看護師の転職回数に、公的な定義や「何回から多い」という基準はありません。 厚生労働省の履歴書の様式例も、職歴の書き方を指定していません。単発やアルバイトの勤務を職歴にどう書くかも、決まった形はありません。

「転職回数が多いと不利になるのでは」という不安から、次の応募をためらう看護師もいます。この記事は、回数の多い少ないや、採用でどう見られるかを判定しません。 その代わりに、ハローワークの資料が説明している履歴書と職務経歴書の役割の違い、単発の勤務を書類に書く形、職歴を確かめるための記録を整理します。

先に答えを書くと、履歴書は在籍した勤務先と期間を正確に書く書類で、職務経歴書は伝えたい経験を選んで書いてよい書類です。 単発の勤務は、職務経歴書で「施設の種類×業務」にまとめる形があります。

この記事が扱うのは、履歴書・職務経歴書の職歴の欄です。志望動機や自己PRの書き方は扱いません。

この記事の結論

  • 「転職回数」に公的な定義・基準はありません。 厚生労働省の履歴書の様式例も、職歴の書き方を指定していません(1章)
  • 直接雇用の単発の勤務は、施設ごと・日ごとの雇用契約です。 1日だけでも雇用契約による勤務です(2章)
  • 履歴書は「経歴を正確に」、職務経歴書は「伝えたい経験を選んでよい」。 ハローワークの資料がそう説明しています。アルバイト歴は「記載して差し支えありません」という書き方で、書かなければならないとはしていません。書く場合は、勤務先と期間を正確に書きます(3章)
  • 単発の勤務は、雇用形態を( )書きにし、職務経歴書で施設の種類と業務ごとにまとめる形があります。患者の情報は書きません(4章)
  • 職歴を確かめる記録は、労働条件通知書・給与明細・源泉徴収票、前の職場の職歴なら労働基準法22条の退職時の証明書です(5章)
  • 回数を気にする前に、次の職場を確かめる方法があります(6章)

読みたい箇所から確認する

1. 「転職回数」に公的な定義・基準はない

先に答えを置きます。法律にも公的な資料にも、「転職回数」の定義や「何回から多い」という基準はありません。何を1回と数えるかも、決まっていません。

履歴書の様式例は、職歴の書き方を指定していない

履歴書の様式は、以前は日本産業規格(JIS)の解説に様式例が載っていました。埼玉労働局の案内によると、令和2年7月にその様式例が削除されたことを受けて、厚生労働省が「皆様に広く参考にしていただくための様式例(厚生労働省履歴書様式例)」を作成しています。

令和3年4月の労働政策審議会の資料で示された様式例の記入上の注意は、筆記具や数字の書き方にとどまり、職歴欄に何をどう書くか(雇用形態、期間、アルバイトを書くかどうか)の指定はありません。

「回数」は、数え方で変わる

同じ経歴でも、常勤だけを数えるか、パートや単発も数えるか、同じ法人の中の異動を数えるかで、回数は変わります。どれが正しい数え方かを定めた公的な基準はありません。 この記事では、回数の多い少ないや、それが採用でどう受け止められるかを判定しません。採用の判断は応募先の施設が行うものです。

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2. 単発の勤務は、何の契約か

先に答えを置きます。直接雇用の単発の勤務は、施設と1日単位で結ぶ雇用契約です。働いた日ごとに契約があり、施設が変われば雇用主も変わります。

1日でも、雇用契約で働いた記録

単発の求人には、施設と直接雇用契約を結ぶ形、派遣会社に雇われて施設で働く形、職業紹介を受けて施設と契約する形があります。契約の形と雇用主の違いは「看護師の単発バイトは違法?」の2章にまとめています。 書類に書くときに雇用主を正しく書けるよう、自分の単発の勤務がどの形だったかを確かめておくと、迷いにくくなります。

同じ施設に続けて入った場合

同じ施設に週1回など続けて入った場合も、1日ごとに契約を結ぶ形であれば、契約は日ごとに分かれています。続けて入ると越える制度上の線(1か月・31日・週20時間・6か月など)は「看護師の週1・短時間の単発」に時間軸でまとめています。 書類の上で1行にまとめるかどうかは、3章・4章の書き方の話になります。

