クリニカルラダーは、看護師の実践能力を段階に分けて示す「はしご」です。 日本看護協会は2016年に「看護師のクリニカルラダー(日本看護協会版)」を公表し、2023年の「看護師のまなびサポートブック」で、その内容を拡張しました。

2023年版では、看護実践能力を4つの領域に分け、習熟段階を新人・Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳの5段階で示しています。病院などは、これを参考に独自のラダーを作っていることがあり、評価や等級と結びつけている施設もあります。

この記事は、日本看護協会の資料をもとに、クリニカルラダーの仕組みと、勤務先のラダーを確かめる方法を整理します。個別の施設のラダーの良し悪しや、何年目でどのレベルかの目安は、この記事では扱いません。

この記事の結論

  • クリニカルラダーは、看護実践能力の習熟段階を示すものです。施設が独自に定めていることがあります(1章)
  • 日本看護協会の2016年版は、看護の核となる実践能力を4つの力(ニーズをとらえる力・ケアする力・協働する力・意思決定を支える力)で示しました(2章)
  • 2023年の「看護師のまなびサポートブック」は、これを拡張し、4つの領域と新人〜Ⅳの5段階で示しています(3章)
  • 助産師には助産実践能力習熟段階(CLoCMiP)、看護管理者にはマネジメントラダーがあります(4章)
  • ラダーのレベルを等級や評価と結びつける例を、日本看護協会の資料が示しています。結びつけ方は施設によって違います(5章)
  • 勤務先にラダーがあるか、何をもとに作られているか、評価や等級とどう関係するかを確かめられます(7章)

読みたい箇所から確認する

1. クリニカルラダー(キャリアラダー)とは

先に答えを置きます。看護師の実践能力を、段階(レベル)に分けて示すものです。「ラダー」は、はしごの意味です。

ラダーは、いまの自分がどの段階にいて、次にどんな力を身につけるかを示す指標として使われます。日本看護協会のほか、病院などの施設が独自に作っていることもあります。

「キャリアラダー」と呼ばれることもあります。呼び方と中身は施設によって違うため、勤務先のラダーが何を示しているかは、施設の資料で確かめてください(7章)。

2. 日本看護協会の2016年版——4つの力

先に答えを置きます。日本看護協会は2016年に「看護師のクリニカルラダー(日本看護協会版)」を公表し、看護の核となる実践能力を4つの力で示しました。

  • ニーズをとらえる力
  • ケアする力
  • 協働する力
  • 意思決定を支える力

この2016年版は「JNAラダー」とも呼ばれ、さまざまな現場で働く看護師を対象にしたものです。岡山県看護協会の調査報告書(令和3年2月)は、2016年5月に公表されたものとして紹介しています。

2016年版の各レベルの定義は、日本看護協会の活用のための手引きで確かめられます。

この章の出典

3. 2023年の改訂——4つの領域と、新人〜Ⅳの5段階

先に答えを置きます。2023年の「看護師のまなびサポートブック」は、2016年版の4つの力を拡張し、看護実践能力の全体像を4つの領域で示しています。習熟段階は新人・Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳの5段階です。

まなびサポートブックは、「看護師のクリニカルラダー(日本看護協会版)」で示していた看護の核となる実践能力を拡張し、看護師に求められる能力の全体像として新たに策定したものだと説明しています。日本看護協会のサイトは、年代や勤務先、就業の有無にかかわらず、すべての看護師を対象にした資料としています。

看護実践能力の4つの領域

領域

中身(要約)

専門的・倫理的・法的な実践能力

自らの判断や行動に責任を持ち、倫理的・法的な規範に基づいて看護を実践する

臨床実践能力

個別性に応じた看護を、状況に応じて判断して実践する。2016年版の4つの力(ニーズをとらえる力・ケアする力・意思決定を支える力・協働する力)がここに入る

リーダーシップとマネジメント能力

組織の一員として、状況や役割に応じたリーダーシップを発揮し、マネジメントを行う

専門性の開発能力

看護師としての資質・能力を高め、看護の価値を人々や社会に提供する

習熟段階

段階

定義(要約)

新人

必要に応じて助言を得て実践する

Ⅰ

標準的な実践を自立して行う

Ⅱ

個別の状況に応じて判断し、実践する

Ⅲ

幅広い視野で予測的に判断して実践し、ロールモデルとなる

Ⅳ

より複雑な状況で創造的な実践を行い、組織や分野を超えて参画する

各領域の構成要素ごとに、習熟段階別の内容が、まなびサポートブックに一覧で載っています。

免許を取って初めて就労する看護職員の研修は「新人看護職員研修とは」にまとめています。

この章の出典

4. 助産師・看護管理者のラダー

先に答えを置きます。看護師のラダーとは別に、助産師と看護管理者向けのものがあります。

対象

名称

助産師

助産実践能力習熟段階(CLoCMiP)。日本看護協会のサイトは2012年の公表としています

病院の看護管理者

病院看護管理者のマネジメントラダー(日本看護協会版)

認定看護師・専門看護師・認定看護管理者・特定行為研修は、ラダーとは別の制度です。違いは「認定看護師・専門看護師・特定行為研修の違い」にまとめています。

5. 施設のラダーと、評価・等級

先に答えを置きます。日本看護協会の資料は、施設の習熟段階(ラダー)を等級や評価と結びつける例を示しています。結びつけているか、どう結びつけているかは、勤務先で確かめてください(7章)。

