単発の勤務では、免許証のコピーや連絡先を渡す回数が増えます。渡したものはどうなるのか。返ってくるのか。

先に、条文の側の答えを2つに分けて示します。

職業安定法5条の5は、求職者の個人情報を「目的を明らかにして」収集し、「収集の目的の範囲内で」保管し使用することを定めています。 そして、その義務を負う主体の列挙には、応募先の施設そのものも入っています。

一方、返却の義務と保管期間については、この条文に定めがありません。

この記事では、条文が定めていることと定めていないことを分けて整理します。

この記事の結論

  • 職業安定法5条の5は、求職者の個人情報の取扱いを定めています。 「目的を明らかにして」収集し、「収集の目的の範囲内で」保管・使用すること、適正に管理するために必要な措置を講じることです(2章)。
  • 義務の主体には、職業紹介事業者や募集情報等提供事業者だけでなく「求人者」が入っています。 応募先の施設も含まれます(2章)。
  • 秘密を漏らしてはならない義務は、関係が終わった後も続きます(同法51条。3章)。
  • 返却の義務と保管期間は、条文に定められていません。 だから、渡す前に確認することになります(4章)。
  • 看護師は、情報を預かる側と渡す側の両方になります(1章)。

この記事は、個別のサービスや施設の扱いが適切かどうかを判定するものではありません。 また、情報を渡すことを避けるよう勧めるものでもありません。確認できることを示すためのものです。

目次

1. 看護師は、預かる側と渡す側の両方になる

先に、返却についての答えを置きます

返却の義務を定めた条文は、職業安定法の関係する2つの条文にはありません。 扱いは応募先やサービスの運用によります(4章)。

だから「渡す前に確認する」ことになります。 そして、確認すること自体は条文が前提にしています(2章)。

以下は、その前提を条文から確かめていく順序です。急ぐ場合は4章と6章だけでも足ります。

いつもは預かる側です

看護師の仕事では、患者や利用者の情報を扱います。そこには守秘義務があります。

保健師助産師看護師法42条の2は、看護師が業務上知り得た人の秘密を漏らしてはならないと定めています。そしてこの義務は、看護師でなくなった後も続きます。 個人情報保護法は、病歴を要配慮個人情報として扱っています。

この側面は「看護師の守秘義務はどの法律にあるか」にまとめています。

応募するときは、渡す側になります

求人に応募するとき、立場が入れ替わります。 免許証のコピー、連絡先、経験の内容、場合によっては健診の結果を、自分から渡すことになります。

ここに、預かる側のときと同じくらいの規律があるのか。 それがこの記事の主題です。

立場

根拠

勤務中

患者・利用者の情報を預かる側

保助看法42条の2、個人情報保護法ほか

応募するとき

自分の情報を渡す側

職業安定法5条の5・51条(2章・3章)

どちらにも条文があります。 そして後で見るとおり、「関係が終わった後も続く」という点まで同じ形をしています(3章)。

単発では、渡す回数が増えます

常勤への応募なら、渡す機会は限られます。単発では、入る施設ごとに渡すことになります。

回数が増えれば、どこに何を渡したかを把握しておくのが難しくなります。 免許証のコピーについては「看護師免許証の扱い方」でも触れていますが、この記事では情報の全体を扱います。

この章の出典

2. 職業安定法5条の5が定めていること

まず主体の列挙を見てください

職業安定法5条の5第1項は、義務を負う主体を括弧の中で列挙しています。

公共職業安定所、特定地方公共団体、職業紹介事業者及び求人者、労働者の募集を行う者及び募集受託者、特定募集情報等提供事業者並びに労働者供給事業者及び労働者供給を受けようとする者(次項において「公共職業安定所等」という。)

「求人者」が入っています。 求人を出している側、つまり応募先の施設そのものです。

間に入る事業者だけの義務ではありません。 施設に直接応募する場合も、この条文の場面に入ります。経路ごとの整理は「看護師の単発の求人の探し方」にまとめています。

定められているのは3つです

同項の本文を引きます。

その業務に関し、求職者、労働者になろうとする者又は供給される労働者の個人情報を収集し、保管し、又は使用するに当たつては、その業務の目的の達成に必要な範囲内で、厚生労働省令で定めるところにより、当該目的を明らかにして求職者等の個人情報を収集し、並びに当該収集の目的の範囲内でこれを保管し、及び使用しなければならない

