障害のある子どもが通う事業所の看護師の求人は、出ている事業所と出ていない事業所がはっきり分かれます。
その違いは、条文に書かれています。 看護職員は、基本の職員として置くこととされているわけではありません。ある条件のときに置くこととされ、別の条件では置かないこともできるという形です。
この記事では、その構造を条文から整理し、単発で入る日に確認したいことをまとめました。
この記事の結論
- 児童発達支援と放課後等デイサービスは、別のサービスです。 放課後等デイサービスは就学している障害児が対象で、勤務の時間帯が授業日と学校休業日で変わります(1章)。
- サービスの内容も、条文が定めています。 そのうえで看護職員が担うのは医療的ケアの部分です。医療的ケアは主治の医師の指示にもとづきます(2章)。
- 基本の職員として置くこととされているのは、児童指導員または保育士です。 看護職員はそこに入っていません(3章)。
- 看護職員が出てくるのは、医療的ケアを行う場合です。条文は「置かなければならない」としています(4章)。
- ただし、3つの場合には置かないこともできるとされています。ここが、看護職員を置く事業所と置かない事業所を分けています(5章)。
- 主として重症心身障害児を通わせる事業所は、看護職員「一以上」が定められています(6章)。
この記事は条文が何を定めているかを紹介するものです。個別の事業所の配置・運用・報酬の算定について判断するものではなく、療育の方法や必要な経験の有無も扱いません。 その部分は応募先の事業所と、そこで働く専門職の領域です。
目次
- 1. 2つのサービスは別のもの
- 2. 条文が定めているサービスの内容
- 3. 基本の職員に看護職員は入っていない
- 4. 看護職員が必要になるのは「医療的ケアを行う場合」
- 5. 置かないこともできる3つの場合
- 6. 主として重症心身障害児を通わせる事業所
- 7. 勤務の時間帯が日によって変わる
- 8. 単発で入る日に確認すること
- 9. タメシビで想定していること
- よくある質問
- まとめ
1. 2つのサービスは別のもの
根拠は児童福祉法です
まず押さえておきたいのは、これらが児童福祉法にもとづくサービスだという点です。介護保険のデイサービスとも、成人の障害福祉サービスとも、根拠となる法律が違います。
児童福祉法6条の2の2は、障害児通所支援の種類を定めています。この記事で扱う2つは、そのうちの2項と3項です。
根拠 | 対象 | |
|---|---|---|
児童発達支援 | 児童福祉法6条の2の2第2項 | 障害児 |
放課後等デイサービス | 同条3項 | 学校教育法1条に規定する学校(幼稚園及び大学を除く)等に就学している障害児 |
放課後等デイサービスは「就学している障害児」が対象
条文の書き方に違いがあります。
放課後等デイサービスについて、同条3項は対象を 「学校教育法第一条に規定する学校(幼稚園及び大学を除く。)又は専修学校等に就学している障害児」 としています。そして、「授業の終了後又は休業日に」 通わせて支援を行うものと定めています。
つまり、学校に通っている子どもが、放課後と学校の休業日に利用するサービスです。 小学校から高校までの学齢期が中心になります。
一方、児童発達支援について同条2項は「障害児につき」としており、就学しているかどうかを条文で限定していません。 実際の利用者の年齢構成については、この記事では扱いません(統計を確認していないためです)。
「授業の終了後又は休業日に」が勤務時間に効きます
この条文の書き方は、働く側にとって実務的な意味を持ちます。
授業がある日は放課後から、学校の休業日は朝からという形になります。同じ事業所の求人でも、日によって勤務の時間帯が変わります。 詳しくは7章で扱います。
介護保険の「デイサービス」とは別のものです
名前が似ていますが、別の制度です。
根拠法 | 利用者 | |
|---|---|---|
放課後等デイサービス・児童発達支援 | 児童福祉法 | 障害児 |
通所介護(デイサービス) | 介護保険法 | 要介護認定を受けた方 |
生活介護など(成人の通所) | 障害者総合支援法 | 18歳以上の障害者 |
介護保険の通所介護については「デイサービスの看護師の仕事内容」、成人の障害福祉サービスについては「障害者支援施設の看護師」にまとめています。求人票を見るときは、どの制度のサービスかを最初に確かめてください。
この章の出典
- 児童福祉法(昭和22年法律第164号)第6条の2の2 https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000164
