看護師の派遣は、すべてが禁止されているわけではありません。 政令は、病院・診療所・介護老人保健施設・介護医療院・居宅などで行う看護師の業務を、派遣の原則禁止の対象にしています。一方、それ以外の社会福祉施設等では、看護師の派遣が認められています。
病院などでも、紹介予定派遣、派遣先の職員が産前産後休業・育児休業・介護休業などで休む間の代替、へき地の場合は、派遣ができます。派遣には、同じ職場で働ける期間の「3年」のルールもあります。
この記事は、労働者派遣法の政令と、厚生労働省・労働局の資料をもとに、看護師の派遣のルールを整理します。賃金の相場や、派遣会社の紹介は、この記事では扱いません。
この記事の結論
- 派遣は、派遣会社に雇われ、派遣先の指示を受けて働く形です(1章)
- 病院・診療所・助産所・オンライン診療受診施設・介護老人保健施設・介護医療院・居宅での看護師の業務は、派遣が原則禁止です。社会福祉施設等では派遣が認められています(2章)
- 禁止の場所でも、紹介予定派遣・休業の代替・へき地の場合は派遣ができます(3章)
- 紹介予定派遣は、派遣期間が6か月までで、派遣の前に面接を受けることができます(4章)
- 同じ職場の同じ組織単位で働けるのは、原則として3年までです(5章)
- 社会保険は、派遣会社が加入させる義務を負います。待遇の差について、派遣会社に説明を求めることができます(7章)
- いずれも2026年10月時点の政令と厚生労働省・労働局の資料によります
読みたい箇所から確認する
- 1. 看護師の派遣の仕組み
- 2. 派遣で働ける場所・働けない場所(病院・介護施設・訪問看護)
- 3. 禁止の場所でも派遣ができる3つの例外
- 4. 紹介予定派遣のルール
- 5. 派遣の「3年」のルール
- 6. 派遣のデメリット——制度上の制約
- 7. 派遣の社会保険と待遇のルール
- 8. 派遣の求人に応募する前に確かめること
- 9. タメシビで想定していること
- よくある質問
1. 看護師の派遣の仕組み
先に答えを置きます。派遣は、派遣会社と雇用契約を結び、派遣先の施設の指示を受けて働く形です。雇用主と、働く場所・仕事の指示を出す相手が分かれます。
厚生労働省は、労働者派遣事業を次のように説明しています。
労働者派遣事業とは、派遣元事業主が自己の雇用する労働者を、派遣先の指揮命令を受けて、この派遣先のために労働に従事させることを業として行うことをいいます。
相手 | 主にすること | |
|---|---|---|
派遣元(派遣会社) | 雇用主 | 雇用契約、賃金の支払い、社会保険の加入 |
派遣先(施設) | 働く場所 | 仕事の指示 |
施設に直接雇われる形、職業紹介を受けて雇われる形との比較は「看護師の単発バイトは違法?」の2章に表でまとめています。
この章の出典
2. 派遣で働ける場所・働けない場所(病院・介護施設・訪問看護)
先に答えを置きます。看護師の業務の派遣が原則禁止なのは、政令が挙げる病院等・助産所・オンライン診療受診施設・介護老人保健施設・介護医療院・居宅です。それ以外の社会福祉施設等では、看護師の派遣が認められています。
労働者派遣法施行令2条1項4号は、保健師助産師看護師法に定める業務のうち、次の場所で行われるものを、派遣の原則禁止の対象にしています。
病院等、助産所、オンライン診療受診施設、介護老人保健施設、介護医療院又は居宅において行われるもの
場所 | 看護師の業務の派遣 |
|---|---|
病院・診療所(政令の「病院等」。厚生労働省令で定める一部の診療所を除く) | 原則禁止 |
助産所 | 原則禁止 |
オンライン診療受診施設 | 原則禁止 |
介護老人保健施設・介護医療院 | 原則禁止 |
居宅(訪問看護など) | 原則禁止(訪問入浴介護などは除かれる) |
社会福祉施設等(特別養護老人ホーム、養護老人ホーム、デイサービス、保育所など) | 派遣が認められている |
兵庫労働局の資料は、医療関係業務に当たる例として「病院等での看護師業務」と「訪問看護」を、当たらない例として社会福祉施設等(養護老人ホーム、デイサービス、保育所など)での医療関係業務を挙げています。厚生労働省の「労働者派遣事業関係業務取扱要領」も、派遣が認められる社会福祉施設等の例に特別養護老人ホームを挙げ、「これらの施設は例示であって」としています。除かれる診療所は、同じ要領が、特別養護老人ホームや障害者支援施設などの中に設けられた診療所を挙げています。居宅から訪問入浴介護が除かれていることは、厚生労働省の通知にあります(「看護師の単発バイトは違法?」3章)。
同じ資料は「医療関係業務は例外規定が多くある(へき地等)ため、関係機関に確認のこと。」としています。この記事は、個別の職場で派遣が認められるかを判断しません。 正確な範囲は政令の原文と、都道府県労働局で確かめてください。
