守秘義務は、看護の仕事についてまわる言葉です。ただ、どの法律の何条に書かれているかを確かめたことがある人は、そう多くないかもしれません。

そして単発で働く場合、この義務の意味が少し変わります。複数の職場を短い間隔で行き来するため、話が混ざる場面が増えるからです。

この記事では、根拠となる条文を確認したうえで、単発で起きやすい場面を整理しました。

この記事の結論

  • 看護師の守秘義務の根拠は、刑法ではなく保健師助産師看護師法42条の2です(1章)。
  • 同条2項は「保健師、看護師又は准看護師でなくなつた後においても、同様とする」としています。資格を離れても続きます(3章)。
  • 罰則は44条の4にあり、2項は「告訴がなければ公訴を提起することができない」と定めています(4章)。
  • 個人情報保護法2条3項は、病歴を要配慮個人情報に挙げています(5章)。
  • 単発でリスクが上がるのは、行き来する職場の数が多く、比べて語れる立場にあるからです(6章)。

この記事で押さえたいのは3つです

  1. 業務のなかの共有はためらわない。 申し送りや記録は「正当な理由」の中にあります(2章)
  2. 虐待の通報は守秘義務に妨げられない。 条文にそう書かれています(2章)
  3. メモは施設の中で完結させ、退勤前に残っていないかを確認する(7章)

読みたい箇所から確認する

1. 根拠となる条文はどこにあるか

保健師助産師看護師法(昭和23年法律第203号)42条の2第1項は、次のように定めています。

保健師、看護師又は准看護師は、正当な理由がなく、その業務上知り得た人の秘密を漏らしてはならない。

「正当な理由がなく」という限定と、「その業務上知り得た人の秘密」という対象。この2つが要素です。

医師と助産師は、別の法律です

ここは知られていない部分かもしれません。刑法(明治40年法律第45号)134条1項は、秘密漏示罪の対象となる職を列挙しています。挙げられているのは医師、薬剤師、医薬品販売業者、助産師、弁護士、弁護人、公証人です。

この列挙に、看護師は入っていません。 助産師は入っています。

資格

守秘義務の根拠

医師

刑法134条1項

薬剤師

刑法134条1項

助産師

刑法134条1項

保健師・看護師・准看護師

保助看法42条の2

社会福祉士・介護福祉士

社会福祉士及び介護福祉士法46条

助産師と看護師で根拠が分かれているのが、この条文の構造です。保助看法42条の2は、保健師・看護師・准看護師を対象にしています。

同じ職場の他の職種にも、それぞれの条文があります

介護施設で単発で入る日は、介護職と情報を共有しながら働きます。相手側にも、根拠となる条文があります。

社会福祉士及び介護福祉士法(昭和62年法律第30号)46条は、次のように定めています。

社会福祉士又は介護福祉士は、正当な理由がなく、その業務に関して知り得た人の秘密を漏らしてはならない。

同条2項も「社会福祉士又は介護福祉士でなくなつた後においても、同様とする」としています。保助看法42条の2と同じ構造です。

文言には違いがあります。保助看法が「業務上知り得た」、社福士法が「業務に関して知り得た」としています。この記事では文言の違いの解釈には踏み込みません。 押さえておきたいのは、どちらも同じ形で義務を定めているという点です。

なお、介護職との業務の分担については「介護施設で看護師と介護職の業務はどう分かれるか」にまとめています。

准看護師も同じ条文の対象です

42条の2は「保健師、看護師又は准看護師」と書いています。資格の種類によって義務の内容が変わる書き方にはなっていません。 准看護師の求人の見分け方は「准看護師の単発バイト」にまとめています。

この章の出典

2. 「正当な理由」とは何か

42条の2が禁じているのは「正当な理由がなく」漏らすことです。この限定があるので、業務上必要な共有は前提として成り立ちます。

業務のなかの共有は、この限定の中にあります

医師への報告、他職種への申し送り、記録への記載、次の勤務者への引き継ぎ。これらをためらう必要はありません。 そうでなければ看護の業務そのものが成り立ちません。

単発で入る日は、施設の職員に情報を渡す立場にもなります。その日に見たことを申し送らないほうが、むしろ問題になります。 事故やインシデントが起きた日の報告も同じです(「看護師が単発で入った日に事故・インシデントが起きたら」)。

