お試し勤務(体験入職)とは、看護師が入職を決める前に、1日単位の雇用契約を結んで実際に働き、給料を受け取りながら職場との相性を確かめる方法です。無給の「見学・体験」とは、法律上も実務上も別物です。
面接と見学だけで転職先を決めて、入ってみたら思っていた職場と違った——その確認を、入職の前に済ませるための方法です。
この記事は、転職や復職を考えている看護師の方に向けて、お試し勤務の仕組み、「体験だから無給で」と言われたときにどう考えればいいか、見学との違い、探し方、当日に何を確かめるべきかをまとめたものです。
30秒でわかる結論
- 給料をもらいながら、1日から「働いて確かめる」ことができます。入口はマッチングサービス・求人サイト・施設への直接相談の3つです(4章)
- 働いたあとに入職しない自由は当然あります。合うかどうかを確かめるのが目的なので、断ることは失礼ではありません(9章)
- 病院見学は「観察のみ・無報酬」。お試し勤務は「実際に働く・有給」。別物です(3章)
- 当日確かめるべきは、見学では見えない8項目。記録・申し送り・忙しさ・休憩の実際です(6章)
- 実際に働く以上、給料は出るのが原則です。厚生労働省の通達は、名目ではなく実態で労働者かどうかを判断する、としています(2章)
- 1日だけの勤務でも労災保険は適用され、労働条件の書面明示は使用者の義務です(2章)
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1. お試し勤務(体験入職)とは
1-1. 入職前に「働いて確かめる」方法
お試し勤務とは、正式に入職を決める前に、1日〜数回、その職場で実際に勤務して、仕事内容や人間関係との相性を確かめる方法です。本記事では、単発・スポットの雇用契約を結んで働く形を前提に説明します。この形なら、勤務した分の給料は支払われます。
なお、看護学生向けの「就業体験(インターンシップ)」は学生を対象にした別の仕組みです。免許を持って働いている看護師の転職には使えません。
1-2. 「体験入職」「体験入社」「お試し転職」…呼び方は違っても中身は同じ
言葉はまだ定まっていません。「体験入職」「体験入社」「トライアル勤務」「お試し転職」など、検索するとどの言葉でも情報が細切れに出てきますが、指しているものは同じです。この記事では「お試し勤務」で統一します。
1-3. なぜ今、この方法なのか
日本看護協会の「2025年 病院看護実態調査」によると、2024年度の看護職員の離職率は、正規雇用全体で11.0%、新卒採用者で8.4%に対し、既卒採用者(=転職して入った人)は16.1%です。
新卒は実習やインターンシップで職場を見てから入るのに対し、転職では面接と見学が中心です。面接で聞いた話と現場が違っても、入職後に分かったのでは遅い——お試し勤務は、この「入ってみないと分からない」を、入る前に済ませる方法です。なぜ転職でミスマッチが起きるのか、その構造は別記事で詳しく整理しています。
1-4. 「初めての職場で、いきなり動けるのか」という不安について
先に、いちばん多いためらいに答えておきます。知らない電子カルテ、知らない物品、知らない患者さんの中で、自分は1日動けるのか、という不安です。
単発勤務では、その日にやってほしい業務が募集の時点で明示されます(2章の労働条件明示)。分からないことを聞くのは、その日の業務に必要な行為であって、能力不足の表明ではありません。
むしろ逆です。6章で述べるとおり、「質問したときの返り方」こそ、あなたがその職場を見極める材料になります。お試し勤務のあなたは、値踏みされる側ではなく、見極める側でもあります。
この章の出典
- 日本看護協会「2025年 病院看護実態調査」ニュースリリース(2026年3月31日) https://www.nurse.or.jp/home/assets/20260331_nl01.pdf
- 労働政策研究・研修機構(JILPT)による同調査の紹介(2026年4月8日) https://www.jil.go.jp/kokunai/topics/mm/20260408b.html
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2. 給料は出るのか — 「無給の体験」の法律上の扱い
2-1. 無給の「体験」は合法か — 実際に働くなら賃金支払いが原則
「体験」や「実習」という名目なら無給でよいのか。厚生労働省の通達(平成9年9月18日 基発第636号)が示す基準を一言でいうと、「呼び方ではなく、実態で決まる」です。実際の作業をして、その成果が施設のものになり、施設の指示を受けて動いていれば、名目が何であれ労働基準法上の労働者、つまり給料の支払い対象です。労働者であれば、最低賃金法第4条により最低賃金以上の賃金支払いが義務になります。
労働基準法第9条は、労働者をこう定義しています。
この法律で「労働者」とは、職業の種類を問わず、事業又は事務所(以下「事業」という。)に使用される者で、賃金を支払われる者をいう。
基発第636号は学生のインターンシップについて出された通達ですが、「名目ではなく個々の実態で判断する」という基準そのものは、体験入職にもそのまま当てはまります。原文はこうです(学生実習について述べた部分を、前略のうえ引用します。読み飛ばしても構いません)。
