小児科の看護師は、クリニックの外来では予防接種や診察の介助、保護者への説明の補助に、病院の小児病棟では入院中の子どもの看護に関わります。 考えるときは、まず「どこの小児科か」を分けて見るのが近道です。同じ小児科でも、クリニックの外来、病院の小児病棟、新生児の集中治療を行う治療室では、関わる子どもの年齢も、看護の体制も違います。

外来の予防接種については、厚生労働省が間違いを防ぐための確認の流れを冊子にまとめています。病院の小児病棟には、15歳未満の子どもを入院させる病棟の入院料の区分があります。また、児童虐待防止法は、虐待の早期発見に努める立場として看護師を名指ししています。

この記事は、厚生労働省の資料と法律をもとに、小児科の看護師が働く場所の違い、予防接種の確認、小児病棟の区分、虐待に気づいたときの条文、働く前に確かめることを整理します。看護の手技、薬やワクチンの量、給料は扱いません。

この記事の結論

  • 小児科の看護師が働く場所は、クリニックの外来、病院の小児科外来と小児病棟、新生児の集中治療を行う治療室に分かれます(1章)
  • 外来の予防接種では、厚生労働省の冊子が受付・準備・問診・接種・接種後の確認を挙げています(2章)
  • 病院の小児病棟には小児入院医療管理料の区分があり、対象は主に15歳未満の子どもです(3章)
  • 児童虐待防止法は看護師を早期発見に努める立場に挙げ、通告は守秘義務に妨げられないと定めています(4章)
  • 働く前に、働く場所の種類、予防接種の分担、保護者への説明の範囲、虐待を疑ったときの院内の手順を確かめます(5章)

読みたい箇所から確認する

1. 小児科の看護師が働く場所

先に答えを置きます。「小児科の看護師」には、外来・病棟・新生児の治療室という、体制の違う3つの場所があります。 子どもに関わる看護師の仕事は、医療機関の外にもあります。

場所

主な場面

この記事で見る箇所

クリニックの外来

予防接種、診察の介助、保護者への説明の補助

2章

病院の小児科外来・小児病棟

外来の診療、入院中の子どもの看護、付き添う家族への対応

3章

新生児の集中治療を行う治療室(NICU など)

新生児の集中治療

3章

クリニックの診療科ごとの業務の違いは「クリニック外来の看護師の仕事内容」の3章にまとめています。

医療機関の外で子どもに関わる仕事

医療機関の外にも、子どもに関わる看護師の仕事があります。それぞれ、置かれる根拠や体制が違います。

この章の出典

2. 外来の予防接種で、間違いを防ぐ確認

先に答えを置きます。厚生労働省は、予防接種の間違いを防ぐための確認を、受付から接種後までの流れで冊子にまとめています。 小児科の外来で予防接種に関わるなら、この流れが確認の土台になります。

厚生労働省健康局健康課は、平成29年10月24日の事務連絡「予防接種の間違いの防止について」で、冊子「予防接種による間違いを防ぐために」を医療機関などに周知するよう求めました。冊子は、医療機関での確認を次のように挙げています。

段階

冊子が挙げる確認

受付

被接種者のフルネームと、接種するワクチンの種類。母子健康手帳の予防接種のページで、そのワクチンが未接種であること

準備

ワクチンの種類と有効期限。同時接種の場合を除き、異なる種類のワクチンを同じトレーに入れない。色分けしたクリップなどで、予診票やカルテのワクチンの種類が分かるようにする

問診

接種するワクチンを本人または保護者に再確認する(ダブルチェック)。年齢の範囲、接種間隔、接種回数、接種量と接種方法

接種

接種器具が未使用であること

接種後

使用済みの器具を廃棄用の容器に入れ、未使用の器具と離して置く。母子健康手帳とカルテへの記載。次回の接種の予定の記録

冊子は、ワクチンごとの接種年齢・間隔・回数などを目につく場所に貼っておくこと、接種間隔などは添付文書や予防接種実施規則、定期接種実施要領で確かめることも挙げています。この記事では、ワクチンごとの数値は書きません。

