看護師の当直は、制度上は「宿日直」と呼ばれる勤務で、常態としてほとんど労働する必要のない勤務を指します。 夜間に通常の業務を続ける夜勤とは、別のものです。労働基準監督署長の許可(宿日直許可)を受けた勤務であれば、その範囲で労働時間や休憩の規定が適用されません。

厚生労働省の通知は、看護職員について許可の対象になる業務として、病室の定時巡回や少数の要注意患者の定時の検脈・検温などを挙げています。手当は、同じ種類の勤務をする人の賃金の1人1日平均額の3分の1以上、宿直は週1回が限度という基準もあります。

この記事は、厚生労働省の通知と労働局の資料をもとに、看護師の当直の制度を整理します。当直手当の相場や、個別の勤務が宿日直にあたるかの判断は、この記事では扱いません。

この記事の結論

  • 当直は、宿直(夜間)と日直(日中)をまとめた呼び方で、常態としてほとんど労働する必要のない勤務です(1章)
  • 夜間に通常の業務を続けるのは夜勤で、当直とは別です(2章)
  • 労働基準監督署長の宿日直許可を受けると、その範囲で労働時間・休憩・休日の規定が適用されません(3章)
  • 看護職員については、病室の定時巡回、患者の状態の変動の医師への報告、少数の要注意患者の定時の検脈・検温が、許可の対象になる業務の例です(4章)
  • 許可の基準として、手当は同種の労働者の賃金の1人1日平均額の3分の1以上、回数は宿直が週1回・日直が月1回が限度とされています(5章)
  • 当直中に通常と同じ業務をした時間は、時間外労働の手続きと割増賃金が必要です(6章)
  • 当直の求人や勤務で確かめる項目は、7章の表にまとめています
  • いずれも2026年10月時点の通知と資料によります

読みたい箇所から確認する

1. 看護師の当直(宿日直)とは

先に答えを置きます。当直は、制度上の「宿日直」を指す呼び方です。夜間に行うものが宿直、日中に行うものが日直で、常態としてほとんど労働する必要のない勤務を指します。

東京労働局の資料は、宿日直について「一般的には『当直』と呼ばれることも」と説明しています。茨城労働局の資料は、対象になる働き方を次のように書いています。

定時的巡視、緊急の文書又は電話の収受、非常事態に備えての待機等を目的とする働き方が対象となります。

求人や勤務表の「当直」が宿日直許可を受けた勤務かどうかは、言葉だけでは分かりません。 勤務先に確かめてください(7章)。

この章の出典

2. 当直・夜勤・オンコールの違い

先に答えを置きます。当直は勤務先にいて、常態としてほとんど労働しない勤務です。夜勤は勤務先で通常の業務をする勤務です。オンコールは勤務先の外で呼び出しに備える待機です。

当直(宿直)

夜勤

オンコール

いる場所

勤務先

勤務先

勤務先の外(自宅など)

業務の中身

定時の巡回、電話の受付、非常時に備えた待機など

通常の業務

呼び出されたら出勤・対応

労働時間の規定

宿日直許可の範囲で適用されない

適用される

待機が労働時間かは、拘束の程度による

東京労働局の資料は、夜間に通常勤務と同じ業務を行う夜勤は、宿直とは違うとしています。

オンコールの待機が労働時間にあたるかの考え方は「看護師のオンコール」の2章に、夜勤の深夜の割増と休憩の条文は「介護施設の夜勤で看護師は何をするか」の6章にまとめています。

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3. 宿日直許可——許可を受けた勤務で変わること

先に答えを置きます。宿日直の勤務は、労働基準監督署長の許可を受けると、その範囲で労働時間・休憩・休日の規定が適用されなくなります。

厚生労働省は、医療機関の宿日直許可の申請を「労働基準法第41条第3号(労働基準法施行規則第23条)に基づく申請」と案内しています。

項目

労働局の資料の説明

許可を受けた場合

「労働時間や休憩に関する規定は適用されない」(東京労働局)

適用されなくなる規定

「労働時間」「休憩」「休日」に関する規制の全部または一部(福井労働局)

適用除外にならない規定

「深夜業」に関する規制(福井労働局)

深夜業に関する規制が当直の賃金にどう関わるかは、この記事では扱いません。勤務先と労働基準監督署に確かめてください。

許可を受けているかどうかで、当直の時間の扱いが変わります。 許可の有無は、勤務先に確かめてください。労働時間が何で決まるかの考え方は「看護師の前残業と着替えの時間」の1章にまとめています。

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4. 看護職員について許可の対象になる業務

先に答えを置きます。厚生労働省の通知は、看護職員について、病室の定時巡回、患者の状態の変動の医師への報告、少数の要注意患者の定時の検脈・検温を、許可の対象になる軽度・短時間の業務の例に挙げています。

厚生労働省の通知「医師、看護師等の宿日直許可基準について」(令和元年7月1日)は、看護職員について次のように例示しています。

看護職員が、病室の定時巡回、患者の状態の変動の医師への報告、少数の要注意患者の定時検脈、検温を行うこと

同じ通知は、宿日直の条件として次のことも挙げています。

条件

通知の記載

勤務の態様

「一般的にみて、常態としてほとんど労働することがない勤務であり」

睡眠

宿直の場合は、夜間に十分睡眠がとれること

通常勤務との関係

「通常の勤務時間の拘束から完全に解放された後のものであること」

この記事は、個別の当直がこの基準にあたるかを判断しません。 当直中の業務の内容は、勤務先に確かめてください(7章)。

この章の出典

5. 当直の手当と回数の基準

先に答えを置きます。宿日直を許可するときの基準として、手当は同種の労働者の賃金の1人1日平均額の3分の1以上、回数は宿直が週1回、日直が月1回が限度とされています。

