産後8週間を経過しない女性は、就業させてはならないと労働基準法65条2項が定めています。産後6週間を経過した後は、本人が請求し、医師が支障がないと認めた業務に就くことは差し支えないとされています。
この制限に、勤務の日数の要件はありません。1日だけの単発の勤務も対象です。
ここは、このクラスタで書いてきた他の制度とは逆の構造になっています。社会保険も健康診断も年次有給休暇も「継続して使われること」を前提に組まれているため単発は外れますが、母性保護の規定は、1日でも労働者であるかぎり及びます。
この記事では、条文が何を定めているかを整理します。妊娠中に請求できること、請求によらずに働く制限、そして応募前に確認できることまでを扱います。
この記事の結論
- 産後8週間の制限は、6週間までと6週間以降で書き方が違います。 6週間までは条件なし、そこから8週間までは本人の請求と医師の判断という2つの条件が付きます(1章)。
- この規定には「請求した場合においては」という文言がありません。 産前の休業(65条1項)とは組み立てが違います(1章)。
- 母性保護の規定に日数の要件はありません。 社会保険や健康診断とは逆に、1日の勤務でも適用されます(2章)。
- 妊娠中の女性を就かせてはならない業務が、法律と省令で定められています(4章)。
- 時間外労働・休日労働・深夜業の制限は、「請求した場合」に働きます。自分から申し出るものです(3章・6章)。
この記事は、あなたが働いてよいかを判断するものではありません。 体調や経過については主治医または助産師にご相談ください。制度の適用について迷う場合の窓口は、労働基準監督署と、都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)です。
どこから読むか
いまの状況 | まず読む章 |
|---|---|
妊娠中 | |
産後6週間を経過していない | |
産後6週間を経過し、8週間まで | |
産後8週間を経過し、1年まで | 3章(「妊産婦」は産後1年までを含みます) |
求人に応募する前の確認事項を知りたい |
目次
- 1. まず「産後8週間」
- 2. 保険や健診とは逆の構造
- 3. 妊娠中・産後1年に請求できること
- 4. 就かせてはならない業務がある
- 5. 母性健康管理のための措置
- 6. 1日の勤務で「請求」はどう働くのか
- 7. 応募前に確認すること
- 8. タメシビで想定していること
- よくある質問
- まとめ
1. まず「産後8週間」
条文はこう書かれています
労働基準法65条2項を引きます。
使用者は、産後八週間を経過しない女性を就業させてはならない。ただし、産後六週間を経過した女性が請求した場合において、その者について医師が支障がないと認めた業務に就かせることは、差し支えない。
読み方を分けます。
期間 | 条文の定め |
|---|---|
産後6週間 | 就業させてはならない |
産後6週間を経過した後、8週間まで | 本人が請求し、医師が支障がないと認めた業務に就かせることは差し支えない |
産後8週間を経過した後 | この項による制限はない |
6週間までと、6週間から8週間までで、書き方が違います。 後者には本人の請求と医師の判断という2つの条件が付いています。
「請求した場合においては」がありません
ここが、この条文の特徴です。
同じ65条の1項は、産前についてこう定めています。
使用者は、六週間(多胎妊娠の場合にあつては、十四週間)以内に出産する予定の女性が休業を請求した場合においては、その者を就業させてはならない。
「休業を請求した場合においては」と書かれています。産前は、請求が要件です。
2項の本文には、これがありません。 産後8週間(6週間までは条件なし)は、請求の有無にかかわらず就業させてはならないという書き方になっています。
単発の1日も「就業」です
この条文が禁じているのは「就業させること」です。 雇用の期間や日数についての条件は置かれていません。
つまり、1日だけの勤務も、この制限の対象です。 常勤でも非常勤でも単発でも、条文の書き方は変わりません。
法律が使用者に対して禁じているものなので、当社としても判断を挟む余地がありません。
この章の出典
- 労働基準法(昭和22年法律第49号)第65条 https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000049
2. 保険や健診とは逆の構造
このクラスタで書いてきたことを並べます
単発勤務について、これまで整理してきた制度を並べると、ある共通点があります。
制度 | 単発での扱い | 理由 |
