看護師のパートは、法律上「パートタイム・有期雇用労働法」の対象になる働き方です。 正職員より週の所定労働時間が短い人や、期間を決めた契約で働く人について、この法律が、雇い入れのときに文書で示すこと、正職員との待遇差の扱い、待遇差の説明、正職員への転換を定めています。
「看護師 パート」で調べると、求人の一覧が並びます。この記事は求人を並べるのではなく、パートで働くときに法律が何を決めているかを順に整理し、求人票と雇い入れのときの書面で確かめる項目に落とします。個別の待遇差が法律に反するかどうかは、この記事では決めません。判断が必要な場合の窓口は8章です。
先に答えを書くと、パートで雇われるときは、昇給・退職手当・賞与の「有無」と相談窓口が文書で示されます。正職員との間の不合理な待遇差は禁止され、待遇差の内容と理由の説明を求めることができ、説明を求めたことを理由とする不利益な取扱いは禁止されています。
この記事の結論
- パートタイム・有期雇用労働法は、正職員より週の所定労働時間が短い人(パートタイム労働者)と、期間を決めた契約で働く人(有期雇用労働者)が対象です(1章)
- 雇い入れのときは、労働基準法の労働条件の明示に加えて、昇給・退職手当・賞与の有無と、相談窓口が文書の交付などで示されます(2章)
- 同じ職場の正職員との間で、基本給や賞与などあらゆる待遇について、不合理な待遇差を設けることが禁止されています(3章)
- 待遇差の内容と理由の説明を求めることができます。説明を求めたことを理由に、解雇や減給などの不利益な取扱いをすることは禁止されています(4章)
- 事業主は、正職員への転換を推進する措置(募集の周知、応募の機会、試験制度など)をとることが求められています(5章)
- 期間を決めた契約が通算5年を超えると、無期労働契約への転換を申し込める規定があります(6章)
- 社会保険・扶養・常勤からの切り替えは別の記事にまとめています(7章)。待遇について困ったときは、都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)が窓口です(8章)
読みたい箇所から確認する
- 1. 看護師の「パート」は法律でどう定められているか
- 2. 雇い入れのときに文書で示されること
- 3. 正職員との待遇差——不合理な待遇差の禁止
- 4. 待遇差の説明を求められる
- 5. 正職員への転換
- 6. 期間を決めた契約と無期転換
- 7. 社会保険・扶養・常勤からの切り替え
- 8. 困ったときの相談窓口
- 9. タメシビで想定していること
- よくある質問
1. 看護師の「パート」は法律でどう定められているか
先に答えを置きます。「パート」は求人で使われる呼び名で、法律は「パートタイム労働者(短時間労働者)」と「有期雇用労働者」という言葉で対象を定めています。
正式な法律名は「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律」で、略して「パートタイム・有期雇用労働法」と呼ばれます。政府広報オンラインは、対象を次のように説明しています。
法律上の区分 | 説明 |
|---|---|
パートタイム労働者 | 正社員より、週の所定労働時間が短い労働者 |
有期雇用労働者 | 期間を定めた労働契約を結んでいる労働者 |
求人票の「パート」「非常勤」「時短正職員」などの呼び名は、施設によって使い方が違うことがあります。呼び名ではなく、週の所定労働時間が正職員より短いか、契約に期間の定めがあるかで、この法律の対象かどうかが決まります。
この法律は、大企業には2020年4月から、中小企業には2021年4月から、現在の形で適用されています。
「単発」と「パート」の境目は、社会保険・雇用保険・有給など制度ごとに線の位置が違います。制度ごとの線は「看護師の週1・短時間の単発」の1章にまとめています。
この章の出典
- 政府広報オンライン「パートタイム労働者・有期雇用労働者と、正社員との間の不合理な待遇差をなくしましょう」(2023年11月21日)
2. 雇い入れのときに文書で示されること
先に答えを置きます。パートで雇われるときは、労働基準法の労働条件の明示に加えて、昇給・退職手当・賞与の「有無」と、相談窓口が文書の交付などで示されます(6条)。
労働基準法15条は、雇用形態を問わず、雇い入れのときに賃金・労働時間などの労働条件を明示することを定めています。明示される項目と2024年4月に追加された事項は「単発勤務の労働条件明示」の2章・3章にまとめています。