一般に、インターンシップにおいての実習が、見学や体験的なものであり使用者から業務に係る指揮命令を受けていると解されないなど使用従属関係が認められない場合には、労働基準法第9条に規定される労働者に該当しないものであるが、直接生産活動に従事するなど当該作業による利益・効果が当該事業場に帰属し、かつ、事業場と学生との間に使用従属関係が認められる場合には、当該学生は労働者に該当するものと考えられ、また、この判断は、個々の実態に即して行う必要があること。
つまり「体験入職なので無給です。でも受け持ちを持ってケアしてください」という運用は、この基準に照らすと、労働者として扱われるべき場面に当たると考えられます。観察だけの見学にとどまるなら、労働者に当たらないとされる側です。無給を提示されたら、当日の内容が見学の範囲にとどまるのかを確認してください。
2-2. 雇用契約を結ぶ単発勤務なら、権利は通常の勤務と同じ
雇用契約を結ぶ1日単位の勤務(単発バイト)であれば、1日だけでも次が適用されます。
項目 | 内容 |
|---|---|
賃金 | 最低賃金以上。求人票に明示された時給・日給 |
労働条件の明示 | 使用者の義務(労働基準法第15条)。契約期間・就業場所・業務内容・賃金などを書面等で明示。2024年4月からは「変更の範囲」の明示も追加 |
労災保険 | 雇用形態を問わず適用。厚生労働省のQ&Aも「パート、アルバイトの方も、労災保険給付を受けることができます。また、給付内容は正規雇用者と同様です」と明記 |
直前キャンセル | 労働契約の成立後に施設側の都合で当日の仕事がなくなった場合、休業手当(平均賃金の6割以上)を請求できる場合があります |
スポットワーク(アプリ等で単発の仕事を請ける働き方)については、厚生労働省が2025年7月にまとまった留意事項を公表しています。労働者向けリーフレットには次の記載があります。
労働条件通知書は、雇用主が交付する場合もあればスポットワーク仲介事業者が代行して交付する場合もあります。きちんと交付されているか、スポットワーカーの皆さまも確実に確認しましょう。(中略)労働条件を明示しない場合には、労働基準法違反となります。
通勤の途中または仕事中にケガをした場合は、就労先の事業について成立する保険関係に基づき労災保険給付を請求することができます
お試し勤務は「お試し」であっても、働く1日の権利は通常の勤務と変わりません。ここを押さえておくと、条件の曖昧な募集を避けられます。
この章の出典
- 労働基準法(昭和22年法律第49号)第9条・第15条・第26条 https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000049
- 厚生労働省「労働基準法における労働者性の関連通達」(令和7年3月時点版。基発第636号を収録) https://www.mhlw.go.jp/content/001462702.pdf
- 最低賃金法(昭和34年法律第137号)第4条 https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000137
- 厚生労働省「2024年4月から労働条件明示のルールが変わります」 https://muki.mhlw.go.jp/rule.html
- 厚生労働省「いわゆる『スポットワーク』の留意事項等」(令和7年7月) https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_59321.html / 労働者向けリーフレット https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/001512298.pdf
- 厚生労働省 労災保険Q&A「パート、アルバイトなどの非正規雇用でも、労災保険給付を受け取ることができるのでしょうか」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000154443.html
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3. 病院見学・紹介予定派遣・トライアル雇用との違い
入職前に職場を確かめる方法は、お試し勤務だけではありません。既卒の看護師が使えるものを並べます。
方法 | 何をするか | 報酬 | 期間 | 既卒看護師が使えるか |
|---|---|---|---|---|
病院見学 | 観察のみ。案内されて回る | なし | 半日程度 | 使える。ただし分かるのは雰囲気まで |
就業体験(インターンシップ) | 学生向けの体験プログラム | 原則なし | 数日 | 対象外(看護学生向け) |
紹介予定派遣 | 派遣として働いたのち、双方合意で直接雇用へ | 派遣の給与 | 派遣期間は最長6か月 | 使える。派遣会社への登録が入口 |
トライアル雇用 | 施設に有期で雇われ、常用雇用への移行を前提に働く | 給与 | 原則3か月 | 対象者の要件あり(離職期間1年超など)。ハローワーク等の紹介が入口 |
単発バイト型のお試し勤務 | 1日単位の雇用契約で実際に働く | 時給・日給 | 1日から | 使える。最も手軽 |
3つだけ補足します。