|---|---|---|
健康保険・厚生年金 | 1日だけは適用除外にあたるのが原則 | 継続して使用されることが前提 |
雇用保険 | 週20時間・31日以上の見込みという要件を満たさない | 同上 |
年次有給休暇 | 6か月の継続勤務が要件 | 同上 |
健康診断 | 「常時使用する労働者」が対象 | 同上 |
いずれも「継続」を前提に組まれています。 単発は、そこから外れます。社会保険の構造は「看護師の単発バイトと社会保険・雇用保険・有給休暇」、健康診断は「単発で働く看護師の健康診断」にまとめています。
母性保護の規定には、その要件がありません
一方、この記事で扱う規定を並べると、書き方が違います。
規定 | 条文の主語と要件 |
|---|---|
労基法64条の3(就かせてはならない業務) | 「使用者は、妊娠中の女性及び産後一年を経過しない女性…を…就かせてはならない」 |
労基法65条(産前産後) | 「使用者は、…女性を就業させてはならない」 |
労基法66条(時間外・深夜業など) | 「使用者は、妊産婦が請求した場合においては…」 |
均等法13条(母性健康管理措置) | 「事業主は、その雇用する女性労働者が…」 |
勤務の日数、期間、時間についての要件が、どこにも置かれていません。
主語は「使用者」または「事業主」です。1日の雇用契約であっても、その勤務について労働者を使用しているのは、その日の雇用主です。
「1日だけだから関係ない」という整理にはなりません
社会保険や健康診断の話に慣れていると、「単発だから、そのあたりの制度は全部関係ない」と考えてしまいがちです。
母性保護については、そうなりません。 むしろ、1日ごとに雇用主が変わるからこそ、その都度その相手に対して働く規定だと読めます。
雇用契約そのものの形については「単発の求人は業務委託?雇用契約?」にまとめています。労働者として雇用されているかどうかが、この記事の規定が及ぶかどうかの分かれ目になります。
この章の出典
- 労働基準法(昭和22年法律第49号)第64条の3・第65条・第66条 https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000049
- 雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(昭和47年法律第113号)第13条 https://laws.e-gov.go.jp/law/347AC0000000113
3. 妊娠中・産後1年に請求できること
「妊産婦」は条文で定義されています
労働基準法64条の3第1項が定義を置いています。
使用者は、妊娠中の女性及び産後一年を経過しない女性(以下「妊産婦」という。)を、重量物を取り扱う業務、有害ガスを発散する場所における業務その他妊産婦の妊娠、出産、哺育等に有害な業務に就かせてはならない。
「妊産婦」=妊娠中の女性及び産後一年を経過しない女性です。産後1年までが含まれます。
請求によって働く制限が3つあります
労働基準法66条は、妊産婦が請求した場合の制限を定めています。
項 | 内容 |
|---|---|
1項 | 変形労働時間制が採られている場合でも、同法32条が定める労働時間(1週間・1日それぞれの労働時間)を超えて労働させてはならない |
2項 | 時間外労働をさせてはならず、休日に労働させてはならない |
3項 | 深夜業をさせてはならない |
3項の原文はこうです。
使用者は、妊産婦が請求した場合においては、深夜業をさせてはならない。
3つのいずれにも「請求した場合においては」が付いています。 自動的に適用されるものではありません。
夜勤はいつまでできるのか
制度としての答えは、「請求すれば、その時点から深夜業はさせてはならない」です。 労基法66条3項がそう定めており、妊娠の週数による線は引かれていません。産後1年までが対象です。
期限が定められていないということは、いつまで続けられるかは制度が決めていないということでもあります。この記事で、何週までなら大丈夫という目安を示すことはしません。 体調と経過については主治医または助産師にご相談ください。
請求について、実務的な整理を2つ置きます。
1つ目。請求するには、妊産婦であることを相手に伝えることになります。 伝えるかどうかは、あなたが決めることです。この記事で判定はしません。
2つ目。深夜業を含まない求人を選ぶという方法があります。 請求という手続きを経ずに、同じ結果になります。介護施設の夜勤の求人は「介護施設の夜勤で看護師は何をするか」、勤務間隔の考え方は「夜勤明けに単発バイトを入れてよい?」にまとめています。