パートタイム・有期雇用労働法6条は、これに加えて、パートタイム労働者・有期雇用労働者を雇い入れるときに、次の事項を文書の交付などで明示することを事業主に求めています。
文書で示される事項 | 示されるのは |
|---|---|
昇給 | 有無 |
退職手当 | 有無 |
賞与 | 有無 |
相談窓口 | パートの待遇などについて相談できる窓口 |
示されるのは「有無」です。賞与や退職手当がいくらになるかまでは、この規定は求めていません。金額や計算方法は、就業規則(パート用の規程を含む)で確かめます。
求人票に「賞与あり」と書かれていても、その賞与がパートにも適用されるのか、正職員だけなのかは、雇い入れのときの書面で確かめるのが確実です。
この章の出典
- 宮城労働局「パートタイム労働法で定められている主なルール」(6条)
3. 正職員との待遇差——不合理な待遇差の禁止
先に答えを置きます。同じ職場の正職員との間で、基本給や賞与などあらゆる待遇について、不合理な待遇差を設けることが禁止されています(8条)。正職員と同視すべきパートについては、差別的な取扱いが禁止されています(9条)。
8条——不合理な待遇差の禁止
宮城労働局は、8条を「正社員との待遇の相違は、職務の内容、人材活用の仕組みその他の事情を考慮して、不合理と認められるものであってはならない」と説明しています。静岡労働局は、対象を「基本給や賞与などのあらゆる待遇」としています。
8条は、待遇差があること自体を禁止しているのではありません。職務の内容、人材活用の仕組みその他の事情を考慮して、その差が不合理と認められるかどうかを問う枠組みです。
9条——差別的取扱いの禁止
9条は、正職員と同視すべきパートタイム労働者について、差別的な取扱いを禁止しています。
この記事で決めないこと
ある待遇差が不合理かどうか、自分が「正職員と同視すべき」に当たるかどうかは、職務の内容や人材活用の仕組みなど、職場ごとの事情を見て判断されるものです。この記事では判断しません。まず4章の説明を求め、それでも納得できない場合は8章の窓口に相談してください。
この章の出典
- 宮城労働局「パートタイム労働法で定められている主なルール」(8条・9条)
- 静岡労働局「パートタイム労働者・有期雇用労働者の雇用管理の改善」
研修と、休憩室・更衣室
研修と職場の施設についても、この法律に定めがあります。
項目 | 定め |
|---|---|
教育訓練(11条) | 正職員と職務の内容が同じパートには、職務の遂行に必要な知識や技術を身につけるために正職員に実施している教育訓練を、すでに必要な能力を身につけている場合を除き、正職員と同様に実施することが義務。それ以外のパートには、職務の内容や成果などに応じて実施することが努力義務 |
福利厚生施設(12条) | 給食施設・休憩室・更衣室について、正職員に利用の機会を与えている場合は、パートにも利用の機会を与えることが義務 |
院内研修にパートも参加できるか、休憩室や更衣室をパートも使えるかは、雇い入れ時の説明(4章)で確かめられます。
- 出典:愛知労働局の解説「教育訓練、福利厚生施設」(11条・12条)
4. 待遇差の説明を求められる
先に答えを置きます。パートで働く人は、正職員との待遇差の内容と理由について、事業主に説明を求めることができます。事業主は説明しなければならず、説明を求めたことを理由とする不利益な取扱いは禁止されています(14条)。
14条には、2つの場面の説明があります。
場面 | 事業主が説明すること |
|---|---|
雇い入れのとき | 賃金・教育訓練・福利厚生施設の利用・正社員への転換などについて、事業主がとっている措置の内容 |
パートから求めがあったとき | 正職員との待遇差の内容と、その理由、待遇の決定にあたって考慮した事項など |
政府広報オンラインは、説明を求めた労働者に対して「解雇や減給など不利益な取扱いをしてはなりません」としています。
説明を求めるときは、何の待遇について聞きたいか(賞与、手当、休暇、研修など)を具体的に伝えると、説明を受ける側も比べやすくなります。口頭での説明に納得できない場合は、8章の窓口に相談できます。
この章の出典
- 宮城労働局「パートタイム労働法で定められている主なルール」(14条)
- 政府広報オンライン(説明を求めたことによる不利益な取扱いの禁止)
5. 正職員への転換
先に答えを置きます。事業主は、パートから正職員への転換を推進するための措置をとることが求められています(13条)。措置の例は、募集の周知、応募の機会、試験制度です。
栃木県の労働相談の解説は、13条の措置を次のように挙げています。
- 通常の労働者(正職員)を募集する場合、その募集内容を、すでに雇っているパートタイム・有期雇用労働者に周知する
