新人看護職員研修は、免許を取って初めて働く看護職員のための研修で、最初の1年を目安に到達目標が置かれています。 平成22年4月から、病院などの開設者には研修を行う努力義務が、看護職員自身には研修を受ける努力義務があります。

研修の内容と体制は、厚生労働省の「新人看護職員研修ガイドライン」(平成26年2月の改訂版)が示しています。1年以内に到達を目指す目標、研修責任者・教育担当者・実地指導者という役割、プリセプターなどの支える体制、評価の時期の例が書かれています。

この記事は、法律とガイドラインをもとに、新人看護職員研修の仕組みと、入職前・応募前に確かめることを整理します。個別の病院の研修の良し悪しは、この記事では評価しません。

この記事の結論

  • 新人看護職員とは「免許取得後に初めて就労する看護職員」です(1章)
  • 平成22年4月から、病院等の開設者は研修を行うことに、看護職員自身は研修を受けることに努める、とされています。どちらも努力義務です(2章)
  • ガイドラインの到達目標は、基本姿勢と態度・技術的側面・管理的側面で構成され、1年以内に到達を目指す項目に★が付いています(3章)
  • 研修は、研修責任者・教育担当者・実地指導者の役割で組み立てられ、プリセプター・チューター・メンター・チーム支援型などの支え方が示されています(4章)
  • 評価は自己評価と他者評価を組み合わせ、時期は1か月・3か月・6か月・1年が例示されています(5章)
  • 研修の体制は施設によって違います。就職先を選ぶときは、研修計画と支える体制を確かめられます(7章)

読みたい箇所から確認する

1. 新人看護職員研修(新人看護師の研修)とは

先に答えを置きます。免許を取って初めて働く看護職員が、就職した施設で受ける研修です。ガイドラインの到達目標は、1年以内に到達を目指すものとして示されています。

厚生労働省の「新人看護職員研修ガイドライン【改訂版】」(平成26年2月)は、新人看護職員を次のように定義しています。

免許取得後に初めて就労する看護職員のことである。

ガイドラインは基本方針として、看護基礎教育を土台に臨床実践能力を高めることを挙げています。到達目標は「1年以内に到達を目指す」ものとして示されています(3章)。

この章の出典

2. 法律の根拠——2つの努力義務

先に答えを置きます。平成21年の法改正で、平成22年4月から、看護職員自身と、病院等の開設者の両方に努力義務が置かれました。

厚生労働省の資料は、平成21年7月に保健師助産師看護師法(保助看法)と看護師等の人材確保の促進に関する法律(人材確保法)が改正され、新たに業務に従事する看護職員の臨床研修等が平成22年4月から努力義務化されたと説明しています。

条文

誰の努力義務か

保助看法28条の2

免許を受けた後も、臨床研修その他の研修を受け、資質の向上を図るように努める

保健師・助産師・看護師・准看護師自身

人材確保法5条

新たに業務に従事する看護師等に対する臨床研修その他の研修の実施などに努める

病院等の開設者等

保助看法28条の2は、次のとおりです。

保健師、助産師、看護師及び准看護師は、免許を受けた後も、臨床研修その他の研修(保健師等再教育研修及び准看護師再教育研修を除く。)を受け、その資質の向上を図るように努めなければならない。

どちらも「努めなければならない」という努力義務です。 研修の具体的な内容は、法律ではなくガイドラインが示しています。

この章の出典

3. ガイドラインの到達目標

先に答えを置きます。到達目標は3つの柱で構成され、1年以内に到達を目指す項目に★が付いています。

柱

項目数

看護職員として必要な基本姿勢と態度

16項目

技術的側面(看護技術)

70項目

技術的側面(助産技術)

28項目

管理的側面

18項目

★が付いた項目を、いつまでに到達するかは、各施設が決めます。 ガイドラインは、1年のどの時点で到達を目指すかを施設ごとに設定する形をとっています。

到達目標の一つひとつの項目は、ガイドライン本体で確かめられます。

4. 研修体制とプリセプター

先に答えを置きます。研修は、研修責任者・教育担当者・実地指導者という3つの役割で組み立てられます。新人を支える形として、プリセプター・チューター・メンター・チーム支援型が示されています。

