ホスピスの看護師を考えるときは、まず緩和ケア病棟の基準を見るのが近道です。 厚生労働省の基本診療料の施設基準は、緩和ケア病棟入院料の病棟について、主として悪性腫瘍、後天性免疫不全症候群、終末期の末期腎不全の患者を対象にすると定めています。

同じ基準は、緩和ケア病棟の看護師の数を、常時、入院患者7人またはその端数ごとに1人以上としています。一方で、看取りは病棟の外でも、介護施設や住まい、自宅で行われます。「ホスピス」と名のつく求人を見たら、どの種類の施設かを確かめることが出発点になります。

この記事は、厚生労働省の施設基準をもとに、緩和ケア病棟の基準と、病棟の外での看取りとの違い、働く前に確かめることを整理します。特定の事業者、入院料の点数、看取りのケアの手技や体験談は、この記事では扱いません。

この記事の結論

  • 制度上の基準があるのは、診療報酬の緩和ケア病棟入院料の病棟です。対象は、主として悪性腫瘍・後天性免疫不全症候群・終末期の末期腎不全の患者です(1章)
  • 緩和ケア病棟の看護師は、常時、入院患者7人またはその端数ごとに1人以上です(2章)
  • 看取りは、特養・有料老人ホーム・自宅などでも行われ、それぞれ体制が違います(3章)
  • 「ホスピス」と名のつく求人は、施設の種類を公的なサイトなどで確かめます(4章)
  • 働く前に、病棟の種類、対象の患者、夜勤の体制、看取りの手順を確かめます(6章)
  • いずれも2026年10月時点の告示によります

読みたい箇所から確認する

1. ホスピスと緩和ケア病棟

先に答えを置きます。看護師が「ホスピス」で働くとき、制度上の基準がある場所の代表が、診療報酬の緩和ケア病棟入院料の病棟です。対象は、主として悪性腫瘍、後天性免疫不全症候群、終末期の末期腎不全の患者です。

厚生労働省の「基本診療料の施設基準等」は、緩和ケア病棟入院料の施設基準として、次のように定めています。

主として悪性腫瘍の患者又は後天性免疫不全症候群若しくは終末期の末期腎不全に罹(り)患している患者を入院させ、緩和ケアを一般病棟の病棟単位で行うものであること。

同じ基準は、「当該療養を行うにつき十分な構造設備を有していること」や、特別の療養環境の提供に係る病室が適切な割合であることも挙げています。この記事では、入院料の点数は扱いません。

この章の出典

2. 緩和ケア病棟の看護の体制

先に答えを置きます。緩和ケア病棟の看護師は、常時、入院患者7人またはその端数ごとに1人以上です。日中を含む配置を満たしている場合は、夜勤の看護師はこの数によらず2人以上でよい、とされています。

同じ施設基準は、看護師の配置を次のように定めています。

当該病棟において、一日に看護を行う看護師の数は、常時、当該病棟の入院患者の数が七又はその端数を増すごとに一以上であること。

項目

施設基準の内容

日中を含む配置

常時、入院患者7人またはその端数ごとに看護師1人以上

夜勤

一日に看護を行う看護師が上の数以上の場合、夜勤を行う看護師は、上の数によらず2人以上でよい

基準が定めているのは「看護師」で、准看護師を含む「看護職員」ではありません。この数に准看護師は含まれていません。病院の看護師配置の2つの層(医療法の員数と、入院料の施設基準)は「病院の病棟に単発の求人が少ない理由」の1章にまとめています。

この章の出典

3. 病棟の外での看取りとの違い

先に答えを置きます。看取りは、緩和ケア病棟のほか、特別養護老人ホーム、有料老人ホーム、自宅などでも行われます。場所によって、看護の体制の決まり方が違います。

場所

看護の体制の決まり方

詳しい記事

緩和ケア病棟

病院の施設基準(2章)

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特別養護老人ホーム・介護老人保健施設

介護保険の施設の人員基準

介護施設(特養・老健)の看護師の仕事内容

有料老人ホーム・サ高住

施設の種類と、外部の訪問看護の利用による

有料老人ホーム・サ高住の看護師 6章

自宅

訪問看護など

訪問看護に単発の求人が少ない理由

介護施設で看取り期の入所者がいるかを確かめる項目は、「介護施設(特養・老健)の看護師の仕事内容」の5章の表とFAQにまとめています。

4. 「ホスピス」と名のつく求人を見たとき

先に答えを置きます。「ホスピス」と名のつく求人を見たら、その施設が病院の病棟なのか、有料老人ホームなどの住まいなのかを確かめます。施設の種類によって、看護師の配置の決まり方が変わります。