2. 条文が定めているサービスの内容
「何をする事業所なのか」が条文に書かれています
配置の話に入る前に、サービスそのものの中身を見ておきます。児童福祉法6条の2の2は、サービスの内容も定義しています。
条文が定める支援の内容 | |
|---|---|
児童発達支援(2項) | 日常生活における基本的な動作及び知識技能の習得並びに集団生活への適応のための支援その他の内閣府令で定める便宜を供与し、又はこれに併せて児童発達支援センターにおいて治療を行うこと |
放課後等デイサービス(3項) | 生活能力の向上のために必要な支援、社会との交流の促進その他の便宜を供与すること |
どちらも、医療を提供する事業として定義されてはいません。 中心に置かれているのは、動作や知識技能の習得、集団生活への適応、生活能力の向上、社会との交流です。
この定義が、看護職員の立ち位置を決めています。
看護職員が担うのは医療的ケアの部分です
条文の構造を並べると、役割の分かれ方が見えます。
条文 | 担う職種 | |
|---|---|---|
サービスの中心にある支援 | 児童福祉法6条の2の2第2項・3項 | 児童指導員、保育士(3章) |
機能訓練 | 指定通所支援基準66条2項 | 機能訓練担当職員 |
医療的ケア | 同項 | 看護職員 |
つまり、看護職員は「療育を行う職種」として置かれているのではありません。 医療的ケアを必要とする子どもがいる場合に、その部分を担う職種として条文に登場します。
療育の方法や支援の内容は、この記事では扱いません。 事業所と、児童指導員・保育士・機能訓練担当職員などの専門職の領域です。
医療的ケアは主治の医師の指示にもとづきます
ここが、単発で入る日に最も効く条文です。保健師助産師看護師法37条を引きます。
保健師、助産師、看護師又は准看護師は、主治の医師又は歯科医師の指示があつた場合を除くほか、診療機械を使用し、医薬品を授与し、医薬品について指示をしその他医師又は歯科医師が行うのでなければ衛生上危害を生ずるおそれのある行為をしてはならない。ただし、臨時応急の手当をし、又は助産師がへその緒を切り、浣腸を施しその他助産師の業務に当然に付随する行為をする場合は、この限りでない。
「主治の医師」です。 事業所の嘱託医ではありません。子どもごとに主治医がいて、その指示にもとづいて医療的ケアが行われるという構造になります。
そのため、単発で入る日の起点は 「その子の指示書はどこにあるか」 です。事業所に置かれている指示書を確認しないまま医療的ケアに入ることはできません。
もうひとつ押さえておきたいのが、ただし書きの「臨時応急の手当」です。 急変や発作にその場で対応する場面は、この条文の適用外として書かれています。指示を待てない場面がありうることが、条文の側で前提にされています。
この章の出典
- 児童福祉法(昭和22年法律第164号)第6条の2の2 https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000164
- 保健師助産師看護師法(昭和23年法律第203号)第37条 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000203
3. 基本の職員に看護職員は入っていない
置くこととされているのは児童指導員または保育士です
配置の条文を見ます。児童福祉法にもとづく指定通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準(平成24年厚生労働省令第15号)が、置くべき従業者を定めています。放課後等デイサービスについては66条です。
同条1項が挙げているのは、次の2つです。
号 | 職種 | 員数 |
|---|---|---|
1号 | 児童指導員または保育士 | 障害児の数の区分に応じた数以上(単位ごとに、提供を行う時間帯を通じて専ら従事する者の合計数) |
2号 | 児童発達支援管理責任者 | 1以上 |
1号は、「指定放課後等デイサービスの単位ごとにその提供を行う時間帯を通じて専ら当該指定放課後等デイサービスの提供に当たる児童指導員又は保育士の合計数」を、障害児の数の区分に応じて定める形になっています。具体的な人数はこの記事では扱いません(区分ごとの数を原文で確認していないためです)。
この記事に関わるのは、看護職員がこの1項に入っていないという点です。
児童発達支援についても、同基準5条が同様に従業者と員数を定めています。
ここが他の施設種別との違いです
このクラスタで扱ってきた他の施設と比べると、違いがはっきりします。
