グループホーム(認知症対応型共同生活介護)には、人員基準に看護職員の規定がありません。 それでも看護師の求人は出ています。

なお、同じ「グループホーム」でも、障害のある方が暮らす共同生活援助は別の制度です。そちらは「障害者グループホームの看護師の仕事内容|配置義務がない住まいで求人が出る理由」にまとめています。

理由は、介護報酬の「医療連携体制加算」にあります。この加算の要件が、そのまま求人の中身を決めています。この記事では、その構造と、単発で入る日に確認したいことを整理しました。

この記事の結論

  • グループホームの人員基準(指定地域密着型サービス基準90条)に、看護職員の規定はありません。介護従業者の員数だけが定められています(2章)。
  • 看護師の求人が出るのは、医療連携体制加算の要件に看護師の確保が含まれているためです。要件は3段階あり、事業所の職員として常勤換算で配置する形と、訪問看護ステーション等との連携で確保する形が混在しています(3章)。
  • どちらの形かで、単発で入る看護師の立ち位置が変わります。求人票で最初に確認したいのはここです(4章)。
  • 1ユニットは5人以上9人以下、1事業所は1〜3ユニット。夜間・深夜はユニットごとに介護従業者が1人以上という規模です(1章)。

読みたい箇所から確認する

1. グループホームはどれくらいの規模か

まず規模の感覚から押さえると、業務の性格が見えてきます。指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第34号)93条は、次のように定めています。

指定認知症対応型共同生活介護事業所は、共同生活住居を有するものとし、その数は一以上三以下(サテライト型指定認知症対応型共同生活介護事業所にあっては、一又は二)とする。(93条1項)

共同生活住居は、その入居定員を五人以上九人以下とし、居室、居間、食堂、台所、浴室、消火設備その他の非常災害に際して必要な設備その他利用者が日常生活を営む上で必要な設備を設けるものとする。(93条2項)

1ユニット(共同生活住居)は5人以上9人以下、1事業所はユニット1つから3つまで。 つまり、事業所全体でも最大27人という規模です。特養や老健と比べるとかなり小さく、条文も、台所や浴室を備えた住居で日常生活を営む形を前提にしています。

職員の数も、同基準90条1項が定めています。

共同生活住居ごとに、夜間及び深夜の時間帯以外の時間帯に指定認知症対応型共同生活介護の提供に当たる介護従業者を、常勤換算方法で、当該共同生活住居の利用者の数が三又はその端数を増すごとに一以上とする

夜間・深夜の時間帯については、同項が「夜間及び深夜の時間帯を通じて一以上の介護従業者に夜間及び深夜の勤務を行わせるために必要な数以上」としています。夜間はユニットごとに介護従業者が1人以上、という体制です。

この章の出典

2. 人員基準に看護職員の規定がない

ここが、ほかの介護施設との一番の違いです。

上の90条1項が定めているのは介護従業者の員数で、看護職員についての規定はありません。 同条はこのほか計画作成担当者などについて定めていますが、看護師・准看護師を何人置くという基準は置かれていません。

ほかの施設と並べると、位置づけがはっきりします。

看護職員の人員基準

医師の人員基準

特別養護老人ホーム

あり(入所者数に応じた段階)

あり

介護老人保健施設

あり(看護・介護職員3:1のうち7分の2程度が標準)

あり(常勤換算で入所者数を100で除した数以上。解釈通知により、規模にかかわらず常勤医師1人以上)

介護付有料老人ホーム(特定施設)

あり(30人以下で常勤換算1以上など)

なし

グループホーム

なし

なし

つまり制度上は、看護職員が1人もいないグループホームがありうるということです。実際、看護師を置いていない事業所もあります。

では、求人が出ている事業所は何をしているのか。次の章がその答えです。

3. それでも求人が出る理由 ― 医療連携体制加算

グループホームには「医療連携体制加算」という介護報酬上の加算があります。この加算を算定するための要件に、看護師の確保が含まれています。求人が出ているということは、この加算を算定しているか、算定しようとしている可能性が高いということです。