介護施設の種類ごとの違いは「介護施設(特養・老健)の看護師の仕事内容」にまとめています。
この章の出典
- 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律施行令 第2条(令和8年3月27日政令第66号による改正後) https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=75022000&dataType=0&pageNo=1
- 兵庫労働局 需給調整事業課「令和6年度 派遣労働者を受け入れるにあたって(第1部)」 https://jsite.mhlw.go.jp/hyogo-roudoukyoku/content/contents/001949767.pdf
- 厚生労働省「労働者派遣事業関係業務取扱要領」第2 適用除外業務等 https://www.mhlw.go.jp/general/seido/anteikyoku/jukyu/haken/youryou/dl/2.pdf
3. 禁止の場所でも派遣ができる3つの例外
先に答えを置きます。病院などでも、紹介予定派遣、休業した人の業務の代替、へき地の場合は、派遣ができます。
施行令2条1項は、かっこ書きで次の場合を禁止の対象から除いています。
当該業務について紹介予定派遣をする場合、当該業務に係る労働者派遣が法第四十条の二第一項第四号又は第五号に該当する場合
例外 | 内容 |
|---|---|
紹介予定派遣 | 派遣の終了後に、派遣先に直接雇われることを予定して行う派遣(4章) |
休業の代替 | 派遣先の職員が産前産後休業・育児休業・介護休業などで休む間、その人の業務を行う派遣(法40条の2第1項4号・5号) |
へき地 | 働く場所が、離島・山村・過疎地域などを含む市町村(政令2条2項)にある場合 |
福岡労働局の資料も、例外として「当該業務が産前産後休業、育児休業、介護休業を取得した労働者の業務である場合」を挙げています。
へき地の病院等への看護師・准看護師の派遣は、令和3年4月から認められました。社会福祉施設等での看護師の日雇派遣(30日以内の派遣)と、准看護師が日雇派遣の対象にならないことも、同じ時期の通知にあります。詳しくは「看護師の単発バイトは違法?」の3章にまとめています。
離島・へき地の医療の仕組みと働き方の形は「離島・へき地の看護師の仕事」にまとめています。
この章の出典
- 労働者派遣法施行令 第2条 https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=75022000&dataType=0&pageNo=1
- 福岡労働局「労働者派遣事業を行うことができない業務は」 https://jsite.mhlw.go.jp/fukuoka-roudoukyoku/library/fukuoka-roudoukyoku/22yoshiki/yoshiki10/index_m02_03.pdf
- 厚生労働省 通知(令和3年3月2日) https://www.mhlw.go.jp/content/001082432.pdf
4. 紹介予定派遣のルール
先に答えを置きます。紹介予定派遣は、派遣で働いたあとに派遣先に直接雇われることを予定した派遣です。派遣期間は6か月までで、派遣の前に面接を受けることができます。
厚生労働省のQ&Aは、紹介予定派遣について次のように示しています。
項目 | 内容 |
|---|---|
派遣期間 | 「同一の派遣労働者について6箇月を超えて労働者派遣を行ってはなりません。」 |
派遣の前の面接 | 派遣先が面接をしたり、派遣会社から履歴書を受け取ったりできる |
雇われなかったとき | 派遣先は派遣会社の求めに応じて理由を書面などで示し、派遣会社はその理由を派遣労働者に書面で示す |
雇われたあと | 「派遣先は、紹介予定派遣により雇い入れた労働者については、試用期間を設けないようにしてください。」 |
直接雇われたあとの試用期間の考え方は「看護師の試用期間とは」にまとめています。
この章の出典
- 厚生労働省 スタートアップ労働条件「紹介予定派遣について教えてください。」 https://www.startup-roudou.mhlw.go.jp/qa/zigyonushi/pato/q13.html
5. 派遣の「3年」のルール
先に答えを置きます。派遣には、事業所単位と個人単位の2つの期間制限があり、どちらも原則3年が限度です。派遣会社に無期雇用されている人、60歳以上の人、休業の代替などは、期間制限の対象外です。
期間制限 | 内容 |
|---|---|