施設・サービス | 看護職員の位置づけ |
|---|---|
特別養護老人ホーム | 入所者の数に応じた員数が定められている |
生活介護(成人) | 単位ごとに1以上と定められている |
通所介護(デイサービス) | 単位ごとに1以上(専従の考え方がある) |
放課後等デイサービス・児童発達支援 | 基本の職員には入っていない。医療的ケアを行う場合に置く(4章) |
看護師の求人が出ている事業所と出ていない事業所が分かれるのは、この構造によるものです。 配置が前提になっていないサービスなので、求人が出ている事業所には理由があります。
その理由が次の章です。
この章の出典
- 児童福祉法に基づく指定通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準(平成24年厚生労働省令第15号)第5条・第66条 https://laws.e-gov.go.jp/law/424M60000100015
4. 看護職員が必要になるのは「医療的ケアを行う場合」
条文は「置かなければならない」としています
66条2項の本文を引きます。
前項各号に掲げる従業者のほか、指定放課後等デイサービス事業所において、日常生活を営むのに必要な機能訓練を行う場合には機能訓練担当職員を、日常生活及び社会生活を営むために医療的ケアを恒常的に受けることが不可欠である障害児に医療的ケアを行う場合には看護職員を、それぞれ置かなければならない。
「置かなければならない」です。 医療的ケアを行う場合には、置くことが義務として書かれています。
児童発達支援についても、5条2項が同じ形で定めています。
「恒常的に受けることが不可欠である」という書き方
条文の言葉に注目してください。「医療的ケアを恒常的に受けることが不可欠である障害児」です。
一時的な処置やけがへの対応が想定されているわけではありません。日常生活と社会生活を営むうえで、継続して医療的ケアを必要とする子どもが対象として書かれています。
では、どのようなケアが含まれるのか。 条文の中に手がかりがあります。2項の各号が挙げているのは 「喀痰吸引等」 と 「特定行為」 です(5章)。
この2つは、看護職員以外の職員が一定の要件のもとで行える範囲として法令に位置づけられているものです。社会福祉士及び介護福祉士法48条の2第1項は、介護福祉士が「保健師助産師看護師法第三十一条第一項及び第三十二条の規定にかかわらず、診療の補助として喀痰吸引等を行うことを業とすることができる」と定めています。
言い換えると、条文は医療的ケアを2つに分けて扱っています。
条文での扱い | |
|---|---|
喀痰吸引等・特定行為 | 一定の要件を満たせば、看護職員以外の職員も行える範囲として法令に位置づけられている |
それ以外の医療的ケア | 上記の枠組みに含まれない。2項2号・3号が「のみを必要とする」と限定しているのは、これを含まない場合を指している |
2号・3号の「のみ」という言葉が重要です。 喀痰吸引等だけ、あるいは特定行為だけを必要とする場合に限って、看護職員を置かないことができるという書き方になっています。それ以外の医療的ケアが必要な子どもがいる場合、この例外は使えません。
具体的に何が発生するかは、通っている子どもによって決まります。 この記事で一覧を示すことはしません。応募先の事業所に確認してください。
看護職員の定義に助産師が入っています
ここは見落としやすい点です。同基準5条2項は、看護職員を次のように定義しています。
看護職員(保健師、助産師、看護師又は准看護師をいう。)
助産師が含まれています。
成人の障害福祉サービスの基準を見ると、違いがはっきりします。指定障害福祉サービス基準78条1項2号は、看護職員を「保健師又は看護師若しくは准看護師をいう」としています。助産師は入っていません。
基準 | 看護職員の範囲 |
|---|---|
指定通所支援基準5条2項(この記事のサービス) | 保健師・助産師・看護師・准看護師 |
指定障害福祉サービス基準78条1項2号(成人の生活介護) | 保健師・看護師・准看護師 |
准看護師も含まれます。 准看護師が応募できる求人の見分け方は「准看護師の単発バイト」にまとめています。
なお、求人票の応募条件は、事業所が決めるものです。 条文の定義に含まれていることと、その求人に応募できることは別です。応募条件は求人の記載で確認してください。
この章の出典
- 児童福祉法に基づく指定通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準(平成24年厚生労働省令第15号)第5条・第66条 https://laws.e-gov.go.jp/law/424M60000100015