紹介予定派遣は、最長6か月、派遣として働いてから、双方が合意すれば直接雇用に進む制度です(労働者派遣法に基づく正式な仕組みで、通常の派遣と違い、事前の面接や履歴書の送付ができます)。じっくり確かめられる反面、入口は派遣会社への登録で、試せるのは派遣契約のある施設に限られます。
トライアル雇用は、施設側がハローワーク等の紹介を受けて対象者を原則3か月の有期で雇い、常用雇用への移行を目指す国の制度です。施設側に助成金が支払われる仕組みです。助成金を受け取るのは施設であって働く側ではないこと、対象者に要件(離職・転職を2回以上繰り返している、離職期間が1年を超えている等)があることに注意してください。
単発バイト型は、制度ではなく働き方です。要件も期間の縛りもなく、1日から試せます。次章で探し方を見ます。
この章の出典
- 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(昭和60年法律第88号)第2条第4号・第26条第6項 https://laws.e-gov.go.jp/law/360AC0000000088
- 厚生労働省「紹介予定派遣とは」(派遣期間6か月の上限は派遣元指針・派遣先指針による) https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11600000-Shokugyouanteikyoku/0000133872.pdf
- 厚生労働省「トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/newpage_16286.html
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4. お試し勤務はどこで探すか — 入口は3つ
前章のとおり、1日から試せるのは単発バイト型です。探す入口は大きく3つあります。
① 単発・スポット勤務のマッチングサービスに登録する。スキマバイトアプリや、看護師向けの単発マッチングサービス(タメシビもこの形です。サービスの仕組みは8章)に登録し、1日単位の募集に応募する方法です。登録から応募までがオンラインで完結します。お試しが目的なら、選ぶ前に利用規約も確認してください(5章)。
② 求人サイトで「単発」「スポット」の募集を探す。看護師向けの求人サイトやアルバイト求人サイトにも、単発・1日からの募集が出ることがあります。応募時は、雇用契約の相手が誰か(施設との直接雇用か、派遣か)と、労働条件の書面明示(2章)を確認してください。
③ 気になる施設に直接相談する。応募を検討している施設に見学を申し込み、あわせて単発勤務の可否を聞く方法です。言い方は「応募を検討しているのですが、見学に加えて、単発で1日勤務させていただくことは可能でしょうか」で十分です。受け入れの仕組みがない施設もあります。なお直接相談の場合、労働条件の書面明示・労災の扱い・賃金の支払い条件(2章)を自分で一つずつ確認する必要があります。
どの入口から入っても、当日確かめることは同じです(6章)。
この章の出典
- 厚生労働省「いわゆる『スポットワーク』の留意事項等」(令和7年7月) https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_59321.html
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5. 単発で働いた職場に、そのまま就職できるのか
単発で働いてみて「この職場、合う」と思ったとき、そのまま常勤やパートで入職できるのか。
単発で働いた施設に、その後常勤・パートで応募することを妨げる法律の定めはありません。 ただし、採用するかどうか、どの条件で採用するかは施設が決めることです。単発で働けば採用されやすい、とこの記事で言うことはしません。
確認しておきたい点は2つです。
- 使ったサービスの利用規約。単発のマッチングサービスによっては、勤務先との直接の雇用への移行について、規約で定めていることがあります。使う前に、利用規約かヘルプページの該当項目を確認してください。
- 費用を負担するのは誰か。職業紹介事業者が求職者から手数料を徴収することは、職業安定法32条の3第2項で原則として禁止されています。経路ごとの費用の整理は「看護師の直接応募とは」の4章にまとめています。
常勤・パートに応募したあとの試用期間の扱いは「看護師の試用期間とは」にまとめています。
この章の出典
- 職業安定法(昭和22年法律第141号)第32条の3 https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000141
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6. お試し当日に確かめること — 見学では分からない8項目
お試し勤務の価値は、見学者ではなく「その日の勤務者」として職場の中に入れることです。案内される側では見えないものを確かめてください。前日に読み返して、頭に入れておくのがおすすめです。
- □ 記録の方式 — 電子カルテか紙か。電子ならどのメーカーか。記録にかかる時間は、毎日の残業時間に直結します
- □ 申し送りのやり方 — 口頭か記録ベースか、所要時間はどれくらいか。単発では申し送りに同席できない場合もありますが、そのときは「自分にその日の情報がどう伝えられたか」(口頭だけか、紙があるか、聞けば出てくるか)を見てください。それ自体がその職場の情報共有の水準です