間違いが起きたとき

冊子は、間違いが起きた場合として、被接種者または保護者への速やかな謝罪と説明、委託元の自治体への報告、必要な検査、再発防止策の検討と実施を挙げています。単発で入る日は、間違いに気づいたときに誰に伝えるかを先に確かめておくと動きやすくなります。

誰が接種し、誰が予診をするか

ワクチンを打つのは誰か、予診は誰が行うかは、「ワクチン接種の看護師バイト」の2章・3章にまとめています。子どもの接種で保護者の同意をどう確認するかも、同じ記事のよくある質問で扱っています。

この章の出典

3. 小児病棟と、新生児の治療室

先に答えを置きます。病院の小児病棟には、診療報酬の小児入院医療管理料という区分があり、区分1〜3は、専ら15歳未満の子どもを入院させる病棟です。 区分によって、小児科の常勤の医師の数などの基準が違います。

厚生労働省の「基本診療料の施設基準等」は、小児入院医療管理料1〜3の病棟について、専ら15歳未満の小児(小児慢性特定疾病医療支援の対象である場合は20歳未満の者)を入院させる病棟であることを求めています。区分4は、病棟に専ら小児を入院させる病床が10床以上あることを求めています。

項目

施設基準の内容

区分

1〜5の5つ

対象(区分1〜3)

専ら15歳未満の小児(小児慢性特定疾病医療支援の対象なら20歳未満)を入院させる病棟

区分4

専ら小児を入院させる病床が10床以上

小児科の常勤の医師

区分ごとに必要な人数が違う

看護の配置(区分1〜3)

看護師が、常時、入院患者7人またはその端数ごとに1人以上

看護の配置(区分4・5)

看護職員の配置で定める(看護師の割合の定めもある)

同じ病院の中でも、病棟がどの区分にあたるかは病院によって違います。この記事では、個別の病棟がどの区分にあたるかは判断しません。

新生児の集中治療を行う治療室

同じ告示には、新生児特定集中治療室管理料や新生児治療回復室入院医療管理料という、小児入院医療管理料とは別の区分もあります。働く前に、その部署がどの治療室にあたるかを応募先に確かめてください。

病棟の配置の考え方

病院の看護師の配置が、法律の定めと診療報酬の施設基準の2つの層で決まる仕組みは、「病院の病棟に単発の求人が少ない理由」の1章にまとめています。

この章の出典

  • 厚生労働省「基本診療料の施設基準等」(平成20年厚生労働省告示第62号。令和8年度改定後)第九の九 小児入院医療管理料の施設基準、別表
  • 近畿厚生局「小児入院医療管理料の施設基準に係る届出書添付書類」 https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/kinki/r6-k48.pdf

4. 虐待に気づいたときの条文

先に答えを置きます。児童虐待防止法は、虐待の早期発見に努める立場として看護師を挙げています。虐待を受けたと思われる子どもを見つけた人には通告の義務があり、その通告は守秘義務に妨げられないと定めています。

児童虐待の防止等に関する法律(平成12年法律第82号)5条1項は、児童の福祉に職務上関係のある者として、医師、歯科医師、保健師、助産師、看護師などを挙げ、児童虐待を発見しやすい立場にあることを自覚し、早期発見に努めなければならないと定めています。

6条1項は、次のように定めています。

児童虐待を受けたと思われる児童を発見した者は、速やかに、これを市町村、都道府県の設置する福祉事務所若しくは児童相談所又は児童委員を介して市町村、都道府県の設置する福祉事務所若しくは児童相談所に通告しなければならない。

6条3項は、刑法の秘密漏示罪の規定その他の守秘義務に関する法律の規定は、通告をする義務の遵守を妨げるものと解釈してはならない、と定めています。

単発の勤務で気づいたとき

医療機関では、気づいたことを誰に伝えるかの手順が決まっていることがあります。単発で入る日は、気づいたことを伝える相手を先に確かめておくと迷いません。

守秘義務と通報の関係は、「看護師の守秘義務はどの法律にあるか」の2章にまとめています。

この章の出典

5. 小児科で働く前に確かめること

先に答えを置きます。働く場所の種類、予防接種の分担、保護者への説明の範囲、困ったときに伝える相手を確かめると、当日の動きが見通せます。

確かめること

理由

働く場所の種類(外来・小児病棟・新生児の治療室)と、NICU・GCU など部署の呼び名と担当範囲

体制と関わる子どもの年齢が場所で違う(1章・3章)