産前の休業も請求によるものです
65条1項は、出産予定日の6週間以内(多胎妊娠の場合は14週間以内)に出産する予定の女性が休業を請求した場合に、就業させてはならないとしています。
請求しなければ、この規定による制限は働きません。 産後8週間(1章)との違いはここです。
軽易な業務への転換
65条3項です。
使用者は、妊娠中の女性が請求した場合においては、他の軽易な業務に転換させなければならない。
これも請求によるものです。 そして、転換させる先の業務がその職場にあることが前提になります。1日単位の勤務では、この請求が実際にどう機能するかは場面によります(6章)。
この章の出典
- 労働基準法(昭和22年法律第49号)第64条の3・第65条・第66条 https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000049
4. 就かせてはならない業務がある
これは請求によらない制限です
3章で見た66条は請求が要件でした。64条の3は違います。
もう一度、条文を見ます。
使用者は、妊娠中の女性及び産後一年を経過しない女性(以下「妊産婦」という。)を、重量物を取り扱う業務、有害ガスを発散する場所における業務その他妊産婦の妊娠、出産、哺育等に有害な業務に就かせてはならない。
「請求した場合においては」がありません。 産後8週間の規定(1章)と同じ組み立てです。
業務の範囲は省令で定められています
同条3項は、業務の範囲を厚生労働省令に委ねています。それを受けているのが女性労働基準規則(昭和61年労働省令第3号)です。
同規則2条1項の柱書はこうです。
法第六十四条の三第一項の規定により妊娠中の女性を就かせてはならない業務は、次のとおりとする。
そして各号で業務が列挙されています。1号が「重量物を取り扱う業務」です。有害物を発散する場所における業務についての号も置かれています。
具体的な重量は、この記事では書きません。 条文が表の形で定めており、原文を確認していないためです。該当するかどうかの判断は、労働基準監督署にご確認ください。
看護の業務との関係
看護のどの行為が該当するかは、この記事では判定しません。 業務の内容は職場によって違い、当社として判断できる事柄ではないためです。
そのうえで言えるのは、業務の内容を応募前に確認できるということです。 看護の単発の求人で発生しうる業務のうち、内容を確かめておきたいのは次のようなものです。
- 移乗・体位変換・入浴の介助(誰が、どのくらいの頻度で行うか)
- 立ち仕事の時間と、座って休める時間
- 消毒薬や薬剤を扱う場面
- 送迎の同乗や運転
これらが該当するかどうかを、この一覧が示しているわけではありません。 確認しておくと、労働基準監督署に相談するときにも話が早くなります。求人票に書かれていない場合は問い合わせの対象です(7章)。何が任されるかは「看護師の単発バイトの仕事内容」で施設種別ごとに整理しています。
産後1年についての定め
同規則2条2項は、産後1年を経過しない女性について定めを置いています。妊娠中とは適用の構造が異なります。
原文を確認できていないため、この記事ではその構造に踏み込みません。産後1年以内の勤務について確認したい場合は、労働基準監督署にお問い合わせください。
この章の出典
- 労働基準法(昭和22年法律第49号)第64条の3 https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000049
- 女性労働基準規則(昭和61年労働省令第3号)第2条 https://laws.e-gov.go.jp/law/361M50002000003
5. 母性健康管理のための措置
均等法にも定めがあります
労働基準法とは別に、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(均等法)が定めを置いています。
まず12条です。
事業主は、厚生労働省令で定めるところにより、その雇用する女性労働者が母子保健法(昭和四十年法律第百四十一号)の規定による保健指導又は健康診査を受けるために必要な時間を確保することができるようにしなければならない。
保健指導または健康診査を受けるための時間についての定めです。
続く13条1項が、この記事に関わります。
事業主は、その雇用する女性労働者が前条の保健指導又は健康診査に基づく指導事項を守ることができるようにするため、勤務時間の変更、勤務の軽減等必要な措置を講じなければならない。
「勤務時間の変更、勤務の軽減等必要な措置」です。 事業主の義務として書かれています。
起点は「指導事項」です