そして第2項です。

公共職業安定所等は、求職者等の個人情報を適正に管理するために必要な措置を講じなければならない。

整理すると3つです。

内容

収集

業務の目的の達成に必要な範囲内で、目的を明らかにして

保管・使用

収集の目的の範囲内で

管理

適正に管理するために必要な措置を講じる(2項)

「目的を明らかにして」が効きます

収集の時点で、何のために集めるのかが示されるべきだという書き方になっています。

つまり、「何に使うのですか」と聞くことは、条文が求めていることをそのまま確かめる行為です。

「収集の目的の範囲内で」が効きます

もうひとつ重要なのが、保管と使用の範囲が「収集の目的」に縛られている点です。

勤務のために渡した情報を、別の目的に使うことは、この条文の想定するところではありません。

疑問がある場合の窓口は、都道府県労働局またはハローワークです。

繰り返し渡す場面で効いてきます

「収集の目的の範囲内」という書き方は、単発で同じ施設に繰り返し入る場面で意味を持ちます。

1回目の勤務のために渡した情報を、2回目にどう扱うのか。毎回渡し直すのか、施設の側に残っているのか。

確認したいこと

同じ施設に繰り返し入る場合

前回渡したものが残っているのか、毎回必要なのか

別の施設に入る場合

施設ごとに渡すことになります(1章)

サービスを通す場合

サービス側に登録した情報が、施設へどう伝わるのか

条文が定めているのは「収集の目的の範囲内で」保管・使用することであって、具体的な運用の形は決めていません。

そのため、確認する項目になります(6章)。

収集の方法は省令に委ねられています

条文には「厚生労働省令で定めるところにより」とあります。この省令の内容については、この記事では扱いません。 確認していないためです。

この章の出典

3. 秘密を守る義務は、関係が終わった後も続く

51条の書き方を見てください

職業安定法51条1項を引きます。

職業紹介事業者、求人者、労働者の募集を行う者、募集受託者、特定募集情報等提供事業者、労働者供給事業者及び労働者供給を受けようとする者(以下この条において「職業紹介事業者等」という。)並びにこれらの代理人、使用人その他の従業者は、正当な理由なく、その業務上取り扱つたことについて知り得た人の秘密を漏らしてはならない。 職業紹介事業者等及びこれらの代理人、使用人その他の従業者でなくなつた後においても、同様とする。

ここにも「求人者」が入っています。 そして、「なくなつた後においても、同様とする」という一文があります。

看護師の守秘義務と同じ構造です

1章で見た保助看法42条の2も、看護師でなくなった後も守秘義務が続くという形でした。

同じ構造が、求職者の情報の側にも置かれています。

義務を負う人

関係が終わった後

保助看法42条の2

看護師・准看護師など

続く

職業安定法51条1項

職業紹介事業者、求人者、募集を行う者、その従業者など

続く

立場が入れ替わっても、条文の組み立ては同じです。

「正当な理由なく」という条件が付いています

51条1項の文言には、「正当な理由なく」という条件が付いています。

どのような場合が「正当な理由」にあたるかは、この記事では扱いません。 条文がその内容を定めておらず、当社として判断できる事柄ではないためです。

そのうえで押さえておきたいのは、この条文が「漏らしてはならない」という形の義務であって、「一切外に出ない」ことを保証する条文ではないという点です。保助看法42条の2も同じ書き方です。

2項は「みだりに他人に知らせてはならない」

同条2項も置かれています。

職業紹介事業者等及びこれらの代理人、使用人その他の従業者は、前項の秘密のほか、その業務に関して知り得た個人情報その他厚生労働省令で定める者に関する情報を、みだりに他人に知らせてはならない。 職業紹介事業者等及びこれらの代理人、使用人その他の従業者でなくなつた後においても、同様とする。

1項が「秘密」、2項が「個人情報その他」です。 範囲が段階的に定められており、2項にも「なくなつた後においても、同様とする」が付いています。

この章の出典

4. 条文が定めていないこと

返却の義務は書かれていません

ここが、この記事で最も伝えたい点です。

2章と3章で見た2つの条文には、渡したものを返す義務も、いつまで保管するかも、書かれていません。

条文に定めがあるか

目的を明らかにして収集すること

あります(5条の5第1項)

収集の目的の範囲内で保管・使用すること

あります(同項)

適正に管理するための措置

あります(同条2項)

秘密を漏らさないこと(関係が終わった後も)

あります(51条)

勤務が終わった後に返却すること

この2つの条文にはありません

保管期間

同じく、ありません

だから、渡す前に確認することになります

「返してもらえますか」を後から聞くより、渡す前に「勤務の後どうなりますか」を聞くほうが確実です。

条文が返却の義務を定めていないということは、扱いが応募先やサービスの運用によって変わるということです。 運用は、利用規約やプライバシーポリシーに書かれていることになります。

