看護師の採用面接の準備は、履歴書・職務経歴書に書いた内容と、勤務条件の希望を、口頭で説明できるようにしておくことから始めます。 面接で何を聞かれるかは施設によって違いますが、応募書類と求人の条件が出発点になります。
一方で、行政は、本籍や家族、思想・宗教、尊敬する人物などを面接で尋ねることを「就職差別につながるおそれがある」事項として示しています。女性にだけ出産後も働き続けるかを聞くことは、男女雇用機会均等法の指針が性別による差別の例に挙げています。
この記事は、面接で準備しておく項目と、行政の資料が「聞いてはいけない」としている質問を整理します。模範回答の文例は載せていません。面接で聞かれた個別の質問が問題かどうかは、この記事では判断しません。
聞いてはいけないとされる質問の早見表
根拠 | 代表的な例 |
|---|---|
就職差別につながるおそれがある14事項(行政の啓発) | 本籍・出生地、家族の職業や収入、住宅状況、思想・宗教・支持政党、尊敬する人物、労働組合、愛読書 |
男女雇用機会均等法5条と指針 | 女性にだけ、子どもが生まれた場合に働き続けるかを聞く |
職業安定法5条の5と指針 | 人種・本籍・出生地など、思想・信条、労働組合への加入状況の収集 |
この記事の結論
- 常勤・パートの採用では、選考の流れに面接が入る形が見られます。1日単位の直接雇用の単発では、事前の面接がない働き方もあります(1章)
- 準備するのは、志望動機、職歴と退職理由、ブランク、勤務条件の希望、免許、業務に関わる健康の確認です。どれも応募書類や求人の条件と結びついています(2章)
- 行政の資料は、本籍・家族・住宅状況・思想・宗教・支持政党・尊敬する人物・労働組合・愛読書などを、就職差別につながるおそれがある事項として示しています(3章)
- 女性にだけ「子どもが生まれたら働き続けるか」を聞くことは、均等法の指針が性別による差別の具体例に挙げています(3章)
- 面接は、こちらが職場を確かめる場でもあります。逆質問の文例と、条件を書面でもらうことは別の記事にまとめています(5章)
読みたい箇所から確認する
- 1. 面接がある働き方、ない働き方
- 2. 準備しておく項目——応募書類から逆算する
- 3. 聞いてはいけないとされている質問
- 4. そうした質問をされたとき
- 5. 面接で自分から確かめること
- 6. タメシビで想定していること
- よくある質問
1. 面接がある働き方、ない働き方
先に答えを置きます。常勤・パートの採用では、応募書類と面接で選考する形が見られます。1日単位の直接雇用の単発では、事前の面接がない働き方もあります。
働き方 | 採用の流れ |
|---|---|
常勤・パート | 応募書類 → 面接(見学を組み合わせることも) → 内定 → 労働条件の明示 |
1日単位の直接雇用(単発) | 求人に応募 → 施設が内容を確認して勤務が確定(事前の面接がない形もある) |
この記事は、常勤・パートの採用面接を前提にしています。見学の申し込み方と当日の観察ポイントは「看護師の職場見学チェックポイント」にまとめています。
2. 準備しておく項目——応募書類から逆算する
先に答えを置きます。面接で聞かれる内容は施設によって違いますが、準備は、履歴書・職務経歴書に書いたことと、求人の条件に対する自分の希望を、口頭で説明できるようにしておくことです。
準備する項目 | 応募書類・求人のどこと結びつくか | 準備のしかた |
|---|---|---|
志望動機 | 履歴書の志望動機欄 | 求人の業務内容・施設の種類と、自分の経験や希望がどうつながるかを言葉にしておく |
経験した診療科・業務 | 職務経歴書 | 経験した施設の種類・診療科・病棟と、担当した業務(対応してきた処置など)を、求人の業務内容と照らして説明できるようにしておく |
職歴と退職理由 | 履歴書の職歴欄、職務経歴書 | 書いた職歴の順に、各職場で担当した業務と、辞めた理由を説明できるようにしておく |
ブランク | 職歴の空白期間 | 空白期間に何をしていたか、復職に向けて何をしたか(研修など)を整理しておく |
勤務条件の希望 | 求人の勤務時間・夜勤・休日 | 夜勤の可否と回数、勤務できる曜日・時間帯、勤務開始の時期を決めておく |
免許 | 履歴書の免許・資格欄 | 免許の種類と登録の状況。免許証の提示を求められることがある |
業務に関わる健康の確認 | 求人の応募条件 | 抗体価の証明など、求人が指定しているものを確認しておく |
項目ごとの関連記事
- 経験した診療科・業務と職歴:転職回数に公的な定義はありません。履歴書と職務経歴書の役割の違い(ハローワークの説明)、職歴の書き方、単発の勤務を職歴にどう書くかは「看護師の履歴書・職務経歴書」の3章・4章にまとめています
- ブランク:都道府県ナースセンターの相談や復職支援研修は「ブランクのある看護師の復職ガイド」にまとめています