- 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第171号)第78条 https://laws.e-gov.go.jp/law/418M60000100171
5. 置かないこともできる3つの場合
ここが、この記事で最も伝えたい点です
3章で引いた2項の本文には、続きがあります。
ただし、次の各号のいずれかに該当する場合には、看護職員を置かないことができる。
置かないことができる場合が、3つ定められています。
3つの場合
号 | 内容 |
|---|---|
1号 | 医療機関等との連携により、看護職員を事業所に訪問させ、その看護職員が障害児に対して医療的ケアを行う場合 |
2号 | 事業所が社会福祉士及び介護福祉士法48条の3第1項の登録に係る事業所である場合に限り、医療的ケアのうち喀痰吸引等のみを必要とする障害児に対し、登録を受けた者が喀痰吸引等業務を行う場合 |
3号 | 事業所が同法附則27条1項の登録に係る事業所である場合に限り、医療的ケアのうち特定行為のみを必要とする障害児に対し、登録を受けた者が特定行為業務を行う場合 |
2号・3号に出てくる条文は2種類あるので、分けておきます。48条の3第1項と附則27条1項は「事業所の登録」の定めで、48条の2第1項は「介護福祉士が喀痰吸引等を行えること」の定めです(4章)。2号・3号が求めているのは、事業所が登録を受けていることです。
1号の原文を引きます。
医療機関等との連携により、看護職員を指定放課後等デイサービス事業所に訪問させ、当該看護職員が障害児に対して医療的ケアを行う場合
事業所の形によって、確認することが変わります
3つの場合を、働く側から見た形に整理します。
事業所の形 | 事業所に看護職員がいるか | 単発で入る場合の立ち位置 |
|---|---|---|
2項本文のとおり看護職員を置いている | いる | 常勤・非常勤の看護職と交代する形になりやすい。分担と相談先を確認する |
1号(医療機関等との連携で訪問させる) | 常駐はいない | 訪問した看護職員が医療的ケアを行う形 |
2号・3号(登録事業所で、喀痰吸引等または特定行為のみ) | いないことがある | 職員が喀痰吸引等を行う事業所。分担の確認が中心になる |
主として重症心身障害児を通わせる(6章) | 「一以上」と定められている | 看護職員が前提の体制。その日の人数と、自分ひとりになる時間帯を確認する |
確認することは、事業所の形によって変わります。 表の右列が、問い合わせで聞く内容です。
ただし、個別の事業所がどの形かを、求人票から読み取るのは簡単ではありません。 加算や配置の形が求人票に書かれることは通常ないためです。当社として、応募先の事業所がどの形にあたるかを判断することはできません。
聞くべきことは「その日、自分の上に誰がいるか」
条文の構造を知っておくと、問い合わせで聞くことが絞れます。加算や条文の名前を出す必要はありません。
「求人を拝見しました。こちらの事業所には、ふだん
常勤または非常勤の看護職の方がいらっしゃいますか。
当日、私が担当する医療的ケアの範囲と、判断に迷ったときの
相談先を教えていただけますか。」知りたいのは、その日の自分の立ち位置です。 事業所に看護職がいる形なのか、訪問看護が入る形なのか、自分ひとりなのか。同じ「放課後等デイサービスの看護師」という求人でも、ここが違います。
「置かないことができる」は「置いてはいけない」ではありません
ここを取り違えないようにしてください。2項ただし書きは、置かないことができると書いています。置くことを禁じているわけではありません。
つまり、2号・3号にあたる事業所が、それでも看護職員を置いていることはありえます。その場合、看護師の求人が出ることもあります。
事業所の状態 | 看護師の求人 | |
|---|---|---|
2項本文のとおり置いている | 置くことが義務 | 出うる |
2号・3号にあたるが、それでも置いている | 置くかどうかは事業所の判断 | 出うる |
2号・3号にあたり、置いていない | 職員が喀痰吸引等・特定行為を行う | 出ない |
求人が出ているということは、その事業所が看護職員を置く形をとっているということです。 上の2つのどちらであるかは、問い合わせで確認することになります。
職員が喀痰吸引等を行う事業所での分担
2号・3号にあたる事業所で看護職員として働く場合、職員との分担を確認することになります。
