特別支援学校の看護師は、学校教育法施行規則で「医療的ケア看護職員」と位置づけられた職員として、たんの吸引や経管栄養などの医療的ケアを担います。 2021年8月の省令改正で規定され、特別支援学校だけでなく、小中学校・高校・幼稚園にも同じ規定が準用されています。自治体の募集では「学校看護師」と呼ばれることがあります。

「特別支援学校 看護師」で調べると、自治体の募集ページと学校の紹介が並びます。この記事は、省令が定める職務、教員ができる医療的ケアとの線引き、文部科学省の調査の人数、自治体ごとの任用の形を順に整理します。個別の医療的ケアの手順や、自治体の運用の細部は扱いません。

先に答えを書くと、医療的ケア看護職員には看護師・准看護師・保健師・助産師が充てられ、医師の指示の下での医療的ケア、子どもの健康管理、教員への指導・助言を担います。 教員も研修と認定を受ければ、たんの吸引と経管栄養の5つの行為(特定行為)に限って行えますが、それ以外の医療的ケアは看護師等が担います。

この記事の結論

  • 学校の看護師は、学校教育法施行規則65条の2の「医療的ケア看護職員」です(2021年8月23日施行)。特別支援学校、小中学校、高校、幼稚園などに準用されています(1章)
  • 職務は、医療的ケア児のアセスメント、医師の指示の下での医療的ケア、健康管理、認定を受けた教職員への指導・助言です(2章)
  • 文部科学省の調査(令和7年5月1日時点)では、特別支援学校の医療的ケア児は8,735人、医療的ケア看護職員は3,654人です(3章)
  • 教員ができるのは喀痰吸引3種と経管栄養2種の「特定行為」に限られます。看護師等が医療的ケアを行い、教職員がそれを支える体制が基本です(4章)
  • 任用の形は自治体ごとに違います。非常勤の1年任用や登録制の例があり、資格要件(准看護師を含むか、研修の修了を求めるか)も募集ごとに確認します(5章)
  • 働く前に、担当する子どもと医療的ケアの種類、主治医の指示書、学校のマニュアル、緊急時の対応を確認します(6章)

読みたい箇所から確認する

1. 学校の「医療的ケア看護職員」とは

先に答えを置きます。学校で医療的ケアを担う看護師は、学校教育法施行規則65条の2で「医療的ケア看護職員」と定められています。新しい資格ではなく、学校に置く職員の名称です。

文部科学省の施行通知によると、2021年(令和3年)8月23日に学校教育法施行規則が改正され、同日施行されました。医療的ケア看護職員は小学校の職員の規定に位置づけられ、幼稚園・中学校・義務教育学校・高等学校・中等教育学校・特別支援学校に準用されています。

医療的ケア看護職員には、保健師・助産師・看護師・准看護師(看護師等)が充てられます。通知は、これが新たな資格を設けるものではなく、配置する者の名称であると説明しています。

「医療的ケア」とは

文部科学省の施行通知は、医療的ケアを人工呼吸器による呼吸管理、喀痰吸引その他の医療行為としています。同じ2021年に成立した医療的ケア児支援法(医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律)によって、学校に看護職員を置く必要性が高まっていることも、通知は背景として挙げています。

この章の出典

  • 文部科学省「学校教育法施行規則の一部を改正する省令の施行について(通知)」(令和3年8月23日)
  • 医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律(令和3年法律第81号)(施行通知の記載で確認)

2. 省令が定める職務

先に答えを置きます。医療的ケア看護職員の職務は、医療的ケア児の療養上の世話または診療の補助です。施行通知は、その中身を4つに分けて示しています。

職務

内容

アセスメント

医療的ケア児の状態を把握する

医療的ケアの実施

医師の指示の下、必要に応じて医療的ケアを行う

健康管理

医療的ケア児の健康を管理する

教職員への指導・助言

認定特定行為業務従事者である教職員(4章)に指導・助言を行う

職務には、教員への指導・助言が含まれています。横浜市の募集チラシも、仕事内容に医療的ケアの実施と並べて「ケアを実施する教員への指導」と緊急時の初期対応を挙げています。

この章の出典

  • 文部科学省「学校教育法施行規則の一部を改正する省令の施行について(通知)」
  • 横浜市「学校看護師」募集チラシ

3. 数字で見る学校の医療的ケア

先に答えを置きます。文部科学省の調査(令和7年5月1日時点)では、特別支援学校の医療的ケア児は8,735人、医療的ケア看護職員は3,654人です。小中高等学校などにも、医療的ケア児が2,788人います。

特別支援学校

幼稚園・小中高等学校

医療的ケア児

8,735人(通学6,954人・訪問教育1,781人。訪問教育は、通学が難しい子どものもとへ教員が出向いて行う教育)

2,788人(通常学級1,411人・特別支援学級1,377人)

医療的ケア看護職員

3,654人

2,812人

認定特定行為業務従事者

4,147人(教員)

231人(教員109人・教員以外122人)

行為別の件数(上位)