東京労働局の資料は、許可の基準を次のように説明しています。いずれも、労働基準監督署長が宿日直を許可するときの基準です。

基準

資料の記載

手当

「当該事業場において宿直又は日直の勤務に就くことの予定されている同種の労働者に対して支払われている賃金の一人1日平均額の1/3以上であること。」

回数

「宿直勤務については週1回」「日直勤務については月1回」「が限度」

回数については、要件を満たす場合に、業務の実態に応じて上の回数を超えて許可されることがあるとしています。週1回は宿日直を許可するときの基準で、夜勤の回数の話ではありません。 夜勤の回数の定めは「看護師の夜勤バイト」の4章にまとめています。この記事では、手当の金額や相場は扱いません。 当直手当の金額は、明示された労働条件で確かめてください。

この章の出典

6. 当直中に通常の業務をしたとき

先に答えを置きます。許可を受けた当直でも、通常の勤務と同じ業務をした時間は、時間外労働の手続きと割増賃金の支払いが必要です。

東京労働局の資料は、労働基準監督署長から許可を得た宿直勤務中であっても、通常の労働時間と同じ態様の業務に従事した時間については、労働基準法36条による時間外労働の手続きをとり、37条の割増賃金を支払う必要があるとしています。厚生労働省の通知も、許可を受けた宿日直中に通常業務と同様の業務をした場合は、33条または36条1項の手続きと37条の割増賃金が必要としています。

当直中に、急な入院の対応や処置などをした時間があれば、対応した時刻、内容、指示した人を記録しておいてください。 始業・終業時刻の記録と相談の順番は「看護師の前残業と着替えの時間」にまとめています。

この章の出典

7. 当直の求人・勤務で確かめること

先に答えを置きます。宿日直許可を受けた勤務か、当直中にする業務、仮眠の設備、手当の内訳、通常の業務をしたときの扱いを確かめます。

確かめること

聞き方

許可の有無

「この当直は、宿日直の許可を受けた勤務ですか」

当直中の業務

「当直中にすることは、巡回・電話の受付・待機のほかにありますか」

仮眠

「仮眠をとれる設備と時間はありますか」

手当

「当直手当はいくらで、何に対する手当ですか」

通常の業務をしたとき

「急な対応をした時間は、どう記録して、どう支払われますか」

前後の勤務

「当直の前後に、日勤は入りますか」

雇い入れのときに明示される労働条件の確かめ方は「単発バイトに労働条件通知書はある?」に、夜勤のバイトの長さと回数の定めは「看護師の夜勤バイト」にまとめています。

8. タメシビで想定していること

タメシビは、看護師・准看護師が、施設と直接雇用契約を結んで1日単位で働けるスポット勤務サービスです。応募後、施設が内容を確認して勤務が確定します(事前の面接・書類選考はありません)。求人には、業務内容、必要な経験、持ち物、当日の流れを明示する方針です。

タメシビは2026年内のサービス開始に向けて準備中で、どの地域・どの種類の求人が掲載されるかは、これから決まります。

よくある質問

当直と夜勤は何が違いますか

当直は常態としてほとんど労働しない勤務、夜勤は通常の業務をする勤務です(2章)。夜間に通常勤務と同じ業務を行うのは、当直ではなく夜勤です。

当直中に寝てもいいのですか

宿直の許可の基準では、夜間に十分睡眠がとれることが条件の1つです(4章)。仮眠の設備と時間は、勤務先に確かめてください(7章)。

当直の時間は労働時間になりますか

宿日直許可を受けた勤務であれば、その範囲で労働時間の規定は適用されません(3章)。ただし、通常と同じ業務をした時間は、時間外労働として扱われます(6章)。

当直手当はいくらですか

この記事では金額は扱いません。 宿日直を許可するときの基準として、同種の労働者の賃金の1人1日平均額の3分の1以上とされています(5章)。

当直は月に何回までですか

許可の基準では、宿直は週1回、日直は月1回が限度とされています(5章)。要件を満たす場合は、実態に応じて超えて許可されることがあります。

宿日直許可を受けていない当直は、どう扱われますか

この記事では個別の判断はしません。 許可がなければ、3章の適用除外はありません。労働時間が何で決まるかの考え方は「看護師の前残業と着替えの時間」の1章にまとめています。

当直中に急変の対応をしました

その時間は、通常の業務と同じ扱いになる場合があります(6章)。対応した時間を記録し、勤務先に扱いを確かめてください。

まとめ

看護師の当直は、制度上の宿日直を指す呼び方で、常態としてほとんど労働する必要のない勤務です。夜間に通常の業務を続ける夜勤とは別のもので、労働基準監督署長の宿日直許可を受けると、その範囲で労働時間・休憩・休日の規定が適用されません。

看護職員については、病室の定時巡回や少数の要注意患者の定時の検脈・検温などが、許可の対象になる業務の例です。手当は賃金の1人1日平均額の3分の1以上、宿直は週1回が限度という基準があり、当直中に通常と同じ業務をした時間は割増賃金の対象になります。

この記事の主な一次情報

  • 厚生労働省 通知「医師、看護師等の宿日直許可基準について」(令和元年7月1日 基発0701第8号)
  • 東京労働局「医療機関における宿日直の許可基準について」
  • 茨城労働局「宿日直許可基準のポイント」
  • 福井労働局「監視又は断続的労働に従事する者」と「宿日直勤務者」の許可
  • 厚生労働省「医療機関の宿日直許可申請に関する相談窓口のご案内」

※2026年10月13日に確認。通知や資料は改正されることがあります。この記事は制度の紹介であり、個別の勤務が宿日直にあたるかについて判断を示すものではありません。当直手当の金額・相場は扱っていません。

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