介護福祉士以外の職員については、一定の研修を修了した者を都道府県知事が認定する「認定特定行為業務従事者」の仕組みがあります。誰がどの行為を行える事業所なのかは、事業所によって違います。
この制度の詳しい整理は「介護施設で看護師と介護職の業務はどう分かれるか」の5章にまとめています。
この章の出典
- 児童福祉法に基づく指定通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準(平成24年厚生労働省令第15号)第5条・第66条 https://laws.e-gov.go.jp/law/424M60000100015
- 社会福祉士及び介護福祉士法(昭和62年法律第30号)第48条の2 https://laws.e-gov.go.jp/law/362AC0000000030
6. 主として重症心身障害児を通わせる事業所
別立ての規定があります
66条4項は、1項から3項までとは別に、主として重症心身障害児を通わせる事業所の従業者を定めています。柱書を引きます。
第一項から前項までの規定にかかわらず、主として重症心身障害児を通わせる指定放課後等デイサービス事業所に置くべき従業者及びその員数は、次のとおりとする。
置くべき従業者は次のとおりです。
号 | 職種 | 員数 |
|---|---|---|
1号 | 嘱託医 | 一以上 |
2号 | 看護職員 | 一以上 |
3号 | 児童指導員または保育士 | 一以上 |
4号 | 機能訓練担当職員 | 一以上 |
5号 | 児童発達支援管理責任者 | 一以上 |
看護職員が「一以上」と定められています。 2項のような「置かないことができる」というただし書きは、看護職員については置かれていません。
なお同項のただし書きは、機能訓練を行わない時間帯について機能訓練担当職員を置かないことができるとしています。看護職員ではなく、機能訓練担当職員についてのただし書きです。
児童発達支援についても、5条4項が同じ形で定めています。
この形の事業所では、看護職員が前提になっています
3章から5章で見たとおり、通常の事業所では看護職員は基本の職員に入っていません。この形の事業所では、逆に前提として置かれています。
条文が「一以上」と定めている以上、この形の事業所は看護職員を確保する必要があります。 求人票に「重症心身障害児」や「医療的ケア児」という言葉があれば、この章の形である可能性があります。
ただし、求人票の言葉だけで判断はできません。 事業所の形は問い合わせで確認してください。
医療的ケアの内容は事業所によって違います
どのような医療的ケアが発生するかは、通っている子どもによって決まります(4章)。この形の事業所だから内容が決まる、ということではありません。
「指示書はどこにありますか」は、当日の朝に聞くことのひとつです。 医療的ケアが主治の医師の指示にもとづくものであることは、2章で見た保助看法37条の定めによります。確認する項目は8章にまとめました。
この章の出典
- 児童福祉法に基づく指定通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準(平成24年厚生労働省令第15号)第5条・第66条 https://laws.e-gov.go.jp/law/424M60000100015
7. 勤務の時間帯が日によって変わる
授業日と学校休業日で変わります
1章で見たとおり、放課後等デイサービスは 「授業の終了後又は休業日に」 支援を行うものとされています(児童福祉法6条の2の2第3項)。
この条文の書き方が、そのまま勤務の時間帯に効きます。
子どもが来る時間 | 勤務の形 | |
|---|---|---|
授業がある日 | 放課後から | 午後からの短時間になりやすい |
学校の休業日(長期休業・振替休日など) | 朝から | 1日を通した勤務になりやすい |
同じ事業所の求人でも、日付によって時間帯が違うということです。 求人票の勤務時間を見るときは、その日が授業日か休業日かを確かめてください。
長期休業期間は、開所の時間が長くなります
条文の書き方から言えるのは、学校の休業日は朝から開所するという点です。長期休業期間は、その日が続くことになります。
授業日の午後からの数時間という求人は、勤務時間が短くなります。移動時間との兼ね合いで判断することになります。
ご自身の移動時間と条件で選んでください。
送迎が含まれる場合があります
事業所によっては、学校や自宅への送迎があります。送迎に同乗するかどうかは、求人によって違います。
送迎が含まれる場合、確認したいのは次の点です。
- 同乗するのか、運転もするのか
- 同乗中に医療的ケアや吸引が必要になる子どもがいるか