条文の構造を確認します。13条の措置は、12条の保健指導または健康診査に基づく指導事項を守れるようにするためのものです。
つまり、起点にあるのは主治医または助産師からの指導です。事業主が独自に判断するものでも、労働者が理由なく求めるものでもない、という組み立てになっています。
どのような指導を受けるかは、主治医または助産師の判断です。
13条2項は指針を定めることとしています
同条2項は、厚生労働大臣が措置に関する指針を定めるものとしています。
この指針にもとづく様式については、この記事では触れません。 名称と内容を確認していないためです。指導事項を職場に伝える方法については、主治医または助産師、および都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)にご確認ください。
この章の出典
- 雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(昭和47年法律第113号)第12条・第13条 https://laws.e-gov.go.jp/law/347AC0000000113
6. 1日の勤務で「請求」はどう働くのか
ここが単発勤務に特有の論点です
3章で見たとおり、66条の制限は請求によって働きます。では、1日だけの雇用契約で請求はどう機能するのか。
条文の側から言えることを整理します。
条文の書き方 | 1日の勤務での読み方 | |
|---|---|---|
66条(時間外・休日・深夜業) | 「妊産婦が請求した場合においては」 | 請求の時期や方法についての定めは置かれていない |
65条3項(軽易な業務への転換) | 「妊娠中の女性が請求した場合においては」 | 転換させる先の業務が必要になる |
65条2項(産後8週間) | 請求の文言がない | 請求の有無にかかわらず及ぶ |
66条には、請求をいつまでにどう行うかという定めがありません。 つまり、条文の側が手続きを決めていません。
条文は請求の時期を限っていません
手続きが定められていないということは、請求できる時期が限られていないということでもあります。 勤務の前でも、勤務が始まった後でも、条文の側が請求を制限しているわけではありません。請求があれば、使用者は時間外労働・休日労働・深夜業をさせてはならないことになります。
そのうえで、応募の段階で条件を確かめておくという方法もあります。 深夜の時間帯を含まない求人を選べば、請求という手続きを経ずに同じ結果になります(3章)。
どちらも、同じ結果に到達する道です。 どちらを選ぶかはご自身が決めることで、この記事でどちらかを勧めることはしません。
労働条件の明示との関係
単発の勤務でも、労働条件は示されるべきものです。示された条件を見て、応募するかを決めるという順序になります。
労働条件としてどの項目が示されるべきかは「単発バイトに労働条件通知書はある?」にまとめています。始業・終業の時刻と業務の内容は、その項目に含まれます。
勤務を引き受けた後に体調が変わった場合
体調に関わる判断について当社が何かを示すことはできませんが、手続きの面では確かめておけることがあります。
キャンセルの一般的な扱いは「看護師の単発バイトを当日キャンセルしたら?」にまとめています。体調に関わる場面での判断は、まず主治医または助産師にご相談ください。
7. 応募前に確認すること
応募するかを判断するために、求人票と問い合わせで確かめられることを並べます。ご自身が対象になるかの判定ではなく、求人の側の情報です。
業務の内容
- □ その日に任される業務の具体的な内容(4章)
- □ 体位変換・移乗・入浴の介助が含まれるか、その頻度
- □ 立ち仕事の時間と、座って休める時間があるか
- □ 消毒薬や薬剤を扱う場面があるか
時間
- □ 始業・終業の時刻(深夜の時間帯を含むか)(3章)
- □ 時間外労働が発生しうるか
- □ 休憩の時刻と場所
体制
- □ 当日の看護職の人数と、相談できる相手
- □ 体調が変わった場合に申し出る相手
そのほか
- □ 通勤の経路と所要時間(自分で確認できることです)
- □ 雇用主と、労働条件の示され方(6章)
応募前の確認事項の全体は「初めての看護師単発バイト」にまとめています。
抗体価の提示を求める求人があります
制度の話とは別に、求人の条件として、健康診断の結果や抗体価の証明の提示を求められることがあります。 麻しん・風しんなどについて指定する求人があります。
これは施設が健診を実施するという話ではなく、応募の条件としての確認です。 求人票に書かれていない場合は、応募前の問い合わせの対象になります。詳しくは「単発で働く看護師の健康診断」の6章にまとめています。
