「大学病院」には、2つの制度が重なっていることがあります。 1つは大学設置基準の「附属病院」で、医学又は歯学に関する学部を置く大学が置くものとされています。もう1つは医療法の「特定機能病院」で、厚生労働大臣の承認を得た病院が名乗れるものです。
特定機能病院には、一般の病院とは別の看護職員の員数が定められています。 入院患者2人に1人(一般の病院の一般病床は3人に1人)に、外来患者30人に1人を加えた数です。
この記事は、条文と告示をもとに、附属病院と特定機能病院の違い、看護職員の員数と病棟の配置の基準、働く前に確かめることを整理します。個別の病院の承認の有無や、給与・働きやすさは扱いません。
この記事の結論
- この記事では、大学設置基準39条の附属病院を「大学病院」と呼びます。医学又は歯学に関する学部を置く大学は、附属病院を置くものとされています(1章)
- 特定機能病院は、高度の医療の提供・開発・研修・安全確保などの要件を満たし、厚生労働大臣の承認を得た病院です(医療法4条の2)(2章)
- 附属病院であることと、特定機能病院の承認を受けていることは別の制度です(2章)
- 特定機能病院の看護師及び准看護師の員数は、入院患者2人に1人+外来患者30人に1人以上です(医療法施行規則22条の2)(3章)
- 特定機能病院入院基本料の一般病棟7対1には、看護職員の最小必要数の7割以上が看護師などの施設基準があります(4章)
読みたい箇所から確認する
- 1. 大学病院(附属病院)とは
- 2. 特定機能病院とは
- 3. 看護職員の員数:特定機能病院と一般の病院の違い
- 4. 病棟の配置:特定機能病院入院基本料の施設基準
- 5. 大学病院で働く前に確かめること
- 6. タメシビで想定していること
- よくある質問
1. 大学病院(附属病院)とは
先に答えを置きます。大学設置基準39条は、医学又は歯学に関する学部を置く大学に、その教育研究に必要な施設として附属病院を置くものとしています。この記事では、この附属病院を「大学病院」と呼びます。
大学設置基準39条は、学部・学科ごとに置く附属施設を表で定めています。医学又は歯学に関する学部の欄は「附属病院」です。かっこ書きで、医療法70条1項に規定する参加法人等(同項1号の法人に限る)が開設する病院も、文部科学大臣が別に定める場合に限って含むとされています。
附属病院は、学部の教育研究に必要な施設として置かれる病院です。 附属病院も医療法上の病院で、看護職員の員数などは医療法の定めに従います(3章)。
この章の出典
- 大学設置基準 39条 https://laws.e-gov.go.jp/law/331M50000080028
2. 特定機能病院とは
先に答えを置きます。特定機能病院は、医療法4条の2の要件を満たし、厚生労働大臣の承認を得て「特定機能病院」と名乗る病院です。附属病院であることとは別の制度です。
医療法4条の2第1項は、承認の要件として次の9つを挙げています。
号 | 要件(要約) |
|---|---|
1号 | 高度の医療を提供する能力を有すること |
2号 | 高度の医療技術の開発及び評価を行う能力を有すること |
3号 | 高度の医療に関する研修を行わせる能力を有すること |
4号 | 医療の高度の安全を確保する能力を有すること |
5号 | 厚生労働省令で定める診療科名を有すること |
6号 | 厚生労働省令で定める数以上の患者を入院させるための施設を有すること |
7号 | 人員が22条の2に基づく厚生労働省令の要件に適合すること |
8号・9号 | 定められた施設を有し、構造設備が要件に適合すること |
看護職員の員数に関わるのは7号(施行規則22条の2。3章)です。厚生労働大臣は、承認にあたってあらかじめ社会保障審議会の意見を聴きます(2項)。特定機能病院でないものは、特定機能病院又はこれに紛らわしい名称を付けてはならないとされています(3項)。
附属病院であることと、特定機能病院の承認を受けていることは、根拠の法律が違います。 働こうとしている病院が承認を受けているかは、厚生労働省の公表や病院の案内で確かめてください。
この章の出典
3. 看護職員の員数:特定機能病院と一般の病院の違い
先に答えを置きます。特定機能病院の看護師及び准看護師の員数は、入院患者2人に1人と外来患者30人に1人を加えた数以上です。一般の病院の一般病床は入院患者3人に1人です。
特定機能病院(施行規則22条の2第1項4号) | 一般の病院(施行規則19条2項2号) | |
|---|---|---|
入院患者 | 2又はその端数を増すごとに1(入院している新生児を含む) | 一般病床・感染症病床は3をもって除した数、療養病床・精神病床・結核病床は4をもって除した数 |
外来患者 | 30又はその端数を増すごとに1を加える | 30又はその端数を増すごとに1を加える |
産婦人科・産科 | そのうちの適当数を助産師とする | 同じ |
22条の2第2項は、入院患者・外来患者の数を前年度の平均値とするとしています。
この員数は「看護師及び准看護師」の数です。 病院全体として置くべき人数の定めです。病棟ごとの常時の配置は、病院が届け出る入院基本料の施設基準(診療報酬の算定要件)で定められています(4章)。一般の病院の員数の考え方は「病院の病棟に単発の求人が少ない理由」にまとめています。
この章の出典
- 医療法施行規則 19条2項2号・22条の2 https://laws.e-gov.go.jp/law/323M40000100050
4. 病棟の配置:特定機能病院入院基本料の施設基準
先に答えを置きます。基本診療料の施設基準等(告示62号)は、特定機能病院入院基本料の一般病棟7対1について、常時の看護職員の配置、看護師の割合、平均在院日数などを定めています。