- 免許:免許証を提示する場面と、氏名が変わったときの手続きは「看護師免許証の扱い方」にまとめています
- 健康の確認:求人が抗体価の証明を指定する場合の考え方は「単発で働く看護師の健康診断」の6章にまとめています
業務に関わる健康の確認と、3章の「合理的・客観的に必要性が認められない健康診断」は別のものです。求人が何を、何のために求めているかを確認してください。
3. 聞いてはいけないとされている質問
先に答えを置きます。行政の資料は、本人に責任のない事項と、本来自由であるべき事項を面接で尋ねることを、就職差別につながるおそれがあるとしています。あわせて、均等法の指針と職業安定法の指針が、それぞれ別の角度から、採用時の質問や個人情報の収集について定めています。
就職差別につながるおそれがある14事項
厚生労働省の「公正な採用選考をめざして」は、採用選考時に配慮すべき事項として、次の14事項を挙げています。
区分 | 事項 |
|---|---|
本人に責任のない事項 | 出生地・本籍/家族(続柄・職業・地位・健康・病歴・収入・資産・学歴など)/住宅状況(住宅の種類・部屋数・間取り・近隣の施設など)/生活環境・家庭環境 |
本来自由であるべき事項 | 宗教/支持政党/人生観・生活信条など/尊敬する人物/思想/労働組合(加入状況や活動歴など)・学生運動などの社会運動/購読新聞・雑誌・愛読書など |
採用選考の方法 | 身元調査などの実施/本人の適性・能力に関係ない事項を含んだ応募書類の使用/合理的・客観的に必要性が認められない採用選考時の健康診断の実施 |
(表はリーフレットの表記を要約したものです)
「家族の職業は」「ご両親と同居ですか」「尊敬する人物は」などは、この表の事項に関わる質問です。
女性にだけ出産後も働き続けるかを聞く質問——均等法の指針
男女雇用機会均等法5条は、次のように定めています。
事業主は、労働者の募集及び採用について、その性別にかかわりなく均等な機会を与えなければならない。
栃木県のQ&Aは、同法10条にもとづく指針に、採用面接時に子どもが生まれた場合の継続就労について女性に対してのみ質問することが、性別を理由とする差別的取扱いの具体例として明記されていると説明しています。厚生労働省の啓発資料も、面接で「結婚や出産後も働き続けるか」を女性にだけ質問された事例を、均等法5条に違反する差別として示しています。厚生労働省・都道府県労働局の資料「雇用における男女の均等な機会と待遇の確保のために」(平成28年5月)も、「女性にだけ子供が生まれた場合の就業継続意思を質問する」ことを例に挙げています。
収集してはならない個人情報——職業安定法の指針
職業安定法5条の5に関する指針(平成11年労働省告示第141号)は、労働者の募集を行う者などが、次の個人情報を収集してはならないとしています。
収集してはならない個人情報 | |
|---|---|
イ | 人種、民族、社会的身分、門地、本籍、出生地その他社会的差別の原因となるおそれのある事項 |
ロ | 思想及び信条 |
ハ | 労働組合への加入状況 |
ただし、特別な職業上の必要性が存在することその他業務の目的の達成に必要不可欠であって、収集目的を示して本人から収集する場合は、この限りでないとされています。
この章の出典
- 厚生労働省「公正な採用選考をめざして」(採用選考時に配慮すべき事項)
- 雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律 5条、栃木県「男女雇用機会均等(Q59)」、厚生労働省の均等法啓発資料、厚生労働省・都道府県労働局「雇用における男女の均等な機会と待遇の確保のために」(平成28年5月)
- 職業安定法 5条の5、指針(平成11年労働省告示第141号)
4. そうした質問をされたとき
先に答えを置きます。3章の事項は、行政が企業に「尋ねない」よう示しているものです。聞かれたときは、答える範囲を自分で決めて伝える方法があります。
場面 | 考え方 |
|---|---|
本籍・家族・思想などを聞かれた | 3章の14事項に関わる質問。「業務に関係のある内容でお答えしたいです」など、答える範囲を自分で決めて伝える方法がある |
女性にだけ、出産後も働き続けるかを聞かれた | 均等法の指針が差別の具体例に挙げている質問(3章) |
勤務条件に関わる確認だった | 夜勤の可否や勤務できる時間帯は、勤務条件の確認として聞かれることがある。家庭の事情そのものではなく、勤務できる条件で答える方法がある |
「夜勤に入れるか」「何時まで勤務できるか」は、勤務条件を尋ねる質問です。答えるときは、家庭の事情ではなく、勤務できる条件で伝える方法があります。
均等法に関する相談先として、厚生労働省・都道府県労働局の資料は都道府県労働局 雇用環境・均等部(室)を案内しています(電話またはメール)。公正な採用選考については、都道府県労働局・ハローワークが事業主に向けた啓発を行っています。
