看護師の在宅ワークには、電話・オンラインの健康相談、保健指導、医療の文章の執筆・監修などがあります。 ただし、患者に直接触れる療養上の世話や診療の補助は、自宅からはできません。電話やオンラインの相談で言えることにも、国の指針が示す線があります。

在宅ワークの働き方は、雇われて在宅で働く形(雇用型テレワーク)と、業務委託で仕事を受ける形(自営型テレワーク)に分かれます。どちらかによって、守られるルールが変わります。

この記事は、厚生労働省の指針とガイドラインをもとに、看護師の在宅ワークの線引きと、始める前に確かめることを整理します。報酬の相場や、おすすめの仕事・サービスは、この記事では扱いません。

この記事の結論

  • 在宅でできる仕事には、相談・指導・執筆などが挙げられます。患者のそばで行う療養上の世話や診療の補助は、自宅からはできません(1章)
  • 電話・オンラインの健康相談は、国の指針では「遠隔健康医療相談(医師以外)」にあたり、一般的な医学的情報の提供や受診勧奨にとどまるものとされています(2章)
  • 雇われて在宅で働く場合は、労働基準法などがそのまま適用されます(3章)
  • 業務委託で在宅で働く場合は、厚生労働省の自営型テレワークのガイドラインが、契約条件の文書での明示や報酬の支払期日などを示しています(4章)
  • 自宅で相談者の情報を扱うときも、守秘義務は変わりません(5章)
  • 始める前に、雇用か業務委託か、契約条件、情報の扱い、本業の副業規定を確かめます(6章)

読みたい箇所から確認する

1. 看護師が在宅でできる仕事の種類

先に答えを置きます。在宅でできるのは、相談・指導・執筆など、患者に直接触れない仕事です。患者のそばで行う療養上の世話や診療の補助は、自宅からはできません。

仕事の種類

看護師の資格との関係

詳しい記事

電話・オンラインの健康相談

一般的な医学的情報の提供や受診勧奨にとどまる(2章)

看護師のコールセンター

保健指導・健康に関する相談

依頼元の事業と、担当できる資格の定めによる(特定保健指導の実施者に看護師を含める経過措置がある)

産業看護師(企業の健康管理室)の仕事

医療・健康の文章の執筆・監修

看護の知識を使うが、患者に対する看護業務ではない

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患者のそばにいる形は、在宅ではない

オンライン診療には、看護師が患者のそばにいて、医師がオンラインで診察し、その場で看護師に診療の補助を指示する形(D to P with N)もあります。オンライン診療の指針は、この形を、患者の同意の下、「患者は看護師等が側にいる状態で診療を受け」、医師が診療の補助行為を看護師等に指示するものとしています。看護師は患者の自宅や施設に出向くので、自宅で完結する在宅ワークとは違います。

看護師の資格を使わない在宅の仕事も、「看護師の副業」として紹介されることがあります。副業全体の選び方は「看護師の副業の種類と選び方」にまとめています。

この章の出典

2. 電話・オンライン相談で言えることの線

先に答えを置きます。国の指針は、医師以外が行う電話やオンラインでの健康相談を「遠隔健康医療相談(医師以外)」と定義し、一般的な医学的情報の提供や一般的な受診勧奨にとどまるものとしています。相談者の個別の状態を踏まえた診断などは、この定義から外れます。

厚生労働省の「オンライン診療の適切な実施に関する指針」は、遠隔健康医療相談を(医師)と(医師以外)に分け、(医師以外)を次のように定義しています(平成30年3月策定、令和4年1月一部改訂の版で確認)。指針はその後も改訂されることがあるため、現行の区分は厚生労働省のオンライン診療のページで確かめてください。

医師又は医師以外の者―相談者間において、情報通信機器を活用して得られた情報のやりとりを行うが、一般的な医学的な情報の提供や、一般的な受診勧奨に留まり、相談者の個別的な状態を踏まえた疾患のり患可能性の提示・診断等の医学的判断を伴わない行為