確かめること

見るところ

病院の病棟か

「緩和ケア病棟入院料の届出をしている病棟ですか」

住まい・施設か

有料老人ホーム・サ高住などの種類(公的なサイトで確かめる)

医療をどう提供しているか

施設の看護職員か、外部の訪問看護か

有料老人ホーム・サ高住の種類を公的なサイトで確かめる方法は「有料老人ホーム・サ高住の看護師」の5章に、外部の訪問看護との線は6章にまとめています。この記事は、個別の施設がどの種類にあたるかを判断しません。

5. 看取りと緩和ケアに関わる制度・資格

先に答えを置きます。看取りの場面では、死亡確認と死亡診断の区別が関わります。緩和ケアの専門性を示す資格として、緩和ケアの分野の認定看護師があります。

論点

詳しい記事

死亡確認と死亡診断(医師法20条、ICTを使った死亡診断のガイドライン)

看護師ができる医療行為・できない医療行為 4章

緩和ケアの分野の認定看護師

認定看護師・専門看護師・特定行為研修の違い 2章

認定看護師の分野の一覧(B課程の19分野)には「緩和ケア」が含まれています。資格がなければ緩和ケア病棟で働けない、という定めは、この記事で見た施設基準にはありません。

6. 働く前に確かめること

先に答えを置きます。病棟の種類、対象の患者、夜勤の体制、看取りの手順、家族への対応、振り返りの場を確かめます。

確かめること

聞き方

病棟の種類

「緩和ケア病棟入院料の届出をしている病棟ですか」

対象の患者

「入院している方の主な疾患は何ですか」

夜勤の体制

「夜勤は看護師何人ですか」

痛みの管理

「医療用麻薬を使うときの手順と、医師の指示はどう出ていますか」

看取りの手順

「看取りのときの手順と、医師への連絡はどうしていますか」

家族への対応

「ご家族への説明や付き添いの対応は、誰がしていますか」

振り返りの場

「看取りのあとに、チームで振り返る場はありますか」

研修

「緩和ケアの研修や、認定看護師への支援はありますか」

雇い入れのときに明示される労働条件の確かめ方は「単発バイトに労働条件通知書はある?」にまとめています。

7. タメシビで想定していること

タメシビは、看護師・准看護師が、施設と直接雇用契約を結んで1日単位で働けるスポット勤務サービスです。応募後、施設が内容を確認して勤務が確定します(事前の面接・書類選考はありません)。求人には、業務内容、必要な経験、持ち物、当日の流れを明示する方針です。

タメシビは2026年内のサービス開始に向けて準備中で、どの地域・どの種類の求人が掲載されるかは、これから決まります。

よくある質問

ホスピスと緩和ケア病棟は同じですか

この記事では、制度上の基準がある緩和ケア病棟を中心に整理しています(1章)。「ホスピス」と名のつく施設には、住まいや施設もあるため、種類を確かめてください(4章)。

緩和ケア病棟の看護師の配置は、ほかの病棟と違いますか

緩和ケア病棟入院料の基準では、常時、入院患者7人またはその端数ごとに看護師1人以上です(2章)。

准看護師は緩和ケア病棟で働けますか

施設基準の看護師の数には、准看護師は含まれていません(2章)。准看護師が勤務できるかや業務の扱いは、応募先に確かめてください。

緩和ケアの資格がないと働けませんか

この記事で見た施設基準には、資格を求める定めはありません(5章)。研修や資格取得の支援は、応募先に確かめてください(6章)。

看護師が死亡確認をしてもよいのですか

死亡確認と死亡診断は区別されています。 詳しくは「看護師ができる医療行為・できない医療行為」の4章にまとめています(5章)。

まとめ

ホスピスの看護師を考えるときは、制度上の基準がある緩和ケア病棟から見ると整理しやすくなります。緩和ケア病棟入院料の病棟は、主として悪性腫瘍、後天性免疫不全症候群、終末期の末期腎不全の患者を対象とし、看護師は常時、入院患者7人またはその端数ごとに1人以上です。

看取りは病棟の外でも行われ、場所によって体制が違います。「ホスピス」と名のつく求人は施設の種類を確かめ、働く前に、対象の患者、夜勤の体制、看取りの手順、家族への対応を確かめてください。

この記事の主な一次情報

  • 厚生労働省「基本診療料の施設基準等」(平成20年厚生労働省告示第62号。令和8年3月5日改正後)十三 緩和ケア病棟入院料の施設基準

※2026年10月13日に確認。告示は改正されることがあります。この記事は制度の紹介であり、個別の施設や勤務について判断を示すものではありません。特定の事業者、入院料の点数、給料は扱っていません。

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