- 送迎の時間が勤務時間に含まれるか
3つ目は労働条件の問題です。 勤務時間の範囲がどこまでかは、労働条件として示されるべき事項に関わります。詳しくは「単発バイトに労働条件通知書はある?」にまとめています。
この章の出典
- 児童福祉法(昭和22年法律第164号)第6条の2の2 https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000164
8. 単発で入る日に確認すること
6章までに挙げた点を、求人票を読むときと問い合わせのときに使える形に落としたものです。
サービスと事業所の形
- □ 児童発達支援か、放課後等デイサービスか(1章)
- □ 主として重症心身障害児を通わせる事業所かどうか(6章)
- □ 当日、ほかに看護職がいるか。自分ひとりになる時間帯があるか(5章)
- □ 訪問看護が入る形の事業所かどうか(5章の1号)
医療的ケアと指示
- □ その日、医療的ケアの対象となる子どもは誰か。何を、どの時間に、誰が行う予定か
- □ 自分が担当する範囲と、担当しない範囲
- □ 主治医の指示書の保管場所と、確認の方法(2章)
- □ 判断に迷ったときの相談先と、連絡してよい時間帯
- □ 発作や急変があった場合の手順と連絡先
- □ 保護者への連絡を誰が行うか
- □ 職員が喀痰吸引等を行う事業所かどうか、その日の分担(5章の2号・3号)
時間と業務の範囲
- □ その日が授業日か、学校の休業日か(7章)
- □ 勤務の開始時刻と終了時刻、申し送りの時間の扱い
- □ 送迎の同乗・運転があるか、その時間の扱い
- □ 記録の方法と、当日操作を教えてもらえるか
- □ 保護者への対応を行うか、行う場合の範囲
そのほか
- □ 雇用主、賃金の支払日と支払方法、交通費の扱い
- □ 服装(動きやすい服装の指定があるか)
- □ 昼食の扱い(学校休業日は昼をまたぐため)
応募前の確認と当日の持ち物の全体は「初めての看護師単発バイト」、記録の扱いは「看護記録の法的根拠と保存期間」にまとめています。
複数の事業所に入る場合
子どもが通う場所では、感染対策の考え方が特に問われます。複数の施設を行き来する場合の確認事項は「複数の施設に入るときの感染対策」にまとめています。
9. タメシビで想定していること
タメシビは、看護師が1日単位で施設と直接雇用契約を結んで働けるスポット勤務サービスです。2026年内の開始に向けて準備を進めています。
この分野については、次のことを考えています。
- 求人票に、その日が授業日か学校休業日かを書く(勤務時間が変わるため)
- 事業所に看護職がいる形かどうかを、求人票で分かるようにする
- 医療的ケアの有無と、当日の分担を明示する
- 送迎の同乗・運転があるかを明示する
配置の形や加算の算定について、当社が判断することはありません。 当社にできるのは、当日になって分かることを、応募の段階で分かる形にしておくことだと考えています。
具体的な方法はサービス開始時にお知らせします。
よくある質問
放課後等デイサービスに看護師の配置義務はありますか
基本の職員としては定められていません。 置くこととされているのは児童指導員または保育士です(3章)。看護職員は、医療的ケアを恒常的に受けることが不可欠である障害児に医療的ケアを行う場合に置くこととされています(4章)。
看護師がいなくてもよい事業所があるのですか
条文に、置かないことができる場合が3つ定められています(5章)。医療機関等との連携で看護職員を訪問させる場合、喀痰吸引等のみを必要とする子どもに登録を受けた者が対応する場合、特定行為のみの場合です。
准看護師でも応募できますか
条文の定義には含まれています。 同基準5条2項は看護職員を「保健師、助産師、看護師又は准看護師」としています(4章)。ただし求人の応募条件は事業所が決めるものなので、求人の記載で確認してください。詳しくは「准看護師の単発バイト」にまとめています。
助産師の資格でも対象になるのですか
条文の定義には助産師が含まれています(4章)。介護保険の基準では看護職員に助産師が入っていないことが多く、このサービスは範囲が違います。応募条件は求人の記載で確認してください。
小児科の経験がないと働けませんか
必要な経験は求人が示すものなので、求人票の記載で確認してください。 そのうえで条文の側から言えるのは、看護職員が条文に登場するのは医療的ケアを行う場合だという点です(4章)。療育そのものを担う職種としては置かれていません(2章)。求人票で確認したいのは、その日に発生する医療的ケアの内容と、自分が担当する範囲です。
医療的ケアはどこまで担当するのですか
