オンコールの待機時間が労働時間にあたるかについて、厚生労働省の医師向けのQ&Aは、待機の間に「労働から離れることが保障されているか」を基準にしています。 呼出しの頻度、呼び出されたときにどのくらい早く着くことが求められているか、待機中の行動がどのくらい制限されているかが、考える材料として挙げられています。
訪問看護では、令和6年度の改定で、24時間対応の体制について看護業務の負担軽減の取組(夜間対応した翌日の勤務間隔の確保、夜間対応の連続は2回までなど)が評価に加わりました。
この記事は、厚生労働省の資料をもとに、オンコールの考え方と、応募する前に確かめることを整理します。ご自身の待機時間が労働時間にあたるかは、この記事では判断しません。迷う場合は、勤務先の担当者か、労働基準監督署に相談してください。
この記事の結論
- オンコールは、勤務先の外で待機し、連絡があったら対応する形です。施設の中で勤務する夜勤とは別のものです(1章)
- 厚生労働省のガイドラインは、労働から離れることが保障されていない状態で待機している時間(手待時間)を、労働時間として扱う例に挙げています(2章)
- 厚生労働省の医師向けのQ&Aは、オンコール待機が労働時間かを、呼出しの頻度・到着までの時間・待機中の活動の制限を考えて個別に判断するとしています(2章)
- ガイドラインは、使用者の指示により業務に従事する時間は労働時間にあたるとしています。呼び出されて対応した時間の扱いは、記録と勤務先の決まりで確かめます(3章)
- 訪問看護では、令和6年度の改定で、24時間対応の負担軽減の取組が評価に加わりました(4章)
- 応募する前に、オンコールが含まれるか、待機の条件、呼び出されたときの扱い、手当を確かめます(5章)
読みたい箇所から確認する
- 1. オンコールとは——夜勤との違い
- 2. オンコールの待機時間は労働時間か——考える観点
- 3. 呼び出されて働いた時間
- 4. 訪問看護の24時間対応——令和6年度に評価された負担軽減の取組
- 5. 応募する前に確かめること
- 6. タメシビで想定していること
- よくある質問
1. オンコールとは——夜勤との違い
先に答えを置きます。オンコールは、勤務先の外(自宅など)で待機し、利用者・家族や施設から連絡があったら電話で対応したり、駆けつけたりする形です。施設の中に滞在して勤務する夜勤とは別のものです。
夜勤 | オンコール | |
|---|---|---|
いる場所 | 施設・病棟の中 | 勤務先の外(自宅など) |
働き方 | 夜間の時間帯に勤務する | 連絡があったら対応する |
「夜勤なし」と「オンコールなし」は別の条件です。夜勤がない職場でも、夜間・休日のオンコールがあることがあります。どんな職場で夜勤がなくてもオンコールがあるかは「看護師の夜勤なし・日勤のみの職場」の3章にまとめています。介護施設の夜勤とオンコールの違いは「介護施設の夜勤で看護師は何をするか」の3章にもまとめています。
2. オンコールの待機時間は労働時間か——考える観点
先に答えを置きます。厚生労働省の資料は、待機の間に「労働から離れることが保障されているか」を基準にしています。この記事は、ご自身の待機が労働時間にあたるかを判断しません。考える観点を並べます。
労働時間のガイドライン
厚生労働省の「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」(平成29年1月20日)は、労働時間を「使用者の指揮命令下に置かれている時間」とし、労働時間として扱う例の1つとして、次の時間を挙げています。
使用者の指示があった場合には即時に業務に従事することを求められており、労働から離れることが保障されていない状態で待機等している時間(いわゆる「手待時間」)
医師の働き方改革のQ&A
厚生労働省医政局医事課の「医師の働き方改革に関するQ&A」は、オンコール待機時間について次のように説明しています。これは医師の働き方改革に関するQ&Aで、医師を対象にしたものです。看護師にそのまま当てはまるかは、この記事では判断しません。
Q&Aの説明 | 内容 |
|---|---|
判断の仕方 | 医療機関や診療科ごとに求められる義務の態様が異なるため、個別具体的に判断 |
考える材料 | ①呼び出しの頻度 ②呼び出されたとき、どの程度迅速に到着することが義務付けられているか ③呼び出しに備えて、待機中の活動がどの程度制限されているか |
基準 | オンコール待機時間全体について、労働から離れることが保障されているかどうか |
確かめる観点
ガイドラインとQ&Aの考え方から、ご自身の待機について確かめる観点を並べると次のとおりです(この記事の整理です)。
1. 呼び出しの頻度:1回の待機で、どのくらい連絡が来るか
2. 到着までの時間:呼び出されたら何分以内に着くよう求められているか
