乳児院は、乳児を入院させて養育する児童福祉施設です。 児童福祉法37条が目的を定め、看護師を置くことは国の「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」(以下「基準」)で定められています。都道府県は、これに従って条例を定めます。

基準は、看護師の数を子どもの年齢ごとに定めています。 乳児と満2歳未満の幼児はおおむね1.6人に1人以上です。一部は保育士・児童指導員で代えられますが、看護師として置かなければならない最低の数もあります。

この記事は、条文をもとに、乳児院の位置づけ、看護師の配置の基準、仕事の内容、保育園との違い、働く前に確かめることを整理します。個別の乳児院の体制や、給与・働きやすさは扱いません。

この記事の結論

  • 乳児院は、乳児(特に必要がある場合は幼児を含む)を入院させて養育し、退院した者の相談その他の援助も行う施設です(児童福祉法37条)(1章)
  • 看護師の数は、乳児・満2歳未満はおおむね1.6人に1人、満2歳以上3歳未満はおおむね2人に1人、満3歳以上はおおむね4人に1人以上で、合計が7人未満のときは7人以上です(基準21条5項)。乳幼児10人未満の乳児院は7人以上です(22条2項)(2章)
  • 看護師は保育士又は児童指導員で代えられます。ただし乳幼児10人の乳児院には2人以上、10人を超えるとおおむね10人増すごとに1人以上、看護師を置かなければなりません(基準21条6項)(2章)
  • 養育の内容には、授乳・食事・沐浴などのほか、健康状態の把握、健康診断、感染症等の予防処置が含まれます(基準23条2項)(3章)
  • 保育所は子どもを日々保護者の下から通わせて保育する施設で、乳児院とは目的が違います(児童福祉法39条)(5章)

読みたい箇所から確認する

1. 乳児院とは

先に答えを置きます。乳児院は、児童福祉法7条の児童福祉施設の一つで、乳児を入院させて養育し、あわせて退院した者について相談その他の援助を行う施設です(37条)。

児童福祉法37条は、乳児院の対象を「乳児(保健上、安定した生活環境の確保その他の理由により特に必要のある場合には、幼児を含む。)」としています。乳児は満1歳に満たない者、幼児は満1歳から小学校就学の始期に達するまでの者です(4条1項)。

児童福祉法27条1項3号は、都道府県が採る措置の一つとして、児童を乳児院などに入所させることを挙げています。 なお、児童福祉法は「入院」、基準は「入所」という語を使っています。

乳児院の設備と運営の基準は、都道府県が条例で定めます(45条1項)。職員とその員数は、国の基準に従って定めるものとされています(45条2項1号)。この記事は、その国の基準(児童福祉施設の設備及び運営に関する基準)の条文を紹介します。働く地域の条例の定めは、都道府県の案内で確かめてください。

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2. 看護師の配置基準

先に答えを置きます。基準21条5項は、看護師の数を子どもの年齢ごとに定めています。6項で保育士・児童指導員による代替を認めつつ、看護師として置く最低の数も定めています。

年齢ごとの看護師の数(乳幼児10人以上の乳児院)

子どもの年齢

看護師の数

乳児及び満2歳に満たない幼児

おおむね1.6人につき1人以上

満2歳以上満3歳に満たない幼児

おおむね2人につき1人以上

満3歳以上の幼児

おおむね4人につき1人以上

上の合計が7人未満のとき

7人以上

保育士・児童指導員で代えられる範囲

基準21条6項は、看護師を保育士(地域限定保育士などを含む)又は児童指導員(児童の生活指導を行う者)で代えることができるとしています。ただし、次の数は看護師でなければなりません。

乳幼児の数

看護師として置く数

10人

2人以上

10人を超える場合

おおむね10人増すごとに1人以上を加える

7項は、乳幼児20人以下を入所させる施設には、6項の保育士のほかに保育士を1人以上置くとしています。

乳幼児10人未満の乳児院

乳幼児10人以上(21条)