この記事が扱うのは、業務の外に出る場面です。 施設をまたいで話す、家族や友人に話す、SNSに書く。そこが6章の内容になります。

虐待の通報は、守秘義務に妨げられません

ここは条文に明記されています。単発で入る日にも起こりうる場面です。

高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律(平成17年法律第124号)21条1項は、次のように定めています。

養介護施設従事者等は、当該養介護施設従事者等がその業務に従事している養介護施設又は養介護事業(中略)において業務に従事する養介護施設従事者等による高齢者虐待を受けたと思われる高齢者を発見した場合は、速やかに、これを市町村に通報しなければならない。

同条2項は、「発見した者」について、その高齢者の生命または身体に重大な危険が生じている場合は速やかに市町村に通報しなければならないとし、3項は、発見した者は速やかに通報するよう努めなければならないとしています。

そして6項です。

刑法の秘密漏示罪の規定その他の守秘義務に関する法律の規定は、第一項から第三項までの規定による通報をすることを妨げるものと解釈してはならない。

「妨げるものと解釈してはならない」。 守秘義務を理由に通報しないという読み方を、条文が否定しています。

障害のある方の場合も、同じ形です

障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律(平成23年法律第79号)16条1項は、次のように定めています。

障害者福祉施設従事者等による障害者虐待を受けたと思われる障害者を発見した者は、速やかに、これを市町村に通報しなければならない。

こちらは1項の段階で「発見した者」を対象にしています。 高齢者虐待防止法21条1項が「養介護施設従事者等」を主語にしているのと、建て付けが違う部分です。

同条3項も、高齢者の場合と同じ形の規定を置いています。

刑法の秘密漏示罪の規定その他の守秘義務に関する法律の規定は、第一項の規定による通報(虚偽であるもの及び過失によるものを除く。次項において同じ。)をすることを妨げるものと解釈してはならない。

障害者支援施設や障害者グループホームに単発で入る日も、この条文の対象です(「障害者支援施設・生活介護の看護師」「障害者グループホームの看護師」)。

子どもの場合も同じ形です

児童虐待の防止等に関する法律(平成12年法律第82号)6条1項は、「児童虐待を受けたと思われる児童を発見した者」は速やかに通告しなければならないとしています。対象は「発見した者」で、職種による限定はありません。

同条3項は次のように定めています。

刑法(明治四十年法律第四十五号)の秘密漏示罪の規定その他の守秘義務に関する法律の規定は、第一項の規定による通告をする義務の遵守を妨げるものと解釈してはならない。

保育園に入る日も、この条文の対象です(「保育園の看護師の仕事内容」)。

単発で入る立場からすると

自分が高齢者虐待防止法21条1項の「養介護施設従事者等」にあたるかどうかを、その場で判断する必要はありません。 同条2項・3項、障害者虐待防止法16条1項、児童虐待防止法6条1項は、いずれも「発見した者」を対象にしています。

そのうえで、通報の前に、施設の看護責任者や管理者に相談することはできます。 自分ひとりで抱えないでください。判断に迷う場合は、市町村の窓口に相談することもできます。

なお、この記事では個別の場面が通報の対象にあたるかの判断はしません。条文の紹介にとどめています。

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3. 勤務が終わった後も、退職した後も続きます

42条の2には2項があります。

保健師、看護師又は准看護師でなくなつた後においても、同様とする。

資格を離れた後も、義務は続きます。

単発の文脈で読むと

この条文が想定しているのは、資格を失った場合や、看護の仕事を辞めた場合です。退職しても義務は残ります。 そのうえで、この考え方は単発勤務にも当てはまります。

その施設での勤務は1日で終わります。契約も終わります。ただし、その日に知ったことについての義務は、契約が終わっても続きます。

「もうその施設と関係がないから」という理由は、条文の構造から出てきません。関係が終わった後こそ、2項が働く場面です。

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4. 罰則と、告訴がなければ公訴を提起できないこと

同法44条の4は、次のように定めています。

第四十二条の二の規定に違反して、業務上知り得た人の秘密を漏らした者は、六月以下の拘禁刑又は十万円以下の罰金に処する。

そして2項です。

前項の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。

告訴がなければ公訴を提起することができないとされています。これは親告罪と呼ばれる形です。

親告罪であることの意味

親告罪とは、被害を受けた側の告訴がないと起訴できない罪のことです。なぜこの形になっているかというと、裁判で秘密がさらに広まることを避けるためだと説明されます。

つまり2項は、秘密を守られる側の立場を考えた規定です。「告訴されなければ問題にならない」という読み方は、条文の趣旨と向きが逆になります。

刑事の手続とは別に起きること

42条の2は、罰則とは別に義務そのものを定めています。罰則が適用されるかどうかと、義務を守ることは別の話です。

刑事の手続とは別に、次のような形で問題になることがあります。

  • 労働契約上の扱い(就業規則にもとづく措置など)
  • 施設との関係(その施設で働けなくなる、法人単位で扱われる)
  • 仲介するサービスの利用規約にもとづく措置