3. 履歴書と職務経歴書は役割が違う——ハローワークの説明

先に答えを置きます。ハローワークの資料は、履歴書を「経歴を正確に伝える書類」、職務経歴書を「自分をPRする書類」と分けて説明しています。転職回数が気になるときは、この2つを分けて考えます。

履歴書——在籍した勤務先と期間を正確に

ハローワーク川崎の資料「応募書類 履歴書・職務経歴書の役割と書き方」は、履歴書について次のように説明しています。

履歴書はご自身の経歴を正確に記載して、応募先企業に伝えるための書類です。原則として、在籍してきた企業名や在籍期間を正確に記載する必要があります。

同じ資料は、アルバイト歴についても「アルバイト歴も記載して差し支えありません、特に応募先に関連のある場合は積極的に記載します」としています。

職務経歴書——伝えたい経験を選んでよい

職務経歴書については、同じ資料が次のように説明しています。

離転職回数が多くて全てを記載しきれない職務経歴書は自分をPRする書類なので、全てを記載する必要はなく、伝えたい職歴や経験を記載することで足ります。

回数が多くて書類が埋まってしまう、という悩みに対して、公的な資料が示している答えはこの区別です。 履歴書で経歴を正確に示し、職務経歴書で何を伝えるかを選ぶ、という分担です。

職務経歴書の3つの方式

同じ資料は、職務経歴書の書き方として3つの方式を挙げています。

方式

資料の説明

編年体方式

職務経歴を時系列に、古い職歴から新しい職歴の順に記載する

逆編年体方式

新しい職歴から古い職歴の順に記載する

キャリア方式

経験した職務内容ごとに取りまとめて、それぞれの職種などの経験を詳細に記載する

勤務先が多い場合に、経験を職務内容ごとにまとめられるのがキャリア方式です。 どの方式が向いているかは、伝えたい経験と応募先によるため、この記事では決めません。

単発の勤務を履歴書に書く場合

上の資料の書き方を並べると、次の2点になります。

  • アルバイト歴は「記載して差し支えありません」という書き方で、書かなければならないとはしていません。 単発の勤務を履歴書に書くかどうかは、応募先との関連や、伝えたい経験で決めることになります
  • 書く場合は、勤務先と期間を正確に書きます。 履歴書は「経歴を正確に記載して、応募先企業に伝えるための書類」だからです

書き方の形(雇用形態の( )書き、まとめ方)は4章です。

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4. 単発の勤務を履歴書・職務経歴書に書く形

先に答えを置きます。単発の勤務を書くかどうか、どうまとめるかに決まった形はありません。公的な資料が示しているのは、雇用形態を( )書きで明記すること、アルバイト歴を書いて差し支えないこと、職務経歴書はまとめてよいこと、の3点です。

雇用形態を( )書きにする

厚生労働省職業安定局・福井労働局の「応募書類の作り方」(令和3年5月)は、職歴を古い順に書くことを基本とし、雇用形態について次のように説明しています。

『雇用形態』(正職員以外の派遣社員、契約社員、アルバイト、パート等の場合は( )書きで記載)

同じ資料は、アルバイトについて「アルバイト就業であることを明記の上で記載します」としています。派遣で働いた場合は、派遣で働いていたことが分かるように書く方法がある、とハローワーク川崎の資料が説明しています。

職務経歴書では「施設の種類×業務」にまとめる形がある

単発で複数の施設に入った経験は、施設ごとに1行ずつ並べると数が多くなります。3章のキャリア方式に沿えば、施設の種類(介護施設、デイサービス、健診など)と、その場で担当した業務(バイタル測定、服薬管理、採血など)ごとにまとめる形があります。期間と回数を添える形もあります。