事業所と、その日の体制によって変わります(6章)。医療的ケアは主治医の指示にもとづいて行われるものなので、指示書の確認が起点になります。 担当する範囲は当日の朝に確認してください。
児童発達支援と放課後等デイサービスは何が違うのですか
根拠となる条文の項が違い、対象も違います。 放課後等デイサービスは学校に就学している障害児が対象で、授業の終了後または休業日に利用するものです(1章)。児童発達支援について、条文は就学の有無を限定していません。
学校が休みの日だけ働くことはできますか
求人によります。 学校の休業日は朝から開所するため、授業日とは勤務の形が変わります(7章)。どの日の求人が出るかは事業所によります。
送迎の運転もするのですか
求人によって違います。 同乗のみの場合と、運転を含む場合があります。送迎の時間が勤務時間に含まれるかも確認する項目です(7章)。
保護者への対応はありますか
事業所の運用によります。 単発で入る日に保護者へ何を伝えるかは、事業所の判断に関わります。朝の申し送りで、保護者対応を行うかどうかと、行う場合の範囲を確認してください。
介護保険のデイサービスと同じですか
別の制度です。 根拠法が児童福祉法と介護保険法で異なり、利用者も違います(1章)。介護保険の通所介護については「デイサービスの看護師の仕事内容」にまとめています。
まとめ
児童発達支援と放課後等デイサービスは、児童福祉法にもとづくサービスです。放課後等デイサービスは学校に就学している障害児が対象で、授業の終了後または休業日に利用するものとされています。
配置の条文を見ると、基本の職員として置くこととされているのは児童指導員または保育士で、看護職員はそこに入っていません。看護職員が出てくるのは医療的ケアを行う場合で、条文は「置かなければならない」としています。
ただし、置かないこともできる場合が3つ定められています。 医療機関等との連携で看護職員を訪問させる場合、喀痰吸引等のみを必要とする子どもに登録を受けた者が対応する場合、特定行為のみの場合です。この3つが、看護職員を置く事業所と置かない事業所を分けています。
一方、主として重症心身障害児を通わせる事業所には、看護職員「一以上」が定められています。この形の事業所では、看護職員が前提として置かれています。
看護職員の定義は 「保健師、助産師、看護師又は准看護師」 です。助産師が含まれている点が、介護保険の基準とは違います。
働く側にとって実務的に効くのは、授業日と学校休業日で勤務の時間帯が変わるという点です。学校の休業日は朝から開所します。
確認することは、結局ひとつに集約されます。その日、自分の上に誰がいて、自分がどこまでを担当するのか。 求人票から読み取れないことは、応募前の問い合わせの対象です。
単発勤務そのものの進め方は「看護師の単発バイト完全ガイド」、施設種別ごとの業務は「看護師の単発バイトの仕事内容」にまとめています。
この記事の主な一次情報
法令
- 児童福祉法(昭和22年法律第164号)第6条の2の2 https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000164
- 児童福祉法に基づく指定通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準(平成24年厚生労働省令第15号)第5条・第66条 https://laws.e-gov.go.jp/law/424M60000100015
- 保健師助産師看護師法(昭和23年法律第203号)第37条 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000203
- 社会福祉士及び介護福祉士法(昭和62年法律第30号)第48条の2 https://laws.e-gov.go.jp/law/362AC0000000030
- 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第171号)第78条 https://laws.e-gov.go.jp/law/418M60000100171
※いずれも2026年9月29日に確認(2026年9月30日に本文を見直し)。法令および行政の取扱いは改正されることがあります。この記事は条文の紹介であり、個別の事業所の配置・運用・報酬の算定について判断するものではありません。療育の方法や、必要な経験の有無についても扱っていません。医療的ケアの内容と分担は、応募先の事業所にご確認ください。
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