- 正職員のポストを社内公募する場合、すでに雇っているパートタイム・有期雇用労働者にも応募の機会を与える
- パートタイム・有期雇用労働者が正職員へ転換するための試験制度を設ける
- その他、正職員への転換を推進するための措置を講じる
13条が求めているのは、転換を推進する措置です。希望すれば正職員になれる、という権利を定めたものではありません。職場がどの措置をとっているかは、4章の雇い入れのときの説明(正社員への転換の機会)で確かめられます。
逆の方向、常勤からパートへの切り替えは、本人と施設の合意で行われます。言い出し方とお金の確かめ方は「常勤がきつい看護師へ」の5章にまとめています。
この章の出典
- 栃木県「パート・派遣(Q54)」(13条の措置)
6. 期間を決めた契約と無期転換
先に答えを置きます。パートの契約には、「1年ごとに更新」のように期間を決めたものがあります。同じ使用者との有期契約が更新されて通算5年を超えると、本人が申し込むことで、期間の定めのない契約(無期労働契約)に転換する規定があります(労働契約法18条)。
確認すること | 理由 |
|---|---|
契約に期間の定めがあるか(あるなら何か月・何年か) | 期間の定めがあれば、パートタイム・有期雇用労働法の「有期雇用労働者」にも当たる |
更新の有無と、更新の判断基準 | 雇い入れ時の労働条件の明示事項に含まれる(「単発勤務の労働条件明示」の3章) |
更新の上限(通算期間・更新回数)があるか | 2024年4月から、上限がある場合は明示の対象(同上) |
無期転換を申し込める時期 | 通算5年を超える契約期間の中で申し込める。2024年4月から、無期転換の申込みの機会も明示の対象(同上) |
無期労働契約に転換しても、正職員になるわけではありません。労働時間・賃金などの条件は、別段の定めがない限り、転換前の有期契約と同じとされています。
数日から数週間の短い有期契約(短期バイト)の扱いは「看護師の短期バイト」にまとめています。
この章の出典
- 労働契約法18条(無期転換。条文はe-Govで確認してください)
7. 社会保険・扶養・常勤からの切り替え
先に答えを置きます。パートで働くときに収入と手取りに関わる制度は、それぞれ別の記事にまとめています。
知りたいこと | 記事 |
|---|---|
健康保険・厚生年金・雇用保険に入るか、有給はつくか | |
扶養内で働けるのはいくらまでか、何時間までか | |
常勤からパートに変えるときの手続きと言い出し方 | 「常勤がきつい看護師へ」の5章 |
パートを続けながら単発で掛け持ちするとき | |
パートの求人を探す経路(施設への直接応募、ハローワーク、ナースセンターなど) | 「看護師の直接応募」 |
単発とパートの境目(制度ごとの線) | 「看護師の週1・短時間の単発」の1章 |
パートで働く前に——求人票・雇い入れ時の書面で確かめること
確かめること | 根拠 |
|---|---|
週の所定労働時間、勤務日数、契約期間 | 法律の対象かどうか(1章)、社会保険の要件(insurance) |
昇給・退職手当・賞与の有無 | 6条の文書明示(2章) |
相談窓口 | 6条の文書明示(2章) |
正職員への転換の制度 | |
院内研修への参加、休憩室・更衣室の利用 | 11条・12条(3章) |
更新の有無・基準・上限 | 労働条件の明示(6章) |
夜勤・オンコールの有無 | 求人票の勤務時間で確かめる |
8. 困ったときの相談窓口
先に答えを置きます。パートの待遇について困ったときは、都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)が窓口です。労働局には、無料・非公開の紛争解決の手続きがあります。
窓口 | 内容 |
|---|---|
職場の相談窓口 | 雇い入れ時に文書で示された窓口(2章) |
都道府県労働局 雇用環境・均等部(室) | パートタイム・有期雇用労働法の相談。無料・非公開の紛争解決手続き(行政ADR) |
総合労働相談コーナー(各労働局・労働基準監督署内) | 労働条件全般の相談 |
静岡労働局は、常時10人以上のパートタイム労働者・有期雇用労働者を雇う事業所に、事業所ごとの短時間・有期雇用管理者の選任を求めていると説明しています。職場にこの担当者がいれば、最初の相談先になります。
この章の出典
- 静岡労働局「パートタイム労働者・有期雇用労働者の雇用管理の改善」
- 政府広報オンライン(無料・非公開の紛争解決手続き)
9. タメシビで想定していること