勤務にならなかった場合はどうなるのか

ここは、実際に疑問として挙がる場面です。

単発の勤務では、応募したが勤務に至らなかったという場合があります。 施設の側で内容を確認して確定する仕組みのサービスでは、確定しないことが構造的にありえます。日程が埋まって募集が終わることもあります。

そのときに渡した情報はどうなるのか。

条文の側から言えるのは、次のことです。

条文の定め

勤務にならなかった場合の返却

定めがありません(この章の前半)

勤務にならなかった場合の保管

「収集の目的の範囲内で」という枠がかかります(5条の5第1項。2章)

勤務にならなかった場合の秘密

漏らしてはならない(51条。3章)

2行目が手がかりになります。 収集の目的が「その日の勤務のため」だったとすると、勤務が成立しなかった後の保管が、その目的の範囲に入るのかという問いが立ちます。

この問いに、この記事で答えは出しません。 収集の目的をどう設定しているかは応募先やサービスによって違い、当社として判断できる事柄ではないためです。

そのうえで実務的に言えるのは、この点も渡す前に確認できるということです。

「応募しても勤務が確定しない場合があると理解しています。
 その場合、提出した書類はどう扱われますか。」

確認する先は、渡す相手です(2章の主体の列挙)。

返却や削除を求める仕組みについて

個人情報の取扱いについては、職業安定法とは別に個人情報保護法もあります。 ただし、同法にもとづいて返却や削除を求める仕組みについては、この記事では扱いません。 条文を確認していないためです。

扱いについて疑問がある場合の窓口は、都道府県労働局またはハローワークです。 個人情報の取扱いそのものについては、個人情報保護委員会の相談窓口もあります。

「定めていない」ことは「扱いが自由」という意味ではありません

ここを取り違えないようにしてください。

返却の義務が書かれていないことは、渡した後の扱いが自由だという意味ではありません。 2章で見たとおり、保管と使用は「収集の目的の範囲内」に縛られています。 そして3章の51条が、漏らさない義務を定めています。

条文の定め

返却するかどうか

定めがありません(運用による)

保管する期間

定めがありません(運用による)

保管中の扱い

収集の目的の範囲内(5条の5第1項)

外部への漏洩

してはならない(51条。関係が終わった後も)

「返ってくるか」は運用によりますが、「どう扱われるべきか」には条文があります。

「聞くこと」自体に遠慮はいりません

2章で見たとおり、条文は「目的を明らかにして」収集することを定めています。

つまり、目的を聞くことは、条文が前提にしている行為です。 聞きにくいことではありません。

5. 何を渡すことになるのか

渡すものを並べておきます

単発の勤務では、次のようなものを渡す場面があります。いずれも毎回必要になるわけではありません。

渡すもの

補足

看護師免許証(原本の提示、またはコピー)

記載されているのは登録番号、登録年月日、氏名、生年月日、本籍地都道府県名(license)

氏名・住所・生年月日・連絡先

労働契約と賃金の支払に必要になります

本人確認の書類

何で足りるかは応募先の運用によります

経験の内容

求人が求める経験に関わります

賃金の振込先

賃金の支払方法によります

緊急連絡先

勤務中に何かあった場合の連絡先

健康診断の結果・抗体価の証明

求人が提示を求める場合があります(health-exam 6章)

健診の結果は、自分の健康に関する情報です

この行だけ、性質が違います。

個人情報保護法は病歴を要配慮個人情報として扱っています(1章)。健診の結果はそこに直接あたるものとは限りませんが、自分の健康に関する情報であることは変わりません。

求人が提示を求める場合、何のために必要で、勤務の後どう扱われるのかを確認する対象になります。 健診そのものの枠組みは「単発で働く看護師の健康診断」にまとめています。

個人番号(マイナンバー)は別の枠組みです

表に入れていないものが1つあります。個人番号です。

賃金の支払や源泉徴収に関わって、個人番号の提出を求められる場面があります。ただし個人番号の取扱いについては、職業安定法とは別の法律に定めがあります。

この記事では、その枠組みを扱いません。 条文を確認していないためです。求められた場合、何のために必要かを確認する点は同じです(2章)。源泉徴収の仕組みについては「看護師の単発バイトと税金」にまとめています。