特別支援学校

幼稚園・小中高等学校

経管栄養(胃ろう)4,178件

血糖値測定・インスリン注射 962件

喀痰吸引(鼻腔内)4,092件

導尿(自己導尿を除く)625件

喀痰吸引(口腔内)4,032件

喀痰吸引(気管カニューレ内部)428件

喀痰吸引(気管カニューレ内部)2,216件

経管栄養(胃ろう)378件

特別支援学校では喀痰吸引と経管栄養が、小中高等学校では血糖値測定・インスリン注射と導尿が上位にあります。学校の種類によって、件数の多い医療的ケアの種類が違います。

この章の出典

  • 文部科学省「令和7年度学校における医療的ケアに関する実態調査結果」(令和8年7月公表、令和7年5月1日現在)

4. 教員との分担——5つの特定行為

先に答えを置きます。教員などの教職員も、研修を受けて認定されれば(認定特定行為業務従事者)、医師の指示の下、看護師等と連携して5つの特定行為を行えます。それ以外の医療的ケアは看護師等が担います。

教員が行える5つの特定行為

区分

行為

喀痰吸引

口腔内/鼻腔内/気管カニューレ内部

経管栄養

胃ろう又は腸ろうによる経管栄養/経鼻経管栄養

文部科学省の資料「小学校等における医療的ケアについて」は、教育委員会等が配置した看護師等が医療的ケアを行い、教職員はそれをバックアップする体制を基本としています。認定を受けた教職員が行えるのは、上の5つの特定行為に限られ、一定の条件の下で行うとされています。

3章の調査にあるとおり、特別支援学校では認定を受けた教員が4,147人います。看護師は自分で医療的ケアを行うだけでなく、特定行為を行う教員を支え、指導・助言する立場にもなります(2章)。

介護の現場で同じ「認定特定行為業務従事者」の制度がどう使われているかは「看護師と介護職の業務分担」の5章にまとめています。

学校の中の体制

同じ資料は、学校の中に医療的ケア安全委員会(校長、担任、養護教諭、学校医などで構成)を置くこと、教育委員会の医療的ケア運営協議会でヒヤリ・ハット事例を共有することを示しています。また、保護者の付添いは真に必要と考えられる場合に限るよう努め、代替案などを十分に検討することとしています。

この章の出典

  • 文部科学省「小学校等における医療的ケアについて」(千葉県掲載)
  • 文部科学省「令和7年度学校における医療的ケアに関する実態調査結果」

5. 任用の形と資格要件——学校看護師の募集は自治体ごとに違う

先に答えを置きます。公立学校の場合、看護師は教育委員会などに任用されます。任用の形と資格要件は自治体ごとに違うため、募集要項で確認します。私立学校では、学校の設置者が募集・雇用します。

確認した2つの自治体の例を並べます。

栃木県(県立特別支援学校)

横浜市(学校看護師)

任用の形

登録制。非常勤として1年間の任用

募集チラシで確認

勤務日・時間

月〜金のうち勤務できる日、1日3〜6時間(時間は相談)

夜勤・休日勤務なし、学校の夏休みに合わせて休暇を取れるという働き手の声の記載

資格要件

看護師免許

看護師資格に加え、「指導看護師」講習と喀痰吸引等研修(3号)の修了

経験

—

小児看護の経験がない方やブランクがある方も、研修やOJTで習得できると記載

省令上は准看護師も医療的ケア看護職員に充てられますが(1章)、募集によっては看護師免許を要件にしている例があります。准看護師の方は、資格要件の欄を先に確認してください。准看護師が業務の上で誰の指示を受けるかは「准看護師の単発バイト」の2章にまとめています。

確認した2つの例では、勤務は平日の日中で、横浜市のチラシには学校の夏休みに合わせて休暇を取れるという働き手の声の記載があります。

この章の出典

  • 栃木県「県立特別支援学校に勤務する学校看護師の登録について」(2023年4月20日更新)
  • 横浜市「学校看護師」募集チラシ

6. 働く前に確認すること

先に答えを置きます。学校の医療的ケアは、主治医の指示と学校のマニュアルを前提に行われます。働く前に、担当する子どもとケアの種類、指示書とマニュアル、緊急時の対応を確認します。

確認すること

理由

担当する子どもの人数と、医療的ケアの種類(吸引、経管栄養、導尿、血糖測定、人工呼吸器の管理など)

学校の種類で上位の行為が違う(3章)

主治医の指示書と、学校のマニュアル(個別の手順書)

医療的ケアは医師の指示の下で行う(2章)

特定行為を行う教員がいるか、その教員との分担

看護師が指導・助言する立場にもなる(4章)

看護職が自分1人になる時間があるか

子どもの人数と看護職の人数の組み合わせで変わる

緊急時の対応(学校医・主治医・保護者・救急への連絡の順番)

緊急時の初期対応は看護師の仕事に含まれる例がある(2章)

ヒヤリ・ハットの報告先と様式

委員会・協議会で事例を共有する体制がある(4章)

校内で移動するときのケアの体制(教室移動や体育などで、呼吸器や吸引器を使う子どもに誰が付くか)