乳幼児10人未満(22条)

看護師の数

年齢ごとの数(合計7人未満なら7人以上)

7人以上

保育士・児童指導員による代替

10人で2人以上、おおむね10人増すごとに1人以上は看護師

1人を除き代えられる

基準は、乳児院全体として置く看護師の数の定めです。 時間帯ごとの配置や夜勤の体制は、基準には定められていません。勤務の体制は、乳児院ごとに求人や面接で確かめてください(6章)。

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3. 乳児院での看護師の仕事

先に答えを置きます。基準23条2項は、乳児院の養育の内容として、日常の世話に加えて、健康状態の把握、健康診断、感染症等の予防処置を挙げています。

基準

定めていること

23条2項(日常の世話)

年齢・発達の段階に応じた授乳、食事、排泄、沐浴、入浴、外気浴、睡眠、遊び及び運動

23条2項(健康・感染症)

健康状態の把握、12条1項の健康診断、必要に応じて行う感染症等の予防処置

24条

乳児が入所した日から、医師又は嘱託医が適当と認めた期間、観察室に入室させ、心身の状況を観察する(乳幼児10人未満の乳児院を除く)

12条1項

施設の長は、入所時の健康診断、少なくとも年2回の定期健康診断、臨時の健康診断を、学校保健安全法の健康診断に準じて行う

19条1号

寝室、観察室、診察室、病室、ほふく室、相談室、調理室、浴室及び便所を設ける(乳幼児10人未満の乳児院を除く)

基準23条1項は、養育を「乳幼児の心身及び社会性の健全な発達を促進し、その人格の形成に資する」ものとしています。3項は、家庭の状況に応じて親子関係の再構築などが図られるように家庭環境の調整を行うとしています。

基準は、これらを看護師の業務として割り当ててはいません。 乳児院として行う養育の内容の定めです。看護師が担う範囲は、乳児院ごとに確かめてください。

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4. 一緒に働く職種

先に答えを置きます。基準21条1項は、看護師のほかに、医師又は嘱託医、個別対応職員、家庭支援専門相談員、栄養士又は管理栄養士、調理員を置くとしています。

職種

基準の定め

医師又は嘱託医

小児科の診療に相当の経験を有する者(21条1項)

個別対応職員

置かなければならない(21条1項)

家庭支援専門相談員

乳児院で乳幼児の養育に5年以上従事した者などに限る(21条1項・2項)

栄養士又は管理栄養士

置かなければならない(21条1項)

調理員

調理業務の全部を委託する施設は置かないことができる(21条1項)

心理療法担当職員

心理療法を行う必要がある乳幼児又は保護者10人以上に心理療法を行う場合に置く(21条3項・4項)

保育士

看護師の代替として(21条6項)、乳幼児20人以下の施設はそのほかに1人以上(21条7項)

乳幼児10人未満の乳児院は、嘱託医、看護師、家庭支援専門相談員、調理員又はこれに代わるべき者を置くとされています(22条1項)。

乳児院の長は、入所中の乳幼児ごとに自立を支援するための計画を策定します(24条の2)。児童相談所や、必要に応じて保健所・市町村保健センターなどの関係機関と密接に連携するとされています(25条)。

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5. 保育園・病児保育・小児科との違い

先に答えを置きます。乳児院は子どもが入所して生活する施設で、保育所は子どもを日々保護者の下から通わせる施設です。看護師を置く根拠も違います。

乳児院

保育所

目的(児童福祉法)

乳児を入院させて養育し、退院した者の相談その他の援助を行う(37条)

保育を必要とする乳児・幼児を日々保護者の下から通わせて保育を行う(39条1項)

入所・利用

都道府県が採る措置の一つ(27条1項3号)

