保健師・助産師・看護師の違いは、保健師助産師看護師法が定める「業」の中身にあります。 保健師は保健指導、助産師は助産と妊婦・じょく婦・新生児の保健指導、看護師は療養上の世話と診療の補助を業とする職種です。

この記事は、法律の定義、免許の取り方、資格がない人にはできないこと(業務独占と名称独占)、働く場所の統計の4つで3つの資格を比べ、最後に保健師・助産師の免許で看護師として単発に入る形を扱います。どの資格が向いているかは、この記事では決めません。

先に答えを書くと、保健師と助産師になるには、それぞれの国家試験に加えて看護師国家試験にも合格する必要があります。 そして法律は、保健師と助産師が看護師の業務を行えると定めています(31条2項)。

この記事の結論

  • 保健師は「保健師の名称を用いて保健指導」、助産師は「助産と、妊婦・じょく婦・新生児の保健指導」、看護師は「療養上の世話と診療の補助」を業とする者と、法律が定めています(1章)
  • 保健師・助産師になるには、それぞれの国家試験と看護師国家試験の両方に合格し、厚生労働大臣の免許を受けます(2章)
  • 助産は助産師でなければできません。看護師の業務(療養上の世話・診療の補助)も、看護師でない者は業として行えませんが、保健師・助産師は行えます。名称は、保健師・助産師・看護師・准看護師の4つとも、資格のない人は使えません(3章)
  • 令和6年末の就業者は、保健師63,536人、助産師38,721人、看護師1,363,142人です。保健師の5割強は市区町村、助産師の6割弱は病院で働いています(4章)
  • 保健師・助産師の免許で看護師として単発に入るときは、求人の資格欄と、提示する免許証を確認します(6章)

読みたい箇所から確認する

1. 3つの資格を法律の定義で比べる

先に答えを置きます。保健師助産師看護師法は、3つの資格をそれぞれの「業」で定義しています。

資格

条文

法律の定義(業の中身)

保健師

2条

厚生労働大臣の免許を受けて、保健師の名称を用いて、保健指導に従事することを業とする者

助産師

3条

厚生労働大臣の免許を受けて、助産又は妊婦、じよく婦若しくは新生児の保健指導を行うことを業とする女子

看護師

5条

厚生労働大臣の免許を受けて、傷病者若しくはじよく婦に対する療養上の世話又は診療の補助を行うことを業とする者

3つとも厚生労働大臣の免許です。都道府県知事の免許である准看護師との違いは「准看護師の単発バイト」の1章にまとめています。

定義の書き方から、次の違いが読み取れます。

  • 保健師の定義には「保健師の名称を用いて」という言葉が入っています(3章で扱います)
  • 助産師の定義は「女子」と書かれています
  • 看護師の定義は、病気やけがのある人とじょく婦(出産後の女性)への療養上の世話と診療の補助です

この章の出典

  • 保健師助産師看護師法 2条・3条・5条(法令翻訳データベース掲載の日本語原文で確認)

2. 免許の取り方の違い

先に答えを置きます。保健師と助産師は、それぞれの国家試験に加えて、看護師国家試験にも合格することが免許の条件です(7条)。

資格

合格が必要な国家試験

免許

保健師

保健師国家試験と看護師国家試験

厚生労働大臣

助産師

助産師国家試験と看護師国家試験

厚生労働大臣

看護師

看護師国家試験

厚生労働大臣

7条1項は「保健師になろうとする者は、保健師国家試験及び看護師国家試験に合格し、厚生労働大臣の免許を受けなければならない」と定め、2項は助産師について同じ形で定めています。保健師・助産師は、看護師国家試験の合格を前提にした資格です。

看護師免許と免許証の違い、籍の登録と訂正は「看護師免許証の扱い」にまとめています。

この章の出典

  • 保健師助産師看護師法 7条1項・2項

3. 資格がない人にはできないこと——業務独占と名称独占

先に答えを置きます。助産は助産師でなければ、看護師の業務は看護師でなければ業として行えません(業務独占)。ただし、看護師の業務は保健師・助産師も行えます。名称は4資格とも、資格のない人は使えません(名称独占)。保健師には、名称を用いて保健指導を業とすることを限る規定もあります。

規定

条文の内容

意味

30条(助産)

助産師でない者は、3条に規定する業をしてはならない。ただし、医師法の規定に基づいて行う場合は、この限りでない

助産と妊婦などの保健指導は、助産師(と医師)に限られる

29条(保健師)