施設の種類ごとの業務の違いは「看護師の単発バイトの仕事内容」にまとめています。書くときの言葉選びに使えます。

ブランクの期間に単発で働いた場合

常勤を離れていた期間に単発で働いていた場合、その期間を職歴に書く形があります。書類の上では、勤務していなかった期間と、単発で働いていた期間は区別して書けます。 それが応募先にどう受け止められるかは施設によるため、この記事では決めません。ブランクからの復職の段取りと、単発を復職の一歩にするときの考え方は「ブランクのある看護師の復職ガイド」の5章にまとめています。

患者・利用者の情報は書かない

書類に書くのは、どの種類の施設で何を経験したかです。その中で関わった方の状態や、特定の施設で起きた出来事は書きません。 守秘義務との関係は「単発勤務と守秘義務」の8章にまとめています。

有利・不利は、この記事では決めません

単発の勤務を書くことが、応募先にどう受け止められるかは、施設によって変わります。書類の役割(3章)に沿って、履歴書では経歴を正確に、職務経歴書では伝えたい経験を選ぶ、というところまでが公的な資料から言えることです。 書き方に迷う場合は、ハローワークで応募書類の作り方を相談できます(3章・4章の資料の発行元です)。

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5. 職歴を確かめる記録——通知書・明細・源泉徴収票・退職時の証明書

先に答えを置きます。履歴書の在籍期間を正確に書くには、記録が要ります。単発の勤務は勤務先が増えるため、記録がないと思い出しにくくなることがあります。

単発の勤務の記録

記録

分かること

詳しい記事

労働条件通知書

雇用主、就業の場所、業務の内容、契約期間

単発バイトに労働条件通知書はある?

給与明細

勤務先、何時間分の賃金か、控除されたもの

看護師の単発バイトと日払い(明細の確認)

源泉徴収票

1年分の勤務先ごとの支払額

単発勤務と税金

勤務先ごとに1か所へまとめておくと、履歴書を書くときにも、確定申告のときにも使えます。源泉徴収票を勤務先ごとにまとめておく理由は「単発勤務と税金」にまとめています。

前の職場の職歴——労働基準法22条の退職時の証明書

労働基準法22条は、労働者が退職の場合に証明書を請求したときは、使用者は遅滞なく交付しなければならないと定めています。厚生労働省労働基準局の解説によると、記載する事項は次の5つです。

使用期間、業務の種類、その事業における地位、賃金、退職の事由(解雇の理由を含む)

同じ解説は、労働者が請求しない事項は、法定事項であっても記入してはいけないとしています。在籍期間と業務の種類だけを記した証明書を求めることができる、という定めです。前の職場の在籍期間を確かめる手段のひとつです。請求できる時期を含め、個別の請求について疑問がある場合の窓口は労働基準監督署です。

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6. 回数を気にする前に、次の職場を確かめる

先に答えを置きます。転職回数が気になるのは、次の職場が合わなかったらまた回数が増える、という不安があることもあります。その不安には、回数そのものではなく、次の職場を入職前に確かめる方法で向き合えます。

転職で後悔する構造と、確かめる方法

求人票と面接で分かることには限りがあります。転職で後悔する構造と、入職前に確かめる実務は「看護師の転職で失敗・後悔する理由」にまとめています。入職後の試用期間がどういう期間で、求人票で何を確認するかは「看護師の試用期間とは」にまとめています。

今の職場を続けるか迷っている場合

辞めたいと思ったときに、辞めたいのが働き方なのか、職場なのか、病棟という形なのかを分けて考える整理は「看護師を辞めたいと思ったとき」にまとめています。回数を増やさずに働き方を変える選択肢があることも、同じ記事で扱っています。

1日働いて確かめる形

応募の前に、その施設で1日働いて実務(申し送り、記録、休憩、人員体制)を確かめる形があります。単発(1日単位の直接雇用)です。単発で働けば採用されやすい、転職回数の受け止めが変わる、とこの記事で言うことはしません。 初めて単発で働く日の流れは「初めての看護師単発バイト」に、単発の働き方の全体像は「看護師の単発バイト完全ガイド」にまとめています。

7. タメシビで想定していること

タメシビは、看護師・准看護師が、施設と直接雇用契約を結んで1日単位で働けるスポット勤務サービスです。応募後、施設が内容を確認して勤務が確定します(事前の面接・書類選考はありません)。求人には、業務内容、必要な経験、持ち物、当日の流れを明示する方針です。