3つの役割

役割

ガイドラインの説明

配置の目安

研修責任者

研修の企画・運営・実施・評価の全過程の責任者

各施設に1名配置することが望ましい

教育担当者

各部署の研修の企画・運営の中心

各部署に1名以上とすることが望ましい

実地指導者

臨床の場での指導と評価

—

新人を支える体制

体制

ガイドラインの説明(要約)

プリセプターシップ

決まった先輩が、一定の期間、マンツーマンで指導する

チューターシップ

決まった相談相手を置く

メンターシップ

中長期的な支援者として関わる

チーム支援型

チームで分担して教育・支援する

ガイドラインはこれらを例として示しています。 どの体制をとっているかは、就職先で確かめてください(7章)。

ガイドラインは、複数の部署を回るローテーション研修についても、「一つの部署では得ることのできない幅広い臨床実践能力を獲得するために有効」としています。

新人の時期の後の習熟段階を示すクリニカルラダーは「クリニカルラダーとは」にまとめています。

5. 評価の時期と方法

先に答えを置きます。評価は、自分で振り返る自己評価と、実地指導者・教育担当者による他者評価を組み合わせます。時期は、就職後1か月・3か月・6か月・1年が例示されています。

平成26年の改訂版は、評価時期を各医療機関の状況等に応じて設定するとしています。多職種からの評価や患者の視点からのフィードバックを取り入れることも考えられる、とする記載も加わりました。

この章の出典(3章〜5章)

6. 小規模な施設と、病院以外の就職先

先に答えを置きます。ガイドラインの見直しの報告書は、病床規模が小さい医療機関ほど研修の実施割合が低い傾向を挙げ、他施設との共同研修などを示しています。

厚生労働省の「新人看護職員研修ガイドラインの見直しに関する検討会 報告書」(平成26年2月24日)は、当時の状況として次の点を挙げています。

  • 新人看護職員研修の実施割合は、病床規模が小さい医療機関ほど低い傾向にある
  • 中小規模の医療機関では、研修責任者などの人材の育成・確保が難しい
  • 他の医療機関との連携や共同研修が重要になる
  • 新人看護職員の就業先が多様になることが考えられ、それに対応した研修体制や研修内容の検討が今後の課題。地域の連携体制に、訪問看護ステーションや介護施設なども参加できるようにすることが重要

ガイドラインの修正では、新人が少ない施設や小規模な病院について、他の医療機関や研修機関を活用した研修、複数の医療機関による共同研修が現実的だとしています。その場合も、自施設の研修計画の中で外部の研修をどう位置づけるかを明確にすることが求められています。

この章の出典

7. 入職前・応募前に確かめること

先に答えを置きます。研修の体制は施設によって違います。就職先を選ぶときは、研修計画、支える体制、評価の時期を確かめられます。

確かめること

見るところ・聞き方

研修計画があるか

「1年目の研修計画を見せていただけますか」

誰が責任者・担当者か

「研修責任者や教育担当者はどなたですか」

支える体制

「プリセプター制ですか、チームで支える形ですか」

ローテーション研修

「複数の部署を回る研修はありますか」

評価の時期と方法

「評価はいつ、どのように行いますか」

外部の研修

「院外の研修や共同研修に参加することはありますか」(小規模な施設の場合)

研修の時間の扱い

「研修の時間は勤務時間に含まれますか」

研修の時間は勤務時間か

厚生労働省の「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」(平成29年1月20日)は、労働時間として扱う時間の例に、参加することが業務上義務づけられている研修・教育訓練の受講や、使用者の指示により業務に必要な学習等を行っていた時間を挙げています。個別の研修が労働時間にあたるかは、この記事では判断しません。考え方は「看護師の前残業と着替えの時間」の2章にまとめています。