免許証のコピーについて

免許証には、5つの事項がまとめて記載されています(上の表)。コピーを渡すのは、それらをまとめて渡すことです。

原本かコピーかについて、法令に定めはありません。 提示を求められる場面の考え方は「看護師免許証の扱い方」にまとめています。

6. 渡す前に確認すること

聞く相手は、渡す相手です。 施設に直接渡すなら施設、サービスを通すならそのサービスです(2章の主体の列挙)。

何を渡すか

  • □ 提出を求められているものは何か
  • □ 原本の提示か、コピーの提出か
  • □ その中に健診の結果や抗体価が含まれるか(5章)

目的と範囲

  • □ 何のために必要なのか(2章の「目的を明らかにして」)
  • □ 渡した先から、さらに別のところへ渡ることがあるか

勤務の後

  • □ 勤務が終わった後、どう扱われるか(4章)
  • □ 応募しても勤務が確定しなかった場合、どう扱われるか(4章)
  • □ 返却される運用か、保管される運用か
  • □ 保管される場合、どこに書かれているか(利用規約・プライバシーポリシー)

自分の側

  • □ どこに何を渡したかを、自分で記録しておく(単発では回数が増えます)

応募前の確認事項の全体は「初めての看護師単発バイト」にまとめています。

記録の付け方

最後の項目について補足します。 単発では渡す回数が増えるため、把握しておく形を決めておくと楽になります。

記録するのは3つで足ります。

記録する項目

理由

日付

いつ渡したかが分かると、後から問い合わせるときに話が早くなります

渡した相手(施設名、またはサービス名)

2章のとおり、義務を負うのは渡した相手です

渡したもの

原本の提示だけか、コピーを残したかを区別して書いておきます

勤務の記録と一緒に残しておくのが続けやすい形です。 賃金の支払や確定申告のために勤務先を記録している場合、そこに1列足すだけで済みます。お金まわりの記録については「看護師の単発バイトと税金」にまとめています。

聞き方の例

「提出する書類について確認させてください。
 何のために必要で、勤務が終わった後はどう扱われますか。
 勤務が確定しなかった場合の扱いも教えていただけますか。」

この聞き方は、条文が前提にしていることをそのまま聞いているだけです(4章)。

7. タメシビの立場

タメシビは、看護師が1日単位で施設と直接雇用契約を結んで働けるスポット勤務サービスです。2026年内の開始に向けて準備を進めています。

2章で見た5条の5の主体の列挙は、事業の種類ごとに書かれています。 「職業紹介事業者及び求人者」「労働者の募集を行う者及び募集受託者」「特定募集情報等提供事業者」のように、類型と、届出などの状況によって呼び方が変わります。

当社がどの類型にあたるかを、この記事で書くことはしません。 事業の形と手続の状況によって決まるもので、利用規約で示すべき事柄だからです。

そのうえで、この論点について当社が考えていることは次のとおりです。

  • 何を提出していただくかを、登録の前に示す
  • それぞれ何のために必要かを、あわせて示す
  • 勤務が終わった後の扱いを、規約に書く
  • 応募しても勤務が確定しなかった場合の扱いも、規約に書く(4章)

当社が収集する情報の具体的な範囲と取扱いは、サービス開始時に利用規約とプライバシーポリシーでお示しします。 この記事で規約の内容を先に書くことはしません。

なお、免許証については、登録時に登録番号・登録年月日と本人確認書類の照合を行い、初回勤務時に施設で原本を確認していただく運用を想定しています。 詳しくは「看護師免許証の扱い方」にまとめています。

よくある質問

提出した免許証のコピーは返却されますか

返却の義務は、職業安定法5条の5にも51条にも定められていません(4章)。扱いは応募先やサービスの運用によります。 渡す前に「勤務が終わった後どう扱われるか」を確認する事柄です(6章)。

応募したけれど勤務にならなかった場合、渡した書類はどうなりますか

返却の定めはありません(4章)。一方、保管には「収集の目的の範囲内で」という枠がかかり(5条の5第1項)、秘密を漏らさない義務も働きます(51条)。勤務が成立しなかった後の保管がその目的の範囲に入るかは、収集の目的の設定によります。この記事で判定はしません。渡す前に確認できる項目です(4章・6章)。