- □ 看護師1人あたりの忙しさ — その日、周りの看護師が何人の患者さんを見ているか。「日勤って普段何人くらい受け持ちますか」は、単発勤務者として自然に聞ける質問です
- □ ナースコールの鳴り方 — どれくらい鳴り、誰が取り、対応が重なったとき周りがどう動くか。半日でその病棟・フロアの忙しさの質が分かります
- □ 患者さんへの声のかけ方 — スタッフが患者さん・利用者さんにどう接しているか。忙しい時間帯ほど、その職場の素が出ます
- □ 休憩が取れているか — 時間どおりに交代できているか。前の勤務帯の人が何時まで残っているかも、1日で確実に観察できる項目です
- □ 物品と動線 — 必要な物品がすぐ出てくるか。補充・整理のルールが機能しているかは、組織の余裕を映します
- □ 職種間の距離感 — 医師・リハビリ・介護職への声のかけやすさ。質問したときの返り方に職場の空気が出ます
聞き方のコツは、単発勤務者として自然な質問の形にすることです。「記録はどこまで書けばいいですか」「休憩はどう回していますか」は、その日の業務に必要な質問なので、誰にでも聞けます。転職の面接で聞きにくいことほど、勤務者としてなら自然に確かめられます。
そして、確かめた結果「合わない」と感じたら、入職しなければいいだけです。それを判断するための1日です。
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7. 在職中にお試しする場合の注意
いま病院や施設で働きながら、休みの日に他の職場をお試しする場合、先に確認することが2つあります。
就業規則の副業・兼業規定。厚生労働省の「副業・兼業の促進に関するガイドライン」は、「労働者が労働時間以外の時間をどのように利用するかは、基本的には労働者の自由であり」としたうえで、例外的に制限できるのは、本業への支障や秘密漏洩など4つの場合に限られる、というのが裁判例を踏まえた整理だと示しています。自分の職場の規定を先に読んでください。規定の読み方は「看護師の副業禁止はどこまで有効?」にまとめています。
なお、規定で届出や許可が求められているのに黙って働くことは、この記事ではおすすめしません。発覚したときに失うもの(今の職場との信頼関係)のほうが、1日の勤務で得られるものより大きいからです。まず規定を確認し、必要な手続きを踏んでから始めてください。
公務員は許可が必要。地方公共団体が直営する公立病院の正規職員である看護師は地方公務員であり、地方公務員法第38条により、任命権者の許可なく報酬を得て事業や事務に従事することはできません(地方独立行政法人など、運営形態によって扱いは異なります)。在職中のお試し勤務(有給)はこの制限にかかりうるため、該当する方は、退職後に試す・休職期間を使うなど、時期をずらす形を考えてください。
税金(住民税・確定申告)の扱いは「看護師の単発バイトと税金」にまとめています。
この章の出典
- 厚生労働省「副業・兼業の促進に関するガイドライン」(令和4年7月改定) https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/000962665.pdf
- 地方公務員法(昭和25年法律第261号)第38条 https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000261
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8. タメシビで想定していること
タメシビは、看護師・准看護師が、施設と直接雇用契約を結んで1日単位で働けるスポット勤務サービスです。応募後、施設が内容を確認して勤務が確定します(事前の面接・書類選考はありません)。求人には、業務内容、必要な経験、持ち物、当日の流れを明示する方針です。
この記事の言葉で言えば、タメシビは「単発バイト型のお試し勤務」の形です(3章)。1日単位の直接雇用で働き、その日の勤務の賃金を受け取ります。常勤・パートの採用をあっせんするサービスではありません。働いてから、その職場で続けるかをご自身で選べることを、サービスの前提に置いています。
タメシビは2026年内のサービス開始に向けて準備中で、どの地域・どの種類の求人が掲載されるかは、これから決まります。
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9. よくある質問
お試しで働いたら、必ず入職しないといけませんか
いいえ。入職するかどうかを判断するための勤務なので、断る自由があります。施設側にも「採用しない」判断があり、お互いに確かめる場です。断るときは、勤務させてもらったお礼を一言添えれば十分です。
単発で行って、気まずくなりませんか
あなたはその日、「入職検討者」ではなく「単発勤務の看護師」として雇用契約を結んで働きます。お試し目的であることを職場に伝える義務はありません。施設側もその日の勤務をしてもらうために募集しており、単発の看護師を受け入れることはお互いに了解済みのことです。特別に振る舞う必要も、気を回す必要もありません。
初めての職場で、何を任されるのですか。フォローはありますか
その日にやってほしい業務は、募集の時点で明示されます(2章の労働条件明示)。分からないことは聞いてよく、その質問への返り方が、逆にあなたの見極め材料になります(1-4)。
