失業保険(雇用保険の基本手当)を受けている間に単発で働くことは、禁じられていません。働いた日は、収入の有無にかかわらず失業認定申告書で申告する仕組みです。 扱いを分けるのは、1日の労働時間(4時間)と、1週間の労働時間(20時間)の2本の線です。

「受給中に働いたら失業保険がもらえなくなるのでは」という不安から、次の職場が決まるまでの単発をためらう看護師もいます。この記事は、ハローワークと労働局の資料が説明している扱いを整理し、働く前に確認することに変えます。 支給額の計算や、あなたの場合に受給できるかどうかは、この記事では判定しません。

先に答えを書くと、1日4時間以上働いた日の基本手当は支給されませんが、その日数分は支給残日数として残り、その後の失業している日に支給されます。週20時間以上働くと「就職」となり、その後の就職している期間は支給されません。

この記事の結論

  • 受給中に単発で働くことは禁じられていません。 働いた日は、収入の有無にかかわらず失業認定申告書で申告します(1章)
  • 1日4時間以上は「就労」。 その日の基本手当は支給されませんが、日数分は支給残日数として残り、後の失業している日に支給されます(2章)
  • 1日4時間未満は「短時間就労・手伝い」。 収入金額に応じて減額または不支給になることがあります(2章)
  • 週20時間以上は「就職」。 その後の就職している期間は支給されません。複数の施設にまたがる場合や夜勤の数え方は、ハローワークに確認します(3章)
  • 待期(7日間)と給付制限の期間は、扱いが違います。 待期中に働く前は、ハローワークに確認してください(4章)
  • 申告しなかった場合は不正受給となり、返還と、不正の行為により支給を受けた額の2倍以下の納付が命じられることがあります(5章)

読みたい箇所から確認する

1. 失業保険(基本手当)の受給中に単発で働くことは禁じられていない——申告する仕組み

先に答えを置きます。基本手当を受けている間に働くこと自体を禁じた定めはありません。働いた場合は、失業の認定を受けるときに申告する仕組みになっています。

失業の認定と、失業認定申告書

基本手当を受けるには、ハローワークで「失業の認定」を受けます。認定日には、前回の認定日から今回の認定日の前日までの間について、失業認定申告書を出します。この申告書に、働いたかどうかを書く欄があります。

滋賀労働局の案内は、申告書の書き方を次のように説明しています。

収入の有無にかかわらず、仕事をした場合は、『ア した』に○を記入してください。

報酬がなくても、1日だけでも申告する

ハローワーク(神奈川)の資料「雇用保険受給者のみなさまへ」(令和7年10月)も、「報酬の有無にかかわらず、必ず失業認定申告書で就労等の申告は必要となります」としています。単発だから、1日だけだから申告しなくてよい、という扱いはありません。

この仕組みの入口は「看護師の単発バイトと社会保険・雇用保険・有給休暇」の3章でも紹介しています。この記事は、働いた日の支給がどう扱われるかを、ハローワークの資料の文言で見ていきます。

この章の出典

2. 1日4時間の線——「就労」と「短時間就労・手伝い」

先に答えを置きます。働いた日は、その日の労働時間が4時間以上か未満かで扱いが分かれます。4時間以上は「就労」、4時間未満は「短時間就労・手伝い」です。

2つの区分

ハローワーク(神奈川)の資料は、次のように区分しています。

区分

資料の定義

基本手当の扱い

就労

事業主に雇用され、1日の労働時間が4時間以上である場合

その日の支給はない。 日数分は支給残日数として残る

短時間就労・手伝い

1日の労働時間が4時間未満(雇用保険の被保険者となる場合を除く)である場合

収入金額に応じて減額または不支給になることがある

4時間以上の日は、支給が「なくなる」のではなく「後に残る」

就労した日の扱いについて、同じ資料は次のように説明しています。

就労している日の基本手当の支給はありません。ただし、支給されなかった日数分の基本手当は、受給期間満了年月日までの間であれば、支給残日数として残りますので、その後の失業している日に改めて基本手当として支給されます。