5. 面接で自分から確かめること
先に答えを置きます。面接は、選ばれる場であると同時に、職場を確かめる場です。逆質問の文例と、口頭の条件を書面にすることは、別の記事にまとめています。
確かめること | まとめている記事 |
|---|---|
増員か欠員か、中途入職者の定着、残業の月平均、有給の取得率(逆質問の文例) | 「看護師の転職で失敗・後悔する理由」4-2 |
口頭で聞いた条件を、入職前に書面で受け取る(労働基準法15条) | 同じ記事の4-3、「単発バイトに労働条件通知書はある?」 |
面接と見学で分からないことを、公的なデータベースで調べる |
労働基準法15条は、労働契約の締結に際して、賃金・労働時間などの労働条件を明示することを使用者に求めています。面接で口頭で聞いた夜勤の回数や休みの取り方は、書面で受け取る労働条件と照らし合わせてください。
6. タメシビで想定していること
タメシビは、看護師・准看護師が、施設と直接雇用契約を結んで1日単位で働けるスポット勤務サービスです。応募後、施設が内容を確認して勤務が確定します(事前の面接・書類選考はありません)。求人には、業務内容、必要な経験、持ち物、当日の流れを明示する方針です。
記録・申し送り・休憩の実際を、1日の勤務として確かめる形です。働いてから、その職場で続けるかをご自身で選べることを、サービスの前提に置いています。
タメシビは2026年内のサービス開始に向けて準備中で、どの地域・どの種類の求人が掲載されるかは、これから決まります。
よくある質問
看護師の面接では何を聞かれますか
聞かれる内容は施設によって違います。準備としては、志望動機、職歴と退職理由、ブランク、勤務条件の希望、免許、業務に関わる健康の確認を、応募書類と求人の条件に沿って説明できるようにしておきます(2章)。
面接で家族構成を聞かれました。答えないといけませんか
行政の資料は、家族(続柄・職業・地位・健康・収入など)を、就職差別につながるおそれがある事項として挙げています(3章)。答える範囲を自分で決めて伝える方法があります(4章)。
面接で、出産後も働き続けるかを聞かれました
均等法の指針は、子どもが生まれた場合の継続就労について女性にだけ質問することを、性別による差別の具体例に挙げています(3章)。勤務条件の確認であれば、勤務できる条件で答える方法があります(4章)。
尊敬する人物や愛読書を聞かれるのは問題ですか
行政の資料は、人生観・生活信条・尊敬する人物、購読新聞・雑誌・愛読書などを、本来自由であるべき事項として挙げています(3章)。
転職回数が多いことをどう説明すればよいですか
転職回数に公的な定義はありません。職歴の書き方と、単発の勤務の扱いは「看護師の履歴書・職務経歴書」にまとめています(2章)。
面接で逆質問は何を聞けばよいですか
増員か欠員か、中途入職者の定着、残業の月平均、有給の取得率などの文例を、「看護師の転職で失敗・後悔する理由」4-2にまとめています(5章)。
まとめ
看護師の採用面接の準備は、履歴書・職務経歴書に書いたことと、勤務条件の希望を、口頭で説明できるようにしておくことです。志望動機、職歴と退職理由、ブランク、勤務条件、免許、業務に関わる健康の確認を整理しておきます。
行政の資料は、本籍・家族・住宅状況・思想・宗教・尊敬する人物・労働組合・愛読書などを就職差別につながるおそれがある事項とし、均等法の指針は女性にだけ出産後の継続就労を聞くことを差別の具体例に挙げています。面接はこちらが確かめる場でもあります。口頭の条件は、書面の労働条件と照らし合わせてください。
この記事の主な一次情報
- 厚生労働省「公正な採用選考をめざして」(採用選考時に配慮すべき事項)
- 雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(昭和47年法律第113号)5条・10条の指針
- 職業安定法(昭和22年法律第141号)5条の5、指針(平成11年労働省告示第141号)
- 労働基準法(昭和22年法律第49号)15条
※2026年10月7日に確認。法令と指針は改正されることがあります。この記事は行政資料の紹介であり、個別の面接での質問が法令に反するかについて判断を示すものではありません。賃金の相場は扱っていません。
タメシビの先行登録
タメシビは、看護師が1日単位で施設と直接雇用契約を結んで働けるスポット勤務サービスです。応募後、施設が内容を確認して勤務が確定します(事前の面接・書類選考はありません)。求人には業務内容、必要な経験、持ち物、当日の流れを明示し、働いてから、その職場で続けるかをご自身で選べます。看護師・准看護師の登録料・利用料は無料です。
タメシビは2026年内のサービス開始に向けて準備中で、現在はLINEで先行登録を受け付けています。現時点で求人への応募を受け付けているものではありません。求人が公開されたときにお知らせを受け取りたい方は、先行登録をご利用ください。