もしミスやインシデントを起こしたら、責任はどうなりますか
単発でも雇用契約に基づく勤務なので、施設の指示・体制の下で業務を行います。事故のときの報告の流れは「単発勤務の事故とインシデント」、民法の使用者責任と労働者の負担の範囲は「看護師の賠償責任保険は必要?」にまとめています。あわせて、看護職向けの賠償責任保険(日本看護協会の「看護職賠償責任保険制度」など)に個人で加入している場合は、勤務先や雇用形態による適用の限定がないか、約款を確認しておくと安心です。
1日だけで、職場の何が分かるのですか
全部は分かりません。1日で分かるのは、6章に挙げた「働く人にしか見えない部分」、つまり記録・申し送り・忙しさ・休憩の実際です。逆に、給与条件や教育体制のように面接・見学のほうが分かる情報もあるので、組み合わせるのが現実的です。判断がつかなければ、同じ職場にもう1日入る、別の職場と比べる、という使い方ができます。1日から試せることの価値は、この「比べられること」にあります。
ブランクがあっても大丈夫ですか
募集ごとに応募条件(経験・ブランク可否)が示されるので、まずそこを確認してください。単発勤務は業務内容が契約時に明示される働き方なので(2章)、いきなり常勤で復帰するより、業務範囲を確かめながら始めやすい面があります。ブランクからの復帰の進め方は「ブランクのある看護師の復職ガイド」にまとめています。
在職中で夜勤もあります。時間を作れますか
お試し勤務は1日単位で、働く日は自分で選べます。休みの日を月に1日確保できれば始められます。ただし、休息を削って詰め込むと本業に支障が出ます(副業・兼業ガイドラインのいう「労務提供上の支障」に当たりえます)。余裕のある頻度から始めて、7章の就業規則の確認を先に済ませてください。
今の職場に知られたくないのですが、大丈夫ですか
この記事では、規定の確認と必要な届出を済ませてから始めることをおすすめしています(7章)。黙って働いて発覚した場合に失うもののほうが大きいためです。「知られるか」より先に考えたいことは「看護師の副業禁止はどこまで有効?」の6章に、住民税の仕組みは「看護師の単発バイトと税金」の6章にまとめています。
扶養内で働きたいのですが、調整できますか
働く日数・頻度を自分で決められるので、収入を見ながら調整しやすい働き方です。扶養の収入基準の金額は、この記事では扱いません。社会保険の加入の線は「看護師の単発バイトと社会保険・雇用保険・有給休暇」に、税の仕組みは「看護師の単発バイトと税金」にまとめています。
時給はどれくらいですか
金額は地域・施設種別・日勤か夜勤かで幅が大きく、「看護師の単発なら時給いくら」と一律には言えないのが実情です。見るべきは募集要項の時給・日給と交通費の扱いで、この2つは応募前に必ず明示されます(2章)。最低賃金を下回らないことは法律上保証されています。
服装や持ち物はどうすればいいですか。免許の確認はありますか
服装・持ち物は募集要項の指定に従います。ユニフォーム貸与の有無、ナースシューズ・聴診器の持参は施設ごとに違うので、記載がなければ事前に質問してください。持ち物リストと初日の流れは「初めての看護師単発バイト」にまとめています。また、看護業務は資格が前提のため(保健師助産師看護師法第31条)、免許証(原本または写し)の提出や、サービス登録時の資格確認を求められることがあります。扱いは「看護師免許証の扱い方」にまとめています。
働くところまでは考えていません。見学だけでもいいですか
構いません。観察だけの見学なら無報酬で、施設に申し込めば受けられるところがあります。ただし見学で分かるのは雰囲気までで、6章に挙げた項目の大半は分かりません。見学の申し込み方とチェックポイントは「看護師の職場見学チェックポイント」にまとめています。
公立病院で働いていますが、休日にお試し勤務できますか
直営の公立病院の正規職員の場合、有給の勤務は地方公務員法第38条の制限にかかるため、任命権者の許可が必要です(7章)。許可なく行うことはおすすめできません。
この章の出典
- 保健師助産師看護師法(昭和23年法律第203号)第31条 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000203
- 地方公務員法(昭和25年法律第261号)第38条 https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000261
- 民法(明治29年法律第89号)第715条(使用者等の責任) https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089
- 日本看護協会「看護職賠償責任保険制度」 https://li.nurse.or.jp/
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面接と見学だけで決める転職は、入ってからしか答え合わせができません。お試し勤務は、その答え合わせを入職前に済ませる方法です。働く1日の権利は通常の勤務と同じで(2章)、働いたあとに断る自由もあります(9章)。
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この記事で確認しきれなかったこと
項目 | 状況 |