面接で何を聞くか、聞いてはいけない質問の線引きは「看護師の面接で聞かれること」にまとめています。

新人の時期に「辞めたい」と感じたときの整理は「看護師を辞めたいと思ったとき」にまとめています。免許取得後に受けられる認定看護師・専門看護師・特定行為研修は「認定看護師・専門看護師・特定行為研修の違い」にまとめています。

8. 単発で働く場合

先に答えを置きます。ガイドラインが対象とするのは、免許取得後に初めて就労する看護職員です。単発の勤務先で、どんな説明や指導があるかは、求人で確かめてください。

当日の説明の内容や、困ったときに確認する相手は、求人と施設に確かめてください。初めて単発で働くときの準備は「初めての看護師単発バイト」にまとめています。

新人の時期に単発で働いてよいかは、この記事では判断しません。 勤務先の就業規則で副業が認められているかは「看護師の副業禁止はどこまで有効?」の手順で確かめられます。

9. タメシビで想定していること

タメシビは、看護師・准看護師が、施設と直接雇用契約を結んで1日単位で働けるスポット勤務サービスです。応募後、施設が内容を確認して勤務が確定します(事前の面接・書類選考はありません)。求人には、業務内容、必要な経験、持ち物、当日の流れを明示する方針です。

求められる経験と当日の流れは、求人で確かめられるようにすることを想定しています。

タメシビは2026年内のサービス開始に向けて準備中で、どの地域・どの種類の求人が掲載されるかは、これから決まります。

よくある質問

新人看護職員研修は義務ですか

努力義務です。 病院等の開設者は研修を行うこと(人材確保法5条)に、看護職員自身は研修を受けること(保助看法28条の2)に努める、とされています(2章)。

新人研修は何年ですか

ガイドラインの到達目標は、1年以内に到達を目指すものとして示されています(3章)。各項目をいつまでに到達するかは、施設が設定します。

プリセプターとは何ですか

決まった先輩が、一定の期間、マンツーマンで新人を指導する形です。 ガイドラインは、ほかにチューター・メンター・チーム支援型を示しています(4章)。

転職した看護師も新人看護職員研修の対象ですか

ガイドラインの定義は「免許取得後に初めて就労する看護職員」です(1章)。転職者向けの研修があるかは、転職先に確かめてください。

新人研修の時間は勤務時間に含まれますか

厚生労働省の労働時間のガイドラインは、参加が業務上義務づけられている研修・教育訓練の受講を、労働時間として扱う例に挙げています(7章)。参加が義務かどうかを勤務先で確かめてください。

准看護師も対象ですか

保助看法28条の2は、准看護師も研修を受けるよう努める対象に含めています(2章)。

小さな病院やクリニックでも研修はありますか

施設によります。 見直しの報告書は、病床規模が小さいほど実施割合が低い傾向を挙げ、他施設との共同研修などを示しています(6章)。応募前に研修計画を確かめてください(7章)。

まとめ

新人看護職員研修は、免許を取って初めて働く看護職員のための研修で、最初の1年を目安に到達目標が置かれています。平成22年4月から、病院等の開設者は研修を行うこと、看護職員自身は研修を受けることに努める、とされています。

厚生労働省のガイドライン(平成26年2月の改訂版)は、基本姿勢と態度・技術的側面・管理的側面の到達目標、研修責任者・教育担当者・実地指導者の役割、プリセプターなどの支える体制、1か月・3か月・6か月・1年の評価の例を示しています。体制は施設によって違うため、就職先を選ぶときは研修計画と支える体制を確かめてください。

この記事の主な一次情報

  • 保健師助産師看護師法 第28条の2
  • 看護師等の人材確保の促進に関する法律 第5条
  • 厚生労働省「新人看護職員研修ガイドライン【改訂版】」(平成26年2月)
  • 厚生労働省「新人看護職員研修ガイドラインの見直しに関する検討会 報告書」(平成26年2月24日)
  • 厚生労働省「新人看護職員研修ガイドラインの見直しに関する検討会 開催要綱」

※2026年10月9日に確認。ガイドラインは見直されることがあります。この記事は制度とガイドラインの紹介であり、個別の施設の研修について評価や判断を示すものではありません。

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