事業所単位 | 「同一の事業所が労働者派遣を受け入れる期間(派遣可能期間)は、原則として3年が限度です」。派遣先が労働組合などの意見を聴けば延長できる |
個人単位 | 「同一の派遣労働者を事業所の同一の「組織単位」に対し派遣できる期間は3年が限度です」 |
期間制限の対象外とされているのは、次の場合です。
- 派遣会社に無期雇用されている派遣労働者
- 60歳以上の派遣労働者
- 終わりの決まった有期のプロジェクトの業務
- 日数限定業務(1か月の勤務日数が通常の労働者の半分以下かつ10日以下)
- 派遣先の職員が産前産後休業・育児休業・介護休業などで休む間の代替
この章の出典
- 厚生労働省 スタートアップ労働条件「派遣労働者の受入期間制限」 https://www.startup-roudou.mhlw.go.jp/qa/zigyonushi/pato/q3.html
- 兵庫労働局 需給調整事業課「令和6年度 派遣労働者を受け入れるにあたって(第1部)」 https://jsite.mhlw.go.jp/hyogo-roudoukyoku/content/contents/001949767.pdf
6. 派遣のデメリット——制度上の制約
先に答えを置きます。看護師の派遣には、働ける場所、同じ職場で働ける期間、1日単位の派遣について、法令上の制約があります。雇用主と仕事の指示を出す相手が分かれることも、直接雇用との違いです。
制約 | 内容 | 詳しく |
|---|---|---|
働ける場所 | 病院・診療所・居宅などは原則禁止(例外あり) | |
同じ職場で働ける期間 | 同じ組織単位で原則3年まで | |
1日単位の派遣 | 日雇派遣(30日以内)は原則禁止。看護師は社会福祉施設等での看護業務が例外、准看護師は対象外 | 看護師の単発バイトは違法? 3章 |
雇用主と指示を出す相手 | 雇用主は派遣会社、仕事の指示は派遣先 | |
苦情の申出先 | 就業条件明示書に書かれた申出先(派遣会社または派遣先) |
日雇派遣の原則禁止には、60歳以上の人、雇用保険の適用を受けない昼間学生、副業で一定以上の収入がある人などの例外もあります。収入の基準は労働局の資料で確かめてください。
7. 派遣の社会保険と待遇のルール
先に答えを置きます。派遣で働く人の社会保険は、派遣会社が加入させる義務を負います。待遇は、2つの方式のどちらかで決まり、派遣先の社員との待遇の差について、派遣会社に説明を求めることができます。
社会保険
東京労働局は、次のように説明しています。
派遣元事業主は、派遣労働者の健康保険、厚生年金保険、雇用保険への適正な加入が義務づけられています。
単発で働くときの社会保険・雇用保険は「看護師の単発バイトと社会保険・雇用保険・有給休暇」にまとめています。
待遇の決め方と、説明を求めること
派遣で働く人の待遇は、次のどちらかの方式で決まります。
方式 | 内容 |
|---|---|
派遣先均等・均衡方式 | 派遣先の通常の労働者との均等・均衡を図る |
労使協定方式 | 派遣会社と労働者の過半数代表者などとの労使協定で待遇を決める |
令和8年10月1日施行の改正で、雇入れ時・派遣時に明示する事項に「待遇の相違の内容・理由等に関する説明を求めることができる旨」が加わりました。厚生労働省のリーフレットは「派遣元は、派遣労働者が説明を求めたことを理由として、解雇その他不利益な取扱いをしてはなりません。」としています。
困ったときの申出先
東京労働局は、苦情は「就業条件明示書」に書かれた申出先(派遣会社または派遣先)にまず相談するよう案内しています。
この章の出典
- 東京労働局「よく聞かれるご質問集(派遣社員として働いている方へ)」 https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/hourei_seido_tetsuzuki/roudousha_haken/009.html
- 厚生労働省・都道府県労働局「派遣労働者の同一労働同一賃金 改正ポイントのご案内~令和8年10月1日施行~」 https://www.mhlw.go.jp/content/001701326.pdf
8. 派遣の求人に応募する前に確かめること
先に答えを置きます。派遣会社の許可、働く場所、派遣の種類、契約期間、待遇の決め方を確かめます。
確かめること | 見るところ・聞き方 |
|---|---|
派遣会社の許可 | 厚生労働省の「人材サービス総合サイト」で、労働者派遣事業の許可事業所を検索できる |
働く場所 | 「派遣先は病院・診療所・介護老人保健施設などに当たりますか」(2章) |
派遣の種類 | 「紹介予定派遣ですか」「休業の代替ですか」(3章) |
契約期間 | 「1日単位ですか、それより長い契約ですか」(6章) |