この記事では、個別の事案がどう扱われるかの判断はしません。 仲介サービスの利用規約が労働契約とは別の枠組みであることは「看護師の単発バイトを当日キャンセルしたら?」の4章で整理しています。

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5. 病歴は要配慮個人情報です

もうひとつ、別の法律があります。

個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)2条3項は、要配慮個人情報を次のように定義しています。

この法律において「要配慮個人情報」とは、本人の人種、信条、社会的身分、病歴、犯罪の経歴、犯罪により害を被った事実その他本人に対する不当な差別、偏見その他の不利益が生じないようにその取扱いに特に配慮を要するものとして政令で定める記述等が含まれる個人情報をいう。

「病歴」が明示されています。

要配慮個人情報とされているのは、その取扱いに特に配慮を要するものだからです。条文は「不当な差別、偏見その他の不利益が生じないように」という理由を書いています。

看護の仕事で扱う情報は、ここに集まります

病歴、服薬の内容、検査の結果、生活の状況。看護記録に書かれていることの多くが、この配慮を要する情報です。

個人情報保護委員会と厚生労働省は「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」を示しています(平成29年4月14日、令和8年4月一部改正)。

従事者の立場からすると、何が変わるか

ガイダンスは事業者に向けられたものです。そのうえで、その体制の中で働くのが、その日に入る自分の立場になります。

要配慮個人情報にあたるということは、実務では次のような形で現れます。

意味すること

記録の扱い

施設の外に出す前提の情報ではない。持ち帰らない(7章)

画面や書類の撮影

施設の規程で扱いが定められている。聞かないと分からない

話す相手

業務上必要な相手に限られる(2章)

保管する場所

施設が管理する場所にある。私物に移さない

「自分は事業者ではないから関係ない」とはなりません。 事業者が整えた体制を、その日にいる自分が使うことになります。

なお、この記事では個人情報保護法が事業者に求めている義務(安全管理措置、第三者提供の制限など)の詳細には踏み込みません。

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6. 単発で起きやすい5つの場面

ここがこの記事の中心です。単発でリスクが上がるのは、注意が足りないからではありません。構造がそうなっています。

常勤

単発を組み合わせる場合

行き来する職場の数

1か所

週に複数か所

比べて語れる立場か

比べる対象がない

比べる対象がある

周囲から聞かれること

「今日どうだった」

「今日はどこ行ったの」

情報管理のルール

知っている

施設ごとに違い、知らない

比べられる立場にいることが、いちばん大きな違いです。

そしてもうひとつ、記憶の新しさがあります。常勤なら、ある日の出来事は日々の業務の中に埋もれていきます。単発では1日が単位なので、その日のことが独立した記憶として残りやすい形になります。

これは記録を書くうえでは利点です。一方、話しやすい形でもあります。

以下の5つは、並べた順序が起きやすさを表すものではありません。

場面1:施設をまたいで話す

「前に入った施設ではこうしていた」という話は、業務の改善につながる場面もあります。ただし、その中に個人が特定されうる情報が混ざることがあります。

施設の名前を出さなくても、地域・規模・状況を組み合わせると特定に近づくことがあります。「どこの話か」を言わずに済む形にできるかが、分かれ目になります。

場面2:メモと写真

単発では短時間で情報を覚える必要があるため、メモを取る場面が増えます。そのメモが施設の外に出ると、扱いが変わります。

私物のスマートフォンで記録や画面を撮影することについては、施設ごとに規程があります。規程を知らない立場で入るので、聞くまで分かりません。 7章にまとめました。

場面3:SNS

この記事では、具体的な投稿の例は挙げません。 挙げること自体が参考にされうるためです。

押さえておきたいのは1点だけです。投稿に施設名や個人名が書かれていなくても、複数の投稿を組み合わせると特定に近づくことがあります。 単発で複数の施設に入る場合、その組み合わせが増えます。