ご自身の抗体の状況や、どの感染症に注意が必要かという医学的な判断は、この記事では扱いません。 主治医または助産師にご相談ください。
そのうえで、複数の施設を行き来する働き方そのものについては、感染対策の確認事項を別の記事に整理しています。 施設ごとに手順が違うこと、確認する4点については「看護師が単発で複数の施設に入るときの感染対策」をご覧ください。
迷う場合の窓口
内容 | 窓口 |
|---|---|
体調・経過について | 主治医または助産師 |
就業制限の対象になるか(業務が該当するか) | 労働基準監督署 |
母性健康管理措置について | 都道府県労働局の雇用環境・均等部(室) |
その日の業務の内容 | 応募先の施設 |
8. タメシビで想定していること
タメシビは、看護師が1日単位で施設と直接雇用契約を結んで働けるスポット勤務サービスです。2026年内の開始に向けて準備を進めています。
この論点については、次のことを考えています。
- 求人票に、業務の内容を具体的に書く(何を、どのくらいの頻度で行うか)
- 深夜の時間帯を含むかどうかを、求人票で分かるようにする
- 労働条件を、応募の前に確認できる形で示す
当社が、妊娠中または産後の方の就業の可否を判断することはありません。 医学的な判断であり、当社の領域ではないためです。また、法律が使用者に対して禁じている期間について、当社が例外を設けることもありません(1章)。
当社にできるのは、応募するかどうかをご自身で判断できる材料を、応募の前に示しておくことだと考えています。
具体的な方法はサービス開始時にお知らせします。
よくある質問
産後どのくらいから働けますか
労働基準法65条2項は、産後8週間を経過しない女性を就業させてはならないとしています。 ただし産後6週間を経過した後は、本人が請求し、医師が支障がないと認めた業務に就くことは差し支えないとされています(1章)。ご自身の経過については主治医または助産師にご確認ください。
1日だけの勤務なら、産後8週間でも大丈夫ですか
条文は勤務の日数で区別していません。 禁じられているのは「就業させること」です(1章)。1日だけの勤務も対象です。
単発は社会保険の対象外なので、母性保護も関係ないのではないですか
逆です。 社会保険や健康診断は「継続して使用されること」を前提にした制度なので単発は外れますが、母性保護の規定には日数や期間の要件がありません(2章)。1日でも、労働者として雇用されているかぎり及びます。
妊娠していることを伝える必要がありますか
この記事では判定しません。 そのうえで条文の構造から言えるのは、66条の制限(時間外・休日・深夜業)は「請求した場合」に働くということです(3章)。請求するには相手に伝えることになります。一方、産後8週間の制限と、就かせてはならない業務の定めは、請求を要件としていません(1章・4章)。
夜勤の単発に入れますか
深夜業は、請求すれば禁止されます(労基法66条3項。3章)。請求という手続きを経ずに同じ結果にする方法として、深夜の時間帯を含まない求人を選ぶという選択もあります。どちらを選ぶかはご自身が決めることです(6章)。
妊娠中に就けない業務の一覧はありますか
女性労働基準規則2条1項が業務を列挙しています(4章)。この記事では具体的な重量などを書いていません(原文を確認していないため)。該当するかどうかは労働基準監督署にご確認ください。
医師から「重い物を持たないように」と言われました
均等法13条は、保健指導または健康診査に基づく指導事項を守ることができるようにするため、事業主が勤務時間の変更や勤務の軽減等の必要な措置を講じなければならないとしています(5章)。指導事項を職場にどう伝えるかについては、主治医または助産師、および都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)にご相談ください。
産休・育休中に単発で働いてもよいのですか
確認する先が2つに分かれます。
確認したいこと | 窓口 |
|---|---|
出産手当金への影響 | 加入している健康保険の保険者 |
育児休業給付への影響 | ハローワーク(就労した日数・時間によって扱いが変わります) |
給付の要件と金額は、この記事では扱いません。 当社として判断できる事柄ではないためです。ただ、「働いた日数や時間によって扱いが変わる」という点は共通しているので、働く前に確認しておく事柄になります。
なお、1章の産後8週間の制限は、給付とは別に働きます。給付の側で問題がなくても、この期間は就業させてはならないと定められています。