|---|---|
学生インターンシップに関する三省合意の本文 | 令和4年6月改正の存在は確認。本文の詳細は未取得(本記事では「学生向けで既卒は対象外」の範囲でのみ言及) |
無給の体験勤務をめぐる行政指導・送検の個別事例 | 公的な公表事例は未調査。本文では通達の基準のみを示した |
看護職賠償責任保険の単発勤務への適用条件 | 制度の存在のみ記載。適用範囲は各自の約款確認を前提とした |
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参考・出典一覧
法令
- 労働基準法(昭和22年法律第49号) https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000049
- 最低賃金法(昭和34年法律第137号) https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000137
- 労働者災害補償保険法(昭和22年法律第50号) https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000050
- 民法(明治29年法律第89号) https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089
- 職業安定法(昭和22年法律第141号) https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000141
- 職業安定法施行規則(昭和22年労働省令第12号) https://laws.e-gov.go.jp/law/322M40000400012
- 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(昭和60年法律第88号) https://laws.e-gov.go.jp/law/360AC0000000088
- 保健師助産師看護師法(昭和23年法律第203号) https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000203
- 地方公務員法(昭和25年法律第261号) https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000261
厚生労働省
- 「労働基準法における労働者性の関連通達」(令和7年3月時点版) https://www.mhlw.go.jp/content/001462702.pdf
- 「いわゆる『スポットワーク』の留意事項等」(令和7年7月) https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_59321.html / 労働者向けリーフレット https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/001512298.pdf
- 「2024年4月から労働条件明示のルールが変わります」 https://muki.mhlw.go.jp/rule.html
- 労災保険Q&A https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000154443.html
- 「紹介予定派遣とは」 https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11600000-Shokugyouanteikyoku/0000133872.pdf
- 「トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/newpage_16286.html
- 「副業・兼業の促進に関するガイドライン」(令和4年7月改定) https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/000962665.pdf
調査・その他
- 日本看護協会「2025年 病院看護実態調査」ニュースリリース(2026年3月31日) https://www.nurse.or.jp/home/assets/20260331_nl01.pdf
- 労働政策研究・研修機構(JILPT)「2024年度の看護職員の離職率」(2026年4月8日) https://www.jil.go.jp/kokunai/topics/mm/20260408b.html
- 日本看護協会「看護職賠償責任保険制度」 https://li.nurse.or.jp/
タメシビの先行登録
タメシビは、看護師が1日単位で施設と直接雇用契約を結んで働けるスポット勤務サービスです。応募後、施設が内容を確認して勤務が確定します(事前の面接・書類選考はありません)。求人には業務内容、必要な経験、持ち物、当日の流れを明示し、働いてから、その職場で続けるかをご自身で選べます。看護師・准看護師の登録料・利用料は無料です。
タメシビは2026年内のサービス開始に向けて準備中で、現在はLINEで先行登録を受け付けています。現時点で求人への応募を受け付けているものではありません。求人が公開されたときにお知らせを受け取りたい方は、先行登録をご利用ください。