場面4:家族や友人に話す

単発で働いていると、周囲から「今日はどこに行ったの」と聞かれる機会が増えます。常勤なら職場が固定されているので、この質問自体が起きにくい形です。

悪気なく話してしまいやすい場面です。 「どんな仕事だったか」までは話せても、「誰がどうだったか」は別です。

場面5:次の職場で例に出す

新しい施設に入った日、職員から「他ではどうしてますか」と聞かれることがあります。聞かれると答えたくなる場面です。

やり方や手順について答えることと、特定の方の状態について答えることは違います。線をどこに引くかを、聞かれる前に決めておくと迷いません。

7. メモと記録の扱い

単発ではメモが必要になります。そのうえで、扱いを決めておくと迷いません。

自分のメモと、施設に残す看護記録は別のものです。 看護記録が何を根拠に求められ、何年保存されるのかは「看護記録の法的根拠と保存期間」にまとめています。

施設の中で完結させる

メモは施設の中で使い、施設の中で処理するという形が基本になります。持ち帰らなければ、外に出る経路がなくなります。

処理の方法は施設ごとに違います。シュレッダーの場所や、書いたものをどう扱うかを、入る日に確認してください。

書く内容を限る

覚えるために書く場合でも、氏名や部屋番号を書かなくても足りることがあります。 イニシャルや記号で足りるなら、そのほうが安全です。

書いてしまった場合は、施設の中で処理してください。

自分の情報を渡す側にもなります

免許証のコピーを提出する場面では、自分の登録番号や本籍地都道府県名を渡すことになります。提出先と用途の確認については「看護師免許証の扱い方|氏名が変わったとき、なくしたとき、単発で提示するとき」にまとめています。

私物のスマートフォンについて

記録の撮影、画面の撮影、連絡先の保存。これらについて施設ごとに規程があります。 入る日に確認しておく項目です。

「撮影してよいか」を聞く場面は気まずいかもしれません。ただ、聞かずに撮影するほうが、後から問題になりやすい形です。

書面への署名を求められた場合

単発で入る日に、守秘義務についての誓約書や確認書への署名を求められることがあります。

求められた場合は、内容を読んでから署名してください。 確認しておきたいのは次の点です。

  • どの範囲の情報が対象になっているか
  • 勤務が終わった後の扱いが書かれているか
  • 違反した場合について、どのような定めが置かれているか

とくに3つ目は、あらかじめ金額を定める形になっていないかを見てください。 労働基準法16条は、違約金を定めたり損害賠償額を予定したりする契約を禁じています(「看護師の単発バイトを当日キャンセルしたら?」の3章)。

内容に疑問がある場合は、署名する前に聞いてください。その場で読む時間がない形で渡された場合も、読む時間をもらって構いません。

退勤時に確認する

退勤する前に、次の3つを確認する習慣を置いておくと漏れません。

  • メモが残っていないか(ポケット、ユニフォーム、バッグ)
  • 撮影したものがないか
  • 施設から借りたものを返したか

事故やインシデントが起きた日の記録については「看護師が単発で入った日に事故・インシデントが起きたら」にまとめています。

8. 応募や面接で前の職場のことを聞かれたとき

単発の求人でも、経験を聞かれることがあります。

経験を伝えることと、情報を出すことは別です

「どの種類の施設で、どういう業務を経験したか」を伝えることは、経験を伝える範囲の話です。

一方、特定の方の状態や、特定の施設で起きたことを例に出すのは、別の話になります。 聞かれた場合も、施設の種類と業務の内容で答えられます。

書類に書く場合も同じです

履歴書や職務経歴書に書くのは、どこで何を経験したかです。その中で扱った方についての記述は要りません。

なお、タメシビでは事前の面接・書類選考を行わない形を想定しています(応募後、施設が内容を確認して勤務が確定します)。応募のときに何を伝えることになるかは「初めての看護師単発バイト」にまとめています。

9. タメシビで想定していること

タメシビは、看護師が1日単位で施設と直接雇用契約を結んで働けるスポット勤務サービスです。2026年内の開始に向けて準備を進めています。

守秘義務に関わる部分では、次のことを考えています。

  • 求人票に、施設が必要とする情報管理のルールを書いてもらう(撮影の可否、メモの扱いなど)
  • 勤務後に当社が求める報告の範囲を、個人が特定されない内容に限る
  • 利用規約と、当社のプライバシーポリシーで、情報の扱いを明示する