定義の中に入ること

定義から外れること

一般的な医学的情報の提供、一般的な受診勧奨

相談者の個別の状態を踏まえた、病気の可能性の提示や診断

在宅で相談の仕事を受けるときは、依頼元がどこまでを答えてよい範囲としているか(相談の手順書、受診をすすめる基準)を確かめてください。線引きの詳しい読み方は「看護師のコールセンター」の2章にまとめています。

この章の出典

3. 雇われて在宅で働く場合——看護師のテレワーク(雇用型)

先に答えを置きます。雇われて在宅で働く場合も、労働基準法などの労働基準関係法令がそのまま適用されます。ガイドラインは、テレワークを行う場所の明示と、使用者による労働時間の把握を示しています。

厚生労働省の「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」(令和3年3月)は、次のように示しています。

項目

内容(要約)

適用される法令

労働基準法上の労働者には、テレワークでも、労働基準法・最低賃金法などの労働基準関係法令が適用される

就業場所の明示

自宅など、テレワークを行う場所を明示する

労働時間

労働時間の適正な把握のためのガイドラインも踏まえて、使用者が労働時間を把握する

費用の負担

情報通信機器などの負担を労働者にさせる定めをする場合は、就業規則に定める(労働基準法89条5号)

雇われて働くときの労働条件の明示は「単発バイトに労働条件通知書はある?」にまとめています。

この章の出典

4. 業務委託で在宅で働く場合(自営型テレワーク)

先に答えを置きます。業務委託で在宅の仕事を受ける働き方は「自営型テレワーク」と呼ばれ、厚生労働省のガイドラインが、注文者が守るべきことを示しています。

厚生労働省の「自営型テレワークの適正な実施のためのガイドライン」(平成30年2月改定、令和8年7月一部改正)は、自営型テレワークを、注文者から委託を受け、情報通信機器を使って、主に自宅などで成果物の作成や役務の提供を行う働き方としています。注文者が守るべきこととして、次の点を挙げています。

項目

内容(要約)

契約条件の明示

注文者の情報、仕事の内容、報酬、納期、検収日、契約変更の扱いなど12項目を、文書(電子メール・ウェブも可)で明示する

記録の保存

契約条件の記録を3年間保存する

報酬の支払期日

成果物を受け取った日、または役務の提供を受けた日から「30日以内とし、長くても60日以内」

個人情報

自営型テレワーカーや応募者の個人情報を、本人の同意なく利用目的の範囲を超えて扱わない

平成30年の改定で、クラウドソーシングなどの仲介事業者を介した契約も対象になっています。

業務委託と雇用の違い、フリーランスの取引のルールは「看護師の単発求人の「業務委託」とは」にまとめています。契約が業務委託か雇用かの判断は、この記事では行いません。

この章の出典

5. 自宅で相談者・患者の情報を扱うとき

先に答えを置きます。看護師の守秘義務(保健師助産師看護師法42条の2)は、働く場所が自宅でも変わりません。資格を失った後も続きます。

在宅の仕事では、相談者の情報を自宅のパソコンや電話で扱います。依頼元から、情報の保存・持ち出し・消去のルールが示されているかを確かめてください。自営型テレワークのガイドラインは、自営型テレワーカーが業務上知り得た個人情報の取扱いを契約条件として文書で明らかにすることと、注文者が個人情報の取扱いを委託するときは必要な監督を行うことを示しています(4章)。

守秘義務の根拠と、退職後も続くことは「看護師の守秘義務はどの法律にあるか」にまとめています。

6. 始める前に確かめること

先に答えを置きます。雇用か業務委託か、契約条件、相談で答えてよい範囲、情報の扱い、本業の副業規定を確かめます。

確かめること

見るところ・聞き方

雇用か業務委託か

「雇用契約ですか、業務委託契約ですか」

契約条件

雇用なら労働条件通知書、業務委託なら契約条件の文書(4章)