令和6年度の介護報酬改定で、この加算は看護体制の要件と医療的ケアの受入要件を分けて評価する構造になりました。

看護体制の要件は3段階

医療連携体制加算(Ⅰ)は、看護体制の要件によってイ・ロ・ハの3つに分かれています。

区分

看護体制の要件

(Ⅰ)イ

事業所の職員として看護師を常勤換算で1名以上配置していること

(Ⅰ)ロ

事業所の職員として看護職員を常勤換算で1名以上配置していること

(Ⅰ)ハ

事業所の職員として、又は病院、診療所若しくは訪問看護ステーションとの連携により、看護師を1名以上確保していること

この3つは、イがもっとも手厚い体制として評価され、ハに向かうほど要件がゆるやかになります。読み分けのポイントは3つあります。

  1. イとロの違いは職種です。 イは「看護師」、ロは「看護職員」。看護職員には准看護師が含まれるため、ロは准看護師の配置でも要件を満たします。
  2. ハだけが「連携による確保」を認めています。 事業所に看護師を置かず、訪問看護ステーション等との連携で要件を満たす形です。この場合、事業所に常駐する看護師はいません。
  3. イ・ロは「常勤換算で1名以上」です。 常勤の看護師が1人いる形とは限りません。複数の非常勤で満たすこともあります。

また、イ・ロ・ハに共通する要件として、次のものが定められています。

重度化した場合における対応に係る指針を定め、入居の際に、利用者又はその家族等に対して、当該指針の内容を説明し、同意を得ていること

医療的ケアの受入れが要件になる加算もある

医療連携体制加算(Ⅱ)は、(Ⅰ)のいずれかを算定していることに加えて、医療的ケアが必要な入居者を受け入れている実績を要件としています。具体的には、算定日が属する月の前3か月間に、次のいずれかに該当する入居者が1人以上いることとされています。

該当する状態

1

喀痰吸引を実施している状態

2

呼吸障害等により人工呼吸器を使用している状態

3

中心静脈注射を実施している状態

4

人工腎臓を実施している状態

5

重篤な心機能障害、呼吸障害等により常時モニター測定を実施している状態

6

人工膀胱又は人工肛門の処置を実施している状態

7

経鼻胃管や胃瘻等の経腸栄養が行われている状態

8

褥瘡に対する治療を実施している状態

9

気管切開が行われている状態

10

留置カテーテルを使用している状態

11

インスリン注射を実施している状態

この一覧は、その事業所で発生しうる医療的ケアの目安として読めます。 (Ⅱ)を算定している事業所であれば、この中のいずれかに該当する入居者がいるということです。単発で入る日に、誰が対象で、その日の対応を誰が行うのかを確認してください。

なお、令和6年度の改定では「協力医療機関連携加算」も新設され、協力医療機関との間で入居者の病歴等の情報を共有する会議を定期的に開催していることなどが要件とされています。

加算の要件は改定のたびに変わります。この記事の内容は令和6年度改定時点のものです。個別の事業所がどの加算を算定しているかは、当社として判断できません。 応募先に確認してください。

この章の出典

4. 「配置」か「連携」かで、単発の立ち位置が変わる

ここが、この記事で最も伝えたい点です。3章で見たとおり、看護師の関わり方には「事業所の職員として配置」と「連携先から関わる」の2つがあります。単発で入る看護師の立ち位置は、どちらの事業所かで変わります。

事業所の職員として配置している事業所

連携で確保している事業所

事業所内の看護職

いる(常勤換算1名以上)

常駐はいない

指示を仰ぐ相手

事業所の看護職、入居者ごとの主治医

連携先の医療機関・訪問看護、入居者ごとの主治医

確認したいこと

常勤の看護師がいるか、いない日に何を任されるか

誰の指示で動くか、訪問看護との分担

求人票からこれを読み取るのは簡単ではありません。 そのため、問い合わせで直接聞くのが確実です。

「求人を拝見しました。こちらの事業所には、ふだん
 常勤または非常勤の看護職の方がいらっしゃいますか。
 当日、私が担当する範囲と、判断に迷ったときの
 相談先を教えていただけますか。」

加算の名称を出して聞く必要はありません。知りたいのは「その日、自分の上に誰がいるか」だけです。

→ 当日の体制と担当する範囲を確認してから応募できる単発の求人を、公開時にお知らせします。LINEで先行登録(無料)を受け付けています。

5. 1日の流れ

事業所によって変わりますが、日勤帯の動きはおおむね次のように進みます。

出勤・申し送り
  夜間の状況、その日に注意が必要な入居者、受診や訪問の予定を確認
      ↓
午前
  事業所の手順に沿って、入居者の状態を確認して回る
  (ユニットが複数ある事業所では、順に回る)
      ↓
昼
  食事の様子の確認、与薬、記録
      ↓
午後
  受診の付き添いや連絡、家族への連絡、訪問看護・訪問診療への対応
  入居者との関わり(レクリエーションや家事に一緒に入ることもある)
      ↓
夕方・申し送り
  記録をまとめ、夜間帯の介護従業者に引き継ぐ事項を伝える