単発で1日働いた日は、その日の分の基本手当が後ろに回る、という扱いです。 ただし「受給期間満了年月日までの間であれば」という条件がついています。受給期間を過ぎると残った日数分は支給されないため、自分の受給期間がいつまでかを、受給資格者証などで確認しておくことが大切です。

ハローワーク神戸のページも、「4時間以上のアルバイト等をした日数分、認定期間のお支払いできる日数から差し引かれます」と説明しています。

4時間未満の日は、収入で扱いが変わる

4時間未満の短時間就労・手伝いで収入があった場合は、収入金額に応じて減額または不支給になることがある、と資料は説明しています。減額の計算方法は、照合した資料に記載がないため、この記事では書きません。 収入があった場合は、申告書に「収入のあった日」「収入額」「何日分」の収入かを書く、と滋賀労働局は案内しています。

申告書のカレンダーの書き方

滋賀労働局は、申告書のカレンダーについて「1日4時間以上であれば、○印、4時間未満であれば×印をカレンダーの該当の日に記入してください」としています。単発の勤務時間が4時間以上か未満かは、求人票と労働条件通知書の始業・終業の時刻と休憩時間を確かめ、休憩を含めるかなど数え方に迷う場合はハローワークに確認します。 労働条件通知書で確認する項目は「単発バイトに労働条件通知書はある?」にまとめています。

日をまたぐ夜勤の単発は、ハローワークに確認する

看護師の単発には、夕方から翌朝までの夜勤のように、日をまたぐ勤務があります。照合した資料は「1日の労働時間」で区分しており、日をまたぐ勤務を申告書のカレンダーのどの日に記入するかは書かれていません。 夜勤の単発を入れる場合は、記入する日と数え方を、勤務の前にハローワークに確認してください。夜勤の勤務時間の長さと、2暦日にまたがる勤務の扱いは「看護師の夜勤バイト」にまとめています。

この章の出典

3. 週20時間の線——「就職」になる

先に答えを置きます。1週間の労働時間が20時間以上になると「就職」となり、その後の就職している期間は基本手当が支給されません。複数の施設にまたがる場合の数え方は、ハローワークに確認します。

資料の定義

ハローワーク(神奈川)の資料は、就職を「原則、週20時間以上の就労等を行った場合」と定義しています。ハローワーク神戸のページも、「1週間に20時間未満の時間数であれば基本手当の支給は停止しません」と説明しています。

資料は「週20時間以上の就労等」と書いており、複数の勤務先にまたがる場合の数え方は明記していません。 この記事は、単発の勤務時間を1週間で合計して見る読み方をしています。複数の施設に入る場合の数え方は、ハローワークに確認してください。同じ施設に続けて入ると越える制度上の線(週20時間・31日など)は「看護師の週1・短時間の単発」の4章に時間軸でまとめています。

就職したときの手当

同じ資料の令和6年5月版は、「所定給付日数を受け終わる前に就職等が決まった時は、要件を満たした場合、再就職手当等が支給されます」としています。要件はこの記事では扱いません。 次の職場が決まったときは、手当の要件を含めてハローワークで確認してください。

この章の出典

4. 待期と給付制限の期間に働く場合

先に答えを置きます。基本手当には、受給資格の決定の後に、支給されない期間があります。7日間の「待期」と、離職理由によってかかる「給付制限」です。この2つは、働いたときの扱いの説明が資料の上で分かれています。

待期(7日間)

ハローワーク(神奈川)の資料(令和6年5月)は、待期を次のように説明しています。

受給資格決定日から失業の状態にあった日が通算して7日間経過するまでは基本手当の支給を受けることができません。この期間のことを『待期』といいます。

数えるのは「失業の状態にあった日」です。 待期の間に働いた日がこの7日にどう数えられるかは、照合した資料に書かれていないため、この記事では書きません。待期の間に単発の勤務を入れる前に、ハローワークに確認してください。

