積み上げ/編入学)
- □ 学士を取るなら、使える単位と必要な期間
- □ 専門実践教育訓練の指定の有無
- □ 雇用保険の加入期間と、ハローワークの手続きの期限
- □ 授業の時間帯と長期履修の有無
- □ 勤務先の支援制度
7. タメシビで想定していること
タメシビは、看護師・准看護師が、施設と直接雇用契約を結んで1日単位で働けるスポット勤務サービスです。応募後、施設が内容を確認して勤務が確定します(事前の面接・書類選考はありません)。求人には、業務内容、必要な経験、持ち物、当日の流れを明示する方針です。
タメシビは2026年内のサービス開始に向けて準備中で、どの地域・どの種類の求人が掲載されるかは、これから決まります。
よくある質問
看護専門学校卒でも大学院に入れますか
入れる道があります。 学位授与機構の積み上げか大学への編入学で学士を取る方法と、大学院の個別の入学資格審査(22歳以上)を受ける方法です(2章・3章)。個別審査を行っているかは、志望する大学院の募集要項で確かめてください。
通信制の大学で看護の学士は取れますか
通信制の大学で単位を修得し、学位授与機構の制度で学士を申請する道があります(2章)。その単位が機構の要件に使えるかは、出願前に確かめてください。
大学院の学費に給付は使えますか
厚生労働大臣の指定を受けた講座であれば、専門実践教育訓練給付の対象です(5章)。指定の有無と、雇用保険の加入期間の要件を確かめてください。
働きながら大学院に通えますか
大学院設置基準は、夜間などの授業や、長期にわたる履修の制度を置けるとしています(4章)。どの仕組みがあるかは大学院ごとに違います。
専門看護師になるには大学院が必要ですか
専門看護師の受験資格には、大学院修士課程の修了が含まれます。 詳しくは「認定看護師・専門看護師・特定行為研修の違い」の3章にまとめています(1章)。
まとめ
看護専門学校(3年課程)を卒業した看護師が大学院に進むには、学位授与機構の積み上げか大学への編入学で学士を取る方法と、大学院の個別の入学資格審査を受ける方法があります。大学院設置基準は、夜間などの授業や長期にわたる履修の制度を置けるとしています。
費用については、指定を受けた講座なら専門実践教育訓練給付の対象です。出願前に、入学資格、給付の指定の有無、雇用保険の要件、勤務との両立の方法を確かめてください。
この記事の主な一次情報
- 学校教育法(昭和22年法律第26号)第125条の2、第132条
- 学校教育法施行規則(昭和22年文部省令第11号)第155条
- 大学院設置基準(昭和49年文部省令第28号)第2条の2、第3条、第14条、第15条
- 大学改革支援・学位授与機構『新しい学士への途』(令和8年度版)
- 厚生労働省「教育訓練給付金」「専門実践教育訓練給付金のご案内」「Q&A~専門実践教育訓練給付金~」
※2026年10月14日に確認。法令・案内は改正・改訂されることがあります。この記事は制度の紹介であり、個別の入学資格や給付の可否について判断を示すものではありません。学費や給付の金額は扱っていません。
タメシビの先行登録
タメシビは、看護師が1日単位で施設と直接雇用契約を結んで働けるスポット勤務サービスです。応募後、施設が内容を確認して勤務が確定します(事前の面接・書類選考はありません)。求人には業務内容、必要な経験、持ち物、当日の流れを明示し、働いてから、その職場で続けるかをご自身で選べます。看護師・准看護師の登録料・利用料は無料です。
タメシビは2026年内のサービス開始に向けて準備中で、現在はLINEで先行登録を受け付けています。現時点で求人への応募を受け付けているものではありません。求人が公開されたときにお知らせを受け取りたい方は、先行登録をご利用ください。