離島やへき地の医療は、へき地医療拠点病院が、へき地診療所への医師の派遣・代診・巡回診療を担う形で支えられています。 厚生労働省の資料には、常勤の医師がいない島の診療所に看護師だけが常駐している例も載っています。

看護師が離島で働く形には、医療機関に直接雇われる形と、へき地の例外として認められる派遣があります。自治体によっては、県外から離島の医療機関に就職する看護師について、赴任の費用などを補助する事業もあります。

この記事は、厚生労働省のへき地医療の資料、県の事業、労働基準法の解説をもとに、離島・へき地で働く看護師が知っておく制度と、赴任前に確かめることを整理します。給料・手当・補助の金額、離島の暮らしの体験談は、この記事では扱いません。

この記事の結論

  • 離島・へき地の医療は、へき地医療拠点病院が、へき地診療所への医師の派遣・代診・巡回診療を担う仕組みで支えられています(1章)
  • 看護師が働く形には、医療機関に直接雇われる形があります。看護師の業務は病院などでの派遣が原則禁止ですが、へき地では例外として派遣ができます(2章)
  • 常勤の医師がいない診療所で看護師だけが常駐している例が、厚生労働省の資料に載っています。業務の範囲は保健師助産師看護師法の定めによります(3章)
  • 自治体には、看護師の誘致・支援の事業がある場合があります(4章)
  • 住む場所を変えて働く場合は、住まい・赴任旅費・契約期間・帰郷旅費を赴任前に確かめます(5章)
  • いずれも2026年10月時点の資料によります

読みたい箇所から確認する

1. 離島・へき地の医療の仕組み

先に答えを置きます。へき地医療拠点病院が、へき地診療所への医師の派遣、代診医の派遣、巡回診療を担います。この3つは「主要3事業」と呼ばれています。

厚生労働省の資料(令和5年5月の医療政策研修会)は、次のように説明しています。

へき地医療拠点病院が特に取り組むこととされている事業であるへき地診療所等への医師派遣、代診医派遣、巡回診療を合わせて「主要3事業」と呼ぶ。

担い手

役割(資料の記載から)

へき地医療拠点病院

へき地診療所などへの医師の派遣、代診医の派遣、巡回診療

へき地診療所

拠点病院からの医師の派遣や巡回診療を受ける側として、資料の事例に出てくる

巡回診療

拠点病院から診療所へ定期的に出向く(資料の例:毎月第1月曜日)

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2. 看護師が離島・へき地で働く形

先に答えを置きます。医療機関に直接雇われる形があります。看護師の業務は病院・診療所などでの派遣が原則禁止ですが、働く場所がへき地にある場合は、例外として派遣ができます。

働く形

内容

詳しい記事

直接雇用(期間の定めなし)

医療機関の職員として働く

—

直接雇用(有期契約)

期間を決めて働く。期間の上限・更新・途中の扱いに定めがある

看護師の短期バイトとは 3章

派遣(へき地の例外)

派遣会社に雇われ、へき地の医療機関で働く

看護師の単発バイトは違法? 3章

労働者派遣法施行令2条は、看護師・准看護師の業務について、派遣労働者の「就業の場所がへき地にある場合」を派遣の禁止から除いています。ここでいうへき地は、離島振興法などに定める地域を含む市町村です(施行令2条2項)。働く場所がこれにあたるかは、派遣会社と都道府県労働局で確かめてください。

派遣の禁止と例外は「看護師の派遣」にまとめています。

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3. 医師が常駐しない診療所と、看護師の業務の範囲

先に答えを置きます。厚生労働省の資料には、常勤の医師がいない島の診療所に看護師だけが常駐し、ICTで医師とつながる例が載っています。看護師の業務の範囲は、医師がいない場所でも保健師助産師看護師法の定めによります。

厚生労働省の資料は、鹿児島県十島村の例として、へき地診療所が「常勤医が不在で看護師のみの常駐となっている」こと、「患者宅を看護師が訪問する際に」タブレット端末を持参し、必要なときに医師へ生体データを伝える仕組みを紹介しています。大分県の例では、オンライン診療のときの機器の操作を支援する「訪問看護師用のタブレット購入経費を支援」しているとしています。

この記事は、医師がいない場所で看護師がどこまでできるかを判断しません。 診療の補助と医師の指示の関係(保健師助産師看護師法5条・37条)は「看護師ができる医療行為・できない医療行為」の1章に、看護師が患者のそばにいて医師がオンラインで診察する形(D to P with N)は「看護師の在宅ワーク」の1章にまとめています。

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4. 自治体の誘致・支援の事業

先に答えを置きます。自治体によっては、離島の医療機関に就職する看護師の赴任の費用などを、医療機関を通じて補助する事業があります。働きたい地域の都道府県・市町村の事業を確かめてください。

例として、沖縄県の「看護師等誘致支援事業」(令和6年度)は、県外から看護師等を誘致した県内離島の民間医療機関等に対して、赴任旅費や就業助成金など、看護師等の就業に要する経費を補助する事業です。リーフレットは、誘致する看護師等の条件を次のように挙げています。