給付制限の期間

離職理由によっては、待期のあとに給付制限の期間がかかります。期間の長さは改正が続いているため、この記事では書きません。受給資格者証やハローワークで確認してください。

給付制限の期間中に働いた場合について、ハローワーク(神奈川)の資料(令和7年10月)は次のように説明しています。

給付制限期間中の就労等は基本手当の支給に影響はありませんが、週20時間以上の就労等を行った場合、就職となり、その後の就職している期間は、基本手当の支給はありません

給付制限の期間中も、週20時間の線(3章)は同じように働きます。

この章の出典

5. 申告しなかった場合——不正受給の処分

先に答えを置きます。働いたことを申告せずに基本手当を受けると、不正受給として処分を受けることがあります。岐阜労働局は、処分を3つに分けて説明しています。

処分

岐阜労働局の説明

支給の停止

不正行為があった日以降の日について、失業等給付が一切支給されない

返還

不正に受給した失業等給付の相当額(不正受給金額)の返還が命じられる

納付

返還とは別に、直接不正の行為により支給を受けた額の2倍に相当する額以下の金額の納付が命じられる

働いた日を、そのつど申告書に書くことが、いちばん確実な方法です。

申告を忘れたことに気づいた場合は、次の認定日を待たずにハローワークに相談してください。個別の扱いはハローワークが判断します。

この章の出典

6. 単発の勤務は、次の受給資格になるか

先に答えを置きます。雇用保険の被保険者になる要件は、週20時間以上・31日以上の雇用見込みです。単発の勤務がこの要件に当たるか、次に失業したときの受給資格にどう関わるかは、雇用契約の内容とあわせてハローワークに確認してください。

被保険者の要件と、日雇労働で生計を立てる人のための別の枠(日雇労働被保険者)は「看護師の単発バイトと社会保険・雇用保険・有給休暇」の3章にまとめています。

今受けている基本手当と、単発の勤務が次の受給資格になるかどうかは、別の話です。 次の職場を常勤・パートで探す場合は、その職場で雇用保険に入るかどうかを、求人票の「加入保険」の欄で確認します。

7. 働く前に確認すること

先に答えを置きます。受給中に単発の勤務を入れる前に、次の項目を確かめておくと、申告で迷いません。

受給の側で確認すること

  • □ 今が待期・給付制限・受給中のどの期間か(4章)
  • □ 受給期間の満了日はいつか(就労した日数分が後に残る期限。2章)
  • □ 次の認定日と、認定の対象になる期間
  • □ 待期の間に働く場合の扱い(ハローワークに確認)

勤務の側で確認すること

  • □ 1日の労働時間が4時間以上か未満か(始業・終業の時刻と休憩時間。2章)
  • □ その週の勤務時間の合計が20時間に届くか(3章)
  • □ 日をまたぐ夜勤かどうか(記入する日をハローワークに確認する。2章)
  • □ 賃金の支払日(収入のあった日として申告書に書く。日払いか月払いかで変わる。「看護師の単発バイトの「日払い」とは」)
  • □ 勤務先ごとの労働条件通知書と給与明細を保管する(5章)

申告のときに書くこと

  • □ 働いた日(4時間以上は○、4時間未満は×。2章)
  • □ 収入のあった日・収入額・何日分の収入か

迷ったときは、勤務を入れる前にハローワークで聞くのが確実です。単発の収入の税(源泉徴収・確定申告)は「看護師の単発バイトと税金」に、退職の手続きと条文は「看護師を辞めたいと思ったとき」の5章に、単発の働き方の全体像は「看護師の単発バイト完全ガイド」にまとめています。

8. タメシビで想定していること

タメシビは、看護師・准看護師が、施設と直接雇用契約を結んで1日単位で働けるスポット勤務サービスです。応募後、施設が内容を確認して勤務が確定します(事前の面接・書類選考はありません)。求人には、業務内容、必要な経験、持ち物、当日の流れを明示する方針です。