何のために必要か聞いてもよいのですか

条文が前提にしている行為です。 5条の5第1項は「当該目的を明らかにして求職者等の個人情報を収集し」としています(2章)。聞きにくいことではありません。

応募先の施設にも義務があるのですか

あります。 5条の5第1項の主体の列挙に「求人者」が入っています(2章)。51条1項も同じです(3章)。間に入る事業者だけの義務ではありません。

勤務が終わった後も、秘密は守られるのですか

条文は「でなくなつた後においても、同様とする」としています(51条1項・2項。3章)。看護師の守秘義務が退職後も続くのと同じ構造です。

渡した情報が別の目的に使われていたらどうすればよいですか

5条の5第1項は「収集の目的の範囲内で」保管・使用することを定めています(2章)。個別の事案が適切かどうかをこの記事で判定することはしません。 窓口は都道府県労働局またはハローワーク、個人情報の取扱いそのものについては個人情報保護委員会の相談窓口もあります。

健診の結果を出したくない場合はどうなりますか

求人の条件として提示を求められている場合、応募するかどうかの判断になります(5章)。この記事で、出すべきかどうかを判定することはしません。 健診の枠組みは「単発で働く看護師の健康診断」にまとめています。

マイナンバーの提出を求められました

個人番号の取扱いについては、職業安定法とは別の法律に定めがあります(5章)。この記事ではその枠組みを扱っていません。 求められた場合に何のために必要かを確認する点は同じです。源泉徴収との関係は「看護師の単発バイトと税金」にまとめています。

削除を求めることはできますか

個人情報保護法にもとづく仕組みについては、この記事では扱っていません(4章)。個人情報保護委員会の相談窓口にご確認ください。

複数の施設に渡したものを、自分で把握しきれません

単発では回数が増えるため、起こりやすいことです(1章)。どこに何を渡したかを自分で記録しておくのが、実務的には確実です(6章)。

同じ施設に何度も入る場合、毎回渡すのですか

条文は具体的な運用を決めていません(2章)。5条の5第1項が定めているのは「収集の目的の範囲内で」保管・使用することであって、毎回渡し直すのか、施設側に残るのかは運用によります。 2回目に入る前に確認できることです。

「正当な理由なく」とありますが、例外があるということですか

条文にその条件が付いていることは確かですが、どのような場合にあたるかはこの記事では扱いません(3章)。なお、看護師の守秘義務(保助看法42条の2)も同じ書き方です。

患者の情報と自分の情報で、扱いは違うのですか

根拠となる法律が違います。 患者・利用者の情報については保助看法42条の2と個人情報保護法、求職者としての自分の情報については職業安定法5条の5・51条です(1章)。ただし「関係が終わった後も続く」という点は同じです(3章)。

まとめ

看護師は、患者・利用者の情報を預かる側と、求人に応募して自分の情報を渡す側の両方になります。どちらにも条文があります。

職業安定法5条の5第1項は、求職者の個人情報について3つを定めています。 業務の目的の達成に必要な範囲内で目的を明らかにして収集すること、収集の目的の範囲内で保管・使用すること。そして同条2項が、適正に管理するために必要な措置を講じることを定めています。

義務を負う主体の列挙には「求人者」が入っています。 つまり応募先の施設そのものも、この条文の対象です。 間に入る事業者だけの義務ではありません。

同法51条は、秘密を漏らしてはならない義務を定め、「でなくなつた後においても、同様とする」としています。 これは、看護師の守秘義務が看護師でなくなった後も続くのと同じ構造です(保助看法42条の2)。立場が入れ替わっても、条文の組み立ては同じです。

一方、返却の義務と保管期間は、この2つの条文に定められていません。 扱いは応募先やサービスの運用によります。だから、渡す前に「勤務が終わった後どうなるか」を確認することになります。

そして、もうひとつ確認したい場面があります。応募しても勤務が確定しなかった場合です。 単発ではこれが構造的に起こります。返却の定めはなく、保管には「収集の目的の範囲内で」という枠がかかる——つまり収集の目的をどう設定しているかによって変わるので、渡す前に聞くことになります。

そして、目的を聞くことに遠慮はいりません。 条文が「目的を明らかにして」収集することを定めているので、聞くこと自体が条文の前提です。

単発では渡す回数が増えます。どこに何を渡したかを自分で記録しておくのが、実務的には確実です。

単発勤務そのものの進め方は「看護師の単発バイト完全ガイド」にまとめています。

この記事の主な一次情報

法令

※いずれも2026年9月30日に確認。法令および行政の取扱いは改正されることがあります。この記事は条文の紹介であり、個別のサービスや施設の個人情報の取扱いが適切かどうかを判断するものではありません。職業安定法5条の5第1項が委ねている厚生労働省令の内容、および個人情報保護法にもとづいて返却や削除を求める仕組みについては扱っていません。取扱いについて疑問がある場合は、都道府県労働局、ハローワーク、または個人情報保護委員会の相談窓口にご確認ください。

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