その日に入る人が「何を持ち帰ってよいか」を迷わない形にしておくという考え方です。具体的な内容はサービス開始時にお知らせします。

タメシビは現在、LINEで先行登録を受け付けています。現時点で求人への応募を受け付けているものではありません。

よくある質問

看護師の守秘義務は刑法ではないのですか

1章のとおり、刑法134条1項の列挙に看護師は入っていません。保健師・看護師・准看護師については、保助看法42条の2が定めています。 助産師は刑法134条1項に含まれています。

資格を持っていても働いていない期間はどうなりますか

42条の2第2項は「保健師、看護師又は准看護師でなくなつた後においても、同様とする」としています。業務を離れている期間も、その業務上知ったことについての義務は続くという構造です。

家族に「今日は大変だった」と話すのは問題ですか

この記事では、個別の会話が違反にあたるかの判断はしません。押さえておきたいのは、業務上知り得た人の秘密が対象だという点です。 自分の疲れや感想を話すことと、その方の状態を話すことは別です。

施設名を出さなければ大丈夫ですか

6章のとおり、施設名を出さなくても、地域・規模・状況の組み合わせで特定に近づくことがあります。「特定できるかどうか」で考えてください。

前の施設のやり方を新しい施設で伝えてよいですか

手順やルールについて伝えることと、特定の方について伝えることは別です。8章にまとめています。判断に迷う場合は、その施設の看護責任者に確認してください。

メモを持ち帰ってしまいました

気づいた時点で、施設に連絡して指示を受けてください。自分で処分して終わりにするより、伝えたほうが施設にとって扱いやすい形です。 事故やインシデントの報告と同じ考え方です。

介護職から他の利用者のことを聞かれました

その施設の中で、業務に必要な範囲で情報を共有することは、通常の業務の一部です。1章のとおり、介護福祉士にも社会福祉士及び介護福祉士法46条の義務があります。判断に迷う場面では、その施設の看護責任者に確認してください。

感染症の発生状況を他の施設に伝えてよいですか

自分の体調管理のために必要な範囲を超えて、前の施設の利用者の情報を別の施設で話すことは避けてください。自分の症状を伝えることと、前の施設で何があったかを伝えることは別です。 複数の施設を行き来する場合の考え方は「看護師が単発で複数の施設に入るときの感染対策」にまとめています。

本業の職場に、単発で入った施設のことを話してよいですか

副業として単発で働く場合、本業の職場への届出が求められることがあります。そのときに伝えるのは、勤務の日時や業務の種類です。 利用者や患者についての情報は別です。届出の項目は「看護師の副業は禁止できる?」にまとめています。

単発で入った施設から、あとで問い合わせが来ることはありますか

その日の記録について確認の連絡が来ることはありえます。その場合も、答える相手はその施設です。 他の施設や第三者に情報を渡すことにはなりません。

まとめ

看護師の守秘義務の根拠は、刑法ではなく保健師助産師看護師法42条の2です。刑法134条1項の列挙には医師・薬剤師・助産師などが挙げられていますが、看護師は入っていません。助産師と看護師で根拠が分かれている構造になっています。

42条の2第2項は「でなくなつた後においても、同様とする」としています。単発の勤務は1日で終わり、契約も終わりますが、その日に知ったことについての義務は終わりません。

44条の4には罰則があり、2項は告訴がなければ公訴を提起することができないとしています。ただし、これは刑事手続の要件で、義務そのものの有無とは別の話です。

そのうえで、虐待の通報は守秘義務に妨げられません。 高齢者・障害者・児童のいずれの法律にも、「守秘義務に関する法律の規定は…妨げるものと解釈してはならない」という文言が置かれています。

単発でリスクが上がるのは、注意が足りないからではなく、行き来する職場の数が多く、比べて語れる立場にあるからです。 施設をまたいで話す、メモと写真、SNS、家族や友人に話す、次の職場で例に出す。この5つの場面を知っておくだけで、迷う回数が減ります。

メモは施設の中で完結させ、退勤前に残っていないかを確認する。この2つを習慣にしておくのが、いちばん確実な方法です。

単発勤務そのものの進め方は「看護師の単発バイト完全ガイド」にまとめています。

この記事の主な一次情報

法令

公的資料

※法令は2026年9月28日、障害者虐待防止法16条とガイダンスの版は2026年9月30日に確認。法令および公的資料は改正・更新されることがあります。この記事は条文と公的資料の紹介であり、個別の事案が守秘義務の違反にあたるかどうかの判断を示すものではありません。

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