日本看護協会の「看護職のキャリアと連動した賃金モデル」(2025年9月改訂)は、施設が定めた習熟段階をもとに、等級ごとの役割を決め、評価の基準にする例を示しています。ラダーのレベルと等級を連動させている病院の事例も紹介されています。

ラダーのレベルが上がると給与がどう変わるかは、施設によって違います。 この記事では金額は扱いません。勤務先の就業規則や賃金規程、評価の説明で確かめてください。

この章の出典

6. 自分の段階と学びを記録する

先に答えを置きます。まなびサポートブックは、自分の習熟段階を確かめ、学びをポートフォリオに記録することを示し、振り返りや、組織の管理者などに相談するときに役立つとしています。

異動・転職・復職のときに、記録を見返して自分の経験を整理することもできます。転職のときの職務経歴書の書き方は「看護師の履歴書・職務経歴書と転職回数」にまとめています。ブランクのあとに自分の現在地を確かめる使い方は「ブランクのある看護師の復職ガイド」の4章で触れています。

単発で働く場合

単発で働いた施設の種類や業務も、自分の学びの記録に入れることができます。単発の勤務がラダーの評価で扱われるかは、勤務先に確かめてください。この記事では判断しません。

7. 応募前・入職後に確かめること

先に答えを置きます。勤務先や応募先にラダーがあるか、何をもとに作られているか、評価や等級とどう関係するかを確かめられます。

確かめること

聞き方の例

ラダーがあるか

「看護部にクリニカルラダーはありますか」

何をもとに作られているか

「日本看護協会の資料をもとにしていますか、独自のものですか」

段階の数と評価の方法

「レベルはいくつあり、どのように評価しますか」

評価の時期

「評価は年に何回、いつ行いますか」

等級・給与との関係

「ラダーのレベルは等級や給与と連動していますか」

中途採用・復職者の扱い

「経験のある看護師は、どのレベルから始めますか」

面接で何を聞くか、聞いてはいけない質問の線引きは「看護師の面接で聞かれること」にまとめています。

8. タメシビで想定していること

タメシビは、看護師・准看護師が、施設と直接雇用契約を結んで1日単位で働けるスポット勤務サービスです。応募後、施設が内容を確認して勤務が確定します(事前の面接・書類選考はありません)。求人には、業務内容、必要な経験、持ち物、当日の流れを明示する方針です。

タメシビは2026年内のサービス開始に向けて準備中で、どの地域・どの種類の求人が掲載されるかは、これから決まります。

よくある質問

クリニカルラダーとキャリアラダーは違いますか

呼び方は施設によって違います。 どちらも、看護師の能力や役割を段階で示すものとして使われています(1章)。勤務先のラダーが何を示しているかは、施設の資料で確かめてください。

ラダーのレベルはいくつありますか

日本看護協会の2023年の習熟段階は、新人・Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳの5段階です(3章)。施設のラダーの段階の数は、施設によって違います。

JNAラダーはもう使われていないのですか

2023年のまなびサポートブックは、2016年版の「看護の核となる実践能力」を拡張したものです(3章)。日本看護協会のサイトも、まなびサポートブックを「看護師のクリニカルラダー(日本看護協会版)」を拡張して作成したものとして紹介しています。勤務先のラダーがどちらをもとにしているかは、施設に確かめてください。

ラダーは法律で決まっていますか

ラダーは、日本看護協会や施設が定める指標です。 導入しているかどうか、どんな内容かは、施設によって違います。

ラダーが上がると給料は上がりますか

施設によります。 日本看護協会の資料は、ラダーのレベルと等級を連動させる例を示しています(5章)。勤務先の賃金規程で確かめてください。

転職するとラダーはリセットされますか

ラダーは施設ごとに違います。 転職先でどのレベルから始めるかは、応募の前に転職先に確かめてください(7章)。

まとめ

クリニカルラダーは、看護師の実践能力を段階で示す指標です。日本看護協会は2016年版で看護の核となる実践能力を4つの力で示し、2023年のまなびサポートブックで、4つの領域と新人〜Ⅳの5段階に拡張しました。

施設は、これを参考に独自のラダーを作り、評価や等級と結びつけていることがあります。応募前や入職後は、ラダーがあるか、何をもとに作られているか、評価や等級とどう関係するかを確かめてください。まなびサポートブックは、学びをポートフォリオに記録し、振り返りに役立てることを示しています。

この記事の主な一次情報

  • 日本看護協会「看護師のまなびサポートブック」(2023年6月7日)
  • 日本看護協会「生涯学習支援」
  • 日本看護協会「看護職のキャリアと連動した賃金モデル」(2025年9月改訂)
  • 岡山県看護協会 看護師職能委員会「岡山県の病院看護師のクリニカルラダー導入の現状と課題 調査結果報告書」(令和3年2月)

※2026年10月11日に確認。日本看護協会の資料は改訂されることがあります。この記事は資料の紹介であり、個別の施設のラダーや評価について判断を示すものではありません。給与の額は扱っていません。

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