産後1年までは何か制限がありますか
労基法の「妊産婦」は、妊娠中の女性及び産後一年を経過しない女性を指します(64条の3第1項。3章)。66条の請求による制限は、産後1年までが対象です。就かせてはならない業務については、女性労働基準規則2条2項が産後1年を経過しない女性について定めを置いていますが、この記事では構造に踏み込んでいません(4章)。
常勤を続けながら使える制度もありますか
あります。 ただし育児・介護休業法の制度(時短勤務、所定外労働の制限、深夜業の制限など)は、この記事の範囲外です。この記事は、労働基準法と均等法の母性保護に限定しています。
まとめ
産後8週間を経過しない女性は、就業させてはならないと労働基準法65条2項が定めています。 産後6週間を経過した後は、本人が請求し医師が支障がないと認めた業務に就くことは差し支えないとされています。この規定には「請求した場合においては」という文言がなく、産前の休業(65条1項)とは組み立てが違います。
そして、これらの規定に勤務の日数や期間の要件はありません。 社会保険・雇用保険・年次有給休暇・健康診断は、いずれも継続して使用されることを前提にした仕組みなので単発は外れますが、母性保護は逆に、1日の勤務でも労働者であるかぎり及びます。
請求によって働く制限もあります。時間外労働・休日労働・深夜業は、妊産婦が請求した場合に禁止されます(66条)。産前の休業(65条1項)と軽易な業務への転換(65条3項)も請求によるものです。「妊産婦」は、妊娠中の女性及び産後一年を経過しない女性と定義されています。
一方、請求によらない制限もあります。 妊産婦を「重量物を取り扱う業務、有害ガスを発散する場所における業務その他妊産婦の妊娠、出産、哺育等に有害な業務」に就かせてはならないという定め(64条の3)です。業務の範囲は女性労働基準規則が列挙しています。
均等法13条は、保健指導または健康診査に基づく指導事項を守ることができるようにするため、事業主が勤務時間の変更や勤務の軽減等の措置を講じなければならないとしています。起点にあるのは主治医または助産師からの指導です。
条文は、請求の時期や方法を定めていません(66条)。勤務の前に請求する道と、深夜の時間帯を含まない求人を選ぶ道があり、どちらも同じ結果に到達します。 どちらを選ぶかは、ご自身が決めることです。
この記事は、あなたが働いてよいかを判断するものではありません。 体調と経過については主治医または助産師に、制度の適用については労働基準監督署と都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)にご相談ください。窓口の一覧は7章にまとめました。
単発勤務そのものの進め方は「看護師の単発バイト完全ガイド」にまとめています。
この記事の主な一次情報
法令
- 労働基準法(昭和22年法律第49号)第64条の3・第65条・第66条 https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000049
- 雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(昭和47年法律第113号)第12条・第13条 https://laws.e-gov.go.jp/law/347AC0000000113
- 女性労働基準規則(昭和61年労働省令第3号)第2条 https://laws.e-gov.go.jp/law/361M50002000003
※いずれも2026年9月30日に確認。法令および行政の取扱いは改正されることがあります。この記事は条文の紹介であり、個別の事案について就業の可否を判断するものではありません。体調・経過に関する医学的な判断、妊娠を職場に伝えるかどうかの判断、産休・育休中の給付についても扱っていません。女性労働基準規則2条の各号の具体的な内容(重量の数値を含む)と、産後1年を経過しない女性についての適用の構造は、本記事では扱っていません。
タメシビの先行登録
タメシビは、看護師が1日単位で施設と直接雇用契約を結んで働けるスポット勤務サービスです。応募後、施設が内容を確認して勤務が確定します(事前の面接・書類選考はありません)。求人には業務内容、必要な経験、持ち物、当日の流れを明示し、働いてから、その職場で続けるかをご自身で選べます。看護師・准看護師の登録料・利用料は無料です。
タメシビは2026年内のサービス開始に向けて準備中で、現在はLINEで先行登録を受け付けています。現時点で求人への応募を受け付けているものではありません。求人が公開されたときにお知らせを受け取りたい方は、先行登録をご利用ください。