この記事の位置づけで言えば、タメシビは、次の職場に応募する前に、1日働いて確かめる形です。常勤・パートの採用をあっせんするサービスではありません。働いてから、その職場で続けるかをご自身で選べることを、サービスの前提に置いています。

タメシビは2026年内のサービス開始に向けて準備中で、どの地域・どの種類の求人が掲載されるかは、これから決まります。

よくある質問

看護師の転職回数は何回から多いのですか

公的な基準はありません(1章)。何を1回と数えるかも決まっていません。回数が採用でどう受け止められるかは応募先の施設によるため、この記事では判定しません。

単発の勤務は、転職回数に入りますか

数え方の公的な定義はありません(1章)。直接雇用の単発の勤務は施設ごと・日ごとの雇用契約です(2章)。書類にどう書くかは、履歴書と職務経歴書の役割(3章)に沿って決めます。

単発の勤務を履歴書に書かなければいけませんか

ハローワークの資料は、アルバイト歴を「記載して差し支えありません」という書き方で説明しており、書かなければならないとはしていません。書く場合は、勤務先と期間を正確に書きます(3章)。厚生労働省の履歴書の様式例も、職歴の書き方を指定していません(1章)。迷う場合は、ハローワークで相談できます。

職歴が多くて、履歴書の欄に収まりません

ハローワークの資料は、職務経歴書について「全てを記載する必要はなく、伝えたい職歴や経験を記載することで足ります」と説明しています(3章)。履歴書の欄が足りない場合の扱いは、別紙を付けるなどの形を、応募先に確認してください。

退職理由はどう書けばいいですか

ハローワーク堺の資料は、履歴書の職歴欄について「自己都合の場合は『一身上の都合により退職』、会社都合の場合は『会社都合により退職』と記入」と説明しています。1日単位の単発の勤務は、契約期間の満了で終わる形です。期間満了の書き方は、ハローワークで確認してください。

単発の経験は、職務経歴書でどうまとめればいいですか

施設の種類と業務ごとにまとめる形があります(4章)。キャリア方式と呼ばれる書き方です。関わった方の状態や施設で起きた出来事は書きません(単発勤務と守秘義務の8章)。

前の職場の在籍期間が分からなくなりました

労働基準法22条は、退職時の証明書の交付を定めています(5章)。使用期間と業務の種類など、請求した事項だけを記した証明書を求めることができます。請求できる時期を含め、個別には労働基準監督署に確認してください。単発の勤務は、労働条件通知書・給与明細・源泉徴収票が記録になります。

転職回数が気になって、次の応募をためらっています

回数そのものより、次の職場を入職前に確かめる方法があります(6章)。見学、試用期間の確認、そして1日働いて確かめる形です。今の職場を続けるか迷っている場合は「看護師を辞めたいと思ったとき」も参考にしてください。

まとめ

看護師の転職回数に、公的な定義も「何回から多い」という基準もありません。 厚生労働省の履歴書の様式例も、職歴の書き方を指定していません。

ハローワークの資料は、履歴書を「経歴を正確に伝える書類」、職務経歴書を「伝えたい経験を選んでよい書類」と分けて説明しています。転職回数が気になるときは、この2つを分けて考えます。

直接雇用の単発の勤務は、施設ごと・日ごとの雇用契約です。書類では、雇用形態を( )書きにし、職務経歴書で施設の種類と業務ごとにまとめる形があります。関わった方の情報は書きません。

職歴を確かめる記録は、単発なら労働条件通知書・給与明細・源泉徴収票、前の職場の職歴なら労働基準法22条の退職時の証明書です。

そして、回数を気にする前に、次の職場を入職前に確かめる方法があります。

この記事の主な一次情報

公的資料

法令

※いずれも2026年10月5日に確認。公的資料は改訂されることがあります。この記事は公的資料の紹介であり、転職回数の多い少ないや、書類の書き方が採用に与える影響について判断を示すものではありません。賃金の相場は扱っていません。

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