待遇の決め方 | 「派遣先均等・均衡方式ですか、労使協定方式ですか」(7章) |
苦情の申出先 | 就業条件明示書の記載 |
判断に迷う場合は、都道府県労働局に相談できます。厚生労働省のスポットワーク向けリーフレットは、労働者派遣法に関する相談先として都道府県労働局を案内しています。
この章の出典
- 人材サービス総合サイト https://jinzai.hellowork.mhlw.go.jp/JinzaiWeb
- 都道府県労働局・労働基準監督署 労働者向けリーフレット「『スポットワーク』の注意点」(R7.7版) https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/001512298.pdf
9. タメシビで想定していること
タメシビは、看護師・准看護師が、施設と直接雇用契約を結んで1日単位で働けるスポット勤務サービスです。派遣ではないため、雇用主は勤務先の施設です。応募後、施設が内容を確認して勤務が確定します(事前の面接・書類選考はありません)。求人には、業務内容、必要な経験、持ち物、当日の流れを明示する方針です。
求人を探す経路の違いは「看護師の単発の求人の探し方」にまとめています。
タメシビは2026年内のサービス開始に向けて準備中で、どの地域・どの種類の求人が掲載されるかは、これから決まります。
よくある質問
看護師の派遣は違法ですか
場所によります。 病院・診療所・介護老人保健施設・介護医療院・居宅などでの看護師の業務は派遣が原則禁止で、社会福祉施設等では認められています(2章)。
病院で派遣の看護師として働くことはできますか
原則はできません。 紹介予定派遣、休業の代替、へき地の場合は例外として派遣ができます(3章)。
訪問看護は派遣で働けますか
居宅での看護師の業務は、派遣の原則禁止の対象です。 兵庫労働局の資料は、訪問看護を医療関係業務の例に挙げています(2章)。
介護施設なら派遣で働けますか
施設の種類によります。 介護老人保健施設と介護医療院は原則禁止、特別養護老人ホームやデイサービスなどの社会福祉施設等は派遣が認められています(2章)。個別の施設が当たるかは、都道府県労働局で確かめてください。
准看護師も派遣で働けますか
場所と例外のルールは看護師と同じ政令の規定で決まります。 ただし、社会福祉施設等での日雇派遣は、准看護師は対象外です(6章)。
派遣でも社会保険に入れますか
派遣会社に、健康保険・厚生年金保険・雇用保険への加入の義務があります(7章)。
時給はどのくらいですか
この記事では賃金の相場は扱いません。 待遇の決め方と、説明を求められることは7章にまとめています。
まとめ
看護師の派遣は、病院・診療所・助産所・オンライン診療受診施設・介護老人保健施設・介護医療院・居宅での業務が原則禁止で、社会福祉施設等では認められています。禁止の場所でも、紹介予定派遣、休業の代替、へき地の場合は派遣ができます。
紹介予定派遣は派遣期間が6か月までで、同じ組織単位で働けるのは原則3年までです。社会保険は派遣会社に加入させる義務があり、待遇の差について説明を求めることができます。応募前に、派遣会社の許可、働く場所、派遣の種類、契約期間、待遇の決め方を確かめてください。
この記事の主な一次情報
- 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律施行令 第2条(令和8年3月27日政令第66号による改正後)
- 厚生労働省 通知(令和3年3月2日)
- 厚生労働省 スタートアップ労働条件 Q&A(受入期間制限、紹介予定派遣)
- 厚生労働省・都道府県労働局「派遣労働者の同一労働同一賃金 改正ポイントのご案内~令和8年10月1日施行~」
- 兵庫労働局・福岡労働局・東京労働局の資料
※2026年10月13日に確認。法令や資料は改正されることがあります。この記事は制度の紹介であり、個別の求人や職場で派遣が認められるかについて判断を示すものではありません。賃金の相場、特定の派遣会社の紹介は扱っていません。
タメシビの先行登録
タメシビは、看護師が1日単位で施設と直接雇用契約を結んで働けるスポット勤務サービスです。応募後、施設が内容を確認して勤務が確定します(事前の面接・書類選考はありません)。求人には業務内容、必要な経験、持ち物、当日の流れを明示し、働いてから、その職場で続けるかをご自身で選べます。看護師・准看護師の登録料・利用料は無料です。
タメシビは2026年内のサービス開始に向けて準備中で、現在はLINEで先行登録を受け付けています。現時点で求人への応募を受け付けているものではありません。求人が公開されたときにお知らせを受け取りたい方は、先行登録をご利用ください。