1日ごとの勤務時間が求人に明示されるため、4時間の線と週20時間の線を、応募の前に確かめられる形を想定しています。基本手当の受給の可否や申告の内容は、ハローワークが判断するものです。

タメシビは2026年内のサービス開始に向けて準備中で、どの地域・どの種類の求人が掲載されるかは、これから決まります。

よくある質問

失業保険を受けている間に、単発で働いてもいいですか

働くこと自体は禁じられていません。 働いた日は、収入の有無にかかわらず失業認定申告書で申告します(1章)。扱いは1日4時間と週20時間の線で分かれます(2章・3章)。

単発で1日働いたら、その日の失業保険はなくなりますか

1日4時間以上の勤務なら、その日の基本手当は支給されません。ただし、日数分は支給残日数として残り、受給期間の満了日までであれば、その後の失業している日に支給されます(2章)。4時間未満なら、収入金額に応じて減額または不支給になることがあります。

何時間まで働けますか

ハローワークの資料は、週20時間以上の就労等を「就職」としています(3章)。就職すると、その後の就職している期間は支給されません。複数の勤務先にまたがる場合の数え方はハローワークに確認してください。

勤務時間が4時間ちょうどの場合は?

ハローワークの資料は、就労を「1日の労働時間が4時間以上である場合」、短時間就労・手伝いを「4時間未満」としています(2章)。資料の文言では、4時間ちょうどは「就労」の側に入ります。 始業・終業の時刻と休憩時間を労働条件通知書で確かめ、休憩を含めるかなど数え方に迷う場合はハローワークに確認してください。

給付制限の期間中に単発で働けますか

ハローワークの資料は、給付制限期間中の就労等は基本手当の支給に影響はないとしています。ただし、週20時間以上になると就職となります(4章)。

待期の7日間に働いてもいいですか

働く前にハローワークに確認してください(4章)。

申告を忘れてしまいました

次の認定日を待たずに、ハローワークに相談してください(5章)。申告せずに受給すると、不正受給として支給停止・返還・納付を命じられることがあります。

単発で働いた分で、次の失業保険の受給資格ができますか

雇用保険の被保険者になる要件は、週20時間以上・31日以上の雇用見込みです(6章)。次の受給資格との関わりはハローワークに確認してください。要件は「看護師の単発バイトと社会保険・雇用保険・有給休暇」の3章にまとめています。

まとめ

失業保険(基本手当)を受けている間に単発で働くことは、禁じられていません。 働いた日は、収入の有無にかかわらず失業認定申告書で申告します。

扱いを分けるのは2本の線です。1日4時間以上は「就労」で、その日の支給はなく、日数分は支給残日数として後に残ります。 4時間未満は収入に応じて減額または不支給になることがあります。週20時間以上は「就職」で、その後の就職している期間は支給されません。

待期の7日間に働く前は、ハローワークに確認してください。給付制限の期間中の就労は支給に影響しませんが、週20時間の線は同じように働きます。

申告しなかった場合は、支給停止・返還・2倍以下の納付が命じられることがあります。働く前に勤務時間を確かめ、働いた日はそのつど申告します。

この記事の主な一次情報

公的資料

※いずれも2026年10月5日に確認。雇用保険の制度は改正されることがあります。この記事は公的資料の紹介であり、基本手当の支給額、受給の可否、個別の申告の内容について判断を示すものではありません。賃金の相場は扱っていません。

タメシビの先行登録

タメシビは、看護師が1日単位で施設と直接雇用契約を結んで働けるスポット勤務サービスです。応募後、施設が内容を確認して勤務が確定します(事前の面接・書類選考はありません)。求人には業務内容、必要な経験、持ち物、当日の流れを明示し、働いてから、その職場で続けるかをご自身で選べます。看護師・准看護師の登録料・利用料は無料です。

タメシビは2026年内のサービス開始に向けて準備中で、現在はLINEで先行登録を受け付けています。現時点で求人への応募を受け付けているものではありません。求人が公開されたときにお知らせを受け取りたい方は、先行登録をご利用ください。

→ LINEで先行登録する(無料)