何を測り、どこまで記録するかは事業所の手順で決まっています。 当日の手順は朝の申し送りで確認してください。

グループホームの環境は、条文からも読み取れます。共同生活住居は入居定員5人以上9人以下で、居室・居間・食堂・台所・浴室を備えるものとされています(1章)。台所のある住居で5人から9人が暮らす形のため、調理や洗濯などの家事に入居者と一緒に関わる場面もあります。看護師がどこまでそこに入るかは事業所によって異なるため、求人票の業務内容を確認してください。

夜間はユニットごとに介護従業者が1人以上という体制です(1章)。看護師の夜勤やオンコールの有無は事業所によります。夜勤とオンコールの違いは「介護施設の夜勤で看護師は何をするか」の3章にまとめています。

6. 医療的ケアと、どこまで担当するか

3章の11項目は「加算の要件」であって、看護師の業務範囲を定めたものではありません。実際にその日何を担当するかは、事業所の体制と、訪問看護との分担によります。

単発で入る日に確認しておきたいのは、次の点です。

  • その日、医療的ケアの対象となる入居者は誰か
  • 処置のうち、訪問看護が行うものと事業所側で行うものの分担
  • 医療機器(在宅酸素、吸引器など)を使用している入居者と、その管理の担当
  • 入居者ごとの主治医・協力医療機関と、連絡の方法
  • 看取り期の入居者がいる場合、事業所の指針と家族への連絡方法

喀痰吸引や経管栄養については、介護職員が実施できる範囲が限定されています。社会福祉士及び介護福祉士法48条の2第1項は、介護福祉士が「保健師助産師看護師法第三十一条第一項及び第三十二条の規定にかかわらず、診療の補助として喀痰吸引等を行うことを業とすることができる」と定めています。介護福祉士以外の介護職員については、厚生労働省の資料が、一定の研修を修了した者を都道府県知事が認定する「認定特定行為業務従事者」の仕組みを説明しています。

夜間・早朝に喀痰吸引等に対応できる職員がいるかどうかは、事業所によって異なります。 始業前に確認してください。この制度の詳細は「デイサービスの看護師の仕事内容」にまとめています。

この章の出典

7. 求人票で確認したいこと

6章までに挙げた点を、求人票を読むときと問い合わせのときに使える形に落としたものです。5章までが「なぜ確認するのか」、この章が「何を聞くのか」にあたります。

体制

  • □ 事業所に常勤・非常勤の看護職がいるか(4章)
  • □ 自分のほかに看護職が勤務する日かどうか
  • □ 判断に迷ったときに相談できる相手と、その連絡方法
  • □ ユニットの数と、1日に回る範囲
  • □ 訪問看護・訪問診療が入っているか、その曜日と時間帯

業務の範囲

  • □ 医療的ケアの対象となる入居者と、その日の対応の担当
  • □ 服薬管理をどこまで担当するか
  • □ 家事や入居者との関わりにどこまで入るか
  • □ 記録の方法(紙か、記録システムか。当日操作を教えてもらえるか)

緊急時

  • □ 入居者ごとの主治医・協力医療機関と、連絡の順番
  • □ 救急要請を判断する基準と、判断する人
  • □ 看取り期の入居者がいるか、事業所の指針

時間・賃金・そのほか

  • □ 勤務の開始時刻と終了時刻、申し送りの時間の扱い
  • □ 休憩の取り方と場所
  • □ 雇用主、賃金の支払日と支払方法、交通費の扱い

応募前の確認と当日の持ち物は「初めての看護師単発バイト|求人選び・持ち物・当日の流れ」にまとめています。

8. 「きつい」と言われる理由と、向いている場合

「きつい」と言われる理由と、その確認方法

グループホームの看護師について「きつい」と語られるとき、理由は次のどれかに集約されることが多いものです。いずれも、応募前に確認すれば見通しが立ちます。

  • 看護職が自分1人になることがある。 加算の要件は「常勤換算で1名以上」なので、事業所の看護職が1人という体制もありえます。相談先を始業前に確認してください。
  • 施設内に医師がいない。 人員基準に医師の規定がなく、入居者ごとの主治医や協力医療機関に連絡する形になります。連絡の順番を確認してください。
  • 業務の線引きが事業所ごとに違う。 家事や入居者との関わりにどこまで入るかは、事業所の考え方によります。求人票の業務内容で確認してください。
  • 認知症ケアの関わり方が事業所ごとに違う。 初めての事業所では、その日の関わり方を職員に聞きながら進めることになります。
  • 医療的ケアの中身が事業所によって大きく違う。 加算(Ⅱ)を算定している事業所では11項目のいずれかに該当する入居者がいます(3章)。

向いている場合

  • 少人数の入居者と、じっくり関わる働き方を望む場合
  • 処置の量より、日々の変化に気づく観察を中心にしたい場合
  • 認知症看護の経験があるか、これから広げたい場合
  • 特養・老健の単発勤務を経験していて、より小規模な施設を試したい場合