タメシビは、看護師・准看護師が、施設と直接雇用契約を結んで1日単位で働けるスポット勤務サービスです。応募後、施設が内容を確認して勤務が確定します(事前の面接・書類選考はありません)。求人には、業務内容、必要な経験、持ち物、当日の流れを明示する方針です。
常勤・パートの採用をあっせんするサービスではありません。パートを探す前に、気になる職場や施設の種類で1日働いてみる形として想定しています。働いてから、その職場で続けるかをご自身で選べることを、サービスの前提に置いています。
タメシビは2026年内のサービス開始に向けて準備中で、どの地域・どの種類の求人が掲載されるかは、これから決まります。
よくある質問
看護師のパートと正職員は、法律上何が違いますか
看護師のパートとは、正職員より週の所定労働時間が短い人、または期間を決めた契約で働く人のことで、パートタイム・有期雇用労働法の対象になります(1章)。雇い入れのときに昇給・退職手当・賞与の有無が文書で示され(2章)、正職員との不合理な待遇差は禁止されています(3章)。
パートでも賞与は出ますか
賞与の有無は、雇い入れのときに文書で示される事項です(2章)。示されるのは有無で、金額は就業規則で確かめます。正職員との間の賞与の差も、不合理な待遇差の禁止の対象です(3章)。個別の差が不合理かどうかは、この記事では判断しません。
待遇差の理由を聞いてもいいですか
聞くことができます。事業主には説明する義務があり、説明を求めたことを理由とする不利益な取扱いは禁止されています(4章)。何の待遇について聞きたいかを具体的に伝えてください。
パートから正職員になれますか
事業主には、正職員への転換を推進する措置をとることが求められています(5章)。募集内容の周知、応募の機会、試験制度などです。希望すれば転換できるという権利を定めたものではないため、職場がどの措置をとっているかを確かめてください。
1年契約を更新し続けています。ずっと有期のままですか
同じ使用者との有期契約が通算5年を超えると、本人が申し込むことで無期労働契約に転換する規定があります(6章)。無期転換しても正職員になるわけではなく、条件は別段の定めがない限り転換前と同じです。
パートと単発は、どちらがいいですか
週の時間、契約期間、同じ施設に続けるかで、社会保険や有給などの線が変わります。制度ごとの線は「看護師の週1・短時間の単発」の1章にまとめています。
まとめ
看護師のパートは、正職員より週の所定労働時間が短い人、または期間を決めた契約で働く人として、パートタイム・有期雇用労働法の対象になります。
雇い入れのときは、昇給・退職手当・賞与の有無と相談窓口が文書で示されます。正職員との間の不合理な待遇差は禁止され、待遇差の内容と理由の説明を求めることができ、説明を求めたことを理由とする不利益な取扱いは禁止されています。事業主は正職員への転換を推進する措置をとることが求められ、有期契約が通算5年を超えると無期転換を申し込める規定があります。
社会保険・扶養・常勤からの切り替えは7章の各記事に、困ったときの窓口は8章にまとめました。
この記事の主な一次情報
- 短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律(パートタイム・有期雇用労働法)2条・6条・8条・9条・11条・12条・13条・14条
- 労働契約法18条
- 政府広報オンライン「パートタイム労働者・有期雇用労働者と、正社員との間の不合理な待遇差をなくしましょう」(2023年11月21日)
- 宮城労働局「パートタイム労働法で定められている主なルール」/静岡労働局「パートタイム労働者・有期雇用労働者の雇用管理の改善」/栃木県「パート・派遣(Q54)」/愛知労働局「教育訓練、福利厚生施設」
※2026年10月6日に確認。法令は改正されることがあります。この記事は制度の紹介であり、個別の待遇差が法律に反するかどうかについて判断を示すものではありません。賃金・賞与・退職金の相場は扱っていません。
タメシビの先行登録
タメシビは、看護師が1日単位で施設と直接雇用契約を結んで働けるスポット勤務サービスです。応募後、施設が内容を確認して勤務が確定します(事前の面接・書類選考はありません)。求人には業務内容、必要な経験、持ち物、当日の流れを明示し、働いてから、その職場で続けるかをご自身で選べます。看護師・准看護師の登録料・利用料は無料です。
タメシビは2026年内のサービス開始に向けて準備中で、現在はLINEで先行登録を受け付けています。現時点で求人への応募を受け付けているものではありません。求人が公開されたときにお知らせを受け取りたい方は、先行登録をご利用ください。