3. 待機中の制限:外出できる範囲、飲酒、移動手段などの決まりがあるか
4. 電話の対応:電話を受けて判断・助言する業務が、待機中に何回あるか
5. 記録:待機した時間と、対応した時間が記録されているかこれらは確かめる観点で、どれかに当てはまれば労働時間になる、という表ではありません。
この章の出典
- 厚生労働省「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」(平成29年1月20日。労働局の掲載資料で確認)
- 厚生労働省医政局医事課「医師の働き方改革に関するQ&A」問3-3
3. 呼び出されて働いた時間
先に答えを置きます。ガイドラインは、使用者の明示又は黙示の指示により業務に従事する時間は労働時間にあたるとしています。呼び出されて電話で対応した時間や、訪問した時間がそれにあたるかを、記録で確かめておきます。
時間 | 確かめること |
|---|---|
電話で対応した時間 | 対応の記録(時刻・内容)が残る形になっているか |
駆けつけた・訪問した時間 | 出発・到着・終了の時刻をどう記録するか。移動時間をどう扱うか |
対応の後の記録 | 記録を書く時間がどう扱われるか |
呼び出しの扱い(勤務時間として記録するのか、別の手当なのか)が勤務先の就業規則や労働条件でどう定められているかは、応募する前と、入ってすぐに確かめる項目です(5章)。
この章の出典
- 厚生労働省「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」(平成29年1月20日)
4. 訪問看護の24時間対応——令和6年度に評価された負担軽減の取組
先に答えを置きます。令和6年度の改定で、訪問看護ステーションの24時間対応体制加算(医療保険)と、緊急時訪問看護加算(介護保険)に、看護業務の負担軽減の取組が評価として加わりました。
医療保険:24時間対応体制加算
令和6年度の診療報酬改定の資料は、「訪問看護ステーションにおける持続可能な24時間対応体制確保の推進」として、24時間対応体制加算を、看護業務の負担軽減の取組を行う場合を評価する形に見直したと説明しています。挙げられている取組は次のとおりです。
取組 |
|---|
夜間対応した翌日の勤務間隔の確保 |
夜間対応に係る連続勤務を2連続(2回)までとすること |
夜間対応後の暦日の休日の確保 |
夜間勤務のニーズを踏まえた勤務体制の工夫 |
ICT、AI、IoT等の活用による業務負担の軽減 |
電話等による連絡・相談を担当する者に対する支援体制の確保 |
このうち、夜間対応に関わるもの(勤務間隔または連続回数)を含む2項目以上を満たすことが求められています。
介護保険:緊急時訪問看護加算
介護保険の緊急時訪問看護加算でも、令和6年度の改定で、加算(Ⅰ)の要件の1つに「緊急時訪問における看護業務の負担の軽減に資する十分な業務管理等の体制の整備」が入りました。Q&Aは、夜間対応した翌日の勤務間隔の確保について、例えば夜間対応した職員の翌日の勤務開始時刻の調整を挙げています(船橋市の集団指導資料で確認)。
電話の担当は、看護師以外も
改定では、一定の条件(対応マニュアルの整備、保健師・看護師が緊急訪問の必要性を速やかに判断できる体制、保健師・看護師への報告、利用者・家族への説明と同意、届出など)を満たせば、保健師・看護師以外の職員が電話等の連絡・相談を担当できることになりました。
加算の要件は、業務の定めではない
ここに挙げたのは加算の要件で、事業所に義務として課された業務の定めではありません。どの事業所がどの取組をしているかは、事業所ごとに違います。応募する前に、その事業所の取組を確かめる項目として使えます(5章)。訪問看護の単発の求人の構造は「訪問看護に単発の求人が少ない理由」にまとめています。
この章の出典
- 令和6年度診療報酬改定 個別改定項目「訪問看護ステーションにおける持続可能な24時間対応体制確保の推進」(職能団体のサイトに掲載された資料で確認)
- 船橋市「令和6年度 集団指導 訪問看護・訪問リハビリ・居宅療養編」(緊急時訪問看護加算と令和6年3月15日のQ&A)
5. 応募する前に確かめること
先に答えを置きます。オンコールのある職場に応募する前は、オンコールが含まれるか、待機の条件、呼び出されたときの扱い、手当を確かめます。
確かめる項目
1. オンコールが勤務に含まれるか(単発・パートでも割り当てがあるか)
2. 回数:月に何回くらい割り当てられるか
3. 待機の条件:呼び出されたら何分以内に着くか、待機中の制限
4. 呼び出しの頻度:1回の待機で、どのくらい連絡が来るか
5. 呼び出されたときの扱い:対応した時間をどう記録し、どう扱うか
6. 手当:オンコールの手当があるか、呼び出された場合の扱い
7. 翌日の勤務:夜間に対応した翌日の勤務開始時刻の調整があるか