告示62号の特定機能病院A入院基本料の一般病棟7対1入院基本料の施設基準には、次の定めがあります(主なもの)。
項目 | 定め |
|---|---|
看護職員の配置 | 一日に看護を行う看護職員の数は、常時、入院患者の数が7又はその端数を増すごとに1以上 |
夜勤 | 看護職員の数が本文の数以上である場合、各病棟の夜勤を行う看護職員の数は2以上 |
看護師の割合 | 看護職員の最小必要数の7割以上が看護師 |
平均在院日数 | 26日以内 |
同じ告示には、10対1入院基本料の施設基準もあります。病院がどの入院基本料を届け出ているかは、病院によって違います。 この記事では判断しません。
ICU・HCUなどの治療室の配置は、「HCUの看護師」にまとめています。
この章の出典
- 基本診療料の施設基準等(平成20年厚生労働省告示第62号) https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=84aa9732&dataType=0&pageNo=2
5. 大学病院で働く前に確かめること
先に答えを置きます。特定機能病院の承認を受けているか、配属される病棟の入院基本料、新人・中途の教育の仕組みを、求人や面接で確かめます。
確かめること | 理由 |
|---|---|
特定機能病院の承認を受けているか | 附属病院であることとは別の制度(2章) |
配属される病棟の入院基本料(7対1か10対1かなど) | 常時の看護職員の配置と看護師の割合が変わる(4章) |
治療室(ICU・HCU)への配属の有無 | 治療室には別の施設基準がある |
新人研修・クリニカルラダーの仕組み | 教育の仕組みは病院ごとに違う |
特定行為研修・認定看護師などの支援 | 支援の有無は病院ごとに違う |
看護研究・勉強会の時間の扱い | 業務として扱うかは病院の決まりで確かめる(研修・学習と労働時間の考え方は「看護師の前残業と着替えの時間」の2章) |
雇用主の法人の種類 | 公務員にあたるかは雇用主で確かめる(「看護師が公務員として働くには」の1章) |
新人研修は「新人看護職員研修とは」、クリニカルラダーは「クリニカルラダーとは」、特定行為研修・認定看護師は「認定看護師・専門看護師・特定行為研修の違い」にまとめています。
この章の出典
- 関連記事の各章の出典を参照
6. タメシビで想定していること
タメシビは、看護師・准看護師が、施設と直接雇用契約を結んで1日単位で働けるスポット勤務サービスです。応募が完了した時点で勤務が確定します(施設による承認・面接・書類選考はありません)。求人には、業務内容、必要な経験、持ち物、当日の流れを明示する方針です。
タメシビは2026年内のサービス開始に向けて準備中で、どの地域・どの種類の求人が掲載されるかは、これから決まります。
よくある質問
大学病院と特定機能病院は同じですか
同じではありません。 大学病院(附属病院)は大学設置基準39条、特定機能病院は医療法4条の2の承認による制度です(1章・2章)。働こうとしている病院が承認を受けているかは、厚生労働省の公表や病院の案内で確かめてください。
特定機能病院の看護師の配置は、一般の病院とどう違いますか
医療法施行規則の員数が違います。 特定機能病院は入院患者2人に1人+外来患者30人に1人以上、一般の病院の一般病床は入院患者3人に1人+外来患者30人に1人です(3章)。
「7対1」とは何ですか
病棟で、常時、入院患者7人に1人以上の看護職員を置くことを求める、入院基本料(診療報酬)を算定するための施設基準です(告示62号)。特定機能病院入院基本料の一般病棟7対1では、看護職員の最小必要数の7割以上が看護師であることなども定められています(4章)。
大学病院の看護師は公務員ですか
雇用主の法人によって違います。 雇用主は、その病院を開設する法人です。公務員にあたるかは、雇用主の法人の種類で確かめてください。公務員として働く職場の整理は「看護師が公務員として働くには」の1章にまとめています。
准看護師も大学病院で働けますか
医療法施行規則の員数は「看護師及び准看護師」の数です(3章)。入院基本料には看護師の割合の定めがあります(4章)。応募できる資格は、求人ごとに確かめてください。
まとめ
「大学病院」には、大学設置基準の附属病院と、医療法の特定機能病院という2つの制度が重なっていることがあります。附属病院は医学又は歯学に関する学部を置く大学が置くもので、特定機能病院は厚生労働大臣の承認を得た病院です。
特定機能病院の看護職員の員数は入院患者2人に1人+外来患者30人に1人以上で、一般の病院の一般病床(3人に1人)を上回る員数です。病棟の常時の配置は入院基本料の施設基準で決まります。働く前に、承認の有無、配属病棟の入院基本料、教育の仕組みを確かめてください。
この記事の主な一次情報
- 大学設置基準(昭和31年文部省令第28号)39条
- 医療法(昭和23年法律第205号)4条の2
- 医療法施行規則(昭和23年厚生省令第50号)19条・22条の2
- 基本診療料の施設基準等(平成20年厚生労働省告示第62号)特定機能病院入院基本料の施設基準
※2026年10月19日に e-Gov 法令検索と厚生労働省 法令等データベースで確認。法令・告示は改正されることがあります。この記事は制度の紹介であり、個別の病院の承認の有無や届出について判断を示すものではありません。点数は扱っていません。
タメシビの先行登録
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タメシビは2026年内のサービス開始に向けて準備中で、現在はLINEで先行登録を受け付けています。現時点で求人への応募を受け付けているものではありません。求人が公開されたときにお知らせを受け取りたい方は、先行登録をご利用ください。