  • 看護師・保健師・助産師・准看護師のいずれかの資格がある
  • 離島に移住する直前まで県外に住んでいた
  • 県内離島の医療機関等に看護師等として就職する
  • 県内離島の医療機関等で週30時間以上、かつ1年以上勤務する

補助を受けるのは医療機関で、事業の有無や条件は年度・自治体ごとに違います。この記事では補助の金額は扱いません。 応募先の医療機関に、この種の事業の対象になる求人かどうかを確かめてください。

離島・へき地の求人は、都道府県ナースセンターにも相談できます。求人を探す経路の違いは「看護師の単発の求人の探し方」の2章にまとめています。

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5. 赴任前に確かめること——住まい・旅費・契約期間

先に答えを置きます。住む場所を変えて働く場合は、住まい、赴任旅費、契約期間、医師との連絡体制、帰郷の旅費を確かめます。明示された労働条件が事実と違っていた場合の帰郷旅費には、労働基準法の定めがあります。

栃木労働局は、労働基準法15条について次のように説明しています。

2の場合、就業のために住居を変更した労働者が、契約解除の日から14日以内に帰郷する場合、使用者は必要な旅費等を負担しなければなりません。

ここでいう「2の場合」は、明示された労働条件が事実と違っていて、労働者が即時に労働契約を解除する場合です。

確かめること

聞き方

住まい

「住まいは用意されていますか。費用の負担と、契約が終わったあとの扱いは」

赴任旅費

「赴任の旅費は出ますか。返す取り決めはありますか」。取り決めがある場合は、契約の前に内容を書面で確かめる

契約期間

「期間の定めはありますか。更新の有無と基準は」

医師との連絡体制

「医師が不在の時間帯に、誰にどう連絡しますか」

急変時の搬送

「島の外へ搬送が必要なとき、手順と連絡先は決まっていますか」

医療機器・薬の補充

「機器や薬が足りなくなったとき、どう補充しますか」

労働条件の明示

赴任前に、書面などで労働条件を受け取れるか

有期契約の期間の途中で続けられなくなった場合の定めは「看護師の短期バイトとは」の5章に、労働条件の明示は「単発バイトに労働条件通知書はある?」にまとめています。

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6. タメシビで想定していること

タメシビは、看護師・准看護師が、施設と直接雇用契約を結んで1日単位で働けるスポット勤務サービスです。応募後、施設が内容を確認して勤務が確定します(事前の面接・書類選考はありません)。求人には、業務内容、必要な経験、持ち物、当日の流れを明示する方針です。

タメシビは2026年内のサービス開始に向けて準備中で、どの地域・どの種類の求人が掲載されるかは、これから決まります。

よくある質問

離島で働く看護師の求人は、どこで探せますか

都道府県ナースセンターにも相談できます(4章)。求人を探す経路の違いは「看護師の単発の求人の探し方」にまとめています。働く形は、医療機関に直接雇われる形と、へき地の例外としての派遣があります(2章)。

医師がいない島で、看護師は何をしますか

厚生労働省の資料に、看護師だけが常駐する診療所で、ICTを使って医師とつながる例が載っています(3章)。業務の範囲は保健師助産師看護師法の定めによります。

離島で派遣として働けますか

働く場所がへき地にある場合は、看護師の業務の派遣の禁止から除かれています(2章)。へき地にあたるかは、派遣会社と都道府県労働局で確かめてください。

赴任の費用は自分で払うのですか

求人と自治体の事業によります。 赴任旅費を医療機関を通じて補助する自治体の事業もあります(4章)。

聞いていた条件と違ったら、帰りの旅費はどうなりますか

明示された労働条件が事実と違っていて即時に契約を解除した場合、住居を変えた労働者が14日以内に帰郷するときの旅費は、使用者が負担する定めがあります(5章)。

まとめ

離島・へき地の医療は、へき地医療拠点病院が、へき地診療所への医師の派遣・代診・巡回診療を担う仕組みで支えられています。看護師が働く形には医療機関に直接雇われる形があり、へき地では派遣が例外として認められています。

常勤の医師がいない診療所に看護師だけが常駐する例もあり、業務の範囲は保健師助産師看護師法の定めによります。住む場所を変えて働く場合は、住まい・赴任旅費・契約期間・医師との連絡体制を赴任前に確かめてください。自治体の誘致・支援の事業がある地域もあります。

この記事の主な一次情報

  • 厚生労働省 医政局地域医療計画課「へき地の医療体制について」(令和5年度第1回医療政策研修会)
  • 沖縄県「看護師等誘致支援事業」(令和6年度リーフレット)
  • 労働者派遣法施行令 第2条
  • 栃木労働局「労働条件の明示(第15条)」

※2026年10月13日に確認。制度や事業は改正・変更されることがあります。この記事は制度と公的資料の紹介であり、個別の求人や勤務について判断を示すものではありません。給料・手当・補助の金額は扱っていません。

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