8. 電話の担当:電話の連絡・相談を看護師以外が受ける体制があるか
9. 支援体制:電話を受けたときに相談できる相手がいるか手当や賃金の扱いは、労働条件として明示される項目に関わります。労働条件通知書で明示される項目は「単発バイトに労働条件通知書はある?」の3章にまとめています。
単発の場合
単発の求人にオンコールが含まれるかは、事業所の体制によります。訪問看護の記事のFAQでも、夜間・休日の対応体制を設けている事業所とそうでない事業所があると説明しています。求人票に書かれていないときは、応募の前に問い合わせてください。
6. タメシビで想定していること
タメシビは、看護師・准看護師が、施設と直接雇用契約を結んで1日単位で働けるスポット勤務サービスです。応募後、施設が内容を確認して勤務が確定します(事前の面接・書類選考はありません)。求人には、業務内容、必要な経験、持ち物、当日の流れを明示する方針です。
オンコールの有無と条件は、求人で確かめられるようにすることを想定しています。
タメシビは2026年内のサービス開始に向けて準備中で、どの地域・どの種類の求人が掲載されるかは、これから決まります。
よくある質問
看護師のオンコールは労働時間ですか
厚生労働省の医師向けのQ&Aは、待機時間全体について労働から離れることが保障されているかどうかを基準に、呼出しの頻度・到着までの時間・待機中の活動の制限を考えて個別に判断するとしています(2章)。
呼び出されて働いた時間はどうなりますか
ガイドラインは、使用者の指示により業務に従事する時間は労働時間にあたるとしています(3章)。対応した時刻を記録しておき、勤務先での扱いを確かめてください。
オンコール手当は必ず出ますか
手当の有無と額は、勤務先の労働条件で決まります(5章)。求人と労働条件通知書で確かめてください。この記事では手当の相場は扱っていません。
訪問看護のオンコールがきついです
令和6年度の改定で、24時間対応の体制について、夜間対応した翌日の勤務間隔の確保、夜間対応の連続は2回まで、暦日の休日の確保などの負担軽減の取組が評価に加わりました(4章)。勤務先がどの取組をしているかを確かめてください。待機の扱いについて解決しないときは、労働基準監督署に相談できます。これらは加算で評価される取組で、すべての事業所の決まりではありません。
夜勤なしの求人でも、オンコールはありますか
「夜勤なし」と「オンコールなし」は別の条件です(1章)。求人票でオンコールの有無を確かめてください。
単発のバイトでもオンコールはありますか
事業所の体制によります(5章)。求人票に書かれていないときは、応募の前に問い合わせてください。
まとめ
オンコールは、勤務先の外で待機し、連絡があったら対応する形で、夜勤とは別のものです。待機時間が労働時間にあたるかについて、厚生労働省の医師向けのQ&Aは「労働から離れることが保障されているか」を基準に、呼出しの頻度・到着までの時間・待機中の活動の制限を考えるとしています。ガイドラインは、使用者の指示により業務に従事する時間は労働時間にあたるとしており、呼び出されて対応した時間の扱いは、記録と勤務先の決まりで確かめます。
訪問看護では、令和6年度の改定で、24時間対応の負担軽減の取組(翌日の勤務間隔、連続は2回まで、暦日の休日など)が評価に加わりました。オンコールのある職場に応募する前は、回数・待機の条件・呼び出されたときの扱い・手当を確かめてください。
この記事の主な一次情報
- 厚生労働省「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」(平成29年1月20日)
- 厚生労働省医政局医事課「医師の働き方改革に関するQ&A」問3-3
- 令和6年度診療報酬改定 個別改定項目「訪問看護ステーションにおける持続可能な24時間対応体制確保の推進」
- 船橋市「令和6年度 集団指導 訪問看護・訪問リハビリ・居宅療養編」(緊急時訪問看護加算、令和6年3月15日のQ&A)
※2026年10月9日に確認。ガイドライン・Q&A・報酬の要件は変わることがあります。この記事は制度の紹介であり、個別の待機時間が労働時間にあたるかについて判断を示すものではありません。賃金・手当の相場は扱っていません。
タメシビの先行登録
タメシビは、看護師が1日単位で施設と直接雇用契約を結んで働けるスポット勤務サービスです。応募後、施設が内容を確認して勤務が確定します(事前の面接・書類選考はありません)。求人には業務内容、必要な経験、持ち物、当日の流れを明示し、働いてから、その職場で続けるかをご自身で選べます。看護師・准看護師の登録料・利用料は無料です。
タメシビは2026年内のサービス開始に向けて準備中で、現在はLINEで先行登録を受け付けています。現時点で求人への応募を受け付けているものではありません。求人が公開されたときにお知らせを受け取りたい方は、先行登録をご利用ください。