保健師でない者は、保健師又はこれに類似する名称を用いて、2条に規定する業をしてはならない

「保健師」の名称を使って保健指導を業とすることが限られる

31条1項(看護師の業務)

看護師でない者は、5条に規定する業をしてはならない(医師法又は歯科医師法の規定に基づいて行う場合を除く)

療養上の世話・診療の補助は、看護師に限られる

42条の3(名称・4資格)

1項は「保健師でない者は、保健師又はこれに紛らわしい名称を使用してはならない」。2項〜4項は助産師・看護師・准看護師について同じ形で定める

4資格とも、名称そのものが限られる

31条2項(看護師の業務)

保健師及び助産師は、前項の規定にかかわらず、5条に規定する業を行うことができる

保健師・助産師は、看護師の業務(療養上の世話・診療の補助)を行える

保健師の29条は「名称を用いて」と書いています。つまり規定の対象は、保健師の名称を使って保健指導を業とすることです。助産師の30条のように、業そのものを助産師に限る書き方とは違います。

31条2項は、6章の「保健師・助産師の免許で看護師として働く」形の根拠になる規定です。

この章の出典

  • 保健師助産師看護師法 29条・30条・31条1項・2項・42条の3(31条1項の文言は「准看護師の単発バイト」の記事で照合済み)

4. 働く場所の違い——令和6年末の統計

先に答えを置きます。厚生労働省の統計(令和6年末)では、保健師は市区町村、助産師と看護師は病院で働く人の割合がいちばん大きくなっています。

就業者数

資格

就業者数(令和6年末)

保健師

63,536人

助産師

38,721人

看護師

1,363,142人

准看護師

233,022人

就業場所の割合

就業場所

保健師

助産師

看護師

市区町村

52.3%

—

—

保健所

15.1%

—

—

都道府県

3.1%

—

—

病院

6.3%

59.5%

65.7%

診療所

4.7%

22.4%

14.3%

助産所

—

7.5%

—

事業所

7.9%

—

—

介護保険施設等

3.4%

—

7.9%

訪問看護ステーション

—

0.3%

6.7%

学校等

1.9%

4.0%

1.2%

(概況に挙がっている主な場所を並べたもので、「—」は本記事で照合した範囲に数字がないことを示します。合計は100%になりません)

保健師の7割が、市区町村・保健所・都道府県の行政の場で働いています(52.3%+15.1%+3.1%)。助産師は病院と診療所で8割を超えます(59.5%+22.4%)。

この章の出典

  • 厚生労働省「令和6年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」

5. 保健師の仕事内容

先に答えを置きます。保健師の仕事は、法律の定義では「保健指導」です。どこで誰に保健指導を行うかは、働く場所によって違います。

働く場所

統計の割合(4章)

市区町村・保健所・都道府県

計70.5%

病院・診療所

計11.0%

事業所(企業)

7.9%

学校等

1.9%

誰にどのような保健指導を行うかは、働く場所ごとの制度と、勤め先の業務の決め方によります。求人では業務内容の欄で確認してください。

行政の保健師の活動——厚生労働省の指針

保健師の7割が働く行政の場(4章)については、厚生労働省の通知「地域における保健師の保健活動について」(平成25年4月19日 健発0419第1号)が、保健活動の基本的な方向性として次の10項目を挙げています。

  1. 地域診断に基づくPDCAサイクルの実施
  2. 個別課題から地域課題への視点及び活動の展開
  3. 予防的介入の重視
  4. 地区活動に立脚した活動の強化
  5. 地区担当制の推進
  6. 地域特性に応じた健康なまちづくりの推進
  7. 部署横断的な保健活動の連携及び協働
  8. 地域のケアシステムの構築
  9. 各種保健医療福祉計画の策定及び実施
  10. 人材育成

同じ通知の本文には、活動の例として訪問指導、健康相談、健康教育、地区組織等の育成、地区活動などが挙げられています。一人ひとりへの保健指導だけでなく、地域全体の健康課題をとらえて計画を立て、地域の組織と協働することが、行政の保健師の活動として示されています。

  • 出典:厚生労働省「地域における保健師の保健活動について」(平成25年4月19日 健発0419第1号)

企業の健康管理室では、労働安全衛生法が保健指導などで「保健師」を名指ししている規定があります。看護師との位置づけの違いは「産業看護師(企業の健康管理室)の仕事」の2章にまとめています。