常勤を考えている場合も、1日から試せる

グループホームは事業所ごとの差が大きい分野です。看護職の体制、医療的ケアの中身、業務の線引き ―― いずれも求人票からは読み取りにくく、入ってみて分かる部分が多くあります。

単発の勤務は、その材料を集める方法のひとつになります。合うと感じたら同じ事業所に複数回入る、合わなければ別の事業所を試す、という進め方ができます。

同じ「1日単位」でも、施設の種類が変わると業務はかなり違います。ほかの施設の記事もあわせてご覧ください。

単発勤務の全体像は「看護師の単発バイト完全ガイド|働ける場所・始め方・求人票の見方」にまとめています。

9. タメシビで想定していること

タメシビは、看護師・准看護師が、施設と直接雇用契約を結んで1日単位で働けるスポット勤務サービスです。応募後、施設が内容を確認して勤務が確定します(事前の面接・書類選考はありません)。求人には、業務内容、必要な経験、持ち物、当日の流れを明示する方針です。

グループホームは、事業所に看護職がいるかどうかからして求人票では分かりにくい分野です。だからこそ、当日の体制と担当する範囲が応募前に確認できる形を整えることを、サービスの前提に置いています。

タメシビは2026年内のサービス開始に向けて準備中で、どの地域・どの種類の求人が掲載されるかは、これから決まります。現時点でこの施設種別の求人の掲載をお約束するものではありません。

よくある質問

看護師がいないグループホームもあるのですか

制度上はありえます。人員基準に看護職員の規定がないためです(2章)。医療連携体制加算(Ⅰ)ハのように、訪問看護ステーション等との連携で要件を満たしている事業所では、常駐する看護師がいない形もあります。

准看護師でも応募できますか

求人の応募条件によります。医療連携体制加算(Ⅰ)ロは「看護職員」を常勤換算で1名以上配置することを要件としており、看護職員には准看護師が含まれます。一方、(Ⅰ)イと(Ⅰ)ハは「看護師」とされています。事業所がどの区分で算定しているかによって、募集する職種が変わることがあります。

医療行為は少ないと聞きましたが本当ですか

事業所によります。医療連携体制加算(Ⅱ)を算定している事業所では、喀痰吸引や経腸栄養、インスリン注射などに該当する入居者がいます(3章)。一方で、医療的ケアがほとんど発生しない事業所もあります。求人票の業務内容と、当日の入居者の状況を確認してください。

夜勤の求人もありますか

事業所によります。夜間はユニットごとに介護従業者が1人以上という体制が基準で定められていますが、看護師の夜勤やオンコールの有無は基準では決まっていません。夜勤とオンコールの違いは「介護施設の夜勤で看護師は何をするか」にまとめています。

特養での経験があれば対応できますか

共通する業務は多いものの、規模と体制が違います。特養には医師と看護職員の人員基準がありますが、グループホームにはどちらもありません(2章)。指示を仰ぐ相手と連絡の順番は、改めて確認してください。

認知症看護の経験がないと難しいですか

求人の応募条件によります。経験があれば動きやすいのは確かですが、単発で入る日はその事業所の関わり方に合わせることになります。「この方にはどう声をかけていますか」と職員に聞きながら進める形になります。

家事も担当するのですか

事業所の方針によります。共同生活住居には台所や浴室が設けられており(1章)、調理や洗濯に入居者と一緒に関わる場面があります。看護師がどこまで入るかは事業所によって異なるため、業務内容で確認してください。

ユニットが複数ある場合、全部を見るのですか

事業所の体制によります。1事業所は最大3ユニットです。ユニットの数と、1日に回る範囲を確認してください(7章)。

まとめ

グループホームには、看護職員の人員基準がありません。それでも看護師の求人が出るのは、医療連携体制加算の要件に看護師の確保が含まれているためです。

この加算の看護体制の要件は3段階あり、事業所の職員として常勤換算で配置する形と、訪問看護ステーション等との連携で確保する形が混在しています。単発で入る看護師の立ち位置は、どちらの事業所かで変わります。

求人票からこれを読み取るのは難しいので、問い合わせで「ふだん看護職の方がいらっしゃいますか」「当日の担当範囲と相談先を教えてください」と聞くのが確実です。加算の名称を出す必要はありません。

この記事の主な一次情報

法令・省令

厚生労働省の資料

※いずれも2026年9月25日に確認(2026年9月29日に本文を見直し)。法令・介護報酬の算定要件は改定されることがあります。この記事は条文と公的資料の紹介であり、個別の事業所が加算を算定できるかどうかの判断を示すものではありません。

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