授業の場所が変わる学校ならではの確認点

勤務日と時間(時差出勤の有無、長期休業中の扱い)

自治体ごとに違う(5章)

常勤の職場を続けながら学校で働く場合は、就業規則の副業の規定を先に確認してください。規定の読み方は「看護師の副業禁止はどこまで有効?」にまとめています。

7. 保育園・放課後等デイとの違い

先に答えを置きます。子どもの医療的ケアに関わる看護の場は、学校のほかに保育園と障害児の通所(放課後等デイ・児童発達支援)があります。根拠となる制度が、それぞれ違います。

場

看護職の位置

記事

学校(特別支援学校・小中高など)

学校教育法施行規則の医療的ケア看護職員

この記事

保育園

保育所の看護師(保育士とみなす配置特例を含む)

「保育園の看護師」

放課後等デイ・児童発達支援

医療的ケアを行う場合に看護職員を置く(指定基準。置かなくてよい場合の定めもある)

「放課後等デイと児童発達支援の看護師」の4章・5章

放課後等デイは、学校が終わったあとや長期休業中に子どもが通う場です。同じ子どもが、日中は学校の看護師、放課後は事業所の看護職員から医療的ケアを受けることがあります。

8. タメシビで想定していること

タメシビは、看護師・准看護師が、施設と直接雇用契約を結んで1日単位で働けるスポット勤務サービスです。応募後、施設が内容を確認して勤務が確定します(事前の面接・書類選考はありません)。求人には、業務内容、必要な経験、持ち物、当日の流れを明示する方針です。

公立学校の看護師は教育委員会などに任用されます。1日単位の募集の形があるかどうかは、自治体の募集要項で確認してください。常勤・パートの採用をあっせんするサービスではありません。この記事で挙げた確認項目は、子どもの医療的ケアに関わる求人を作る段階で施設に確認する項目として想定しています。

タメシビは2026年内のサービス開始に向けて準備中で、どの地域・どの種類の求人が掲載されるかは、これから決まります。

よくある質問

特別支援学校の看護師の仕事内容は何ですか

医療的ケア看護職員として、医療的ケア児のアセスメント、医師の指示の下での医療的ケア、健康管理、認定を受けた教職員への指導・助言を担います(2章)。特別支援学校では経管栄養と喀痰吸引が、小中高等学校では血糖値測定・インスリン注射と導尿が、件数の上位にあります(3章)。

准看護師でも働けますか

省令上は、准看護師も医療的ケア看護職員に充てられます(1章)。ただし、募集によっては看護師免許を要件にしている例があるため、資格要件の欄を確認してください(5章)。

小児看護の経験がないと働けませんか

省令は経験を要件にしていません。横浜市の募集チラシは、小児看護の経験がない方やブランクがある方も研修やOJTで習得できると記載しています(5章)。求める経験や研修の修了は募集ごとに違うため、要項で確認してください。

教員がたんの吸引をしてもよいのですか

研修を受けて認定された教職員(認定特定行為業務従事者)は、医師の指示の下、看護師等と連携して、喀痰吸引3種と経管栄養2種の特定行為に限って行えます(4章)。それ以外の医療的ケアは看護師等が担います。

夏休みは働きますか

確認した2つの自治体の例では、勤務は平日の日中です。長期休業中の扱いは自治体と募集によって違うため、勤務日の欄で確認してください(5章・6章)。

養護教諭とは何が違いますか

別の職です。医療的ケア看護職員は、看護師等の資格で充てられる職員です(1章)。学校の医療的ケア安全委員会には、養護教諭も構成員に含まれています(4章)。

まとめ

特別支援学校の看護師は、学校教育法施行規則65条の2の医療的ケア看護職員です。看護師・准看護師・保健師・助産師が充てられ、アセスメント、医師の指示の下での医療的ケア、健康管理、教職員への指導・助言を担います。

教員も研修と認定を受ければ5つの特定行為を行えますが、それ以外の医療的ケアは看護師等が担い、教職員がそれを支える体制が基本です。文部科学省の調査では、特別支援学校の医療的ケア児は8,735人、医療的ケア看護職員は3,654人です。

任用の形と資格要件は自治体ごとに違います。働く前に、担当する子どもとケアの種類、主治医の指示書と学校のマニュアル、教員との分担、緊急時の対応を確認してください。

この記事の主な一次情報

  • 学校教育法施行規則 65条の2(医療的ケア看護職員)/文部科学省「学校教育法施行規則の一部を改正する省令の施行について(通知)」(令和3年8月23日)
  • 医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律(令和3年法律第81号)(施行通知の記載で確認)
  • 文部科学省「令和7年度学校における医療的ケアに関する実態調査結果」(令和7年5月1日現在)
  • 文部科学省「小学校等における医療的ケアについて」
  • 栃木県「県立特別支援学校に勤務する学校看護師の登録について」/横浜市「学校看護師」募集チラシ

※2026年10月6日に確認。制度や募集の内容は変わることがあります。この記事は制度の紹介であり、個別の学校や自治体の体制について判断を示すものではありません。報酬の額は扱っていません。

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