報酬の支払期日

「報酬はいつ支払われますか」

答えてよい範囲

相談の手順書、受診をすすめる基準(2章)

情報の扱い

保存・持ち出し・消去のルール、使う機器の指定

費用の負担

通信費や機器を誰が負担するか

本業の副業規定

勤務先の就業規則(「看護師の副業禁止はどこまで有効?」)

仕事を受ける前に費用を求められる場合は、その費用が何のためのものかを確かめてください。

7. 在宅ワークと、施設で1日働く単発の違い

先に答えを置きます。在宅ワークで挙げられるのは、患者に直接触れない仕事です。施設で1日働く単発は、看護師として患者のそばで働く形です。

在宅ワーク

施設で1日働く単発

働く場所

自宅

施設

主な仕事

相談・指導・執筆など

施設での看護業務(療養上の世話・診療の補助など)

働き方の形

雇用、または業務委託

求人による(直接雇用・派遣・業務委託など)

単発の勤務の形の違いは「看護師の単発バイトは違法?」にまとめています。

8. タメシビで想定していること

タメシビは、看護師・准看護師が、施設と直接雇用契約を結んで1日単位で働けるスポット勤務サービスです。応募後、施設が内容を確認して勤務が確定します(事前の面接・書類選考はありません)。求人には、業務内容、必要な経験、持ち物、当日の流れを明示する方針です。

タメシビは、施設に出向いて1日単位で働く勤務のためのサービスです。

タメシビは2026年内のサービス開始に向けて準備中で、どの地域・どの種類の求人が掲載されるかは、これから決まります。

よくある質問

看護師の資格を活かせる在宅ワークはありますか

電話・オンラインの健康相談、保健指導、医療の文章の執筆・監修などがあります(1章)。患者に直接触れる仕事は、自宅からはできません。

電話相談で、病名を伝えてもよいですか

国の指針の「遠隔健康医療相談(医師以外)」は、相談者の個別の状態を踏まえた診断などを伴わないものとされています(2章)。答えてよい範囲は、依頼元の手順書で確かめてください。

在宅ワークにも労働基準法は適用されますか

雇われて働く場合は適用されます(3章)。業務委託の場合は、自営型テレワークのガイドラインが注文者の守るべきことを示しています(4章)。

本業が看護師でも、在宅で副業できますか

勤務先の就業規則によります。 副業の届出や許可の手順は「看護師の副業禁止はどこまで有効?」にまとめています(6章)。

報酬はどのくらいですか

この記事では報酬の相場は扱いません。 業務委託の場合は、報酬と支払期日を契約条件の文書で確かめてください(4章)。

まとめ

看護師の在宅ワークには、電話・オンラインの健康相談、保健指導、執筆・監修など、患者に直接触れない仕事が挙げられます。電話やオンラインの相談は、国の指針で「遠隔健康医療相談(医師以外)」とされ、一般的な医学的情報の提供や受診勧奨にとどまるものとされています。

雇われて在宅で働く場合は労働基準法などが適用され、業務委託の場合は自営型テレワークのガイドラインが契約条件の明示や報酬の支払期日を示しています。始める前に、雇用か業務委託か、契約条件、答えてよい範囲、情報の扱い、本業の副業規定を確かめてください。

この記事の主な一次情報

  • 厚生労働省「オンライン診療の適切な実施に関する指針」(平成30年3月)
  • 厚生労働省「オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会」資料
  • 厚生労働省「自営型テレワークの適正な実施のためのガイドライン」(平成30年2月改定、令和8年7月一部改正)
  • 厚生労働省「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」(令和3年3月)
  • 保健師助産師看護師法 第42条の2

※2026年10月12日に確認。指針・ガイドラインは改定されることがあります。この記事は制度の紹介であり、個別の仕事や契約について判断を示すものではありません。報酬の相場、特定のサービスの紹介は扱っていません。

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