予防接種の当日の件数と、看護師の分担(受付の確認、準備、接種、記録)

冊子の確認のどこを担当するかが変わる(2章)

ワクチンの準備の決まり(トレー、色分け、ダブルチェックの方法)

施設ごとの手順に合わせる(2章)

保護者への説明を、どこまで看護師が行うか

医師の説明との分担を確かめる

間違いや気になる様子に気づいたときに伝える相手

接種の間違い(2章)や虐待の疑い(4章)で迷わないため

病棟の場合は、付き添う家族への対応の決まり

病院の決まりに合わせて動く

当日のための確認リスト

  • □ 働く場所の種類と、関わる子どもの年齢
  • □ NICU・GCU など、部署の呼び名と担当範囲
  • □ 予防接種の分担と、ワクチンの準備の決まり
  • □ 母子健康手帳とカルテへの記載を誰が行うか
  • □ 保護者への説明の範囲
  • □ 間違いや気になる様子に気づいたときに伝える相手
  • □ 病棟の場合は、家族の付き添い・面会の決まり

6. タメシビで想定していること

タメシビは、看護師・准看護師が、施設と直接雇用契約を結んで1日単位で働けるスポット勤務サービスです。応募後、施設が内容を確認して勤務が確定します(事前の面接・書類選考はありません)。求人には、業務内容、必要な経験、持ち物、当日の流れを明示する方針です。

タメシビは2026年内のサービス開始に向けて準備中で、どの地域・どの種類の求人が掲載されるかは、これから決まります。

よくある質問

小児科の経験がないと働けませんか

この記事で見た法律と施設基準には、小児科の経験を求める定めはありません。 求める経験は求人ごとに違うため、求人票と応募先に確かめてください(5章)。

小児科のクリニックと小児病棟は、何が違いますか

クリニックの外来では予防接種や診察の介助、小児病棟では入院中の子どもの看護に関わります(1章)。小児病棟には小児入院医療管理料の区分があり、区分ごとに体制が違います(3章)。

予防接種は看護師が打ってもよいのですか

誰が打つかは、法律の側と会場の側の両方で決まります。 「ワクチン接種の看護師バイト」の2章にまとめています。

小児の看護に関わる資格はありますか

日本看護協会の認定看護師には「小児プライマリケア」「新生児集中ケア」、専門看護師には「小児看護」の分野があります。 「認定看護師・専門看護師・特定行為研修の違い」の2章・3章にまとめています。

#8000 の電話相談は、看護師が対応しているのですか

厚生労働省のサイトは、小児科医師・看護師に電話で相談できる仕組みと説明しています(1章)。仕組みは「看護師のコールセンターの仕事内容」の3章にまとめています。

まとめ

小児科の看護師を考えるときは、クリニックの外来、病院の小児病棟、新生児の治療室のどこかを分けて見ると整理しやすくなります。外来の予防接種では、厚生労働省の冊子が受付から接種後までの確認を挙げています。小児病棟には小児入院医療管理料の区分があり、区分1〜3は専ら15歳未満の子どもを入院させる病棟です。

児童虐待防止法は看護師を早期発見に努める立場に挙げ、通告は守秘義務に妨げられないと定めています。働く前に、働く場所の種類、予防接種の分担、保護者への説明の範囲、気づいたときに伝える相手を確かめてください。

この記事の主な一次情報

  • 厚生労働省健康局健康課 事務連絡「予防接種の間違いの防止について」(平成29年10月24日)、冊子「予防接種による間違いを防ぐために」
  • 厚生労働省「基本診療料の施設基準等」(平成20年厚生労働省告示第62号。令和8年度改定後)第九の九 小児入院医療管理料の施設基準
  • 児童虐待の防止等に関する法律(平成12年法律第82号)第5条、第6条
  • 厚生労働省「子ども医療電話相談(#8000)」

※2026年10月14日に確認。法令・告示・資料は改正されることがあります。この記事は制度の紹介であり、個別の施設や勤務について判断を示すものではありません。看護の手技、薬やワクチンの量、診療報酬の点数、給料は扱っていません。

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