保育を必要とする乳児・幼児が通う

看護師

基準21条・22条で置く数が定められている

「保育園の看護師の仕事内容」の1章を参照

病児保育事業の定義・類型と看護師の配置は「病児保育の看護師の仕事」にまとめています。医療機関の小児科・小児病棟・NICUは「小児科の看護師の仕事内容」にまとめています。

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6. 乳児院で働く前に確かめること

先に答えを置きます。看護師として配置されている人数、夜勤・宿直の有無、担当する子どもの年齢、医師・嘱託医との連絡の方法を、求人や面接で確かめます。

確かめること

理由

看護師として配置されている人数

基準は一部を保育士・児童指導員で代えることを認めている(2章)

夜勤・宿直の有無と回数

基準に時間帯ごとの配置の定めはなく、乳児院ごとに違う(夜勤と宿直の違いは「看護師の当直(宿直)とは」)

担当する子どもの年齢

年齢ごとに看護師の数の定めが違う(2章)

看護師が担う業務の範囲

基準は養育の内容を定めているが、職種ごとの分担は定めていない(3章)

医師・嘱託医との連絡の方法

観察室の期間は医師又は嘱託医が判断する(3章)

感染症の対応の決まり

養育の内容に感染症等の予防処置が含まれる(3章)

この章の出典

  • 各章の出典を参照

7. タメシビで想定していること

タメシビは、看護師・准看護師が、施設と直接雇用契約を結んで1日単位で働けるスポット勤務サービスです。応募が完了した時点で勤務が確定します(施設による承認・面接・書類選考はありません)。求人には、業務内容、必要な経験、持ち物、当日の流れを明示する方針です。

タメシビは2026年内のサービス開始に向けて準備中で、どの地域・どの種類の求人が掲載されるかは、これから決まります。

よくある質問

乳児院に看護師は配置されていますか

基準は、看護師を置かなければならないとしています(21条1項・22条1項)。保育士・児童指導員で代えられる範囲はありますが、乳幼児10人以上の乳児院は2人以上、10人未満の乳児院は1人以上を看護師として置く定めです(2章)。

乳児院の看護師の配置基準はどうなっていますか

乳児・満2歳未満はおおむね1.6人に1人、満2歳以上3歳未満はおおむね2人に1人、満3歳以上はおおむね4人に1人以上で、合計が7人未満のときは7人以上です(基準21条5項)(2章)。

乳児院と保育園の違いは何ですか

乳児院は子どもを入院させて養育する施設、保育所は子どもを日々保護者の下から通わせて保育する施設です(児童福祉法37条・39条1項)。乳児院への入所は、都道府県が採る措置の一つです(27条1項3号)(5章)。

乳児院には何歳までの子どもがいますか

児童福祉法37条の対象は乳児で、特に必要のある場合には幼児を含みます。 幼児は満1歳から小学校就学の始期に達するまでの者です(4条1項)。基準には満3歳以上の幼児の看護師の数の定めもあります(2章)。

まとめ

乳児院は、乳児を入院させて養育し、退院した者の相談その他の援助も行う児童福祉施設です。都道府県が採る措置の一つとして入所させることが定められています。

看護師の数は、基準21条5項で子どもの年齢ごとに定められています。一部は保育士・児童指導員で代えられますが、看護師として置く最低の数もあります。養育の内容には、健康状態の把握、健康診断、感染症等の予防処置が含まれます。働く前に、看護師の人数、夜勤・宿直の有無、担当する年齢、業務の範囲を確かめてください。

この記事の主な一次情報

  • 児童福祉法(昭和22年法律第164号)4条・7条・27条・37条・39条・45条
  • 児童福祉施設の設備及び運営に関する基準(昭和23年厚生省令第63号)12条・19条・21条・22条・23条・24条・24条の2・25条

※2026年10月20日に e-Gov 法令検索で確認。法令は改正されることがあります。乳児院の基準は都道府県の条例で定められます。この記事は制度の紹介であり、個別の乳児院の体制について判断を示すものではありません。

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