助産師の仕事は、法律の定義どおり、助産と、妊婦・じょく婦・新生児の保健指導です(1章)。働く場所の8割を超えるのが病院と診療所です(4章)。

6. 保健師・助産師の免許で、看護師として単発に入る

先に答えを置きます。31条2項により、保健師・助産師は看護師の業務を行えます。単発の求人で看護師として入るときは、求人の資格欄と、勤務先に提示する免許証を確認します。

求人の資格欄を確認する

求人の資格欄の書き方は、求人ごとに違います。「看護師」とだけ書かれている求人に、保健師・助産師の免許で応募できるかは、求人ごとに施設へ確認してください。

確認すること

理由

求人の資格欄に、保健師・助産師が含まれているか

書き方は求人ごとに違う

提示する免許証(保健師・助産師の免許証か、看護師の免許証か)

免許証の提示は単発では回数が増える(license 1章)

その日の業務(保健指導か、療養上の世話・診療の補助か)

保健指導(2条)と、療養上の世話・診療の補助(5条)は、条文上別の業

免許証を提示する場面と扱い方は「看護師免許証の扱い」の1章にまとめています。

保健師・助産師のバイトを探す場合

助産の仕事は、30条により助産師(と医師)に限られます。求人がどの業務を求めているかを、資格欄と業務内容の欄の両方で確認してください。

7. タメシビで想定していること

タメシビは、看護師・准看護師が、施設と直接雇用契約を結んで1日単位で働けるスポット勤務サービスです。応募後、施設が内容を確認して勤務が確定します(事前の面接・書類選考はありません)。求人には、業務内容、必要な経験、持ち物、当日の流れを明示する方針です。

保健師・助産師の免許をお持ちの方が看護師として応募する場合の扱い(資格欄の書き方、確認する免許証)は、求人ごとに施設の条件を明示する方針です。常勤・パートの採用をあっせんするサービスではありません。働いてから、その職場で続けるかをご自身で選べることを、サービスの前提に置いています。

タメシビは2026年内のサービス開始に向けて準備中で、どの地域・どの種類の求人が掲載されるかは、これから決まります。

よくある質問

保健師と看護師の違いは何ですか

法律の定義では、保健師は「保健師の名称を用いて保健指導に従事すること」、看護師は「療養上の世話と診療の補助」を業とします(1章)。保健師になるには、保健師国家試験と看護師国家試験の両方に合格する必要があります(2章)。働く場所は、保健師は市区町村、看護師は病院の割合がいちばん大きくなっています(4章)。

助産師と看護師の違いは何ですか

助産師は、助産と、妊婦・じょく婦・新生児の保健指導を業とします。助産は助産師(と医師)でなければ業として行えません(1章・3章)。助産師になるには、助産師国家試験と看護師国家試験の両方に合格する必要があります(2章)。

保健師や助産師の免許があれば、看護師として働けますか

保健師助産師看護師法31条2項は、保健師と助産師が看護師の業務を行えると定めています(3章)。単発の求人では、資格欄に保健師・助産師が含まれているか、提示する免許証は何かを施設に確認してください(6章)。

助産師は男性でもなれますか

法律の定義は、助産師を「女子」としています(1章)。

保健師のバイトはありますか

保健師の求人の有無や数は、この記事では扱っていません。求人を見るときは、資格欄と業務内容の欄をあわせて確認してください(6章)。

まとめ

保健師・助産師・看護師は、保健師助産師看護師法でそれぞれの「業」が定められています。保健師は保健師の名称を用いた保健指導、助産師は助産と妊婦・じょく婦・新生児の保健指導、看護師は療養上の世話と診療の補助です。

保健師・助産師になるには、それぞれの国家試験と看護師国家試験の両方に合格します。助産は助産師に限られ、保健師の名称を使った保健指導は保健師に限られます。一方で、看護師の業務は保健師・助産師も行えます(31条2項)。

令和6年末の就業者は、保健師63,536人、助産師38,721人、看護師1,363,142人です。保健師・助産師の免許で看護師として単発に入るときは、求人の資格欄と提示する免許証を確認してください。

この記事の主な一次情報

  • 保健師助産師看護師法(昭和23年法律第203号)2条・3条・5条・7条・29条・30条・31条1項・2項・42条の3
  • 厚生労働省「令和6年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」
  • 厚生労働省「地域における保健師の保健活動について」(平成25年4月19日 健発0419第1号)

※2026年10月6日に確認。法令は改正されることがあります。この記事は制度の紹介であり、個別の求人の資格要件について判断を示すものではありません。賃金の相場は扱っていません。

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